Sustainable Japan QUICK ESG研究所

【ステークホルダーダイアログ】海外責任投資リーダーの実践:企業とのエンゲージメント~(3)MFS~ 2017/04/11 ESGレポート

 ※本記事は英語版を作成しております。 → English

 日本版スチュワードシップ・コードが策定されてから3年が経過し、複数回に渡る有識者会議とパブリックコメントの募集を経て、2017年度中に改訂される予定である。改訂の目的は、スチュワードシップ・コードが目指すコーポレートガバナンス改革を『形式』から『実質』へ深化させることにある。この改訂を機に、機関投資家から企業への対話(エンゲージメント)の実効性を求める動きが活発化していくと予想される。

 QUICK ESG研究所は、海外のアセットマネジャーが実際に取り組んできた責任投資の実例を取材し、企業とのエンゲージメントの考え方や投資手法を紹介してきた。グローバルな観点の、実績ある取り組みを知ることで、企業、投資家の双方にとって対話(エンゲージメント)をより高いレベルに進めることに役立てていただきたい。

 今回のインタビューでは、MFSインベストメント・マネジメントでインベストメント・チームの一員としてリサーチ・アナリストを務めるRobert M. Wilson, Jr.氏に、エンゲージメントの意義と具体的な手法について聞いた。同社は2009年に責任投資委員会(Responsible Investment) を社内横断的に立ち上げ、企業とのエンゲージメントに積極的に取り組んでいる。

◇Robert M. Wilson, Jr.氏
 Robert M. Wilson, Jr.氏は、MFSインベストメント・マネジメント社でインベストメント・チームの一員としてリサーチ・アナリストを務める。ESG(環境、社会、ガバナンス)の専任アナリストとして、企業の取組み姿勢や課題を調査・特定し、ポートフォリオ・マネジャーや他のセクター・アナリストとも協働し、投資の意思決定プロセスに統合することを主な業務とし、機関投資家からのESG関連の質問にも対応している。また、PRIのCorporate Tax Groupの作業チーム・メンバーとして、詳細な調査と積極的な意見具申を行っている。2013年にMFSに入社。それ以前は6年間に渡りアメリカン・センチュリー・インベストメントでシニア・インベストメント・アナリストを務め、さらにベイン&カンパニーで5年間に渡りFP & Aトレジャリー・マネジャーとして勤務している。シカゴ大学でMBA取得(学業上位5%のみに授与されるHigh Honorsを取得)。ボストン大学で学士を取得(首席)。

◇MFS
 MFSは、1924年に米国マサチューセッツ州ボストンで創業した米国最古の資産運用会社の1つ。株式、債券などの伝統的資産のアクティブ運用に特化し、世界に9つのリサーチ拠点から個別企業のファンダメンタル分析を行い、8つのグローバル・セクター・チームを軸にしたディスカッションを経て投資アイデアの醸成に努めている。株式や債券の運用プロフェッショナルが資産クラスの枠を超えて情報を共有化し、企業のバランス・シートを包括的に分析する統合されたリサーチをベースに、リスクの所在と投資機会について議論し、長期的な運用成果としての付加価値を提供することを目指している。グループ全体で約70ヵ国の顧客から総額約50兆円(約4,256億米ドル:2016年12月末現在)の資産を受託し、運用を行っている。

◇Rob写真

Robert M. Wilson, Jr.氏

質問

1. RI委員会の活動

(Q)MFSでRI委員会を2009年に立ち上げているが、その背景や目的は何か?

(A)過去10年間、特に欧州やオーストラリアを中心に顧客である多くの機関投資家が、ESGに関連したテーマに強い関心を示すようになり、彼らから運用会社が取り組むべきESGの課題解決に向けた有益なフィードバックを受けてきた。同時に、他のアセットマネジャーもESGインテグレーションについて公式化や明確化を進めてきた。

 この動きは、MFSの運用部門がESG投資について理解を進めるための大きな助けになった。2007から2008年にかけて集中的に議論を重ねたところ、ESGインテグレーションがMFSの運用にとっても有意義であること、そして、ESG投資が長期的な時間軸から綿密に企業のファンダメンタルをリサーチすることをベースとする当社の投資プロセスにフィットしたものであることが明らかになった。その結果、ESGの課題解決に向けた積極的な取組みを効果的に進めるために、2009年に責任投資委員会(Responsible Investment、以下「RI委員会」)を設置した。つまり2009年になってようやくESGリサーチを始めたという訳ではなく、従来から企業調査や投資プロセスの中で行っていたESGに関連する知識や知見、リスク等を適切に把握するために、その取組みを2009年に明確にしたということだ。

(Q)MFSのRI委員会の役割や責任は?

