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【金融】SRI/ESG投資インデックス一覧 〜MSCI, DJSI, FTSE4Good, モーニングスターの違い〜

ESG投資インデックス

ESG投資インデックス、SRI投資株価指数とは何か

 ESG投資インデックス、SRI投資株価指数。今、このような単語がESG投資やSRIのニュースの中でよく使われるようになってきました。ESG(環境・社会・ガバナンス)が株価に影響を与えるという考え方が広まってきたことで、機関投資家もESGの動向に大きな関心を寄せています。

 ESG投資インデックスとSRI投資株価指数は実際には同じ内容を指しています。そもそも株価指数(英語にするとStock Exchange Index)とは、複数の株式銘柄で構成されたポートフォリオがどのぐらい上がったり下がったりしたかを示したもの。日本でお馴染みの株価指数には、日経平均、TOPIX、JPX400などがありますし、米国市場においてはDow Jones Industrial Average(ダウ平均)、NASDAQ、S&P500などがあります。株価指数があることで、私たちは市場全体の値動きを知ることができます。日経平均が上がると「日本経済が上向いている」などとも言われたりします。投資家にとっては、株価指数があることで、自分たちの投資ポートフォリオが市場全体に対して勝っているか負けているかがわかりますので、いくら投資から利益が出ていたとしても、市場全体の成績より低い場合、投資家は「もっとうまく投資できたのではないか?」と解釈し反省するのです。

 では、ESG投資インデックスとはそもそも何なのでしょうか。ESG投資インデックスとは、文字通り、社会的責任に配慮した企業の銘柄だけで構成されている株価指数です。すなわち、市場全体の値動きを反映しているわけでありませんので、経済全体の動向を見るには不向きと言えますが、その重要性は増してきています。ESG投資インデックスの役割は大きく2つあります。1つ目は、ESG投資に対するベンチマークを提供するということ。現在、欧米の機関投資家(年金基金等)は、ESG(環境・社会・ガバナンス)を配慮し、適当でないと判断する企業には投資をしないというガイドラインを作っています。このような年金ファンドにとって、投資可能な組み入れ候補の銘柄群(金融用語では「投資ユニバース」と言います)は、株式市場全体ではなく、ESG投資関連銘柄に限定されています。自分たちのESGのポートフォリオが企業全体の成績に対して勝っているのか負けているのかを判断する指標としてESG投資インデックスが活用されています。

 ESG投資インデックスの2つ目の役割は、アカデミックな分野への貢献です。ESG投資インデックスがあることで、ESG投資そのものが市場全体に対して優れているのかどうか、すなわちCSRに配慮した企業の株価がそれ以外の企業の株価より上回るのかどうか、を判断することができます。昨今欧米でESGが盛り上がっている背景には、学術研究でESG投資が市場全体のパフォーマンスより高いという実証データが多数出てきていることが大きく関係しています。

ESG投資インデックスの種類

ESG投資インデックスは作ろうと思えば誰でも作れます。自分でESGの基準を決め、それに該当する銘柄を集め、構成比率を決め、株価の動きを観測すればインデックスはできあがります。しかしながら自分が勝手に作ったインデックスはなかなか人には使ってもらえません。やはり、日経平均のように、多くの人が「これは使える」「これは意味がある」と思ったものが、一般的に価値のあるインデックスと言えます。

 現在世界的に有名なESG投資インデックスは以下の3つです。

(1)MSCI ESG Indexes
(2)DJSI (Dow Jones Sustainability Indices)
(3)FTSE4Good Index Series

 企業にとってこれら3つのインデックスに採用されることは大きな意味を持ちます。ESG投資インデックスの役割の1つ目で書きましたが、多くの機関投資家はESG投資インデックスに連動するポートフォリオを組むインデックス・ファンドに投資していたりします。その際に活用されるESG投資インデックスとは上記の3つのいずれかであることが多く、採用されるということは機関投資家のポートフォリオの中に入る、すなわち銘柄が買われるということを意味します。世界でESG投資で運用される資金の割合が増える中、ESG投資インデックスに採用されるか否かが機関投資家からの投資額に大きな影響を与えるようになってきています。ESG投資インデックスを比較する上で、重要な要素となるのは、?ESG評価の実施者と?銘柄選定基準。CSR部門だけでなく、IR部門、CFO、CEOにとっても重要となってきたESG投資インデックス、それでは主要3種類の特徴を見ていきましょう。

