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【国際】CDPとBSR、過去最大規模となるサプライヤー企業の気候変動対応調査を実施 2016/01/29 ESG

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 気候変動に関する情報開示を求める機関投資家らによる国際イニシアチブのCDPおよびサステナビリティネットワーク団体のBSRは1月26日、過去最大規模となる、グローバル企業のサプライチェーンにおける気候データに関する調査報告書を公表した。

 ”From Agreement to Action: Mobilizing Suppliers Toward a Climate-Resilient World“と題する同報告書は、総計2兆米ドル以上の調達予算を持つグローバル企業75社が抱えるサプライヤー、7,879社の温室効果ガス排出状況および気候変動対応状況をまとめたものだ。

 同調査の結果、顧客企業からの情報開示要求に対応したサプライヤー企業は4,005社で、約半分にあたる49%は気候変動に関する情報開示要求に対応しなかったことが分かった。

 CDPの2015年の調査によると、サプライチェーン上の温室効果ガス排出量(スコープ3)は、自社事業運営からの直接排出(スコープ1)および自社購入エネルギー製造時の排出(スコープ2)の4倍に相当するとされており、気候変動対応においてはサプライチェーン上の排出量をいかに削減できるかが大きな鍵を握る。しかし、今回の調査からは、グローバル企業のサプライチェーン上には依然として大きなブラインドがあることが浮き彫りになった形だ。

 一方で、情報開示に対応したサプライヤーの72%が気候変動は事業運営や売上などに多大な影響を及ぼす可能性があると考えており、64%が特に燃料やエネルギー、炭素税など気候変動に関わる規制の強化をリスクだと認識していることが分かった。

 しかし、このようなリスク認識の高さにも関わらず、調査回答したサプライヤーのうち温室効果ガス排出量削減に関する具体的な目標を設定している企業は45%と半数にも満たず、実際に温室効果ガス排出量を削減できている企業は34%しかないなど、情報開示に対応しているサプライヤー企業においても未だ課題が多いことが明らかになった。

 同報告書にコメントを寄せている戦略コンサルティング大手のマッキンゼー&カンパニーは、CO2排出と気候マネジメントはますます調達の意思決定要因に取り込まれるようになってきており、従来のサプライヤーベースのビジネスモデルは崩壊しつつあると指摘している。

 例えば、化粧品大手のロレアルはCDPとの協働により、調達部門でも理解しやすいサプライヤー向け気候スコアカードを作成したほか、コカ・コーラやLEGOグループはサプライヤー向けに気候パフォーマンス向上に向けたインセンティブ制度やトレーニングを実験的に展開している。サプライヤー企業のCO2排出も自社の課題と考え、いかに積極的なエンゲージメントを実現できるかが問われる時代となっている。

 CDPは、サプライヤー企業の気候パフォーマンス向上には時間を要するとしつつも、気候データの測定と情報開示を要求し続けることは、大きな変化をもたらすと指摘している。CDPによると、実際に、少なくとも過去3年間CDPのサプライチェーンプログラムに参加したサプライヤー企業らは、今回初めて情報開示に対応した企業と比較して気候マネジメントにおいてより積極的な取り組みを展開しているという。

 過去に同プログラムに参加したことがある1,850のサプライヤー企業のうち約4分の3が既に気候変動リスク管理体制を構築し、積極的にCO2排出削減を実現している一方で、今回初めて情報開示に対応した1,258のサプライヤーのうちそれらの取り組みの利点を挙げた企業は半分にも満たなかったとのことだ。

 また、継続的に情報開示に取り組んでいる企業はその財務的なメリットに対する認識も強く、既に以前から情報開示に対応している企業はCO2排出削減プロジェクトを通じて平均年間150万米ドルのコスト削減を実現しているのに対し、今回初めて情報開示に対応した企業の年間平均コスト削減額は90万ドルだったという。

 世界の気候変動対応を考える上で、グローバル企業のサプライチェーンにおけるCO2排出量をいかに管理、削減するかは必要不可欠なテーマだ。情報開示を通じた働きかけはもちろん、トレーニングやインセンティブ制度など、グローバル企業には自ら積極的にサプライヤーを支援し、働きかけていく姿勢が求められている。

【レポートダウンロード】From Agreement to Action: Mobilizing Suppliers Toward a Climate-Resilient World
【参照リリース】Companies blind to climate risks in half their supply chains

株式会社QUICK ESG研究所

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