(A)まず初めに、RI委員会は社内組織上もっとも高いレベルに位置しており、地域や事業部門も横断的に跨っている。RI委員会は顧客サービス部門、運用部門、法務・コンプライアンス部門から構成され、部門を超えてひとつのチームとして活動している。

 RI委員会の主要な役割は、各部門の責任者からの意見や情報を投資に活かすべくESGの観点から検討する場を提供することだ。たとえば、顧客サービス部門のマネジャーから、顧客が抱いている当社のESGインテグレーションに対する期待のレベルを運用部門の一員である私や議決権行使担当者などにフィードバックする。同様に、私はESGリサーチの結果について他の部門の責任者に伝えて情報を共有する。また、個別に進めることのできない時間軸の長いESGの課題に関して、RI委員会を通してMFSの経営陣に提言することもある。

 四半期ベースで開催するRI委員会に加え、年次ではRIの方針を見直している。有効なESGインテグレーションのあり方やエンゲージメントの進め方、その他多くの指針について年1回レビューし、状況の変化に対応できるように取り組んでいる。RI委員会の中にはエンゲージメントを実施するための2つのグループがある。法務・コンプライアンス部門の議決権行使担当が、議決権行使に関するトピックスを担当し、もう一つはそれ以外の広範なESG課題のエンゲージメントは運用部門が推進している。また、RI委員会とは別に設置された議決権行使委員会(Proxy Voting Committee)は、顧客の長期的な利益に資するよう、議決権行使方針を策定し組織的にこれを遂行する責任を負い、ESG投資のプロセスにおいて重要な委員会として位置づけられている。

(Q)2010年2月のPRIへの署名の背景や目的は?

(A)RI委員会設置の延長線上で、公式化が当社の顧客にとって価値があると考えたことだ。RI委員会の最初の仕事として、PRIがアセットマネジャーとしての当社の考え方と整合性があることを評価、確認し署名した。

2. 投資判断へのESG要因の取り込み(ESGインテグレーション)

(Q)ESGインテグレーションに関して、MFSの差別化要因は何か?

(A)ESG投資においても、あくまで個別企業をボトムアップでリサーチすることが第一であり、ESGの要素はその一部と捉えている。そのため、意図的にESGレーティングの評価についてはそれほど重視していない。なぜなら、ESGレーティングは当社が投資判断する上で重要であると考えているポイントを過大あるいは過小に評価する傾向があるからだ。個別銘柄レベルでESG要素のインパクトに関する評価と分析に力を入れるとともに、ESGの要素がもつ付加価値やそのインパクトを評価するためのモデルを作成している。この方法のほうが、ESGレーティングに基づくアプローチよりも投資の観点から効果的であり、当社の長期投資の戦略に合致している。

(Q)MFSは、ESGリサーチ情報提供業者から、どのような情報を購入・取得しているか?

(A)多くのプロバイダーからESG関連情報を取得している。そのうちMSCIが最も重要なプロバイダーで、株式や債券に関する広範な情報を取得している。ESGレーティング情報そのものはさほど重視してはいないが、レーティングの背景にある分析内容やデータは当社のリサーチにも役立つものである。Sustainalyticsも使っている。また、議決権行使担当は、ISSとGlass Lewisから議決権行使の助言情報を活用している。

 またそれぞれの目的に応じて、小規模のプロバイダーも利用している。RepRiskは5万社を超えるESG関連のニュースを提供してくれる。Incentive Labは企業経営陣の報酬に特化している。また、大手投資銀行のセルサイドアナリストが提供するリサーチ情報も非常に有益なものがある。その他、BloombergやFactSetのようなデータプロバイダー、CDPなども適宜利用し、財務情報に加えて、非常に多くの情報源からの非財務情報を取得するよう努めている。

(Q)ESGに関する情報を購入したのち、MFSではどのように活用しているか?