MSCI ESG Indexes

 MSCI ESG Indexesは、数々の株式指数を手がける業界の権威、MSCI社(モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル社)が発表しているESG投資インデックスです。MSCI社はESG投資インデックス以外にも非常に多くの株価指数を発表しており、その分析は世界中の株式市場をカバー。発表しているESG投資インデックス数も世界一です。

ESG評価の実施者

MSCI ESG IndexesのESG評価はMSCI社自身が行っています。あえてこう書くのは、他のDJSIとFTSE4Goodは自分自身でESG評価をしていないからです( (※その後FTSEは自身でESG評価をするようになりました。それについては後述します)。MSCI社は歴史的にESG評価のノウハウを企業買収によって獲得してきました。もともと米国ではKLD社(キンダー・ライデンバーグ・アンド・ドミニ社)がESG投資インデックスの草分け的存在でした。KLD社はその後、RiskMetrics社に買収されます。RiskMetrics社は他にもIRRC、Innovest社というESG評価の会社を買収し、そしてMSCI社はそのRiskMetrics社を買収したのです。こうして、社内に強いESG評価ノウハウを持つ同社は、企業に対するアンケート調査やインタビュー調査までを基本的にすべて自社で実施しています。

銘柄選定基準

 MSCI ESG Indexesは、MSCIが発表している数々のESG投資インデックスの総称で、実際にMSCIが発表しているESG投資インデックスの数は数百にものぼります。


(出所)MSCI

MSCI ESG Leaders indexes

 それぞれ対象地域の市場全体を表す株価指数(親株価指数)の構成銘柄をベンチマーク指数とし、各セクターでESG評価が最も高い企業がそのセクターの50%の構成比率を持つ。各セクター間の構成比率は、親株価指数におけるセクター別株価総額の比率を反映。浮動株基準株価指数。
(注)同インデックスシリーズは2017年6月27日に「MSCI Global Sustainability Indexes」から名称変更した。

MSCI ACWI ESG Index:対象地域は、先進国23ヶ国及び新興国21ヶ国の合計44ヶ国の大型・中型上場銘柄。
MSCI World ESG Index:対象地域は、先進国23ヶ国の大型・中型上場銘柄。
MSCI Emerging ESG Index:対象地域は、先進国21ヶ国の大型・中型上場銘柄。

MSCI SRI Indexes
 MSCI Global Sustainability Indexesの選定基準に加え、対象除外業界として、アルコール産業、タバコ産業、ギャンブル産業、民兵産業、軍需産業、原子力発電産業、アダルト産業、遺伝子組み換え食品産業を指定。
(注)同インデックスシリーズは2017年6月27日に「MSCI Global Socially Responsible indexes」から名称変更した。

MSCI ACWI SRI Index:対象地域は、先進国23ヶ国及び新興国21ヶ国の合計44ヶ国の大型・中型上場銘柄。
MSCI World SRI Index:対象地域は、先進国23ヶ国の大型・中型上場銘柄。
MSCI Emerging SRI Index:対象地域は、先進国21ヶ国の大型・中型上場銘柄。
※加えて、各地域・各国単位の企業のみのインデックスも発表している

MSCI Global Ex Controversial Weapons Indexes
 対象除外業界として、欧米の関心が高い非人道的兵器業界を除外。具体的には、クラスター爆弾、地雷、生物・化学兵器、劣化ウラン弾に関わる企業を除外。

MSCI ACWI Ex Controversial Weapons Index:対象地域は、先進国23ヶ国及び新興国21ヶ国の合計44ヶ国の大型・中型上場銘柄。
MSCI World Ex Controversial Index:対象地域は、先進国23ヶ国の大型・中型上場銘柄。
MSCI Emerging Ex Controversial Index:対象地域は、先進国21ヶ国の大型・中型上場銘柄。
※加えて、各地域・各国単位の企業のみのインデックスも発表している

