Sustainable Japan QUICK ESG研究所

【閑話休題】初の人口減少(2015年国勢調査結果)に想う 2016/04/08 ESGコラム

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 2015年国勢調査(人口速報集計結果)が2016年2月26日に総務省から公表された。

1.全国の人口

 我が国の人口は、2015年10月1日現在、1億2,711万人。世界で10番目。

  • 前回調査の2010年から94万7,000人減少(0.7%減)、年平均では18万9,000人減少(0.15%減)した。
  • 人口の減少は、1920年の国勢調査開始以来、初めてである。
  • 因みに、調査開始の1920年に5,596万人、第二次大戦後の1945年に7,215万人、1億人を超えた1970年に1億467万人、1985年1億2,105万人と増加傾向をたどり、前回調査時点の2010年に1億2,806万人とピークを迎えた。そして、今回調査で人口減少局面に入ったものである。
  • 男女別では、男性6,182万9,000人、女性6,528万1,000人となり、女性が男性より345万2,000人多く、人口性比94.7となっている。高齢者の増加に伴い、人口性比は緩やかに低下(相対的に女性の人口が多くなる)している。
  • 国連の推計によると、2015年の世界の人口は(年央推計)は73億4,900万人。最も多い中国が13億7,600万人、次いでインドが13億1,100万人、アメリカが3億2,200万人で、我が国は、10番目となっている。ただし、11番目以降のメキシコ(1億2,700万人)、フィリピン(1億100万人)およびエチオピア(9,900万人)等が、高い人口増加率であることから、早晩、順位が逆することになるだろう。
  • 我が国の人口密度は、341人/㎢で、世界の人口密度の56人/㎢の約6倍となっている。
  • バングラディッシュが1,237人/㎢と最も高く、次いで韓国(517人/㎢)、オランダ(502人/㎢)で、我が国は9番目に位置している。

2.都道府県の人口

 8都県で人口が増加、39道府県が減少、大阪府が人口増加から減少に転じた。

  • 人口が最も多いのは東京都で1,351万人、全国の10.6%を占める。
  • 人口上位9都道府県(東京都、神奈川県、大阪府、愛知県、埼玉県、千葉県、兵庫県、北海道および福岡県)を合計すると6,847万人で、全国の人口の53.9%を占める。
  • 東京圏(東京都、神奈川県、埼玉県および千葉県)の人口は3,613万人で、全国の28.4%を占め、前回調査から5年間で51万人増加(1.4%増)。
  • 人口が最も少ないのは、鳥取県で57.4万人である(cf.東京都世田谷区:88.3万人)。100万人を割っているのが、鳥取県をはじめ、島根県、高知県、徳島県、福井県、佐賀県、山梨県、和歌山県および香川県の9県となった。
  • 人口増加率は沖縄県が最も高く、東京都および愛知県などが続く。
  • 人口増加数が多いのは、東京都(35.4万人増)、神奈川県(7.9万人増)および愛知県(7.3万人増)。
  • 人口減少数が多いのは、北海道(12.3万人減)、福島県(11.5万人減)および新潟県(6.9万人減)。なお、今回の調査において、2011年3月の東日本大震災の影響が現れており、福島県等の減少率に反映されている。
  • 人口密度が最も高いのは、東京都(6,168人/㎢)で、全国平均(341人/㎢)の18.1倍。
  • 人口密度が最も低いのは、北海道(69人/㎢)、次いで、岩手県(84人/㎢)および秋田県(88人/㎢)。

3.市町村の人口

 全国1,719市町村のうち、1,416市町村(82.4%)で人口が減少。

  • 人口が増加した市町村は303(17.6%)で、東京都特別区部、政令指定都市およびその周辺市町村を中心に増加した。
  • 人口増加数が多い市町村は、特別区部927万人(32.7万人増)、福岡市154万人(7.5万人増)、川崎市148万人(5.0万人増)、さいたま市126万人(4.2万人増)および札幌市195万人(4.0万人増)である。
  • 人口が減少した市町村は1,416(82.4%)で8割を超えた。5%以上減少した市町村の割合が約半数(48.2%)に拡大した。
  • 人口減少数が多い市町村は、北九州市96万人(1.5万人減)、長崎市43万人(1.4万人減)、石巻市14.7万人(1.4万人減)、南相馬市5.8万人(1.3万人減)および函館市26.6万人(1.3万人減)である。
  • 人口100万人以上の市は、特別区部をはじめとして、横浜市、大阪市、名古屋市、札幌市、福岡市、神戸市、川崎市、京都市、さいたま市、広島市および仙台市の12市町村である。
  • 21大都市(特別区部および20政令指定都市)のうち、神戸市、北九州市、堺市、新潟市、浜松市および静岡市が減少した。