(A)ESGに関する情報を個別企業レベル、業種レベル、ポートフォリオレベルでそれぞれ多面的にESGリスクをモデル化し、評価している。
 実際には5つのフェーズに分けている。まず最も重要なフェーズは、MFSのアナリストによる企業リサーチだ。ESG関連情報やMFS独自のファンダメンタルリサーチのプロセスの中で、各セクターのアナリストと私がESGについて討議する。それを基にアナリストは自分が担当する銘柄の売買推奨の判断に役立てている。ESG関連情報は、ESGの課題を明確にし、モデル化によって企業を評価するために非常に役に立つ。以下に述べる4つのフェーズもすべてボトムアップリサーチに通じている。

 私はMFSの各アナリストに、週次でESGトピックスやニュースを伝えるメールを発信しているが、その際に個別銘柄のMSCIのESGレーティングの変動とその背景や根拠の他、私独自のコメントも付け加えている。

 業種レベルではESGのリスク要因に注意が必要である。MFSのアナリストは、業種別にESGリスクを理解できる詳細な知識と知見を持っており、業種レベルのリスクを個別企業まで落とし込んで精緻に分析している。業種別に見たESGの要素は、エンゲージメントの際に企業の経営陣と討議すべき課題を理解するためにも非常に有益である。また、業種や地域にまたがる広範なESGのテーマに関するリサーチにも取り組んでいる。

 最後に、運用戦略の異なるポートフォリオ別に複数の情報源からESG要因について概要をまとめたダッシュボードを作成している。ポートフォリオマネジャーは、このダッシュボードを見ることで、銘柄、業種、ポートフォリオの各レベルにおけるESGに関連するリスクと投資機会を把握することができる。

 このようにMFSでは様々なフェーズに分けて活用しているが、大事なポイントは、たとえ広範囲に及ぶようなESGのテーマであっても、必ず個別銘柄レベルの分析に落とし込み、将来の株価に対してどのようなインパクトがあるか具体的に検討できるようにすることである。複数の情報源からの有益な情報は、そのような企業の分析や評価する上で欠かせないものだ。

(Q)投資戦略へのESGインテグレーションの効果をどのように把握していますか?

(A) ESGインテグレーションによるポートフォリオのパフォーマンス寄与を定量化することはとても難しい課題だ。MFSでは運用部門の人事評価に360度評価のプロセスを採用している。このプロセスを通して、アナリストやポートフォリオマネジャーは運用プロセスの中でESGインテグレーションをどのように進め、運用における付加価値の創造に貢献したかが評価項目となっている。

3. MFSのエンゲージメント活動

(Q)MFSにとってのエンゲージメントの意義は?

(A)エンゲージメントとは、対象先企業が抱える特定の問題について改善を促す試みである。また、その企業がそのような問題をどのように考えているかを理解するための試みだ。
企業との対話を通して、企業がその問題をどのように考えているかを確実に理解した上で、それをモデル化することによって評価することが可能となる。エンゲージメント全体としてもっとも重要なことは、経済的にはもちろん、ビジネス面や業務遂行上のリスクをよく理解し、それらの改善機会を探し出すことだ。

(Q)MFSでは、個別エンゲージメントと協働エンゲージメントをどのように区別しているか?

(A)基本的には個別エンゲージメントに注力している。その理由は、MFSの業界における受託運用資産が相対的に大きいことから、企業の経営陣は当社の意見に耳を傾けてくれる。また多くの企業は長期投資志向の投資家を求めているため、当社と積極的に対話の機会を設けてくれる。
並行して、協働エンゲージメントも行う場合がある。たとえば、広範囲に及ぶ問題を企業が抱えている場合、当社だけでなく他の運用機関と協働して懸念を表明することにより企業の経営陣にその問題の重要性を認識してもらうことが出来る。

(Q)PRIが主催する協働エンゲージメントに、MFSはどのように参画しているか?

(A)年次サーベイだけでなくPRIとは様々な形で参画している。2016年はPRIの代表理事と数回話す機会を持ち、PRIの方向性や投資家のPRI活動への参画のあり方について議論した。エンゲージメントや研究に関するプロジェクトなどでもPRIと協働している。たとえば、私は、PRIのCorporate Tax Groupのメンバーである。多国籍企業の税務問題に関する資料をとりまとめ、昨年出版しており、引き続きその更新に取り組んでいる。さらに政策立案の観点から、税務関連のディスクロージャーの改善にも取り組んできた。

(Q)エンゲージメントの対象企業をどのように決定しているか?