USA市場対象
 米国市場のみを対象としたESG投資インデックス。

MSCI USA IMI ESG Index:各セクターでESG評価の高い400社で構成。
MSCI KLD 400 Index:各セクターでESG評価の高く、アルコール産業、タバコ産業、ギャンブル産業、民兵産業、軍需産業、原子力発電産業、アダルト産業、遺伝子組み換え食品産業以外の400社で構成。

MSCI Global Environment Indexes

MSCI Global Environment Index:先進国23カ国及び新興国21ヶ国の大型・中型・小型銘柄を対象。売上の50%以上を、代替エネルギーもしくはクリーンテクノロジー、グリーンビルディング、持続可能な水、公害抑止ビジネスで占める企業で構成。サブカテゴリーとしてそれぞれ、MSCI Global Alternative Energy Index, MSCI Global Clean Technology Index, MSCI Global Green Building Index, MSCI Global Sustainable Water Index and MSCI Global Pollution Prevention Indexがあり、それらの対象銘柄を全てまとめたのが、MSCI Global Environment Index。

MSCI Global Climate Index:先進国23ヶ国の大型・中型・小型銘柄を対象。気候変動抑止への貢献度が高い再生可能エネルギーもしくはクリーンテクノロジー、未来の燃料産業を手がける100社で構成。

DJSI(Dow Jones Sustainability Indices)

 DJSIは、かの有名なダウ平均を発表している経済ニュース通信社、ダウ・ジョーンズ社のESG投資インデックスです。ダウ平均は米国の株価指数として有名ですが、DJSIは世界の各地域をカバーする世界的な株価指数として知られています。浮動株基準株価指数。

ESG評価の実施者

 DJSIのESG評価は、スイスに本社を置くESG投資アセットマネジメント会社、RobecoSAM社が実施しています。RobecoSAM社の親会社はオランダに本社を置くRobeco社で、RobecoSAM社は当時スイスに本社を置いていた同業のSAM社との合弁で1995年に設立されました。その後、Robeco社は2006年にSAM社の株式の64%を取得し子会社化。また、2013年にはRobeco社の親会社であったオランダのRabobank社がRobeco株の90.01%を日本のオリックスコーポレーション社に売却し、現在Robeco社はオリックスグループの傘下に入っています。

銘柄選定基準

 DJSIは、MSCI ESG Indexesと同様、セクター別に構成割合を検討するアプローチを取っており、各セクター間の構成割合は対象元の親株価指数の割合と等しくしています。しかしながら、セクター内の構成割合についてはMSCI ESG Indexesとは手法が違い、各セクターで一番ESG評価が高い企業のスコアから見て半分未満のスコアの企業を除外する手法をとっています。DJSIは、先進国26カ国と新興国20ヶ国を網羅する株価指数S&P Global BMIを親株価指数とし、各地域ごとのESG投資インデックスを発表しています。

DJSI World:先進国26ヶ国と新興国20ヶ国の合計46ヶ国が対象
DJSI World Developed:先進国26ヶ国が対象
DJSI Emerging:新興国20カ国が対象
DJSI North America:北米2ヶ国が対象
DJSI Europe:ヨーロッパ17カ国が対象
DJSI Asia Pacific:アジア太平洋の6ヶ国・地域が対象

FTSE4Good

 FTSE4Goodは、ロンドン証券取引所の子会社、FTSEグループが発表するESG投資インデックスです。FTSEグループは、イギリスを代表する株価指数であるFTSE100だけでなく、世界の主要証券取引所の株価指数も手がけてもいます。

ESG評価の実施者

 FTSE4GoodのESG評価は、長年、イギリス・ロンドンに本社を置くESG調査会社、EIRIS社が実施してきました。EIRIS社は、ロンドンの本社に加え、フランスのパリとアメリカのボストンに支社を持ち、世界各地の調査パートナーとグローバルネットワークを構築し、世界中の企業を調査すると同時に、世界各地の最新情報を把握する体制を構えています。顧客には機関投資家や金融機関、NGOなどもあり、グローバルなCSR・ESG調査会社として世界で最も有名な企業のうちの一つです。しかし、2013年9月30日をもってFTSEとEIRISの提携関係は終了し、以後はFTSEの独自調査となっています。

