Sustainable Japan QUICK ESG研究所

【アメリカ】 JPモルガン・チェース、炭鉱・石炭火力発電への新規ファイナンスを制限 2016/03/23 ESG

coal-mining

 ニューヨークに本社を置く金融大手のJPモルガン・チェースは3月4日、世界中の未開発炭鉱への新規融資を行わず、さらに高所得OECD加盟国で建設される新たな石炭火力発電所への融資も禁止することなどを含めた広範囲な石炭産業からのダイベストメントを、今回新たに更新した同社の「Environmental and Social Policy Framework」の中で発表した。

 同社が発表した内容は、

■ 石炭採掘

  1. 未開発石炭鉱床:未開発石炭鉱床への新規のプロジェクトファイナンス及びインフラファイナンスを禁止する。
  2. 石炭採掘企業:中長期的に収益の過半数を石炭採掘・販売から得る起業への融資を削減する。
  3. 石炭関連企業:石炭関連産業が石炭採掘設備容量を増強する場合には厳格化したデューデリジェンスを実施する。
  4. マウンテントップリムーバル方式石炭採掘:既に実施している同方式からの融資削減を今後も継続的に実施する。

■ 石炭火力発電

  1. 高所得OECD加盟国の新設石炭火力発電:高所得OECD国で新設される石炭火力発電所への融資を禁止する。但し、炭素隔離貯留技術(CCS)を導入する石炭火力発電所への融資はケースバイケースで判断する。
  2. その他の国の新設石炭火力発電:その他の国で新設される石炭火力発電所については、「超臨界圧火力発電型」の石炭火力発電所以外に対する融資を禁止する。
  3. 石炭火力発電への融資割合:今後発電所への融資額における石炭火力発電所の割合を減少させるよう努める。

 石炭産業からのダイベストメント(投融資引揚げ)の動きは、サンフランシスコをベースとしたNPO、Rainforest Action Networkなどの環境保護団体による広範なダイベストメントキャンペーンが火付け役となっている。石炭産業からのダイベストメントの動きは、すでにバンク・オブ・アメリカ、シティグループ、モルガン・スタンレー、ウェールズ・ファーゴなどが先発して発表しており、今回世界的な大手行の一角、JPモルガン・チェースが同様の動きを見せたことで、このような動きはさらに加速すると見られる。先発行が石炭採掘からのダイベストメントを発表してきたのに対し、JPモルガン・チェースは石炭火力発電所からのダイベストメントについても言及したことは注目に値する。

 石炭産業ダイベストメントの動きの動機については懐疑的な見方もある。石炭採掘企業が多く加盟している全米鉱業協会は今回の発表に関し、「化石燃料市場が低迷していることへの反応だ」として、環境や社会的な動機ではないと非難を評している。ブルームバーグがとりまとめたデータによると、アメリカの石炭採掘業者の総合的な時価総額は、2011年の744万米ドルから、これまでに70万米ドル以下にまで急降下しているという。今回のダイベストメントキャンペーンおよび金融機関による新たな方針が、この十数年で業績が最も悪化している産業にとってさらなる打撃となることは確かだ。とりわけ米国では石炭は発電所でのシェアをシェールガスなど安い天然ガスに取って代わられており、さらに規制の強化や世界的な需要の鈍化という状況に追い込まれている。

 また、JPモルガン・チェースは、今回更新した「Environmental and Social Policy Framework」には、その他、石油・天然ガス事業へのファイナンスにおける厳格化デューデリジェンスの適用、強制労働・児童労働に従事する事業へのファイナンス禁止、UNESCO及び現地政府の同意なしに世界自然遺産で天然資源採掘を行う事業へのファイナンス禁止、不法伐採事業へのファイナンス禁止等も盛り込まれている。

【企業サイト】JP Morgan & Chase
【声明サイト】Environmental and Social Policy Framework

株式会社QUICK ESG研究所

Facebookコメント (0)

ページ上部へ戻る