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【閑話休題】「平成28年版高齢社会白書」について~我が国の高齢化率 過去最高の26.7%~ 2016/06/27 ESGコラム

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 5月20日に政府は、閣議で「平成28年版高齢社会白書」(高齢化の状況及び高齢社会対策の実施の状況に関する年次報告)を決定し、公表した。

 「高齢社会白書」は、高齢社会対策基本法(以下、「法律」という。)に基づき、1996年から毎年政府が国会に提出している年次報告書で、高齢化の状況や政府が講じた高齢社会対策の実施状況、また高齢化の状況を考慮して講じようとしている施策について明らかにしているものである。

 法律では、内閣総理大臣を会長とする高齢社会対策会議を設置することとしており、高齢社会対策大綱案の作成等が行われている。

 高齢社会対策大綱は、法律第2条に規定する基本理念に基づいて政府が推進する高齢社会対策の中長期にわたる基本的かつ総合的な指針を策定したものである。

 「平成28年版高齢社会白書」(以下、「白書」という。)は、「平成27年度 高齢化の状況及び高齢社会対策の実施状況」および「平成28年度 高齢社会対策」の二部構成となっている。

第一部 「平成27年度 高齢化の状況及び高齢社会対策の実施状況」

 第1部では、第1章で基礎的な統計資料等を用いて「高齢化の状況」について報告し、第2章で平成27年度に政府が講じた「高齢社会対策の実施の状況」について、高齢社会対策大綱の構成に沿って報告している。

第1章 第1節 高齢化の状況

 2015年10月1日現在、我が国の総人口は1億2,711万人、65歳以上の高齢者は3,392万人、男女別にみると、男性1,466万人、女性1,926万人。総人口に占める65歳以上人口の割合(高齢化率)は26.7%と過去最高を更新した。

 「65~74歳人口」(前期高齢者)は1,752万人(総人口に占める割合13.8%)、「75歳以上人口」(後期高齢者)は1,641万人(総人口に占める割合12.9%)。

 「75歳以上人口」が今回初めて年少人口(0~14歳)1,611万人を上回った。

 2060年には、高齢化率が39.9%に達し、2.5人に1人が65歳以上、「75歳以上人口」が総人口の26.9%となり、4人に1人が75歳以上となる。

 2015年には高齢者1人に対して生産年齢人口(15~64歳)2.3人であるが、2060年には1.3人で高齢者を支える社会となることが予想されている。

 平均寿命については、2014年現在、男性80.50年、女性86.83年が、2060年にはそれぞれ84.19年、90.93年となり、女性の平均寿命は90年を超える。

 地域別高齢化率にみると、2014年現在、最も高い秋田県が32.6%、次いで高知県が32.2%、島根県、山口県、和歌山県および徳島県が30%を超えている。他方、最も低い沖縄県が19.0%となっており、次いで東京都が22.5%である。

 高齢化の進展に伴い、社会保障給付費は2013年度110兆6,566億円(因みに2016年度予算は96兆円強)と過去最高となり、うち、高齢者関係給付費(年金、医療、介護等)は75兆6,422億円と全体の68.4%を占めており、今後も増加することが見込まれている。

 高齢化率の国際比較では、我が国は2005年に先進諸国で最も高い水準となり、現在に至っている。ただし、アジア諸国では、今後急速に高齢化が進み、特に韓国は2005年の9.3%から2060年には37.1%と我が国と比肩するまで高齢化率が上昇することが予想されている。

第1章 第2節 高齢者の姿と取り巻く環境の現状と動向

 高齢者のいる世帯は全世帯の46.7%、そのうち「単独世帯」および「夫婦のみの世帯」が56.0%と過半数を超えている。

 子供との同居率が1980年の69.0%から、2014年には40.6%と大幅に減少している。

 高齢者の経済状況は、暮らし向きに心配ないと感じる高齢者が約7割。高齢者世帯の平均年間所得は300.5万円(うち、公的年金・恩給は67.6%)で、全世帯平均528.9万円の56.8%となっている。