銘柄選定基準

 FTSE4Goodは、MSCI ESG IndexesやDJSIとは大きく異るアプローチをとっています。MSCIやDJSIが、市場全体のボラティリティと連動する(すなわちトラッキングエラーを小さくする)ために、セクター毎に検討するアプローチをとっているのに対し、FTSE4Goodではセクター間の株価総額割合は維持されません。FTSE4Goodは、セクターに関係なく、EIRISによるESG評価(業界ごとに調査項目は異なりはするが)の高い企業から順番に銘柄選定するという手法をとっています。

FTSE4Good Index Series

FTSE4Good Global Index:先進国・地域25ヶ国が対象。ESG評価が一定以上の銘柄で構成。
FTSE4Good Global 100 Index:先進国・地域25ヶ国が対象。ESG評価が最も高い100社で構成。
FTSE4Good USA Index:米国が対象。ESG評価が一定以上の銘柄で構成。
FTSE4Good USA 100 Index:米国が対象。ESG評価が最も高い100社で構成。
FTSE4Good Europe Index:ヨーロッパ地域が対象。ESG評価が一定以上の銘柄で構成。
FTSE4Good Europe 50 Index:ヨーロッパ地域が対象。ESG評価が最も高い50社で構成。
FTSE4Good UK Index:イギリスが対象。ESG評価が一定以上の銘柄で構成。
FTSE4Good UK 50 Index:イギリスが対象。ESG評価が最も高い50社で構成。
FTSE4Good Japan Index:日本が対象。ESG評価が一定以上の銘柄で構成。

その他のESG投資インデックス

FTSE4Good Environmental Leaders Europe 40 Index:ヨーロッパ地域が対象。環境対策をリードする40社で構成。
FTSE4Good IBEX Index:スペインが対象。ESG基準を満たすIBEX35指数採用銘柄またはSpain All Cap指数採用銘柄で構成。

日本のESG投資インデックス:モーニングスター社会的責任投資株価指数

 日本市場を対象にしたESG投資インデックスも存在します。金融情報提供会社であるモーニングスター社は、モーニングスター社会的責任投資株価指数を発表しています。上掲の世界的な3社のインデックスとは異なり、モーニングスター社会的責任投資株価指数は1種類だけです。

ESG評価の実施者

 モーニングスター社会的責任投資株価指数のESG評価は、東洋経済新報社が担当しています。東洋経済新報社は毎年上場企業約4000社へのアンケート調査を行い、アンケート回答結果と定量調査をもとに格付けを行い、投資ユニバースとして150社を選抜しています。

銘柄選定基準

 150社からの最終的な組み入れ銘柄選定はモーニングスター社が実施。構成比率は修正浮動株時価総額方式が採用されています。

ESG投資インデックスの未来

 ESG投資インデックスの誕生により、欧米では多数の機関投資家がESG投資インデックスを参照した投資を行ってきています。この流れは現在拡大路線にあり、ESG投資インデックスの重要性はますます高まっています。この記事を読んでくださっている方の中には、「ESG投資インデックスの種類が多すぎる」と思う方もいるかもしれませんが、投資行動が活発な欧米においてはESG投資インデックスが多いことは歓迎されています。それは、投資家が自分たちのポリシーに合ったESG投資インデックスを選択することができるからです。ESG投資インデックスを発表している各社のホームページでは、各インデックスの相応しいのはどのようなポリシーの投資家なのかを説明してくれています。

 一方で、ESG投資の研究者にとっては、多数あるESG投資インデックスの存在は少し厄介かもしれません。実証研究をする上では、実証テーマに則したインデックスを選択しなければなりませんし、複数のインデックスでの実証で異なる結論が導かれてしまうことも起こりえます。十分な検証を行うためには、自分自身でインデックスを構築するという選択肢も有効かもしれません。ESG投資の有効性を示す実証研究はいまも盛んです。社会・環境と資本市場の関係性について、ますます新たな発見や対策が提言されることを願っています。

