Sustainable Japan | 世界のサステナビリティ・ESG投資・SDGs

【アメリカ】大手CEO181人、幅広いステークホルダー重視の共同声明発表。株主重視から従業員重視ではない

 米大手企業CEOの連合会ビジネス・ラウンドテーブル(BRT)は8月19日、企業の「目的(Purpose)」に関する共同声明を発表した。株主だけではなく、幅広いステーホルダーに対してコミットするという姿勢を明確にした。今回のニュースは、米国だけでなく、日本を含む数多くのメディアが報じた。日本経済新聞も「米経済界『株主第一主義』見直し 従業員配慮を宣言」というセンセーショナルな見出して報じたが、「従業員配慮」に傾斜するというコメントは実際にはどこにもない。

 ビジネス・ラウンドテーブルは、1972年に発足。現在も大手企業約200社のCEOが会員として参加している。同組織は、1978年にコーポレートガバナンス原則を策定する等、米国での企業のあり方について数多く発信してきた。今回の共同声明には、CEO181人が署名した。

 今回の共同声明では、「自由主義経済は、質の高い雇用創出、力強く持続可能な経済、イノベーション、健康な自然環境と全ての人にとっての経済機会を実現する最高の手法」と明言。以前と同じく自由主義経済が重要との見方を強調した。その上で、企業は経済にとって重要な役割を果たしているとした。

 そのような認識のもと、全てのステークホルダーに対し基礎的なコミットメントを整理した。コミットメントの内容は、「顧客への価値提供」「従業員への投資」「公正で倫理的なサプライヤーとの問題対処」「事業所がある地域社会への支援」「株主への長期価値創造」の5つを挙げた。株主以外のステークホルダーに対しても積極的に価値創造していく姿勢を示したが、必ずしも日本経済新聞が報じたような「従業員配慮を明言」というような内容にはなっていない。

 米国では、中間層の経済的没落が発生する中、経済的にも政治思想的にも分断社会に向かう状況にある。大手企業のCEOや投資家の間では、短期的な株主リターン重視ではなく、他のステークホルダーをも意識することで、長期的なリターン創出を望む様子が色濃くなってきている。この姿勢により、トランプ政権と米大手企業の間には対立構造すら生まれてきている。今回の共同声明も、幅広いステークホルダーを意識していくことで、徒な企業批判や、中間層のトランプ政権への支持阻止を狙う目的があると考えられる。

【参照ページ】Business Roundtable Redefines the Purpose of a Corporation to Promote ‘An Economy That Serves All Americans’
【参照ページ】Statement on the Purpose of a Corporation
 

ここから先は登録ユーザー限定のコンテンツとなります。ログインまたはユーザー登録を行って下さい。

 米大手企業CEOの連合会ビジネス・ラウンドテーブル(BRT)は8月19日、企業の「目的(Purpose)」に関する共同声明を発表した。株主だけではなく、幅広いステーホルダーに対してコミットするという姿勢を明確にした。今回のニュースは、米国だけでなく、日本を含む数多くのメディアが報じた。日本経済新聞も「米経済界『株主第一主義』見直し 従業員配慮を宣言」というセンセーショナルな見出して報じたが、「従業員配慮」に傾斜するというコメントは実際にはどこにもない。

 ビジネス・ラウンドテーブルは、1972年に発足。現在も大手企業約200社のCEOが会員として参加している。同組織は、1978年にコーポレートガバナンス原則を策定する等、米国での企業のあり方について数多く発信してきた。今回の共同声明には、CEO181人が署名した。

 今回の共同声明では、

ここから先は登録ユーザー限定のコンテンツとなります。ログインまたはユーザー登録を行って下さい。

 米大手企業CEOの連合会ビジネス・ラウンドテーブル(BRT)は8月19日、企業の「目的(Purpose)」に関する共同声明を発表した。株主だけではなく、幅広いステーホルダーに対してコミットするという姿勢を明確にした。今回のニュースは、米国だけでなく、日本を含む数多くのメディアが報じた。日本経済新聞も「米経済界『株主第一主義』見直し 従業員配慮を宣言」というセンセーショナルな見出して報じたが、「従業員配慮」に傾斜するというコメントは実際にはどこにもない。

 ビジネス・ラウンドテーブルは、1972年に発足。現在も大手企業約200社のCEOが会員として参加している。同組織は、1978年にコーポレートガバナンス原則を策定する等、米国での企業のあり方について数多く発信してきた。今回の共同声明には、CEO181人が署名した。

 今回の共同声明では、

ここから先は登録ユーザー限定のコンテンツとなります。ログインまたはユーザー登録を行って下さい。

ここから先は有料登録会員限定のコンテンツとなります。有料登録会員へのアップグレードを行って下さい。

 米大手企業CEOの連合会ビジネス・ラウンドテーブル(BRT)は8月19日、企業の「目的(Purpose)」に関する共同声明を発表した。株主だけではなく、幅広いステーホルダーに対してコミットするという姿勢を明確にした。今回のニュースは、米国だけでなく、日本を含む数多くのメディアが報じた。日本経済新聞も「米経済界『株主第一主義』見直し 従業員配慮を宣言」というセンセーショナルな見出して報じたが、「従業員配慮」に傾斜するというコメントは実際にはどこにもない。

 ビジネス・ラウンドテーブルは、1972年に発足。現在も大手企業約200社のCEOが会員として参加している。同組織は、1978年にコーポレートガバナンス原則を策定する等、米国での企業のあり方について数多く発信してきた。今回の共同声明には、CEO181人が署名した。

 今回の共同声明では、「自由主義経済は、質の高い雇用創出、力強く持続可能な経済、イノベーション、健康な自然環境と全ての人にとっての経済機会を実現する最高の手法」と明言。以前と同じく自由主義経済が重要との見方を強調した。その上で、企業は経済にとって重要な役割を果たしているとした。

 そのような認識のもと、全てのステークホルダーに対し基礎的なコミットメントを整理した。コミットメントの内容は、「顧客への価値提供」「従業員への投資」「公正で倫理的なサプライヤーとの問題対処」「事業所がある地域社会への支援」「株主への長期価値創造」の5つを挙げた。株主以外のステークホルダーに対しても積極的に価値創造していく姿勢を示したが、必ずしも日本経済新聞が報じたような「従業員配慮を明言」というような内容にはなっていない。

 米国では、中間層の経済的没落が発生する中、経済的にも政治思想的にも分断社会に向かう状況にある。大手企業のCEOや投資家の間では、短期的な株主リターン重視ではなく、他のステークホルダーをも意識することで、長期的なリターン創出を望む様子が色濃くなってきている。この姿勢により、トランプ政権と米大手企業の間には対立構造すら生まれてきている。今回の共同声明も、幅広いステークホルダーを意識していくことで、徒な企業批判や、中間層のトランプ政権への支持阻止を狙う目的があると考えられる。

【参照ページ】Business Roundtable Redefines the Purpose of a Corporation to Promote ‘An Economy That Serves All Americans’
【参照ページ】Statement on the Purpose of a Corporation
 

ここから先は登録ユーザー限定のコンテンツとなります。ログインまたはユーザー登録を行って下さい。