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【アメリカ】政府、人工中絶保護で新政策発表。渡航の自由や合法中絶アクセス強化

 米大統領府(ホワイトハウス)は1月22日、女性の人工妊娠中絶権を認めた1973年の「ロー対ウェイド判決」51周年を機に、妊娠中絶に関する新たな政策を発表した。

 米国では2023年6月、連邦最高裁判所が、女性の人工妊娠中絶権を認めた1973年の「ロー対ウェイド判決」を破棄し、人工中絶を禁止した2018年制定のミシシッピ州法は合憲との判決を下している。これにより現在、人工中絶を禁止している州が14、禁止に向けた協議を進めている州が10あり、基本的に共和党優位のレッド・ステートで禁止の方向となっている。

【参考】【アメリカ】連邦最高裁判決で民主・共和の対立激化。中絶、銃規制、環境規制巡り(2022年7月3日)

 これに対し、人工中絶権を法的に保護しつつ、補助金等の支援を用意している州が、カリフォルニア州、ワシントン州、オレゴン州、ニューヨーク州、コネティカット州、バーモント州、ニュージャージー州、メリーランド州、イリノイ州、ミネソタ州、ハワイ州の11州。人工中絶権を法的に保護しているところが11州ある。基本的に民主党優位のブルー・ステートでは保護を続けている。

 今回、バイデン政権は、連邦最高裁判所の判決のもとでも可能な施策として、患者の他州への渡航の安全、人工中絶へのアクセス、避妊へのアクセスの3つを強化する政策を掲げた。

 緊急医療アクセスでは、人工中絶合法州へ妊婦が安全に移動する自由を保護するというもの。人工中絶違法州のアラバマ州では、人工中絶のために州外に渡航する女性を訴追する政策を打ち出している。これに対抗するため、バイデン政権のメリック・ガーランド司法長官は、連邦最高裁判所の判決の日に、妊婦の渡航の自由を保護する声明を発表。2023年11月にはアラバマ州を相手取り提訴することへの関心も発表した。

 さらに米保健福祉省は、妊婦が人工中絶医療を拒否される可能性のある州から州外に渡航する女性のため、各州知事に対し、公的医療制度「メディケイド」による医療へのアクセスを拡大するための1115条免除を申請するよう呼びかけている。国防総省は、軍人と家族が医療目的での州外への渡航を支援しつつ、プライバシーを保護する措置も発動した。

 人工中絶へのアクセスでは、現在、連邦最高裁判所で薬による人工中絶を禁止することの是非に関する訴訟も行われており、米保健福祉省食品医薬品局(FDA)と司法省は、合憲性を主張している。FDAは20年以上前に、人工中絶薬ミフェプリストンを承認している。薬による中絶にも、緊急医療・労働法(EMTALA)が適用されるとの見解も各方面に発出した。

 また同省は、緊急事態における中絶へのアクセスを制限する州法より、連邦政府の緊急医療・労働法(EMTALA)が優先されるという行政見解を発出した。退役軍人省では、退役軍人に中絶治療を提供することを認める中間最終ルールを発表した。

 避妊へのアクセスでは、民間医療保険に加入している女性のための避妊へのアクセスと経済的負担を強化。財務省、労働省、保健福祉省は、医療費負担適正化法の下で、FDAが承認した幅広い避妊薬の無料適用拡大を支援するための新たなガイダンスを発表。手頃な価格の避妊具へのアクセスを全国の女性に拡大適用した。人事管理局も、連邦政府職員福利厚生プログラムに参加する保険会社に対し、新ガイダンスを通知し、連邦政府の職員、退職者、家族の避妊へのアクセスを強化した。

【参照ページ】FACT SHEET: White House Task Force on Reproductive Healthcare Access Announces New Actions and Marks the 51st Anniversary of Roe v. Wade

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 米大統領府(ホワイトハウス)は1月22日、女性の人工妊娠中絶権を認めた1973年の「ロー対ウェイド判決」51周年を機に、妊娠中絶に関する新たな政策を発表した。

 米国では2023年6月、連邦最高裁判所が、女性の人工妊娠中絶権を認めた1973年の「ロー対ウェイド判決」を破棄し、人工中絶を禁止した2018年制定のミシシッピ州法は合憲との判決を下している。これにより現在、人工中絶を禁止している州が14、禁止に向けた協議を進めている州が10あり、基本的に共和党優位のレッド・ステートで禁止の方向となっている。

【参考】【アメリカ】連邦最高裁判決で民主・共和の対立激化。中絶、銃規制、環境規制巡り(2022年7月3日)

 これに対し、人工中絶権を法的に保護しつつ、補助金等の支援を用意している州が、カリフォルニア州、ワシントン州、オレゴン州、ニューヨーク州、コネティカット州、バーモント州、ニュージャージー州、メリーランド州、イリノイ州、ミネソタ州、ハワイ州の11州。人工中絶権を法的に保護しているところが11州ある。基本的に民主党優位のブルー・ステートでは保護を続けている。

