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【アメリカ】ファースト・リパブリック銀行が経営破綻。JPモルガン・チェースが資産買取り通常営業

 米連邦預金保険公社(FDIC)は5月1日、カリフォルニア州金融保護革新局が、同州サンフランシスコに本社を置くファースト・リパブリック銀行に関し、連邦預金保険公社(FDIC)を管財人に任命し、本日閉鎖したと発表した。預金者保護のため、FPICは、JPモルガン・チェースが、競争入札を通じ、ファースト・リパブリック銀行の全預金と実質的な全資産を106億米ドル(約1.4兆円)で買い取る売買契約を締結した。
 
 ファースト・リパブリック銀行は、2023年4月13日時点で、総資産が約2,291億米ドル(約31兆円)、総預金は1,039億米ドル(約14兆円)。2022年末時点で全米14位の規模。経営破綻した銀行の規模では、2008年のリーマン・ショック時に経営破綻したワシントン・ミューチュアル銀行(総資産約3070億米ドル)に次ぎ、過去2番目の大きさとなった。同銀行は、3月に預金流出が1,000億米ドル規模に達し、株価も20分の1にまで下落。耐えられなかった。

【参考】【アメリカ】政府、2行の経営破綻で預金全額保護の例外措置発動。銀行規制強化の検討も開始(2023年3月15日)

 預金はFDICが適用される限度額まで保証する。ファースト・リパブリック・バンクの8州にある全84店舗は、JPモルガン・チェースの支店として営業するため、残預金もJPモルガン・チェースが全額保護する形となる。

 FDICとJPモルガン・チェースは、ファースト・リパブリック銀行から購入した一戸建て、住宅、商業用ローンに関するロスシェア取引も実行する。管財人であるFDICとJPモルガン・チェースは、ロスシェア契約の対象となるローンの損失および回収可能性の情報を共有し、JPモルガン・チェースが回収業務を担う。これにより、回収を最大化する。

 ファースト・リパブリック銀行、シリコンバレー銀行と同様、ロサンゼルスやニューヨーク等の富裕層からの預金を獲得し、急成長していた。通常の預金保護の対象となる25万米ドルを超える大口預金比率が2022年末時点で全体の7割弱に達し、約9割だったシリコンバレー銀行と似た状況だった。4月24日に2023年の第1四半期決算が発表になり、3月に預金が4割減少したことが伝わると、さらに株価が下落していた。

 FDICは同日、昨今の銀行破綻に起因する金融安定化への懸念に対応するための3つの選択肢を発表した。具体的には、現行の法定の一定額までの預金保護の維持(制限カバレッジ)、常時預金全額保護への転換(無制限カバレッジ)、口座の種類によって預金保険の限度額に差をつける制度(ターゲット・カバレッジ)への転換の3つを示した。現時点では、ターゲット・カバレッジが最適との見解も付した。最終的には連邦議会で決議される。

 FDICは4月28日、先に経営破綻したシグナチャー銀行に関する要因詳細分析の結果も発表している。リスクマネジメントを怠り、急成長を追求したことが原因とし、健全なコーポレートガバナンスの欠如が責任と指摘した。FDICの審査官の懸念に常に耳を傾けず、FDICの監督上の勧告(SR)に対して常に応答的でタイムリーではなかったと表現し、責任はFDICではなく、シグナチャー銀行側との見方を強調した。

【参照ページ】JPMorgan Chase Bank, National Association, Columbus, Ohio Assumes All the Deposits of First Republic Bank, San Francisco, California
【参照ページ】FDIC Releases Comprehensive Overview of Deposit Insurance System, Including Options for Deposit Insurance Reform
【参照ページ】FDIC Releases Report Detailing Supervision of the Former Signature Bank, New York, New York

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 米連邦預金保険公社(FDIC)は5月1日、カリフォルニア州金融保護革新局が、同州サンフランシスコに本社を置くファースト・リパブリック銀行に関し、連邦預金保険公社(FDIC)を管財人に任命し、本日閉鎖したと発表した。預金者保護のため、FPICは、JPモルガン・チェースが、競争入札を通じ、ファースト・リパブリック銀行の全預金と実質的な全資産を106億米ドル(約1.4兆円)で買い取る売買契約を締結した。
 
