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【アメリカ】俳優・タレント等、ストライキ突入。報酬増やAI利用制限を製作企業側に要求

 米国の映画俳優組合・アメリカテレビラジオ芸術家連盟(SAG-AFTRA)の全国理事会は7月13日、2017年と2020年に修正締結された覚書「2014年のプロデューサー-SAG-AFTRAテレビ/劇場契約」に基づき、7月14日0時1分にストライキを開始することを決議。ストライキが実際に開始された。

 SAG-AFTRAには現在、俳優、タレントやテレビ・映画関係関係者が約16万人が加盟。SAG-AFTRAは、同労働組合の全加入者に対し、ストライキ実施命令書を発出した。SAG-AFTRAは、2012年3月に映画俳優組合(SAG)とアメリカテレビ・ラジオ芸術家連盟(AFTRA)が合併して結成された。SAGとAFTRAの大規模ストライキは、1980年と2000年にも発生している。

 今回の命令書では、テレビや映画に関する契約書に基づく業務について、ストライキを実施することが記載されている。契約対象は、「プロデューサー-SAG-AFTRA共同基本合意書」「SAG-AFTRAテレビ協定(ニューメディア含む)」「高予算のオリジナルまたは派生番組に関するSAG-AFTRAニューメディア契約」「ニューメディア特別契約」「低予算劇場契約(LBA)」「中低予算プロジェクト契約(MPA)」「超低予算プロジェクト契約(UPA)」の7種類。

 ストライキにより禁止される事項は、演技、歌、ダンス、スタント、オンカメラ航空機の操縦、人形使い、パフォーマンスキャプチャー及びモーションキャプチャーに関する撮影。撮影を伴わないものでも、声優、歌、TV予告編や映画予告編、ADR/ルーピング、スタント・コーディネート等も禁止。さらに、テレビや映画のプロモーション出演、個人的な出演、ファンイベント、上映会、映画プレミア、アワード・ショー、SNS出演、ツアー、インタビュー等も禁止となった。さらに、契約交渉等も、代理人によるものも含めて禁止された。違反した場合は、SAG-AFTRAに通報される。

 今回のストライキは、先に発生した全米脚本家組合(WGA)のストライキに続いて発生したもの。WGAは5月2日、米国のテレビ及び映画製作会社350社以上が加盟する映画テレビプロデューサー同盟(AMPTP)との労使交渉が決裂し、ストライキに突入した。

 労使交渉の争点となったのは、まずは、ストリーミング放送番組からの報酬(Residue)。米国のテレビや映画での出演料や報酬は、細かく事前にルールが定められており、各々の職域の労働組合と、AMTMPが労使交渉で協定を締結。協定での算出手法に基づき、出演料や報酬が決定、支払われている。WGAは、アマゾン・プライムやネットフリックス等のストリーミング番組に関する脚本家の報酬が10年前と比較して減少していると主張し、ストリーミング放送からの報酬の増額を求めた。また、ChatGTPのような生成AIが、脚本家を代替するツールとなりうることを懸念し、使用を制限するようAMTMPに要求していた。他にも、脚本家に年金や医療保険への加入を保証することや、全ての番組に脚本家の最低配置人数や最低契約期間を設定することも求めていた。

 しかしAMTMPは、WGAの要求に応じず、WGAは5月2日にストライキに突入。ストライキ中の生活については、社会保障用のエンターテイメント・コミュニティ基金からの支援を申請するよう伝えた。5月10日には、著名な脚本家らが、同基金に寄付したことも報じられた。WGAには約12,000人の脚本家が加入している模様。

 今回のSAG-AFTRAのストライキも、AMPTPとの労使交渉が決裂したことで発生した。そのため、今回のストライキは、AMPTPに加盟していないプロダクションが制作する「中間契約」該当案件については対象外となっている。AMPTPへの要求内容は、基本的にWGAと似ている。SAG-AFTRAは以前から同様の要求をしてきたが、2020年には、2023年6月30日までの報酬協定を一旦締結。しかし協定更新の交渉の中で、決裂が濃厚となり、6月7日には交渉決裂時にストライキに突入することの是非を問う事前投票で、組合員98%が賛成。交渉期限は6月30日に、7月12日まで延期されることが決まったが、それでも7月12日までに妥結できなかった。

 SAG-AFTRAの要求事項の1つ目は、米国の記録的なインフレを反映し、今年の11%の賃上げ。加えて、インフレを反映し、健康保険や年金基金での労働者負担の減額。AFTRA側は、賃上げは5%が上限と主張。健康保険や年金について、使用者負担はすでにある程度増額していると主張している。

