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【政府・レギュレーションの動向】我が国独自の「持続可能な開発目標(SDGs)実施指針」の策定へ 2016/06/23 ESGコラム

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 2016年5月20日に政府は、「持続可能な開発目標(SDGs)推進本部(本部長:内閣総理大臣 副本部長:内閣官房長官、外務大臣 事務局:内閣官房)」の設置を閣議決定し、同日付で第1回会合を開催した。

 本推進本部は、「持続可能な開発目標(SDGs)」に係る施策の実施について、関係行政機関相互の緊密な連携を図り、総合的かつ効率的に推進するため、内閣に「持続可能な開発目標(SDGs)推進本部」(以下、「推進本部」という。)として設置したものである。具体的には、2015年9月に国連サミットで採択された地球規模の課題である貧困の撲滅等を目標とした「持続可能な開発目標(SDGs)」(以下、「SDGs」という。)を実施するための我が国の指針を策定するものである。

 推進本部第1回会合の場で、安倍首相は、SDGsの目標達成のため、我が国独自の実施指針を策定することを指示するとともに、保健分野に約11億ドルおよび難民対策に60億ドルを拠出することを表明した。

1. SDGs採択に至る経緯

 SDGsの前身は、ミレニアム開発目標(Millennium Development Goals:MDGs)(以下、「MDGs」という。)で、2001年国連で策定されたものである。

 2000年に採択された「国連ミレニアム宣言」と、1990年代の主要な国際会議で採択された国際開発目標を統合したもので、開発途上国向けの開発目標として、2015年を期限とする次の8つの目標を設定した。

(1)貧困・飢餓

(2)初等教育

(3)女性

(4)乳幼児

(5)妊産婦

(6)疾病

(7)環境

(8)連帯

 MDGsは、極度の貧困半減(目標(1))ならびにHIVおよびマラリア対策(目標(6))などで一定の成果を挙げたが、一方で乳幼児や妊産婦の死亡率削減(目標(4)、(5))は未達成となった。また、地域的には、サブ・サハラアフリカ等で目標達成に遅れが目立っている。

 既に、目標策定から15年が経過し、環境問題および気候変動の深刻化、国内および国家間の格差拡大、企業およびNGOの役割の拡大など、新たな課題が浮上し、かつ開発を取り巻く国際的な環境も大きく変化してきた。

2. SDGsの採択

 3年間に及ぶ議論・交渉を経て、2015年9月の国連サミットにおいて全会一致で「持続可能な開発目標(SDGs)」が採択された。

 先進国を含む国際社会全体の開発目標として、2030年を期限とする包括的な17の目標(ゴール)および169のターゲットを設定した。2016年1月から効力を有する。(詳細は、2015年9月25日第70回国会総会で採択された「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」:外務省仮訳を参照)

 SDGsは、人間の安全保障の理念を反映した「誰一人取り残さない社会」の実現を目指し、経済・社会・環境をめぐる広範な課題に統合的に取り組むものとしている。

 掲げられた目標は、開発途上国だけでなく、先進国においても取り組むべき課題が多く含まれており、その達成のためには、各国の関係各省庁の取組みが相互に関係してくる。

<SDGs:17の目標(ゴール)>

(1)貧困

(2)飢餓

(3)保健

(4)教育

(5)ジェンダー

(6)水・衛生

(7)エネルギー

(8)経済成長と雇用

(9)インフラ、産業化、イノベーション

(10)不平等

(11)持続可能な都市

(12)持続可能な生産と消費

(13)気候変動

(14)海洋資源

(15)陸上資源

(16)平和

(17)実施手段

3. SDGsの実施のための我が国の指針の策定

 SDGsの採択に至る過程で、我が国が重視するインフラ、保健、女性、教育、防災といった要素が盛り込まれた。

 我が国は、SDGsの実施に向けて、国内実施と国際協力の両面で率先して取り組んでいくべく、内外の取組みを省庁横断的に総括し、優先課題を特定したうえで「持続可能な開発目標(SDGs)実施指針」を策定する作業に入った。

 今後の作業計画として、関係省庁およびステークホルダーに対するヒアリングを行ったうえで、次回開催の第2回推進本部会合において、「実施指針の決定」を行う。それ以降は、指針に従い、各省庁で取組みを推進し、定期的に実施状況のフォローアップや指針の見直しを行う予定であるが、策定される「実施指針」を、2016年6月2日に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2016~600兆円経済への道筋」、「日本再興戦略2016」および「ニッポン一億総活躍プラン」などの国家戦略と整合させていくことも必要となるだろう。

 17のSDGsと169のターゲットは、人類および地球にとって極めて重要な分野であり、向こう15年間の長期間にわたり、経済、社会および環境における我々の行動を促進するものとなるだろう。そのため、他の先進国、開発途上国のみならず、日本においても、政府および地方公共団体ならびに民間セクターである国内企業、多国籍企業および市民社会組織が、「2030アジェンダ」の実施における重要な役割を有するものとされている。

 したがって、我が国の事業会社および金融機関は、改めて、「2030アジェンダ」の目標およびターゲットの内容を十分理解するとともに、間もなく策定される我が国独自の「持続可能な開発目標(SDGs)実施指針」をどのように経営に反映させていくかが喫緊かつ重要な経営課題となるものと思われる。

 なお、5月26日および27日に伊勢志摩で開催されたG7首脳会合において、採択された「G7伊勢志摩首脳宣言 平成28年5月27日」の中でも、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」について、記載されている。

【参考資料】

持続可能な開発目標(SDGs)推進本部会合(第1回)資料(2016年5月20日 閣議決定後開催)
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/sdgs/dai1/gijisidai.html

2015年9月25日 第70回国会総会で採択された「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」:外務省仮訳
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/files/000101402.pdf

G7伊勢志摩首脳宣言(2016年5月27日 採択)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000160267.pdf

QUICK ESG研究所 菅原晴樹

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