 ファースト・リパブリック銀行は、

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 米連邦預金保険公社(FDIC)は5月1日、カリフォルニア州金融保護革新局が、同州サンフランシスコに本社を置くファースト・リパブリック銀行に関し、連邦預金保険公社(FDIC)を管財人に任命し、本日閉鎖したと発表した。預金者保護のため、FPICは、JPモルガン・チェースが、競争入札を通じ、ファースト・リパブリック銀行の全預金と実質的な全資産を106億米ドル(約1.4兆円)で買い取る売買契約を締結した。
 
 ファースト・リパブリック銀行は、

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 米連邦預金保険公社(FDIC)は5月1日、カリフォルニア州金融保護革新局が、同州サンフランシスコに本社を置くファースト・リパブリック銀行に関し、連邦預金保険公社(FDIC)を管財人に任命し、本日閉鎖したと発表した。預金者保護のため、FPICは、JPモルガン・チェースが、競争入札を通じ、ファースト・リパブリック銀行の全預金と実質的な全資産を106億米ドル(約1.4兆円)で買い取る売買契約を締結した。
 
 ファースト・リパブリック銀行は、2023年4月13日時点で、総資産が約2,291億米ドル(約31兆円)、総預金は1,039億米ドル(約14兆円)。2022年末時点で全米14位の規模。経営破綻した銀行の規模では、2008年のリーマン・ショック時に経営破綻したワシントン・ミューチュアル銀行(総資産約3070億米ドル)に次ぎ、過去2番目の大きさとなった。同銀行は、3月に預金流出が1,000億米ドル規模に達し、株価も20分の1にまで下落。耐えられなかった。

【参考】【アメリカ】政府、2行の経営破綻で預金全額保護の例外措置発動。銀行規制強化の検討も開始(2023年3月15日)

 預金はFDICが適用される限度額まで保証する。ファースト・リパブリック・バンクの8州にある全84店舗は、JPモルガン・チェースの支店として営業するため、残預金もJPモルガン・チェースが全額保護する形となる。

 FDICとJPモルガン・チェースは、ファースト・リパブリック銀行から購入した一戸建て、住宅、商業用ローンに関するロスシェア取引も実行する。管財人であるFDICとJPモルガン・チェースは、ロスシェア契約の対象となるローンの損失および回収可能性の情報を共有し、JPモルガン・チェースが回収業務を担う。これにより、回収を最大化する。

 ファースト・リパブリック銀行、シリコンバレー銀行と同様、ロサンゼルスやニューヨーク等の富裕層からの預金を獲得し、急成長していた。通常の預金保護の対象となる25万米ドルを超える大口預金比率が2022年末時点で全体の7割弱に達し、約9割だったシリコンバレー銀行と似た状況だった。4月24日に2023年の第1四半期決算が発表になり、3月に預金が4割減少したことが伝わると、さらに株価が下落していた。

 FDICは同日、昨今の銀行破綻に起因する金融安定化への懸念に対応するための3つの選択肢を発表した。具体的には、現行の法定の一定額までの預金保護の維持(制限カバレッジ)、常時預金全額保護への転換(無制限カバレッジ)、口座の種類によって預金保険の限度額に差をつける制度(ターゲット・カバレッジ)への転換の3つを示した。現時点では、ターゲット・カバレッジが最適との見解も付した。最終的には連邦議会で決議される。

 FDICは4月28日、先に経営破綻したシグナチャー銀行に関する要因詳細分析の結果も発表している。リスクマネジメントを怠り、急成長を追求したことが原因とし、健全なコーポレートガバナンスの欠如が責任と指摘した。FDICの審査官の懸念に常に耳を傾けず、FDICの監督上の勧告(SR)に対して常に応答的でタイムリーではなかったと表現し、責任はFDICではなく、シグナチャー銀行側との見方を強調した。

【参照ページ】JPMorgan Chase Bank, National Association, Columbus, Ohio Assumes All the Deposits of First Republic Bank, San Francisco, California
【参照ページ】FDIC Releases Comprehensive Overview of Deposit Insurance System, Including Options for Deposit Insurance Reform
【参照ページ】FDIC Releases Report Detailing Supervision of the Former Signature Bank, New York, New York

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