Sustainable Japan QUICK ESG研究所

【政府・レギュレーションの動向】「SSコードおよびCGコードのフォローアップ会議」(第4回から第6回までの概要) 2016/04/08 ESGコラム

meeting

 金融庁と東京証券取引所が共同事務局として設置された「スチュワードシップ・コードおよびコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」が2015年9月以降毎月開催され、2016年2月18日までに6回を重ねた。

 これまでは、コーポレートガバナンス・コード(以下、「CGコード」という。)に関わる取締役会等を巡る論点および政策保有株式について議論された。

 第6回(2016年2月18日)の会合で、これまでの討議の結果をまとめた意見書「会社の持続的成長と中長期的企業価値の向上に向けた取締役会のあり方(以下、「意見書」という。)」が承認された。主に4つの点についてまとめられている。

  • 最高経営責任者(CEO)の選解任の在り方について:CEO候補者の人材育成およびCEOの選任について、十分な時間と資源をかけて取り組むことが重要であり、また、選任プロセスに当たり、客観性・適時性・透明性を確保することが求められる。さらに、CEOを解任できる仕組みを整えておく必要がある。
  • 取締役会の構成:必要とされる資質・多様性を備えるとともに、独立性・客観性を確保していくことが重要である。独立社外取締役については、人数では進展がみられているが、今後はその資質のバランスや多様性の充実が求められる。
  • 取締役会の運営:取締役会における論点の明確化、議案の絞り込み、十分な審議時間の確保といった運営上の工夫が重要である。
  • 取締役会の実効性の評価:取締役会全体としての実効性の評価を行い、PDCAサイクルを実現していくことが重要である。

 上場企業は、意見書を参考に今年6月の株主総会に向けて、取締役候補の検討、取締役会の実効性の評価の準備を進めていくものと思われる。

 第6回会合でコーポレートガバナンス・コードに関する議論に区切りをつけ、今後、スチュワードシップ・コード(以下、「SSコード」という。)に関わる「企業と機関投資家の間の建設的な対話」について議論が行われることになる。

 第4回から第6回までの会合の概要は次の通り。

 第4回(2015年12月22日)では、第2回(2015年10月20日)に引き続き、「取締役会等を巡る論点」(「攻めのガバナンス」の観点から)が議題として取り上げられた。

 主に、①取締役会の「独立した客観的な立場」の確保に向けた対応と、②CEOの選解任のあり方に焦点が当てられた。ゲストとして花王の門永取締役と杉山執行役員を招き、具体的な企業の取り組みを踏まえて議論された。

 

 第5回(2016年1月20日)では、第4回に引き続き、「取締役会等を巡る論点」および「監査機能の適切な発揮」が議題として取り上げられた。

 小口委員、武井委員などから2015年より議論されてきた「取締役会を巡る論点」に一旦区切りをつけるべき、との提案があり、事務局から提出された意見書の内容について、議論された。主に、「会社の持続的成長と中長期的な企業価値向上に向けた取締役会のあり方」を軸に各委員が発言し、合意が形成された。

 さらに、「監査機能の適正な発揮」に関して、社外者(社外監査役、監査委員・社外取締役)と内部監査部門の連携が重要であるとの認識で一致した。

 第6回(2016年2月18日)では、「取締役会等を巡る論点」に関する議論を取りまとめた意見書「会社の持続的成長と中長期的企業価値の向上に向けた取締役会のあり方(案)が提示され、承認された。

 さらに、「企業と機関投資家の間の建設的な対話」に関して、年金積立金管理運用独立行政法人(以下、「GPIF」という。)の水野CIOが出席、GPIFのスチュワードシップ活動に関する説明と質疑応答が行われた。

 水野CIOの説明の中で注目されたことは次の通りである。

  • JPX日経400に入っている企業に対して、エンゲージメントを行った運用機関に関するアンケートを行った。
    1. アンケートの中では、投資家から経営、資本政策に関する質問が増えたという、極めてポジティブな意見がある一方で、政策保有株式の買い取りや株主配当、自社株買いなどについて、紋切り型の意見が増えている、とのネガティブな意見もあった。
    2. 企業側からESGのG以外の議論もしたい、との意見もあった。
  • GPIFの投資先企業について、保有株式の公表を検討している。