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ESG投資インデックス、SRI投資株価指数とは何か

 ESG投資インデックス、SRI投資株価指数。今、このような単語がESG投資やSRIのニュースの中でよく使われるようになってきました。ESG(環境・社会・ガバナンス)が株価に影響を与えるという考え方が広まってきたことで、機関投資家もESGの動向に大きな関心を寄せています。

 ESG投資インデックスとSRI投資株価指数は実際には同じ内容を指しています。そもそも株価指数(英語にするとStock Exchange Index)とは、複数の株式銘柄で構成されたポートフォリオがどのぐらい上がったり下がったりしたかを示したもの。日本でお馴染みの株価指数には、日経平均、TOPIX、JPX400などがありますし、米国市場においてはDow Jones Industrial Average(ダウ平均)、NASDAQ、S&P500などがあります。株価指数があることで、私たちは市場全体の値動きを知ることができます。日経平均が上がると「日本経済が上向いている」などとも言われたりします。投資家にとっては、株価指数があることで、自分たちの投資ポートフォリオが市場全体に対して勝っているか負けているかがわかりますので、いくら投資から利益が出ていたとしても、市場全体の成績より低い場合、投資家は「もっとうまく投資できたのではないか?」と解釈し反省するのです。

 では、ESG投資インデックスとはそもそも何なのでしょうか。ESG投資インデックスとは、文字通り、社会的責任に配慮した企業の銘柄だけで構成されている株価指数です。すなわち、市場全体の値動きを反映しているわけでありませんので、経済全体の動向を見るには不向きと言えますが、その重要性は増してきています。ESG投資インデックスの役割は大きく2つあります。1つ目は、ESG投資に対するベンチマークを提供するということ。現在、欧米の機関投資家(年金基金等)は、ESG(環境・社会・ガバナンス)を配慮し、適当でないと判断する企業には投資をしないというガイドラインを作っています。このような年金ファンドにとって、投資可能な組み入れ候補の銘柄群(金融用語では「投資ユニバース」と言います)は、株式市場全体ではなく、ESG投資関連銘柄に限定されています。自分たちのESGのポートフォリオが企業全体の成績に対して勝っているのか負けているのかを判断する指標としてESG投資インデックスが活用されています。

 ESG投資インデックスの2つ目の役割は、アカデミックな分野への貢献です。ESG投資インデックスがあることで、ESG投資そのものが市場全体に対して優れているのかどうか、すなわちCSRに配慮した企業の株価がそれ以外の企業の株価より上回るのかどうか、を判断することができます。昨今欧米でESGが盛り上がっている背景には、学術研究でESG投資が市場全体のパフォーマンスより高いという実証データが多数出てきていることが大きく関係しています。

ESG投資インデックスの種類

ESG投資インデックスは作ろうと思えば誰でも作れます。自分でESGの基準を決め、それに該当する銘柄を集め、構成比率を決め、株価の動きを観測すればインデックスはできあがります。しかしながら自分が勝手に作ったインデックスはなかなか人には使ってもらえません。やはり、日経平均のように、多くの人が「これは使える」「これは意味がある」と思ったものが、一般的に価値のあるインデックスと言えます。

 現在世界的に有名なESG投資インデックスは以下の3つです。

(1)MSCI ESG Indexes
(2)DJSI (Dow Jones Sustainability Indices)
(3)FTSE4Good Index Series

 企業にとってこれら3つのインデックスに採用されることは大きな意味を持ちます。ESG投資インデックスの役割の1つ目で書きましたが、多くの機関投資家はESG投資インデックスに連動するポートフォリオを組むインデックス・ファンドに投資していたりします。その際に活用されるESG投資インデックスとは上記の3つのいずれかであることが多く、採用されるということは機関投資家のポートフォリオの中に入る、すなわち銘柄が買われるということを意味します。世界でESG投資で運用される資金の割合が増える中、ESG投資インデックスに採用されるか否かが機関投資家からの投資額に大きな影響を与えるようになってきています。ESG投資インデックスを比較する上で、重要な要素となるのは

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ESG投資インデックス、SRI投資株価指数とは何か

 ESG投資インデックス、SRI投資株価指数。今、このような単語がESG投資やSRIのニュースの中でよく使われるようになってきました。ESG(環境・社会・ガバナンス)が株価に影響を与えるという考え方が広まってきたことで、機関投資家もESGの動向に大きな関心を寄せています。

