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【フランス】アクサ、たばこ産業からのダイベストメントを発表 2016/06/09 ESG

axa

 フランスパリに本社を置く世界的大手保険会社のアクサグループは5月23日、たばこ産業からの投資引き揚げを発表した。喫煙は世界の公衆の健康に最大の脅威となっているが、ヘルスケアの役割は単なる治療から予防に向けて変わりつつある。健康であることを目指した保険機能と投資家としての役割の両側面を持つアクサグループは、現在保有している時価総額18億ユーロ(約2,150億円)相当のたばこ産業からダイベストメント(投資引き揚げ)を意思決定した。

 ガンや心臓病、慢性呼吸器疾患を含む長期の非伝染性疾病は急激に増加しており世界の全死亡原因の68%を占めるとされている。ガンだけを見ると50%近くのケースで不健全なライフスタイルが影響している。とりわけ、たばこ消費は長期の非伝染性疾病の主要な原因となっている。今日、たばこが起因となって年間600万人が死亡しているが、これは2030年までに800万人に増加すると見込まれており、その多くは途上国で起こる。この流れに緊急対応がなされなければ、21世紀中にたばこで10億人が無くなる計算になる。このコストは年間2.1兆ユーロに上ると試算されており、戦争とテロ対策への予算を足し合わせたものと同額だ。たばこ生産による健康被害はアルコールや肥満による社会的コストを上回るのである。

 そこでAXAグループは保険会社としての責任を果たすべく、現在ある時価総額18億ユーロのたばこ産業からのダイベストメントを決定した。株式については現在2億ユーロの保有を売りに出す。また、債券については現在およそ16億ユーロあるたばこ産業の社債を売却する。

 AXAグループは責任投資分野において世界的に高評価を得ており、同社の株式はDow Jones Sustainability Index(DJSI)やFTSE4GOODといった主要な国際的SRIインデックスに組み込まれている。近年のESG投資の広まりと昨年12月にパリで開催されたCOP21を契機に欧州の大規模基金で主に石油・石炭といった座礁資産へのダイベストメントの意思決定が相次いでいるが、AXAグループによるたばこ産業のダイベストメントは対象資産に違いはあれど、ESG投資の徹底という意味でこうした一連の動きとつながるものだ。ダイベストメントの手法に対する意見はESG投資の中でも賛否ある一方、企業の一貫した姿勢を内外に示すインパクトは非常に大きい。

【参照ページ】AXA Group divests tobacco industry assets
【企業サイト】AXA   

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