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【RI 特約記事】SDGsへの投資 2016/09/29 ESG

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 本稿は、レスポンシブル・インベスターが季刊で発行する資本市場におけるサステナビリティに特化した最初の情報発行媒体ESGマガジン(ESG Magazine ISSUE05 Autumn 2016)に、VigeoEIRISのアナリストが寄稿した記事をQUICK ESG研究所が翻訳したものです。

 2015年9月に国連総会で採択された17の「持続可能な開発目標(SDGs)」は、野心的なものである。SDGsは、2001年に策定された8つの「ミレニアム開発目標(MDGs)」に代わるもので、気候変動への対応と共生社会を築くという新しいターゲットとともに、世界中のあらゆる貧困を根絶するという課題を掲げている。拡大された目標達成のためには、年間500億ドルから2兆ドルへ投資を拡大する必要がある。誰がこのギャップを埋めることを期待されているのだろうか?ステークホルダーたちは、民間セクターに目を向けつつある。

 国連は今回初めて、SDGsを起草するにあたり実業界と投資家とのエンゲージメントを実施し、目標達成のための主要な存在として彼らに期待している。必要な投資の少なくとも半分は、民間セクターを通して行われると想定されている。

 169のターゲットが組み込まれたSDGsのフレームワークは、広範な民間の支援を引き付けるために有効だろう。なぜなら、そのフレームワークは、すべての業界と投資家が貢献しうる重要なトピックスを包含しており、また、進捗の程度を明確に示すからである。いくつかのターゲットは、業界特有のものである。たとえば、製薬業界は、非伝染性の疾患による早産児の死亡率を低減するというターゲットに向けて明確に取り組むことができる。それ以外のものは業界横断的で、ジェンダー平等の達成、一定水準の就労条件の確保、持続可能な天然資源の利用などがある。

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 フレームワークの拡張と多様なステークホルダーを対象としているという事実は、課題ももたらす。責任ある投資家や企業にとって、彼らの役割や彼らが対応しうる重要な要素の抽出方法に関する明確な考え方をまとめることは簡単なことではない。民間セクターにとって、必要とされる規模の投資を行うために、フレームワークは、さまざまな努力を調整しその方向性を定めるための具体的なツールに変換されなければならない。

 実業界は、国連グローバルコンパクトから支援を受けており、グローバルコンパクトはSDGsに貢献するための重要な2つの道を定義している。すなわち、責任ある行動を行うこと及び機会を見つけ出すことである。それは、労働者、社会と環境を守り、持続可能性に関する課題に応える製品や、新しいビジネスモデルを取り入れた事業を行うことを意味する。国連グローバルコンパクト、GRI(Global Reportnig Initiative)、そして持続可能な発展のための世界経済人会議(the World Business Council for Sustainable Development)により作成されたSDG Compass などのイニシアチブは、責任ある行動と製品の両方の点において、企業が属する業界にとって重要なトピックスを定義し、また進捗報告のために一層の助けとなる。

 責任投資に関わるコミュニティーが、事業がSDGsにどのように応えているか数値化および比較可能なものとし、効果的な投資戦略を創造するためのツールが明らかに必要である。VigeoEIRISが完成させたツールの中には、企業の責任ある行動あるいは持続可能な製品とその企業のSDGsに対する貢献の可能性との間の関係についての完璧な対応付け(マッピング)が含まれている。私たちは、SDGsの各目標に対応する数値的な指標から構成されるデータベースを作り上げた。

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 責任ある行動による貢献を数値化するために、アナリストたちは、方針、ターゲット、ツール類、KPIなどを含む企業の実績を測定し評価している。また、SDGsの中に含まれる重要なトピックスの範疇において、たとえば、差別撤廃とダイバーシティーの推進、職場やサプライチェーンにおける正当な労働基準、天然資源の保持や地域社会の発展などについても、測定し評価している。(評価の結果として、)対象となる企業のエクスポージャーやリスクに応じた38個までの個別のトピックスについて、0~100までのレンジをもったスコアを生成している。

 また、持続可能な製品による貢献を数値化するために、アナリストたちは、クリーンエネルギーからSME開発ツール(SME:The Society of Manufacturing Engineers、生産技術者協会)や利用可能な教育サービスまで、企業によるソリューション提供の関与レベルを評価している。関与レベルは数値化され、「関与なし」から「著しい関与」まで4段階のスケールに分類される。

 投資家は、SDGsに明確に貢献している企業に投資を集中するために、測定と評価の技術が詰まったこのツールを利用できる。この二つの側面からの評価アプローチは、投資家が企業の取組みの全体像を把握し投資戦略を最適化することを可能とする。

 この適切なツールを手にして、どこで、どのように価値を創造し、SDGsへのファイナンスを開始するのかは、投資家にかかっている。目標7の再生可能エネルギーと目標13の気候変動への対応、あるいは、目標4の質の高い教育と目標10の不平等の是正など、限定された目標にフォーカスして投資戦略を立てることができる。一方、全体論的なアプローチをとる戦略もあるかもしれない。すべての目標に関する先進的な行動とサスティナブルな製品への顕著な取り組みを投資対象として選択し、広範な効果を狙うものである。

 最も先進的な投資戦略とは、報告のための各指標を視覚化し、ポートフォリオの成果をトラッキングし、さらなる進捗を推進するために企業とのエンゲージを行うことであろう。

 投資家、企業、ステークホルダー間の対話が、求められている包括的なSDGsの前進を達成するために必須となる。それは、現状の「お決まりの仕事する」というアプローチを全面的に見直し、サステナブルな価値を創造するための新しい機会を開く重要な一歩になるだろう。


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ESG Magazine

EMMA DONER Project Manager, Innovation ; JULIA SAUSEN, ESG Analyst and Food Sector Expert, VigeoEIRIS (翻訳:QUICK ESG研究所)

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