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【コーポレート・ガバナンス】社外取締役のガバナンス機能は企業の不祥事を抑えられるか?(QUICK調査) 2016/05/18 ESGレポート

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 昨今、日本を代表する企業で大きな出来事が立て続けに起きており、社外取締役の役割と機能について、注目が集まっている。

 特にホットな話題となったのが三菱自動車の動向である。三菱自動車は、4月下旬に軽自動車4車種で燃費を実際より良く見せる不正を意図的に行っていたと発表。燃費不正問題の全面解明が急がれる最中の5月12日には、日産自動車が三菱自動車に2000億円強を出資し、傘下に収めることを発表した。

 こうした状況もあり、国内最大級市場心理調査である「QUICK月次調査」(5月調査)にて、社外取締役の役割や機能についての質問を設けた(証券会社および機関投資家の株式担当者155人が回答、調査期間は5月10~12日)。三菱自動車の不正燃費問題のほか、セブン&アイ・ホールディングスの鈴木敏文会長の電撃辞任などについて、社外取締役がその役割と機能をきっちり担ったのかどうかが、今回の質問のポイントとなっている。

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要約

  • セブン&アイの役員人事ケース「ガバナンスが有効に機能」過半数
  • 三菱自の不正、社外取締役では発見困難?

セブン&アイの役員人事ケース「ガバナンスが有効に機能」過半数

 セブン&アイ・ホールディングスの役員人事において、社外取締役が重要な役割を果たしたと言われているが、これについてどのように思うかを質問した。結果、「ガバナンスが有効に機能した」との回答は53%で最多となった。次に、「混乱を抑えきれず、ガバナンスが機能したとはいえない」が26%で続き、「オーナー家の意向を反映したにすぎない」が18%で続いた。

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 今回の役員人事は、井阪隆一セブン・イレブン・ジャパン社長を退任させる案を鈴木会長が提案したものの、過半数の賛同が得られなかったため、鈴木会長が「自分は信任されていない」と判断、自らの引退を決意した、というのが経緯だ。役員会における人事案に対する採決は、15人の取締役のうち反対が6票、賛成が7票、白票が2票であった。

三菱自の不正、社外取締役では発見困難?

 また、三菱自動車の燃費不正問題では、同社に4名の社外取締役がいたにも関わらず、今回の問題を防げなかったことに対して、どのように考えるか質問した。

 その結果、「社外取締役では今回のような不正を防ぐのは困難」が55%と最多。「社外取締役を機能させる仕組みが整っていなかった」が34%で続き、「社外取締役とはいえ、独立性に問題があった」が9%となった。

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社外取締役の機能にみられる限界点

 一方、三菱自動車や東芝、東洋ゴム工業など、企業不祥事が相次いでいる中で社外取締役の機能を強化することによって不祥事が防げるかどうかを聞いたところ、「ある程度は防げる」が58%に達し、「防げる」(1%)を合計すると約6割は防げるとみていることが分かった。半面で「ほとんど効果はない」との回答も4割弱に上っている。

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 社外取締役はあくまでも「社外」であり、社内の深層に迫って不祥事を未然に防げるかというと、そこには限界があるものの、配置しないよりはましということだろうか。

 東京証券取引所が昨年6月に導入した企業統治指針(コーポレートガバナンス・コード)では、2人以上の独立社外取締役の選任を求めている。その他の統治改革を併せて中長期的な企業価値の向上を図ろうとするのが真の目的であるものの、まだまだ課題は多いといえそうで、規制当局にとっても行動を起こす企業にとっても試行錯誤の状況は続きそうである。

※QUICK月次調査とは

 QUICKでは、株式・債券・外為の市場関係者に毎月アンケート調査を実施、QUICK月次調査として発表しています。株式・債券・外為とも、毎月同じ設問を設定することで「強気」「弱気」といった市場のセンチメントの変化を捉えます。同時に、タイムリーな話題を取り込んだスポット質問を設け、市場の注目点も探ります。QUICK月次調査のうち、株式は1994年4月、債券は1996年7月、外為は2011年9月に始まりました。調査対象は証券会社や銀行、機関投資家等の各部門の担当者です。調査結果の内容は日本経済新聞に掲載されることがあるほか、日本銀行や英イングランド銀行(BOE)、欧州中央銀行(ECB)などの各国中央銀行のレポートにも引用されています。

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