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【機関投資家】GPIF「平成27年度業務概況書」について <第3部 法人設立10年のあゆみ および 第4部 資料編> 2016/08/31 ESGコラム

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第3部 法人設立10年のあゆみ

2006(平成18)年4月1日にGPIFが設立されて、2016(平成28年)で満10年を経過した。この10年間の運用実績を振り返る。

1.10年間の運用実績

(1)概観

① 収益率等:10年間の平均収益率は+2.68% 累積収益額は32.0兆円

② 年金財政上求められる実質的な運用利回り:10年間の実質的な運用利回り2.85%

③ ベンチマーク対比のパフォーマンス:複合ベンチマーク収益率に対して+0.07%

④ 運用費用:10年間の平均運用費用比率(運用平均残高に対する運用費用の割合)0.05%

(2)資産全体に関するデータ・分析等

① 年度末残高

  • 2005年度末 1,028,714億円(国内債券63.7%、国内株式18.4%、外国債券7.3%、外国株式10.5%)
  • 2010年度末 1,163,170億円(国内債券66.6%、国内株式11.5%、外国債券8.1%、外国株式11.3%)
  • 2015年度末 1,347,475億円(国内債券39.2%、国内株式22.7%、外国債券14.1%、外国株式23.1%)

② 複合ベンチマーク対比のパフォーマンス:超過収益率の要因分析では、資産配分要因がプラス、個別資産要因がマイナスとなっている。

③ インカムゲイン:10年間の累積インカムゲインは21.1兆円。

  • 内訳は、国内債券10.1兆円(47.7%)と収益源として大きく、国内株式3.3兆円(15.5%)、外国債券3.8兆円(18.2%)、外国株式3.9兆円(18.5%)
  • ただし、現行基本ポートフォリオの2015年度の内訳は、国内債券6,723億円(26.4%)、国内株式6,075億円(23.9%)、外国債券4,904億円(19.3%)、外国株式7,714億円(30.3%)と収益源泉の構成比が大きく変わってきている。

 

(3)債券運用に関するデータ・分析等

① 国内債券

ア. 運用資産額、収益率・収益額等

  • 国内債券の運用資産額は2008年度末の87.0兆円をピークに減少し、2015年度末には52.8兆円となった
  • 10年間の平均収益率は、2.48%、10年間の累積収益額は15.9兆円
  • 債券種別をみると、国債のウエイトが10年間で5%高まり、2015年度末で76.21%と太宗を占めている。次いで、その他(オフベンチ銘柄)、事業債が続く

イ. 国内債券の運用受託機関等

  • 10年間の超過収益率:資産全体▲0.01%、パッシブ運用+0.01%、アクティブ運用▲0.11%
  • 2014年度から自家運用を開始した「物価連動国債」のパフォーマンス不振要因が影響した
  • パッシブ運用・アクティブ運用の割合:
    1. 2005年度末 パッシブ運用77.97%、アクティブ運用22.03%
    2. 2010年度末 パッシブ運用82.05%、アクティブ運用17.95%
    3. 2015年度末 パッシブ運用82.50%、アクティブ運用17.50%

② 外国債券

ア. 運用資産額、収益率・収益額等

  • 外国債券の運用資産額は2012年度までは10兆円程度であったが、基本ポートフォリオの見直しにより、2015年度末には18.9兆円となった
  • 10年間の平均収益率は、4.12%、10年間の累積収益額は4.8兆円
  • 通貨別ウエイトでは、2015年度末にアメリカドル43%、ユーロ34%
  • 債券種別をみると、国債のウエイトが10年間で90%から2015年度末75%に低下し、次いで、その他(エマージング債、低格付債券等)の割合が上昇

イ. 外国債券の運用受託機関等

  • 10年間の超過収益率:資産全体+0.02%、パッシブ運用▲0.02%、アクティブ運用+0.25%
  • パッシブ運用・アクティブ運用の割合:
    1. 2005年度末 パッシブ運用71.91%、アクティブ運用28.09%
    2. 2010年度末 パッシブ運用70.62%、アクティブ運用29.38%
    3. 2015年度末 パッシブ運用64.94%、アクティブ運用35.06%
  • 2014年外貨建て投資信託を通じたインフラストラクチャーへの投資を開始

(4)株式運用に関するデータ・分析等

① 国内株式

ア. 運用資産額、収益率・収益額等

  • 国内株式の運用資産額は2006年度末に19兆円、株式市場が大きく下落した2008年度には11.4兆円まで減少した。その後、基本ポートフォリオの見直しにより、2015年度末には30.6兆円となった
  • 10年間の平均収益率は、▲0.66%、10年間の累積収益額は1.8兆円

イ. 国内株式の運用受託機関等

  • 10年間の超過収益率:資産全体▲0.09%、パッシブ運用▲0.00%、アクティブ運用▲0.28%
  • パッシブ運用・アクティブ運用の割合:
    1. 2005年度末 パッシブ運用76.27%、アクティブ運用23.73%
    2. 2010年度末 パッシブ運用75.26%、アクティブ運用24.74%
    3. 2015年度末 パッシブ運用81.52%、アクティブ運用18.48%
  • 国内株式の株主議決権行使状況:「退任役員の退職慰労金の贈呈」および「買収防衛策」に関する会社提案への反対・棄権比率が趨勢的に増加し2015年度には50%超となっている

② 外国株式

ア. 運用資産額、収益率・収益額等

  • 外国株式の運用資産額は2011年度までは概ね13兆円程度で推移し、その後、基本ポートフォリオの見直しにより、2015年度末には31.1兆円となった
  • 10年間の平均収益率は、+4.55%、10年間の累積収益額は9.4兆円
  • 10年間の地域別エクスポージャーの推移では、北米が57%台から60%台へ増加、欧米が37%台から24%台に減少する中、2011年度から運用開始したエマージングが2015年度末に10%台になった