(A)顧客の長期的利益を達成することを目的にエンゲージメントの対象となる企業を選択しており、その選択には様々な方式がある。
議決権行使の観点からは、議決権行使担当部門がISSやGlass Lewisなどの議決権助言会社が指摘する事項を精査し、MFS議決権行使ガイドラインと整合性がとれているか、当社の行使判断が顧客の長期的な利益にどのように寄与するのかを検討し、エンゲージメントの対象企業を決めている。

 もう一つのアプローチは、個別企業のファンダメンタルリサーチに基づくものだ。具体的には、リサーチアナリストが顧客の長期的な利益に影響を与えうる課題を見つけ、企業にとって重要で未対応の問題や潜在的なリスクについて企業と対話する。
アクティビストなど積極的に「物言う株主」が企業に対して何らかの行動をとっている場合には、企業経営陣との対話を通じて起きている問題の状況を把握することもある。

(Q)対象企業とのエンゲージメントをどのように開始するか?

(A)企業との対話を意味する表現は様々なものがあり、エンゲージメントと呼ぶこともできるが、当社では単に“マネジメント・ミーティング”と呼んでいる。運用部門の担当者が、まず始めに対象企業の経営陣との対話を行う。経営陣との対話は、その企業の詳細を知るためにとても重要だ。たとえば、石油精製会社において環境関連の開示が不十分である場合、どのように対応しデータを開示すべきかについて経営陣と直接対話する。

 基本的に、企業にプレッシャーをかけるようなことは好まない。経営陣と投資家の関係性が重要なことは論を俟たない。経営陣は彼らの事業をよく熟知しているので、それを聴くことが第一である。対話を通じて当社の懸念が強まるような場合(たとえばあまり誠実な回答を得られていない場合や、企業が重大なリスクにさらされている場合など)は、取締役会のレベルまで対話を進めることもある。

 MFSの議決権行使担当部門は強力な組織であり、取締役会やIR担当役員に直接コンタクトし、特定の議案について、経営陣や同等レベルの担当者との対話を求める。一般的には、法務担当役員や取締役会がその要望に応じてくれる。

 以上が、企業とのエンゲージメントを開始する一般的な方法である。MFSは、エンゲージメントを投資先企業とのパートナーシップの一環として捉えている。なぜなら、長期にわたる株式投資、つまりで長期保有を投資哲学として持っているからだ。今日では、ESGリスクの影響力がますます大きくなっていると認識しており、運用のパフォーマンスを確実なものとするため、この考えを企業と共有したいと考えている。

(Q)対象企業がエンゲージメントに的確に対応しているか、どのようにチェックしているか?

(A)議決権行使においてはエンゲージメントの目的は明確で、賛成か反対か議案の判断に結果として示されるということだ。もしも大多数の株主が変更を求めている問題に対して、企業がそれを実施しなければ、我々から株主の提案に従うよう企業に文書を送付することもある。それでも対応が不十分であれば、次年度の株主総会において、関係する取締役の選任に反対票を投じることになる。このような形で当社は企業とのコミュニケーションを継続していく。実際には、議決権行使担当部門は年間に約300のエンゲージメントを実施しており、2,000社の約20,000議案に対し議決権を行使している。

 運用部門は、議決権行使担当部門に比べ、直接的なエンゲージメントは数としては少ないが、単に形式的なエンゲージメントを求めていない。運用部門のエンゲージメントは、基本的に企業に適切で迅速な回答を要求する。なぜなら、取締役会メンバーと対話してきた問題は企業にとって深刻で重大な問題であり、それを企業側もすでに認識しているからだ。さらに議論を継続しても懸念が払しょくされなければ、その銘柄を売却することもある。

(Q)対象先企業とのエンゲージメントの期間は一般的にどのくらいか?

(A)エンゲージメントの期間は場合による。当社が求めたESG課題に関する企業側の対応を見ていくために、数年に亘ってエンゲージメントを継続する場合がある。また、素早く対応する企業はエンゲージメントの期間が短くなる。オーストラリアの資源採掘企業の場合、取締役会の構成に関する重大な懸念を文書で伝えたところ、わずか三週間後に取締役会が一新された例がある。

(Q)エンゲージメントをどのように終結させるか?

