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【国際】セリーズ、化石燃料企業らのカーボンアセットリスク開示資料の一覧ツールを公表 2016/02/10 ESG

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 サステナビリティ分野の国際アドボカシーNGOのセリーズとESG調査のCookESGリサーチは1月12日、化石燃料関連企業らがSEC(米国証券取引委員会)に提出している炭素リスクに関する情報開示資料を一覧で確認することができる新たなオンラインツールを公表した。

 ユーザーは、再生可能エネルギーと比較した化石燃料の競争優位性、炭素集約の長期にわたる採掘プロジェクト、炭素排出に関する政府の規制、化石燃料に対する国際的な需要低下など、石油・石炭・ガス企業らが抱えているカーボンアセットリスクに関する情報開示状況をすぐに確認できる。

 また、同ツールは気候および水リスクに関する開示情報にもアクセスできるようになっており、現在はSECに報告書(Form 20-F、40-F)を提出している全ての外資系企業の資料も確認できるようになっている。

 Ceresの代表を務めるMindy Lubber氏は「化石燃料関連企業からのカーボンアセットリスクに関するデータは非常に重要だが、気候変動の原因となる炭素排出の削減に世界全体が注目していることを考えれば、現在のデータは依然として不十分だ。SECによる気候関連の情報開示要求と連結したこのツールは、企業らが高まる気候関連リスクにどのように対応しているのか、または対応していないかを投資家らが理解する上で大いに役立つはずだ」と語った。

 セリーズは、同ツールを使用して化石燃料関連企業らのカーボンリスクに関する開示状況を調査したところ、現状の時価総額を下支えしている彼らの資産や資源の大部分が、世界経済がよりクリーンエネルギーへと移行するにつれてコスト面で競争優位性を失う可能性があるという点について、十分な情報開示がなされていないと指摘している。

 特に、米国の化石燃料企業は報告の面で海外企業より大きく劣っているとしている。例えば、英国のBPは2035年までに石油および天然ガスの使用から撤退するという計画について触れており、プロジェクトの評価を行う際のシャドーカーボンコストの算出方法についても触れているが、一方で米国のシェブロンは自社の抱えるカーボンアセットリスクについてほとんど何も情報を提供していないという。

 セリーズのINCR(Investor Network on Climate Risk)とIIGCC(Institutional Investors Group on Climate Change)に所属している合計運用資産総額3兆米ドルに相当する70の投資家らは2013年、世界の最大手石油・ガス・石炭・電力企業ら45社に対して、自社の抱えるカーボンアセットリスクを評価するよう要請した。以降、投資家らは継続的にこれらの企業に対してより積極的な情報開示を行うよう働きかけてきたが、その機運はCOP21におけるパリ合意を機としてさらに高まっている。

 CookESGリサーチのJackie Cook氏は、「2014年末時点で合計770億バレルの石油に相当する化石燃料を保有しているS&P500の石油・ガス生産・採掘企業23社のうち、気候変動に関する国際合意が彼らの事業に及ぼす潜在的な可能性について触れている企業は1社もなかった」と語った。

 世界経済全体が低炭素社会への移行を推進する中、化石燃料関連企業らは早急な事業方針転換を迫られている。石炭採掘からの撤退など事業自体のシフトはもちろんだが、それらのリスクをどのように認識し、どのように対処しているかを投資家に対してしっかりと情報開示していけるかどうかも大きな鍵を握りそうだ。

【ツール】SEC Sustainability Disclosure Search
【参照リリース】New SEC Search Tool Shines Light on What Fossil Fuel Companies are Saying About Growing Carbon Asset Risks
【団体サイト】Ceres
【団体サイト】CookESG Research

株式会社QUICK ESG研究所

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