Sustainable Japan QUICK ESG研究所

【RI特約記事】トランプ氏によるパリ協定脱退と異なる路線を行く企業・投資家 2017/01/17 ESG

washington

 本稿は、レスポンシブル・インベスターの掲載記事をQUICK ESG研究所が翻訳したものです。

 「伸し掛かるプレッシャーは大きくなり、政府からの援助は得られなくなるだろう。しかしこの場にいる方々であれば出来ると確信している。我々はメイン・ストリームになりつつあるが努力し続けなければならない。このチームであれば可能である。」

 先日、米国デンバーにてFirst Affirmative Financial Networkが開催したSRI(社会的責任投資)会議にて、同ネットワークの首席エコノミストMel Miller氏はこう結んだ。米国次期大統領のドナルド・トランプ氏によるパリ協定離脱の公約について述べたものだ。既にRIが報道した通り、SRI関係者間のトランプ氏当選に対する反応は迅速かつ強固なものであった。

 SRI投資家が米国企業に再生可能エネルギーへの転換を促しているのは周知のことであるが、2大運用会社は大統領選挙が気候変動にどう影響するか、また、地球環境保護のためのバトンが企業側に渡されたか否かについて現時点(2016年11月17日時点)で言及していない。

 社会的投資を実践するドミニ・ソーシャル・インベストメンツ、Interfaith Center on Corporate Responsibility(ICCR)(※)、Trillium Asset Management 、Walden and Zevin Asset Management、PAX Worldは、トランプ次期大統領、およびオバマ大統領、アメリカ連邦議会等に対して、パリ協定への継続的参加や締結したコミットメントの実施を求めるレター lowcarbonusa.orgの署名機関である。

 このような事態は想像できなかったが、米国企業がCOP21を継続するよう注視しなければならない状況にある。各国政府や世界の指導的役割を果たす人物に気候変動に対応するよう要請する、世界経済フォーラムの公開書簡に署名した78人のCEOのうち、大半は米国企業のCEOであった。パリのCOP21開催時にWall Street Journalの紙面において全面広告を掲載したのは全て米国企業のCEOであった。また、米ビジネス気候変動対応行動誓約(American Business Act on Climate Pledge)に署名した154社は全て米国企業であり、以下の事項に誓約している。

  • GHG排出量を最大50%削減
  • 水の使用量を最大80%削減
  • 埋立廃棄物ゼロを達成
  • 再生可能エネルギーに100%転換
  • サプライチェーンにおける森林破壊を正味ゼロに転換

 電子メールや電話での連絡を試みたものの、残念ながら大半の企業からは返信はなく、IBMをはじめコメントを得られなかった。Dellは、「大統領選挙が終わり、滞りのない引継ぎが行われ、新政権とともにセキュリティー、貿易、クラウド・コンピューター等のIT課題を中心に密に働けることを心待ちにしている。当社は独自の技術で、多くの省庁のデジタル化への移行支援が可能であり、その準備ができている。」と味気ないものであった。

 対照的に、世界経済フォーラム(WEF)署名機関の1つであるJohnson ControlsのCEO、Alex Molinaroil氏は、「建物や交通機関が災害からいち早く立ち直るよう地球規模で整備することは世界経済にとって重要である。Johnson Controls社は、公共・民間のパートナーと共にCOP22に取り組み、資源の効率化と災害復旧能力を高めるための応用技術を促進することで、人々がより安全で生産性の高い生活を送り、経済が継続して発展することを目指す。」と述べた。General MillsはFacebookと同様に米ビジネス気候変動対応行動誓約を支持しているとした。しかし、Pepsico、Microsoft、Google、McDonals、Walt Disney、およびその他企業からは返答を得られなかった。一方、Nikeはトランプ次期大統領および政権担当者に向けたレターlowcarbonusa.orgに署名しており、パリ協定における世界に向けた約束の一環として、科学的根拠に基づく持続可能性目標を定めている。「2025年までに自社が所有し、世界で稼働する全ての施設で利用するエネルギーを100%再生可能エネルギーに転換することをはじめ、米ビジネス気候変動対応行動誓約の署名企業として公約を守る所存だ。」と述べた。

 大統領選挙はこれまで物議を醸して来たことから多くの企業がコメントを差し控えていることは想像できる。しかし、返答がないという事がすなわち、コミットメントの引き下げを模索しているのではないと願いたい。

 ICCRのレターはRIのレポート発行には間に合わなかったが、CEOであるJosh Zinner氏は次のようにコメントを寄せている。「多くの企業が積極的なリーダーシップを発揮し、より健全で繁栄を分かち合える社会を目指して歩んできたことを歓迎する。今後の我々の役目は、より多くの企業が後に続くよう強く呼びかけると同時に、これら企業が姿勢を崩さず、後戻りする政策に対抗するよう働きかけることであろう。」

※ICCR:株主行動を目的とした教会を中心としたNGO (QUICK ESG研究所 補足)
http://www.iccr.org/


RI_logo RI-ASIA2017

 レスポンシブル・インベスターは、第6回RIアジアを2017年4月25日、26日、東京証券取引所にて開催いたします。

【関連ページ】
Paul Hodgson: Corporations and investors may make Trump’s withdrawal from Paris agreement irrelevant

著者プロフィール

Responsible Investor, Paul Hodgson 2016年11月17日(翻訳:QUICK ESG研究所)

Facebookコメント (0)

ページ上部へ戻る