 ESG投資インデックスとSRI投資株価指数は実際には同じ内容を指しています。そもそも株価指数(英語にするとStock Exchange Index)とは、複数の株式銘柄で構成されたポートフォリオがどのぐらい上がったり下がったりしたかを示したもの。日本でお馴染みの株価指数には、日経平均、TOPIX、JPX400などがありますし、米国市場においてはDow Jones Industrial Average(ダウ平均)、NASDAQ、S&P500などがあります。株価指数があることで、私たちは市場全体の値動きを知ることができます。日経平均が上がると「日本経済が上向いている」などとも言われたりします。投資家にとっては、株価指数があることで、自分たちの投資ポートフォリオが市場全体に対して勝っているか負けているかがわかりますので、いくら投資から利益が出ていたとしても、市場全体の成績より低い場合、投資家は「もっとうまく投資できたのではないか?」と解釈し反省するのです。

 では、ESG投資インデックスとはそもそも何なのでしょうか。ESG投資インデックスとは、文字通り、社会的責任に配慮した企業の銘柄だけで構成されている株価指数です。すなわち、市場全体の値動きを反映しているわけでありませんので、経済全体の動向を見るには不向きと言えますが、その重要性は増してきています。ESG投資インデックスの役割は大きく2つあります。1つ目は、ESG投資に対するベンチマークを提供するということ。現在、欧米の機関投資家(年金基金等)は、ESG(環境・社会・ガバナンス)を配慮し、適当でないと判断する企業には投資をしないというガイドラインを作っています。このような年金ファンドにとって、投資可能な組み入れ候補の銘柄群(金融用語では「投資ユニバース」と言います)は、株式市場全体ではなく、ESG投資関連銘柄に限定されています。自分たちのESGのポートフォリオが企業全体の成績に対して勝っているのか負けているのかを判断する指標としてESG投資インデックスが活用されています。

 ESG投資インデックスの2つ目の役割は、アカデミックな分野への貢献です。ESG投資インデックスがあることで、ESG投資そのものが市場全体に対して優れているのかどうか、すなわちCSRに配慮した企業の株価がそれ以外の企業の株価より上回るのかどうか、を判断することができます。昨今欧米でESGが盛り上がっている背景には、学術研究でESG投資が市場全体のパフォーマンスより高いという実証データが多数出てきていることが大きく関係しています。

ESG投資インデックスの種類

ESG投資インデックスは作ろうと思えば誰でも作れます。自分でESGの基準を決め、それに該当する銘柄を集め、構成比率を決め、株価の動きを観測すればインデックスはできあがります。しかしながら自分が勝手に作ったインデックスはなかなか人には使ってもらえません。やはり、日経平均のように、多くの人が「これは使える」「これは意味がある」と思ったものが、一般的に価値のあるインデックスと言えます。

 現在世界的に有名なESG投資インデックスは以下の3つです。

(1)MSCI ESG Indexes
(2)DJSI (Dow Jones Sustainability Indices)
(3)FTSE4Good Index Series

 企業にとってこれら3つのインデックスに採用されることは大きな意味を持ちます。ESG投資インデックスの役割の1つ目で書きましたが、多くの機関投資家はESG投資インデックスに連動するポートフォリオを組むインデックス・ファンドに投資していたりします。その際に活用されるESG投資インデックスとは上記の3つのいずれかであることが多く、採用されるということは機関投資家のポートフォリオの中に入る、すなわち銘柄が買われるということを意味します。世界でESG投資で運用される資金の割合が増える中、ESG投資インデックスに採用されるか否かが機関投資家からの投資額に大きな影響を与えるようになってきています。ESG投資インデックスを比較する上で、重要な要素となるのは

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ESG投資インデックス、SRI投資株価指数とは何か

 ESG投資インデックス、SRI投資株価指数。今、このような単語がESG投資やSRIのニュースの中でよく使われるようになってきました。ESG(環境・社会・ガバナンス)が株価に影響を与えるという考え方が広まってきたことで、機関投資家もESGの動向に大きな関心を寄せています。