4.世帯

 世帯数は、5,340万3,000世帯で2.8%増加したものの世帯規模は縮小傾向。

  • 世帯数は5,340万3,000世帯となり、過去5年間に145万3,000世帯増加(2.8%増)した。
  • 世帯当たり人員(世帯規模)は2.38人となり、減少傾向が続いている。東京都は2.02人と全国で最も少ない。
  • 世帯増加率は沖縄県が最も高く、次いで宮城県および東京都など42都道府県で増加している。他方、高知県および鹿児島県など5県で減少している。
  • 1970年の世帯数3,037万世帯と比較すると、2015年は1.76倍に増加している。世帯増加数が多いのは、東京都が5年間で298千世帯、次いで、神奈川県、埼玉県および愛知県の順である。
  • 1970年の世帯規模3.45人と比較すると、2015年は1人以上減少している。
  • 世帯数が増加する一方で世帯規模が縮小する要因については、調査結果の詳細が公表された後に分析する必要があるが、東京圏をはじめとする都市部へ転入する年齢層の多くが若年層であること、核家族化が一層進んだこと、高齢者数が増加するとともに独居者が増えていることなどではないかと思われる。

<雑感>
 今回の国勢調査で、我が国は人口減少社会に入ったこと、地方部から都市部へ、特に東京一極集中が一層進んでいることが明らかになった。

 将来の人口予測については、「平成27年版厚生労働白書」(平成26年度厚生労働行政年次報告)にあるが、2050年には1億人を割り込み、さらに2100年には約5,000万人になる見込みである。高齢化率も一層高くなり、現在65歳以上人口割合25%超が、2060年には約40%にまでなることが推計されている。2020年から2025年にかけてすべての都道府県で人口減少に転ずるとされている。

 人口減少は、我が国の経済、財政、年金・医療および介護などの社会保障、さらには地域社会等のあらゆる局面でさまざまな問題を引き起こすものと考えられる。

 この問題については、2014年、民間有識者による「日本創成会議」において「消滅可能性都市」が大きく増加することが問題提起され反響を巻き起こした。

 政府においても「まち・ひと・しごと創生本部」が設置され、人口減少の克服と地方創生に向けた施策を推進している。

 しかしながら、人口減少に歯止めをかけるには現状の出生率1.42(2014年:厚生労働省)を人口置換水準(2.07)まで向上・回復することが必須であり、たとえ、それが実現したとしても年金財政等の社会保障財源に効果をもたらすには今後、数十年の年月を要する。

 人口減少が加速する中、社会保障の維持および財政の健全化のためには、その財源の確保と給付の抑制をバランスよく進めていかなければならない。

 国民負担率(租税・社会保障負担の合計割合)は43.4%(2015年度:財務省)とフランス、スウェーデンおよびドイツ等の欧州諸国に比べると低いとはいえ、国民にとって重い水準となっている。

 医療・年金等において、世代間はもちろんのこと、同一世代においても応分の負担、適正な給付のあるべき姿に向けた政策実行が喫緊の課題となっていることを国民全体が真剣に受け止める時期に来ているのではないか。

【参考資料】
2015年「国勢調査 人口速報集計結果 全国・都道府県・市町村別人口及び世帯数  結果の概要」
http://www.stat.go.jp/data/kokusei/2015/kekka/pdf/gaiyou.pdf

平成27年版厚生労働白書 -人口減少社会を考える-
http://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/15/

国立社会保障・人口問題研究所「2013年度社会保障費用統計」
http://www.ipss.go.jp/ss-cost/j/fsss-h25/fsss_h25.asp

日本創成会議
http://www.policycouncil.jp/

まち・ひと・しごと創生本部
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/sousei/

2015年度の国民負担率(財務省)
https://www.mof.go.jp/budget/topics/futanritsu/20150226.html

QUICK ESG研究所 菅原晴樹

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