 2つ目は、AIの活用の制限。俳優やタレントの肖像をインプットした「デジタル・レプリカ」の使用に関しては、事前同意とともに公平な対価を支払う条文を協定に盛り込むよう要求した。AFTRA側は、半日分の対価を支払うことで、本人の同意なしに「デジタル・レプリカ」の使用を永遠に認めるよう主張。また、演者の台詞変更や追加シーンの作成でも、本人の同意なし、かつ対価なしで、生成AIを活用した映像制作をできるようにすることを求めた。

 3つ目は、人種による髪質や肌質に応じた有資格のメイク担当の配置の義務化。AMTMP側は、主要キャストには義務化に応じるとしたが、エキストラに関しては「自腹」を主張している。

 4つ目は、ストリーミング番組での俳優やトレントの報酬取分の増額。AMTMP側は応じていない模様。

 5つ目は、番組の一時休止注の主要キャストの他の業務の就労権の確保。AMTMP側は、ごく一部の人しか救済されない制度として応じない方針。

 6つ目は、演者の長期ロケ時の転居費用の負担。AMTMP側は、法外なコストになる例を挙げ、反発している。

【参照ページ】SAG-AFTRA Strike Order for TV/Theatrical/Streaming Contracts
【参照ページ】STRIKE NOTICE AND ORDER
【参照ページ】We’re Fighting for the Survival of Our Profession

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 米国の映画俳優組合・アメリカテレビラジオ芸術家連盟(SAG-AFTRA)の全国理事会は7月13日、2017年と2020年に修正締結された覚書「2014年のプロデューサー-SAG-AFTRAテレビ/劇場契約」に基づき、7月14日0時1分にストライキを開始することを決議。ストライキが実際に開始された。

 SAG-AFTRAには現在、俳優、タレントやテレビ・映画関係関係者が約16万人が加盟。SAG-AFTRAは、同労働組合の全加入者に対し、ストライキ実施命令書を発出した。SAG-AFTRAは、2012年3月に映画俳優組合(SAG)とアメリカテレビ・ラジオ芸術家連盟(AFTRA)が合併して結成された。SAGとAFTRAの大規模ストライキは、1980年と2000年にも発生している。

 今回の命令書では、

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 米国の映画俳優組合・アメリカテレビラジオ芸術家連盟(SAG-AFTRA)の全国理事会は7月13日、2017年と2020年に修正締結された覚書「2014年のプロデューサー-SAG-AFTRAテレビ/劇場契約」に基づき、7月14日0時1分にストライキを開始することを決議。ストライキが実際に開始された。

 SAG-AFTRAには現在、俳優、タレントやテレビ・映画関係関係者が約16万人が加盟。SAG-AFTRAは、同労働組合の全加入者に対し、ストライキ実施命令書を発出した。SAG-AFTRAは、2012年3月に映画俳優組合(SAG)とアメリカテレビ・ラジオ芸術家連盟(AFTRA)が合併して結成された。SAGとAFTRAの大規模ストライキは、1980年と2000年にも発生している。

 今回の命令書では、

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 米国の映画俳優組合・アメリカテレビラジオ芸術家連盟(SAG-AFTRA)の全国理事会は7月13日、2017年と2020年に修正締結された覚書「2014年のプロデューサー-SAG-AFTRAテレビ/劇場契約」に基づき、7月14日0時1分にストライキを開始することを決議。ストライキが実際に開始された。

 SAG-AFTRAには現在、俳優、タレントやテレビ・映画関係関係者が約16万人が加盟。SAG-AFTRAは、同労働組合の全加入者に対し、ストライキ実施命令書を発出した。SAG-AFTRAは、2012年3月に映画俳優組合(SAG)とアメリカテレビ・ラジオ芸術家連盟(AFTRA)が合併して結成された。SAGとAFTRAの大規模ストライキは、1980年と2000年にも発生している。

 今回の命令書では、テレビや映画に関する契約書に基づく業務について、ストライキを実施することが記載されている。契約対象は、「プロデューサー-SAG-AFTRA共同基本合意書」「SAG-AFTRAテレビ協定(ニューメディア含む)」「高予算のオリジナルまたは派生番組に関するSAG-AFTRAニューメディア契約」「ニューメディア特別契約」「低予算劇場契約(LBA)」「中低予算プロジェクト契約(MPA)」「超低予算プロジェクト契約(UPA)」の7種類。