 ESG投資インデックスとSRI投資株価指数は実際には同じ内容を指しています。そもそも株価指数(英語にするとStock Exchange Index)とは、複数の株式銘柄で構成されたポートフォリオがどのぐらい上がったり下がったりしたかを示したもの。日本でお馴染みの株価指数には、日経平均、TOPIX、JPX400などがありますし、米国市場においてはDow Jones Industrial Average(ダウ平均)、NASDAQ、S&P500などがあります。株価指数があることで、私たちは市場全体の値動きを知ることができます。日経平均が上がると「日本経済が上向いている」などとも言われたりします。投資家にとっては、株価指数があることで、自分たちの投資ポートフォリオが市場全体に対して勝っているか負けているかがわかりますので、いくら投資から利益が出ていたとしても、市場全体の成績より低い場合、投資家は「もっとうまく投資できたのではないか?」と解釈し反省するのです。

 では、ESG投資インデックスとはそもそも何なのでしょうか。ESG投資インデックスとは、文字通り、社会的責任に配慮した企業の銘柄だけで構成されている株価指数です。すなわち、市場全体の値動きを反映しているわけでありませんので、経済全体の動向を見るには不向きと言えますが、その重要性は増してきています。ESG投資インデックスの役割は大きく2つあります。1つ目は、ESG投資に対するベンチマークを提供するということ。現在、欧米の機関投資家(年金基金等)は、ESG(環境・社会・ガバナンス)を配慮し、適当でないと判断する企業には投資をしないというガイドラインを作っています。このような年金ファンドにとって、投資可能な組み入れ候補の銘柄群(金融用語では「投資ユニバース」と言います)は、株式市場全体ではなく、ESG投資関連銘柄に限定されています。自分たちのESGのポートフォリオが企業全体の成績に対して勝っているのか負けているのかを判断する指標としてESG投資インデックスが活用されています。

 ESG投資インデックスの2つ目の役割は、アカデミックな分野への貢献です。ESG投資インデックスがあることで、ESG投資そのものが市場全体に対して優れているのかどうか、すなわちCSRに配慮した企業の株価がそれ以外の企業の株価より上回るのかどうか、を判断することができます。昨今欧米でESGが盛り上がっている背景には、学術研究でESG投資が市場全体のパフォーマンスより高いという実証データが多数出てきていることが大きく関係しています。

ESG投資インデックスの種類

ESG投資インデックスは作ろうと思えば誰でも作れます。自分でESGの基準を決め、それに該当する銘柄を集め、構成比率を決め、株価の動きを観測すればインデックスはできあがります。しかしながら自分が勝手に作ったインデックスはなかなか人には使ってもらえません。やはり、日経平均のように、多くの人が「これは使える」「これは意味がある」と思ったものが、一般的に価値のあるインデックスと言えます。

 現在世界的に有名なESG投資インデックスは以下の3つです。

(1)MSCI ESG Indexes
(2)DJSI (Dow Jones Sustainability Indices)
(3)FTSE4Good Index Series

 企業にとってこれら3つのインデックスに採用されることは大きな意味を持ちます。ESG投資インデックスの役割の1つ目で書きましたが、多くの機関投資家はESG投資インデックスに連動するポートフォリオを組むインデックス・ファンドに投資していたりします。その際に活用されるESG投資インデックスとは上記の3つのいずれかであることが多く、採用されるということは機関投資家のポートフォリオの中に入る、すなわち銘柄が買われるということを意味します。世界でESG投資で運用される資金の割合が増える中、ESG投資インデックスに採用されるか否かが機関投資家からの投資額に大きな影響を与えるようになってきています。ESG投資インデックスを比較する上で、重要な要素となるのは、?ESG評価の実施者と?銘柄選定基準。CSR部門だけでなく、IR部門、CFO、CEOにとっても重要となってきたESG投資インデックス、それでは主要3種類の特徴を見ていきましょう。

MSCI ESG Indexes

 MSCI ESG Indexesは、数々の株式指数を手がける業界の権威、MSCI社(モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル社)が発表しているESG投資インデックスです。MSCI社はESG投資インデックス以外にも非常に多くの株価指数を発表しており、その分析は世界中の株式市場をカバー。発表しているESG投資インデックス数も世界一です。

