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【アメリカ】グーグル、カリフォルニア・ジャーナリズム保護法案に反発。一部リンク削除

 IT世界大手米アルファベット傘下のグーグルは4月12日、カリフォルニア州の一部ユーザーを対象に、グーグル検索結果からカリフォルニア州のニュースサイトへのリンクを削除する実証運用を開始すると発表した。同州で立法審議中の「カリフォルニア・ジャーナリズム保護法(CJPA)」への不服を顕にし、対抗措置を打ち出した。

 今回の措置の背景には、米国のニュースサイト運営企業等がグーグルとメタ・プラットフォームズを主な標的とし、ニュースサイト運営企業に正当な対価を支払うよう求める運動が関係している。2019年には米連邦政府レベルの立法を目指し、超党派法案「ジャーナリスト競争・保護法(JCPA)」が連邦議会に提出されたが、立法には至らず閉会。その後毎年法案が提出されているが、依然として立法には至っていない。そのため、運動は州単位での立法を目指し、カリフォルニア州議会に同州法案「カリフォルニア州・ジャーナリズム保護法(CJPA)」が提出され、現在審議が進められている。

 カリフォルニア・ジャーナリズム保護法(CJPA)は、報道機関の中でも、特に「ローカル・ジャーナリズム」と呼ばれる地方紙や地方ニュースメディアを保護することを目的としている。理由としては、過去10年で新聞広告が66%減少し、記者も44%減少していることを挙げ、またローカル・ジャーナリズムの衰退は、各地方での貴重な情報源が失われるという主張をしている。

 そこでCJPAは、「ジャーナリズム使用料」という概念を創設し、カリフォルニア州民が検索結果やSNSフィードからニュース記事に遷移したり、記事を表示したりするだけで、ニュースサイト運営企業にジャーナリズム使用料の支払いを義務化するルールを設けようとしている。ジャーナリズム使用料の支払いが義務付けられるのは、米国内売上もしくは時価総額が5,500億米ドル以上、もしくはオンラインプラットフォーム上のグローバル月間アクティブユーザーが100万人以上の企業が運営している、米国内に月間アクティブユーザーまたは購読者が5,000万人以上いるサービスで、これらを「対象プラットフォーム」と呼んでいる。

 ジャーナリズム使用料は、一定の条件を満たす「適格出版社」もしくは「適格放送局」(これを「適格デジタル・ジャーナリズム・プロバイダー」と呼ぶ)に四半期毎に直接支払われる。ジャーナリズム料の計算は、対象プラットフォームでのインプレッション広告収入のうち、インプレッションを稼いだ割合によって決定される。すなわち、適格デジタル・ジャーナリズム・プロバイダーの記事へのインプレッションやリンク表示によって獲得された広告収入には、当該プロバイダーのものとなる。そのためメディア等では「リンク税」とも呼ばれている。

 グーグルは、CJPAが成立すると、同法の成立を求めてきた大手のメディア複合企業やヘッジファンドに有利となり、CJPAの資金を使ってカリフォルニアの地方紙を買収し、ジャーナリストを引き抜き、低コストでしばしば低品質のコンテンツしか作らない骨組みだけのスタッフで運営される幽霊新聞を増産する可能性があると指摘。また小規模な出版社を不利な立場に追いやり、消費者が多様な地元メディアのエコシステムにアクセスすることを制限すると伝えた。

 他方グーグルとしては、Google News Showcaseが米国を含む26カ国で展開され、2,500以上のメディア機関が参加していることや、Google News Initiativeを通じて、世界中の7,000以上のニュースメディアと提携し、カリフォルニア州だけでも200のニュース機関と6,000人のジャーナリストが含まれていることを強調。むしろローカル・ジャーナリズムの発展に寄与してきていると反論した。

 その上で、今回の実証では、一部のカリフォルニア州のユーザーを対象に、検索結果からCJPAの対象となる可能性のあるカリフォルニア州のニュースサイトへのリンクを削除し、同法が当社の製品体験に与える影響を測定するとした。さらに、カリフォルニア州の規制環境がはっきりするまで、Google News Showcaseを通じた新たなパートナーシップや、Google News Initiativeの拡大計画等、カリフォルニア州のニュースエコシステムへの追加投資も一時停止するとした。

 CJPAに対しては、ジャーナリズムからの反対運動も出ており、意見が二分している。

【参照ページ】Why the California Journalism Preservation Act is putting support of the news ecosystem at risk
【参照ページ】AB-886 California Journalism Preservation Act.
【参照ページ】JCPA RESOURCE CENTER
【参照ページ】CCIA Coalition Letter on California AB 886 (Oppose)

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 IT世界大手米アルファベット傘下のグーグルは4月12日、カリフォルニア州の一部ユーザーを対象に、グーグル検索結果からカリフォルニア州のニュースサイトへのリンクを削除する実証運用を開始すると発表した。同州で立法審議中の「カリフォルニア・ジャーナリズム保護法(CJPA)」への不服を顕にし、対抗措置を打ち出した。