 ストライキにより禁止される事項は、演技、歌、ダンス、スタント、オンカメラ航空機の操縦、人形使い、パフォーマンスキャプチャー及びモーションキャプチャーに関する撮影。撮影を伴わないものでも、声優、歌、TV予告編や映画予告編、ADR/ルーピング、スタント・コーディネート等も禁止。さらに、テレビや映画のプロモーション出演、個人的な出演、ファンイベント、上映会、映画プレミア、アワード・ショー、SNS出演、ツアー、インタビュー等も禁止となった。さらに、契約交渉等も、代理人によるものも含めて禁止された。違反した場合は、SAG-AFTRAに通報される。

 今回のストライキは、先に発生した全米脚本家組合(WGA)のストライキに続いて発生したもの。WGAは5月2日、米国のテレビ及び映画製作会社350社以上が加盟する映画テレビプロデューサー同盟(AMPTP)との労使交渉が決裂し、ストライキに突入した。

 労使交渉の争点となったのは、まずは、ストリーミング放送番組からの報酬(Residue)。米国のテレビや映画での出演料や報酬は、細かく事前にルールが定められており、各々の職域の労働組合と、AMTMPが労使交渉で協定を締結。協定での算出手法に基づき、出演料や報酬が決定、支払われている。WGAは、アマゾン・プライムやネットフリックス等のストリーミング番組に関する脚本家の報酬が10年前と比較して減少していると主張し、ストリーミング放送からの報酬の増額を求めた。また、ChatGTPのような生成AIが、脚本家を代替するツールとなりうることを懸念し、使用を制限するようAMTMPに要求していた。他にも、脚本家に年金や医療保険への加入を保証することや、全ての番組に脚本家の最低配置人数や最低契約期間を設定することも求めていた。

 しかしAMTMPは、WGAの要求に応じず、WGAは5月2日にストライキに突入。ストライキ中の生活については、社会保障用のエンターテイメント・コミュニティ基金からの支援を申請するよう伝えた。5月10日には、著名な脚本家らが、同基金に寄付したことも報じられた。WGAには約12,000人の脚本家が加入している模様。

 今回のSAG-AFTRAのストライキも、AMPTPとの労使交渉が決裂したことで発生した。そのため、今回のストライキは、AMPTPに加盟していないプロダクションが制作する「中間契約」該当案件については対象外となっている。AMPTPへの要求内容は、基本的にWGAと似ている。SAG-AFTRAは以前から同様の要求をしてきたが、2020年には、2023年6月30日までの報酬協定を一旦締結。しかし協定更新の交渉の中で、決裂が濃厚となり、6月7日には交渉決裂時にストライキに突入することの是非を問う事前投票で、組合員98%が賛成。交渉期限は6月30日に、7月12日まで延期されることが決まったが、それでも7月12日までに妥結できなかった。

 SAG-AFTRAの要求事項の1つ目は、米国の記録的なインフレを反映し、今年の11%の賃上げ。加えて、インフレを反映し、健康保険や年金基金での労働者負担の減額。AFTRA側は、賃上げは5%が上限と主張。健康保険や年金について、使用者負担はすでにある程度増額していると主張している。

 2つ目は、AIの活用の制限。俳優やタレントの肖像をインプットした「デジタル・レプリカ」の使用に関しては、事前同意とともに公平な対価を支払う条文を協定に盛り込むよう要求した。AFTRA側は、半日分の対価を支払うことで、本人の同意なしに「デジタル・レプリカ」の使用を永遠に認めるよう主張。また、演者の台詞変更や追加シーンの作成でも、本人の同意なし、かつ対価なしで、生成AIを活用した映像制作をできるようにすることを求めた。

 3つ目は、人種による髪質や肌質に応じた有資格のメイク担当の配置の義務化。AMTMP側は、主要キャストには義務化に応じるとしたが、エキストラに関しては「自腹」を主張している。

 4つ目は、ストリーミング番組での俳優やトレントの報酬取分の増額。AMTMP側は応じていない模様。

 5つ目は、番組の一時休止注の主要キャストの他の業務の就労権の確保。AMTMP側は、ごく一部の人しか救済されない制度として応じない方針。

 6つ目は、演者の長期ロケ時の転居費用の負担。AMTMP側は、法外なコストになる例を挙げ、反発している。

【参照ページ】SAG-AFTRA Strike Order for TV/Theatrical/Streaming Contracts
【参照ページ】STRIKE NOTICE AND ORDER
【参照ページ】We’re Fighting for the Survival of Our Profession

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