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【イギリス】持続可能なファイナンス分野でも世界をリードする英国。UNEP調査 2016/01/25 ESG

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 UNEP(国連開発計画)が1月14日に公表した持続可能な金融システムに関する報告書によると、世界の金融センターとして知られている英国は、グリーンファイナンスの分野においても急速に世界のハブ拠点として成長していることが明らかになった。

 ”The UK: global hub, local dynamics – mapping the transition to a sustainable financial system“と題する同報告書は、政策当局や金融機関がSDGs(国連の持続可能な開発目標)や昨年合意にいたった気候変動枠組み条約(パリ協定)の目標実現に向け、どのように世界の資金を活用していくべきかについて焦点を当てたものだ。

 同報告書の中では英国が過去15年間にわたり推進してきた、環境・社会的要素を銀行業務や資本市場、投資、保険の中核に位置づけるための取り組みが紹介されており、英国が社会起業家や大手金融機関との密接な協働、金融政策や規制強化などに基づいて進化させてきた持続可能なファイナンスにおける卓越したイノベーションモデルが提示されている。

 具体的には、英国は2000年に年金法を改正し、世界で初めて年金基金に対して社会・環境に配慮しているかどうかの方針開示を義務付けしたほか、2015年にはイングランド銀行(Bank of England)の規制当局、PRA(プルーデンス規制機構)が世界で初めて気候変動が英国の保険業界にもたらす影響に関する調査を実施した。

 UNEPは、英国の事例における重要なポイントとして、これらのイノベーションのプロセスは気候変動のような課題が金融システム全体にもたらしうる影響について焦点を当てつつ、世界的な金融危機へ対処する中で深化してきたものであるという点を挙げている。

 また、同報告書は多くの領域において英国は明確にリーダーシップを発揮していると結論づけつつも、サステナビリティは未だ金融システムにおける「眠れる巨人」として分類されうる状況にあるとし、英国が持続可能な金融戦略を強化するための一連の優先事項を提示している。

 具体的には、グリーンボンド拠点の構築、個人投資家向けの正確なサステナビリティ情報提供、エネルギーコスト及び環境負荷削減に向けた住宅融資の見直し、イングランド銀行の調査を保険業界から銀行業界など他業界まで拡大し、金融システム全体が抱える環境リスクを把握すること、ソーシャルレンディングなど英国がリーダーシップを発揮している新たな金融システムにおけるグリーンファイナンスの可能性の模索などが挙げられている。

 UNEPの執行役員を務めるAchim Steiner氏は「金融システムを持続可能性の責務を伴ったものにする国が増えており、2016年は世界中がグリーンファイナンスの年になるだろう。私はロンドン市によるイニシアチブと、この取り組みに当たって最も活動的な年になりそうなことを心から歓迎する」と述べた。

 また、グリーンファイナンス・イニシアチブの議長を務めるSir Roger Giffordは「ロンドン市自治体は2016年を政策立案者や実務家がイギリスにおけるグリーンファイナンス分野の長期的発展に向けて牽引する年になると確信している。国連のプログラムが明確に示しているように、我々が必要としているのは低炭素経済に向けた移行を全面的に支援し、後押しする金融システムであり、その過程でロンドンが主導的な役割を果たせると信じている」と語った。

 世界の金融センターとしての地位を築いてきたロンドン、そして英国が、今後SDGsやパリ協定の実現に向けてどのように世界の持続可能な金融分野をリードしていくのか、今後も政府による政策的アプローチや金融機関による革新的な取り組み、社会起業家による新たな金融サービスの開発など、様々な取り組みに期待がかかる。

【レポートダウンロード】The UK: global hub, local dynamics – mapping the transition to a sustainable financial system
【参照リリース】UK Global Hub for Green Finance, New UNEP Report Says
【団体サイト】UNEP
【団体サイト】City of London Corporation
【参照サイト】UNEP Inquiry

株式会社QUICK ESG研究所

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