Sustainable Japan QUICK ESG研究所

【アメリカ】ムーディーズ、気候変動シナリオ発表。気候変動リスクを信用格付に反映する計画 2016/07/15 ESG

credit-rating

 金融格付世界大手ムーディーズ・インベスターズ・サービスは6月28日、今後気候変動への対応状況に基づく企業格付を実施していくにあたり、「Environmental Risks: Moody’s To Analyse Carbon Transition Risk Based On Emissions Reduction Scenario Consistent with Paris Agreement」という報告書を公表した。この報告書では、今年4月に174か国が署名した「パリ協定」で宣言した各国目標を、それぞれの国が遵守した場合の世界のベースシナリオが示されており、これをもとに各業種の気候変動リスクや企業ごとの気候変動リスクを見積もっていく。

 報告書で示されたベースシナリオは、国際社会が宣言した「2℃未満」目標には達するものとはなっていないが、その分現実的な未来予想図となっている。気候変動に関する各国のコミットメントだけでなく、技術トレンドも織り込んだ内容だ。ムーディーズは、別途、気候変動という自然環境の変化がそのまのが社会全体に与える影響についても分析を進めているが、直近の気候変動リスクを計測するにあたっては、まだ深刻な顕在リスクとは言えないとして、大きく扱うことは控える考え。今後、気候変動抑制の国際的な政策が、国債や地方債を発行する国や地方自治体が与えるリスクについてはあらためて報告書を作成していく。

 ムーディーズは、低炭素社会へ向けた国際公約が、各業種の格付に与える影響を評価する上で、下記の4種類の主要なリスクを用いた。

  1. 排出量削減政策や法規制の具体的な内容・実施ペースの不確実性
  2. 研究開発費、設備投資、事業経費の増加に伴う利益率やキャッシュフローの低下といった直接的な財務影響
  3. 消費性向の変化や需要代替
  4. 低炭素技術の導入を加速させる技術革新

 報告書によると、各業種や各企業が気候変動コミットメントから被る影響は、炭素依存度や、金融、技術、事業活動の変容可能性などに基づき大きく異なる。とりわけ、同社は、すでに低炭素社会への移行が大きな影響を与える13業種を特定しており、そのうち最も影響の大きいとされる石炭、石炭関連設備、規制を受けていない電力会社の3業種は、すでにクレジット格付に影響を受け始めているという。それ以外の10業種についても今後3年のから5年の間に影響が出始めるだろうとのこと。
 
 ムーディーズは今後、今回報告書でまとめたシナリオを前提とし、各業種における上記4リスクがどのぐらい膨らむかを分析していく。そして、既存の格付手法に則り、各企業のリスクエクスポージャーを評価するための具体的な指標に着目し、各企業の信用格付に反映させていく。また、シナリオそのものについても、政策の実行性や技術革新ペースが想定を上回り、業種や企業に与えるリスクが膨らむと見込まれる場合は、シナリオそのものも変更することもありうるとした。

【参照ページ】Moody’s to use greenhouse gas emission reduction scenario consistent with Paris Agreement to analyze carbon transition risk

QUICK ESG研究所

Facebookコメント (0)

ページ上部へ戻る