(A)エンゲージメントに終わりはないと考えている。対象となる企業の取締役会は、MFSが長期的視点から投資を決めたパートナーであり、保有する株式の売却を考えていないからこそ、エンゲージメントを行うのだということをよく理解している。多くの投資妙味がある企業の事業について、当社はその持続的な成長性から顧客が経済的利益を受けてもらいたいと考えている。例えば、かつて、あるオーストラリア企業の会長が、取締役報酬プログラムの変更に関してコメントを求めてきた際に、当社は非常に有益な対話することが出来た。それは、MFSが長期的な投資家であることを実践してきた結果を受けてのことで、このような事例がしばしば生じている。

(Q)日本企業にエンゲージメントを行ったことはあるか?

(A)欧米ほどではないが、ここ数年は日本企業とエンゲージメントする機会が増えている。いくつかの日本企業は、MFSのボストン本社の議決権行使部門を直接訪問して対話している場合もある。このような積極的なアプローチを大歓迎している。

 日本企業とのエンゲージメントも他の外国企業の場合と同じ手法を用いている。かつて米国で取締役報酬に関する規制が導入された2010年から2011年に米国企業とのエンゲージメントした時と同様のプロセスである。当時は、米国企業もエンゲージメントに対する反応が鈍く、実践的に対話することが難しかった。しかし、時間の経過とともに、どの投資家が長期的な視点をもち信頼するに値するのか、また、自社の経営幹部や取締役会メンバーの事業に対する考え方と整合性があるかを企業は学んでいる。今後数年の間に日本企業とのエンゲージメントの機会はさらに増えると予想している。

 企業の経営陣にとって、どの投資家と会い、対話の内容が信頼に値するかを見極めるための鍵となるのは、その投資家が長期保有の株主になることを望む姿勢を示しているかどうかである。

(Q)エンゲージメントに応えることによる日本企業のベネフィットは?

(A)エンゲージメントを通して、日本企業は自社を取り巻くリスクを認識することができる。熟練したアナリストによるリサーチに基づけば、企業との間で理想的な対話が可能であると考えている。実際、スキルのあるアクティブ・マネージャーが保有する企業は市場平均をアウトパフォームする傾向がある。それは、優れたアクティブ・マネージャーは、長期的な視点と詳細なファンダメンタル分析に基づいて企業をより良く理解しており、そのことが企業と投資家の双方がよい成長機会を拡大することに資するからだ。

4. 顧客(アセットオーナー)のESGへの関心の高まり

(Q)顧客からのESG関連質問・要望に関する最近の傾向は?

(A)ESGの関連する問い合わせの増加と、詳細な内容を求められる傾向が顕著にみられる。4年前には、単に「MFSはPRIに署名しているか?」というような質問が多かった。このような単純な質問は確実に減っている。最近は「MFSは投資プロセスの中で、気候変動に関連する事項をどのように評価するのか?」というような質問になった。

 また、ESGインテグレーションの実践や、エンゲージメントに関するもの、さらに、環境や社会に関する議案をどの程度支持するのかというような議決権行使の判断に関するものなど、多くの質問が寄せられている。

 「ESGインテグレーションとは、リスクあるいは機会を定義する以上のことだと考えるか?」などを問われることもある。多くの質問を受けた場合は、顧客に4ページから5ページにわたる回答書を送ることもある。

(Q)特になにか興味深い質問はあるか?

(A)顧客がポートフォリオで保有する個別銘柄の投資の背景について掘り下げた質問を受けるときは、常に興味深い。その投資銘柄にとって鍵となる問題は何か、その問題は深刻なのか、MFSがその問題をどのようにモデル化して投資判断を行ったのか、そのような質問を通して彼らが理解しようとしているのが見えるからだ。このような質問から、様々な運用機関からの回答を聞く過程で、ESGの観点からの問題点について真摯に取り組んだ調査ができる有能な運用者なのか、あるいは、ESGの課題を明確にできない凡庸な運用者なのかを見分けようとする顧客の意図が私に伝わってくる。

(Q)その他コメントがあればお願いします

(A)ESGインテグレーションは、投資という大きな絵の中の1つのピースであると理解している。MFSでは、常にESGの課題を適切に評価するために全力を挙げている。

 最後に、MFSの運用部門は互いに協力することにより、ESGの課題に対して的確に対応できる知識と知見を備えていることを強調したい。

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取材日:2016年11月17日

QUICK ESG研究所

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