 今回の措置の背景には、

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 IT世界大手米アルファベット傘下のグーグルは4月12日、カリフォルニア州の一部ユーザーを対象に、グーグル検索結果からカリフォルニア州のニュースサイトへのリンクを削除する実証運用を開始すると発表した。同州で立法審議中の「カリフォルニア・ジャーナリズム保護法(CJPA)」への不服を顕にし、対抗措置を打ち出した。

 今回の措置の背景には、

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 IT世界大手米アルファベット傘下のグーグルは4月12日、カリフォルニア州の一部ユーザーを対象に、グーグル検索結果からカリフォルニア州のニュースサイトへのリンクを削除する実証運用を開始すると発表した。同州で立法審議中の「カリフォルニア・ジャーナリズム保護法(CJPA)」への不服を顕にし、対抗措置を打ち出した。

 今回の措置の背景には、米国のニュースサイト運営企業等がグーグルとメタ・プラットフォームズを主な標的とし、ニュースサイト運営企業に正当な対価を支払うよう求める運動が関係している。2019年には米連邦政府レベルの立法を目指し、超党派法案「ジャーナリスト競争・保護法(JCPA)」が連邦議会に提出されたが、立法には至らず閉会。その後毎年法案が提出されているが、依然として立法には至っていない。そのため、運動は州単位での立法を目指し、カリフォルニア州議会に同州法案「カリフォルニア州・ジャーナリズム保護法(CJPA)」が提出され、現在審議が進められている。

 カリフォルニア・ジャーナリズム保護法(CJPA)は、報道機関の中でも、特に「ローカル・ジャーナリズム」と呼ばれる地方紙や地方ニュースメディアを保護することを目的としている。理由としては、過去10年で新聞広告が66%減少し、記者も44%減少していることを挙げ、またローカル・ジャーナリズムの衰退は、各地方での貴重な情報源が失われるという主張をしている。

 そこでCJPAは、「ジャーナリズム使用料」という概念を創設し、カリフォルニア州民が検索結果やSNSフィードからニュース記事に遷移したり、記事を表示したりするだけで、ニュースサイト運営企業にジャーナリズム使用料の支払いを義務化するルールを設けようとしている。ジャーナリズム使用料の支払いが義務付けられるのは、米国内売上もしくは時価総額が5,500億米ドル以上、もしくはオンラインプラットフォーム上のグローバル月間アクティブユーザーが100万人以上の企業が運営している、米国内に月間アクティブユーザーまたは購読者が5,000万人以上いるサービスで、これらを「対象プラットフォーム」と呼んでいる。

 ジャーナリズム使用料は、一定の条件を満たす「適格出版社」もしくは「適格放送局」(これを「適格デジタル・ジャーナリズム・プロバイダー」と呼ぶ)に四半期毎に直接支払われる。ジャーナリズム料の計算は、対象プラットフォームでのインプレッション広告収入のうち、インプレッションを稼いだ割合によって決定される。すなわち、適格デジタル・ジャーナリズム・プロバイダーの記事へのインプレッションやリンク表示によって獲得された広告収入には、当該プロバイダーのものとなる。そのためメディア等では「リンク税」とも呼ばれている。

 グーグルは、CJPAが成立すると、同法の成立を求めてきた大手のメディア複合企業やヘッジファンドに有利となり、CJPAの資金を使ってカリフォルニアの地方紙を買収し、ジャーナリストを引き抜き、低コストでしばしば低品質のコンテンツしか作らない骨組みだけのスタッフで運営される幽霊新聞を増産する可能性があると指摘。また小規模な出版社を不利な立場に追いやり、消費者が多様な地元メディアのエコシステムにアクセスすることを制限すると伝えた。

 他方グーグルとしては、Google News Showcaseが米国を含む26カ国で展開され、2,500以上のメディア機関が参加していることや、Google News Initiativeを通じて、世界中の7,000以上のニュースメディアと提携し、カリフォルニア州だけでも200のニュース機関と6,000人のジャーナリストが含まれていることを強調。むしろローカル・ジャーナリズムの発展に寄与してきていると反論した。

 その上で、今回の実証では、一部のカリフォルニア州のユーザーを対象に、検索結果からCJPAの対象となる可能性のあるカリフォルニア州のニュースサイトへのリンクを削除し、同法が当社の製品体験に与える影響を測定するとした。さらに、カリフォルニア州の規制環境がはっきりするまで、Google News Showcaseを通じた新たなパートナーシップや、Google News Initiativeの拡大計画等、カリフォルニア州のニュースエコシステムへの追加投資も一時停止するとした。

 CJPAに対しては、ジャーナリズムからの反対運動も出ており、意見が二分している。

【参照ページ】Why the California Journalism Preservation Act is putting support of the news ecosystem at risk
【参照ページ】AB-886 California Journalism Preservation Act.
【参照ページ】JCPA RESOURCE CENTER
【参照ページ】CCIA Coalition Letter on California AB 886 (Oppose)

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