<以下 第6回会合 配布資料1 抜粋>

「会社の持続的成長と中長期的な企業価値の向上に向けた取締役会のあり方 (案)

Ⅱ.企業を取り巻く経営環境の変化と取締役会のあり方

1. 最高経営責任者(CEO)の選解任のあり方(補充原則4-1③、4-3 ①等)

 競争の高まりと、不連続かつ急激な環境変化の下では、CEOの能力が会社の命運を左右する。最高経営責任者(CEO)の選解任は、会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を実現していく上で、上場会社にとって最も重要な戦略的意思決定であり、そのプロセスには、客観性・適時性・透明性が求められる(補充原則4-3①)。

(1) 日本企業に最も不足しているのはCEOとしての資質を備えた人材であるとの指摘がある。こうした課題へ対処するため、CEO候補者の人材育成及びCEOの選任には、中長期的な観点から、十分な時間と資源をかけて取り組むことが重要である。また、選任のための後継者計画の策定及び運用(補充原則4-1③)にあたっては、社内論理のみが優先される不透明なプロセスによることなく、客観性・適時性・透明性を確保するような手続が求められる。 このような観点から種々の取組みを進めている上場会社がある。

(2) 適切に会社の業績等の評価を行ったうえで、CEOに問題があると認められるような場合には、CEOを解任できる仕組みを整えておくことが必要である。その際にも、取締役会が適時・適切にCEOを解任できるよう、取締役会の経営陣からの独立性・客観性が十分に確保されていることが重要である。

2. 取締役会の構成(原則4-7~9、4-11 等)

 経営環境の変化や経営課題の複雑化に対応して求められる役割・責務を果たしていくため、取締役会は、必要とされる資質・多様性を備えるとともに、独立性・客観性を確保していくことが重要である。

(1) 取締役会の構成(原則4-11)について、これまでのコードの実施状況を見ると、会社の事業・ステージ、経営環境や経営課題に応じて、取締役会メンバーの資質のバランスや多様性を充実させる取組みが見られるところであり、このような取組みが会社の持続的成長と中長期的な企業価値の向上を後押ししていくことが期待される。

(2) 各上場会社による独立社外取締役の選任は着実に増加しており、取締役会の3分の1以上の独立社外取締役を選任している企業も東証第一部上場会社の1割以上に上っている。ステークホルダーの関心は、独立社外取締役の人数の増加だけでなく、その資質のバランスや多様性の充実に移ってきている。経営環境や経営課題に応じ、例えば社内では得られない知見や経歴を基に、中長期的な企業価値の向上に向けた経営戦略や経営陣幹部の選解任についての議論を含め、取締役会の役割・責務の発揮に積極的に貢献できる資質を持った独立社外取締役が、より多く選任されるよう、一層の取組みが期待される。

(3) また、取締役会の独立性・客観性を一層確保するため、更なる取組みを行っている上場会社があり、このような取組みが上場会社の取締役会の独立性・客観性を向上させていくことが期待される。

(4) 監査委員会・監査等委員会(以下「監査委員会等」)が業務監査・会計監査等の重要な役割・責務を適切に果たすためには、監査委員会等が独立性・客観性を確保する必要がある。委員長を独立社外取締役とすることは、監査委員会等の独立した客観的な立場を高めることに資する取組みと考えられる。

(5) 取締役会や監査委員会等の独立性・客観性が実質的に確保され、その機能が十分に発揮されるか否かは、しばしば、CEOが、取締役会等の「独立した客観的な立場」という特性を、経営判断等を行う上で活かす意思があるかどうかにかかっている。こうした観点からも、CEOの選解任は、上場会社にとって重要な課題である。

(6) コードでは、取締役会の構成に関する考え方、取締役候補の指名や経営陣幹部の選任に関する方針・手続の開示、個々の選任・指名についての説明(補充原則4-11①、原則3-1(iv)(v))が求められている。 このような開示や説明の内容は、各上場会社が、経営環境や経営課題に対応して、如何なる取締役会の構成をとること等により取締役会が求められる役割を果たしていこうとしているかが具体的に分かるようなものとなっていることが重要である。