 公的年金・恩給を受給している高齢者世帯の約7割において、公的年金・恩給の総所得に占める割合が80%以上と所得の大部分を占めている。

 世帯主が65歳以上の世帯では、貯蓄は全世帯平均の約1.4倍の2,499万円。

 他方、2014年の高齢者の生活保護受給者は増加傾向にあり、92万人となっている。

 健康・福祉面では、認知症患者数は462万人と65歳以上高齢者の7人に1人であるが、2025年には約700万人、5人に1人に増加することが見込まれる。

 健康寿命は延びているが、平均寿命との差、言い換えれば、日常生活に制限のある期間が、男性約9年、女性約12-13年となかなか縮まらない。

 要介護者等の認定者数は2013年度末で569万人と、2003年度末から約200万人増加している。

 主たる介護者は家族、とりわけ女性で、介護者が60歳以上のいわゆる「老老介護」も約70%存在する。

 就業面では、収入を伴う就労を希望する高齢者の割合は約7割にのぼっている。

 60歳から64歳の雇用者は438万人、65歳以上の雇用者数は458万人となり、今回65歳以上の雇用者数が初めて上回った。また、65歳以上人口に占める65歳以上の雇用者数の割合は上昇傾向にあり、13.5%となっている。

 労働力人口総数に占める65歳以上の者の割合は11.3%と1980年の4.9%から漸増している。

第1章 第3節 国際比較調査に見る日本の高齢者の意識

 本節では、内閣府が1980年度から5年ごとに実施している「高齢者の生活と意識に関する国際比較調査」の調査結果の概要を取り上げている。

 50代までに行った老後の経済生活の備えについて、「特に何もしていない」と回答する高齢者の割合は、日本が42.7%、他の調査対象国(アメリカ、ドイツ、スウェーデン)は、20%台となっている。貯蓄や資産が足りないとする高齢者の割合は、日本が57.0%、他の3か国は概ね20%前後である。

 収入の伴う仕事をしたいと回答した高齢者の割合は、日本が44.9%と最も高い。

 第2章「高齢社会対策の実施の状況」は平成27年度に講じられた対策について記述されているが、本コラムでは省かせていただく。

第二部 「平成28年度の高齢社会対策」

 本項で掲げられている施策は、我が国の構造的な問題である少子高齢化に対して、「希望を生み出す強い経済」、「夢をつむぐ子育て支援」および「安心につながる社会保障」の「新・三本の矢」の取組みを通じて「一億総活躍社会の実現」を目指している。具体的には、仕事と家庭を両立しやすい職場環境整備および介護予防の推進等である。

 なお、5月18日に開催された「第8回 一億総活躍国民会議」において示された「ニッポン一億総活躍プラン」(案)では、介護と仕事の両立を目指す「介護離職ゼロ」という目標に向け、介護する家族に対する支援や高齢者の自立に向けた支援等が盛り込まれた。

 国、地方公共団体は、高齢社会対策を策定・実施する責務があり、新・第三の矢(安心につながる社会保障)との関連では、「介護離職ゼロ」に直結する緊急対応に取り組むことが喫緊の課題である。併せて、雇用者が直面する介護問題に対して、企業経営者の理解に基づく職場環境の整備を進めていかなくてはならない。そして、我々国民も自身の問題として、生涯にわたる健康づくり、介護予防に対する意識を深めていかなければならない。

【関連資料】

「平成28年版高齢社会白書」(2016年5月20日 閣議決定)
http://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2016/zenbun/28pdf_index.html

「高齢社会対策基本法」(平成7年法律129号)
http://www8.cao.go.jp/kourei/measure/a_4.htm

「高齢社会対策大綱」(2012年9月7日 閣議決定)
http://www8.cao.go.jp/kourei/measure/taikou/pdf/p_honbun_h24.pdf

「一億総活躍社会の実現に向けて緊急に実施すべき対策 成長と分配の好循環の形成に向けて」(2015年11月26日 第3回一億総活躍国民会議配布資料)
http://www.kantei.go.jp/jp/topics/2015/ichiokusoukatsuyaku/kinkyujisshitaisaku.pdf

「ニッポン一億総活躍プラン」(案)(2016年5月18日 第8回一億総活躍国民会議配布資料)
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/ichiokusoukatsuyaku/dai8/siryou2.pdf

QUICK ESG研究所 菅原晴樹

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