 今回、バイデン政権は、

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 米大統領府(ホワイトハウス)は1月22日、女性の人工妊娠中絶権を認めた1973年の「ロー対ウェイド判決」51周年を機に、妊娠中絶に関する新たな政策を発表した。

 米国では2023年6月、連邦最高裁判所が、女性の人工妊娠中絶権を認めた1973年の「ロー対ウェイド判決」を破棄し、人工中絶を禁止した2018年制定のミシシッピ州法は合憲との判決を下している。これにより現在、人工中絶を禁止している州が14、禁止に向けた協議を進めている州が10あり、基本的に共和党優位のレッド・ステートで禁止の方向となっている。

【参考】【アメリカ】連邦最高裁判決で民主・共和の対立激化。中絶、銃規制、環境規制巡り(2022年7月3日)

 これに対し、人工中絶権を法的に保護しつつ、補助金等の支援を用意している州が、カリフォルニア州、ワシントン州、オレゴン州、ニューヨーク州、コネティカット州、バーモント州、ニュージャージー州、メリーランド州、イリノイ州、ミネソタ州、ハワイ州の11州。人工中絶権を法的に保護しているところが11州ある。基本的に民主党優位のブルー・ステートでは保護を続けている。

 今回、バイデン政権は、

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 米大統領府(ホワイトハウス)は1月22日、女性の人工妊娠中絶権を認めた1973年の「ロー対ウェイド判決」51周年を機に、妊娠中絶に関する新たな政策を発表した。

 米国では2023年6月、連邦最高裁判所が、女性の人工妊娠中絶権を認めた1973年の「ロー対ウェイド判決」を破棄し、人工中絶を禁止した2018年制定のミシシッピ州法は合憲との判決を下している。これにより現在、人工中絶を禁止している州が14、禁止に向けた協議を進めている州が10あり、基本的に共和党優位のレッド・ステートで禁止の方向となっている。

【参考】【アメリカ】連邦最高裁判決で民主・共和の対立激化。中絶、銃規制、環境規制巡り(2022年7月3日)

 これに対し、人工中絶権を法的に保護しつつ、補助金等の支援を用意している州が、カリフォルニア州、ワシントン州、オレゴン州、ニューヨーク州、コネティカット州、バーモント州、ニュージャージー州、メリーランド州、イリノイ州、ミネソタ州、ハワイ州の11州。人工中絶権を法的に保護しているところが11州ある。基本的に民主党優位のブルー・ステートでは保護を続けている。

 今回、バイデン政権は、連邦最高裁判所の判決のもとでも可能な施策として、患者の他州への渡航の安全、人工中絶へのアクセス、避妊へのアクセスの3つを強化する政策を掲げた。

 緊急医療アクセスでは、人工中絶合法州へ妊婦が安全に移動する自由を保護するというもの。人工中絶違法州のアラバマ州では、人工中絶のために州外に渡航する女性を訴追する政策を打ち出している。これに対抗するため、バイデン政権のメリック・ガーランド司法長官は、連邦最高裁判所の判決の日に、妊婦の渡航の自由を保護する声明を発表。2023年11月にはアラバマ州を相手取り提訴することへの関心も発表した。

 さらに米保健福祉省は、妊婦が人工中絶医療を拒否される可能性のある州から州外に渡航する女性のため、各州知事に対し、公的医療制度「メディケイド」による医療へのアクセスを拡大するための1115条免除を申請するよう呼びかけている。国防総省は、軍人と家族が医療目的での州外への渡航を支援しつつ、プライバシーを保護する措置も発動した。

 人工中絶へのアクセスでは、現在、連邦最高裁判所で薬による人工中絶を禁止することの是非に関する訴訟も行われており、米保健福祉省食品医薬品局(FDA)と司法省は、合憲性を主張している。FDAは20年以上前に、人工中絶薬ミフェプリストンを承認している。薬による中絶にも、緊急医療・労働法(EMTALA)が適用されるとの見解も各方面に発出した。

 また同省は、緊急事態における中絶へのアクセスを制限する州法より、連邦政府の緊急医療・労働法(EMTALA)が優先されるという行政見解を発出した。退役軍人省では、退役軍人に中絶治療を提供することを認める中間最終ルールを発表した。

 避妊へのアクセスでは、民間医療保険に加入している女性のための避妊へのアクセスと経済的負担を強化。財務省、労働省、保健福祉省は、医療費負担適正化法の下で、FDAが承認した幅広い避妊薬の無料適用拡大を支援するための新たなガイダンスを発表。手頃な価格の避妊具へのアクセスを全国の女性に拡大適用した。人事管理局も、連邦政府職員福利厚生プログラムに参加する保険会社に対し、新ガイダンスを通知し、連邦政府の職員、退職者、家族の避妊へのアクセスを強化した。

【参照ページ】FACT SHEET: White House Task Force on Reproductive Healthcare Access Announces New Actions and Marks the 51st Anniversary of Roe v. Wade

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