3. 取締役会の運営(原則4-8、4-10、4-12~14 等)

 上場会社やその企業集団が経営環境の変化や経営課題の複雑化に対応していくためには、取締役会における戦略的な方向付けや会社の業績の適切な評価等に関する議論を充実させていくことが重要である。

(1) 取締役会は、経営環境の変化と経営課題の複雑化に対応しながら、経営陣を監督し、また、経営陣とともに求められるリーダーシップを発揮していく観点から、以下のような議論を充実させていくべきである。 

 ・ 戦略的方向付けとこれに基づく具体的な経営戦略や経営計画

 ・ 会社の業績の適切な評価とこれに基づく経営戦略等の見直し及び経 営陣幹部の選解任・報酬の決定

 ・ 内部統制・リスク管理体制の整備

(2) 取締役会において、このような議論を充実させていくためには、論点の明確化、議案の絞込みや十分な審議時間の確保など(補充原則4- 12①)、運営上の工夫が必要である。

(3) 社内取締役が業務を執行する場合、取締役会において、担当する業務の執行者としての立場からの参画に終始するケースもあるとの指摘がある。社内業務執行取締役は、執行者としての役割にとどまらず、取締役として業務執行全体や他の取締役の職務の執行の監督等を行う役割も担っていることについて、認識を深めるべきである。

(4)取締役会において独立社外取締役が戦略的方向付け等の議論に貢献できるよう、環境整備を行うことが必要である。

(5) 独立社外取締役の役割・責務として、少数株主をはじめとするステークホルダーの意見を取締役会に適切に反映させること(原則4-7(iv))が重要である。

(6) 不祥事防止の観点から、内部通報は最後の防波堤であり、こうした内部通報の機能を十分に発揮させるためには、例えば、社外取締役・社外監査役を内部通報のレポートラインとするなど、経営陣から独立した窓口に情報が伝達される仕組みを整備することが適切である。

4. 取締役会の実効性の評価(原則4-11)

  取締役会の資質・多様性やその運営を充実させていくための取組みが有効に行われているかなど、取締役会全体としての実効性の評価を行い、次の取組みに継続的につなげていくことが重要である。

(1) 本年5月末をもってコード適用開始から一年が経過することから、各上場会社において、取締役会の構成や運営状況等の実効性について、適切に評価を行うことが期待される。評価の実施に際しては、企業の置かれた状況に応じ、様々な取組みが考えられるが、取締役会メンバー一人一人による率直な評価がまずもって重要となると考えられる。 

(2) 取締役会の実効性を適確に評価するためには、会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に向けて、取締役会が果たすべき役割・責務を明確化することがまずもって求められる。その上で、評価の実施にあたっては、こうした役割・責務に照らし、取締役会の構成・運営状況等が実効性あるものとなっているかについて、実質的な評価を行うことが必要である。

(3) 取締役会が、その資質・多様性や運営を充実させていくためのPDCAサイクルを実現するに際しては、自らの取組みや実効性の評価の結果の概要について、ステークホルダーに分かりやすく情報開示・説明を行うことが重要である。」

(注)

「スチュワードシップ・コードおよびコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」

2015年8月7日に設置され、会議の座長は、池尾 和人 慶應義塾大学経済学部教授、メンバーは、総勢16名で企業経営者、内外投資家および学識者等から構成されている。オブザーバーとして、法務省民事局および経済産業省経済産業政策局、事務局は金融庁総務企画局企業開示課および(株)東京証券取引所上場部である。

参考

1.2015年12月22日開催の「第4回 配布資料

2.2016年1月20日開催の「第5回 配布資料

3.2016年2月18日開催の「第6回 配布資料

4.コーポレートガバナンス・コード(2015.06.01 株式会社東京証券取引所)

5.「責任ある機関投資家」の諸原則 ≪日本版スチュワードシップ・コード≫ ~投資と対話を通じて企業の持続的成長を促すために~(2014年2月26日 日本版スチュワードシップ・コードに関する有識者検討会)」

QUICK ESG研究所 菅原晴樹

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