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【国際】UN-Water、2022年版国連世界水開発報告書。地下水資源の可能性と課題をテーマ

 国連の水問題フォーラムUN-Waterは3月21日、国連世界水開発報告書(WWDR)の2022年版を発行した。今回は「地下水資源」をテーマとして取り上げ、地下水の膨大な可能性と、それを持続的に管理する必要性は喫緊の課題と指摘した。

 UN-Waterは、国連機関のうち33機関で構成。分野横断的な水問題に対処するために2003年に発足した。

 同報告書は、地下水の水質は一般的に良好で、安全で安価に利用することができる費用対効果の高い方法と指摘。また、サハラ以南のアフリカや中東の一部の地域では、地下水を利用することが可能だが、特に、サハラ以南のアフリカでは、広大な帯水層がもたらす機会がほとんど利用されていない。

 原因は、インフラ、制度、訓練を受けた専門家、資源に関する知識への投資が不足しているため。灌漑設備が整っている農地は、北米の59%、南アジアの57%に対し、わずか3%に過ぎず、そのうち地下水を利用しているのは5%に過ぎない。地下水の開発は、灌漑地域の面積を拡大し、農業の収量や作物の多様性を向上させることで、経済成長の触媒として機能する可能性があるとした。

 但し、地下水は有限のため、将来世代への配慮や、貯水量の減少による経済・財政・環境面への影響は重視しなければならない。また、水循環を通じて、再生可能な地下水マネジメントも強化する必要がある。

 さらに、気候変動適応の観点から、帯水層は地表貯水池よりも蒸発損失が少なく、帯水層が季節的または一時的に余った地表水を貯蔵する能力を活用し、年間を通じて淡水の利用可能性を向上させることができるとした。例えば、都市部の水供給計画に地下水の貯留と取水を組み合わせることで、降水の季節変動がある場合に安全性と柔軟性を確保することができるという。

 今後の対策としては、まず、地下水データの収集。特に、石油、ガス、鉱業界は、帯水層を含む地下深部の領域に関するデータ、情報、知識をすでに大量に保有しており、公的機関を補完できるとした。

 次に、環境規制の強化。地下水は目に見えないため、取締の難易度が高い。そのため、地下水汚染を防止するため、帯水層の涵養域を中心に、適切な土地利用と適切な環境規制が必要。地下水へのアクセス及び地下水からの利益が公平に配分され、将来の世代まで資源が利用できるようにするためには、地下水の共通利益的側面に鑑み、政府が資源の管理者としての役割を果たすことが必要とした。

 そして、人的、物的、財政的資源の強化。多くの国には、中央や地方の政府に地下水の専門家がいない。また、地下水部門または機関の権限、資金、支援が不足している。

 地下水資源に関しては、国際水・衛生NGOウォーターエイドも3月21日、英国地質調査所(BGS)との協働で実施したアフリカ地下水資源量の調査結果を発表している。

【参考】【アフリカ】ウォーターエイド、アフリカ地下水源の調査結果発表。豊富な資源あるも適切な管理必要(2022年3月31日)

 UN-Waterは、2021年の国連世界水開発報告書では、「水の価値評価」をテーマにしており、水源、環境、水インフラ、水・衛生・衛生環境(WASH)、社会経済活動、食料・農業、エネルギー・工業・ビジネス、文化、娯楽、宗教的な観点等、多様な分野や視点から、水の評価に関する現状と課題を調査し、水管理を改善し世界の持続可能な開発の達成に資する水の価値の評価方法を伝えている。

【参照ページ】UN World Water Development Report 2022 ‘Groundwater: Making the invisible visible’

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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