イ. 外国株式の運用受託機関

  • 10年間の超過収益率:資産全体▲0.02%、パッシブ運用+0.05%、アクティブ運用▲0.34%
  • パッシブ運用・アクティブ運用の割合:
    1. 2005年度末 パッシブ運用79.85%、アクティブ運用20.15%
    2. 2010年度末 パッシブ運用86.23%、アクティブ運用13.77%
    3. 2015年度末 パッシブ運用84.15%、アクティブ運用15.85%
  • 外国株式の株主議決権行使状況:会社提案への反対・棄権比率については特に変化は見られない。株主提案に対する賛成比率が趨勢的に増加している。対象先にエマージング株式が入ってきたことから行使件数が直近大きく増えている

2.役員・運用委員の変遷

(略)

3.年表

(略)

第4部 資料編

1.ベンチマークインデックスの推移(2015(平成27)年度)

(1)国内債券 複合ベンチマーク収益率:4.30%

(2)国内株式 TOPIX(配当込):▲10.82%

(3)外国債券 シティ世界国債インデックス(除く日本、円ベース):▲2.74%

(4)外国株式 複合ベンチマーク収益率:▲9.66%

2.運用実績等の推移

(1)運用パフォーマンス

(2)収益額

(3)損益額

(4)年金特別会計への納付額

(5)管理運用委託手数料

(6)運用資産額・資産構成割合

(7)各資産の超過収益率の状況(直近5年間および10年間)

3.運用手法・運用受託機関別運用資産額等

(1)運用手法別・資産別運用資産額(2015年度末時価総額)

運用資産合計134兆7,475億円

  • 市場運用131兆3,053億円(パッシブ運用104兆0954億円、アクティブ運用27兆2,099億円)
  • 財投債 3兆4,422億円

(2)パッシブ運用およびアクティブ運用の割合の推移(市場運用分)

  • 国内債券(パッシブ運用82.50%、アクティブ運用17.50%)
  • 国内株式(パッシブ運用81.52%、アクティブ運用18.48%)
  • 外国債券(パッシブ運用64.94%、アクティブ運用35.06%)
  • 外国株式(パッシブ運用84.15%、アクティブ運用15.85%)
  • 合計  (パッシブ運用79.28%、アクティブ運用20.72%)

(3)運用受託機関別運用資産額(2015年度末時価総額)(略)

(4)運用受託機関別実績収益率(略)

  • 運用実績(直近5年)
  • 運用実績(直近3年)
  • 運用実績(直近1年)

(5)運用受託機関および資産管理機関への支払手数料(略)

(6)資産別・パッシブ・アクティブ別ファンド数(委託運用分)の推移

 2015(平成27)年度の資産別ファンド数(カッコ内は2014(平成26)年度)

  • 国内債券:パッシブ5(6)アクティブ9(9)
  • 国内株式:パッシブ10(10)アクティブ17(17)
  • 外国債券:パッシブ6(6)アクティブ21(7)
  • 外国株式:パッシブ6(6)アクティブ14(15)
  • 合計:パッシブ27(28)アクティブ61(48)

4.保有全銘柄について

(1)保有銘柄の開示は、受託者責任、国民の関心の高まりおよび世界の年金基金の標準という観点から全面開示し、透明性説明責任の向上、国民の信頼の向上および海外投資家等の国内市場への信頼の向上を目指すこととなった。

(2)今回は、2015年3月末時点の開示とし、市場への影響の検証(イベントスタディ)等を実施しながら徐々に公表までの期間の短縮化を図るとしている。

 2016年3月末時点の開示は2016年11月に、2017年3月末時点の開示は2017年7月に、以降、毎年7月に前年度末時点の状況を公表する予定としている。

(3)2015年3月末時点の債券は発行体ごと、株式は銘柄ごとに集約したものの上位10位を掲載している。11位以下については、GPIFのホームページを参照のこと。

① 国内債券保有銘柄の時価総額順では、

日本国、日本高速道路保有・債務返済機構、地方公共団体金融機構、住宅金融支援機構、地方公共団体(共同体)、東京都、東京電力HD、中日本高速道路、関西電力および商工組合中央金庫。495発行体、568,227億円

②外国債券保有銘柄の時価総額順では、

米国、イタリア、フランス、英国、ドイツ、スペイン、オランダ、ベルギー、フェデラル・ナショナル・モーゲージ・アソシエーションおよびオーストラリア。597発行体、181,879億円。

③ 国内株式保有銘柄の時価総額順では、

トヨタ、三菱UFJFG、三井住友FG、ホンダ、ソフトバンク、NTT、みずほFG、KDDI、ファナックおよびキャノン。全銘柄数は2,037銘柄、314,671億円

④ 外国株式保有銘柄の時価総額順では、

アップル、エクソン、マイクロソフト、ジョンソンアンドジョンソン、ネスレ、ウェールスファーゴ、ノバルティス、ゼネラルエレクトロニクス、JPモルガンチェースおよびプロクターアンドギャンブル。

 

 全銘柄数は2,665銘柄、298,040億円。

5.その他(略)

(1)各勘定の損益

(2)承継資金運用勘定の廃止

(3)1986(昭和61)年度以降の運用環境等

(4)資金運用に関する専門用語の解説

【参考資料】
平成27年度業務概況書(2016年7月29日 GPIF公表)
平成27年度業務概況書の概要(2016年7月29日 GPIF公表)
平成27年度業務概況書 高橋理事長会見説明資料(2016年7月29日)
平成27年度運用状況(2016.07.29 GPIF公表)

QUICK ESG研究所 菅原晴樹

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