ESG評価の実施者

MSCI ESG IndexesのESG評価はMSCI社自身が行っています。あえてこう書くのは、他のDJSIとFTSE4Goodは自分自身でESG評価をしていないからです( (※その後FTSEは自身でESG評価をするようになりました。それについては後述します)。MSCI社は歴史的にESG評価のノウハウを企業買収によって獲得してきました。もともと米国ではKLD社(キンダー・ライデンバーグ・アンド・ドミニ社)がESG投資インデックスの草分け的存在でした。KLD社はその後、RiskMetrics社に買収されます。RiskMetrics社は他にもIRRC、Innovest社というESG評価の会社を買収し、そしてMSCI社はそのRiskMetrics社を買収したのです。こうして、社内に強いESG評価ノウハウを持つ同社は、企業に対するアンケート調査やインタビュー調査までを基本的にすべて自社で実施しています。

銘柄選定基準

 MSCI ESG Indexesは、MSCIが発表している数々のESG投資インデックスの総称で、実際にMSCIが発表しているESG投資インデックスの数は数百にものぼります。


(出所)MSCI

MSCI ESG Leaders indexes

 それぞれ対象地域の市場全体を表す株価指数(親株価指数)の構成銘柄をベンチマーク指数とし、各セクターでESG評価が最も高い企業がそのセクターの50%の構成比率を持つ。各セクター間の構成比率は、親株価指数におけるセクター別株価総額の比率を反映。浮動株基準株価指数。
(注)同インデックスシリーズは2017年6月27日に「MSCI Global Sustainability Indexes」から名称変更した。

MSCI ACWI ESG Index:対象地域は、先進国23ヶ国及び新興国21ヶ国の合計44ヶ国の大型・中型上場銘柄。
MSCI World ESG Index:対象地域は、先進国23ヶ国の大型・中型上場銘柄。
MSCI Emerging ESG Index:対象地域は、先進国21ヶ国の大型・中型上場銘柄。

MSCI SRI Indexes
 MSCI Global Sustainability Indexesの選定基準に加え、対象除外業界として、アルコール産業、タバコ産業、ギャンブル産業、民兵産業、軍需産業、原子力発電産業、アダルト産業、遺伝子組み換え食品産業を指定。
(注)同インデックスシリーズは2017年6月27日に「MSCI Global Socially Responsible indexes」から名称変更した。

MSCI ACWI SRI Index:対象地域は、先進国23ヶ国及び新興国21ヶ国の合計44ヶ国の大型・中型上場銘柄。
MSCI World SRI Index:対象地域は、先進国23ヶ国の大型・中型上場銘柄。
MSCI Emerging SRI Index:対象地域は、先進国21ヶ国の大型・中型上場銘柄。
※加えて、各地域・各国単位の企業のみのインデックスも発表している

MSCI Global Ex Controversial Weapons Indexes
 対象除外業界として、欧米の関心が高い非人道的兵器業界を除外。具体的には、クラスター爆弾、地雷、生物・化学兵器、劣化ウラン弾に関わる企業を除外。

MSCI ACWI Ex Controversial Weapons Index:対象地域は、先進国23ヶ国及び新興国21ヶ国の合計44ヶ国の大型・中型上場銘柄。
MSCI World Ex Controversial Index:対象地域は、先進国23ヶ国の大型・中型上場銘柄。
MSCI Emerging Ex Controversial Index:対象地域は、先進国21ヶ国の大型・中型上場銘柄。
※加えて、各地域・各国単位の企業のみのインデックスも発表している

USA市場対象
 米国市場のみを対象としたESG投資インデックス。

MSCI USA IMI ESG Index:各セクターでESG評価の高い400社で構成。
MSCI KLD 400 Index:各セクターでESG評価の高く、アルコール産業、タバコ産業、ギャンブル産業、民兵産業、軍需産業、原子力発電産業、アダルト産業、遺伝子組み換え食品産業以外の400社で構成。

MSCI Global Environment Indexes

MSCI Global Environment Index:先進国23カ国及び新興国21ヶ国の大型・中型・小型銘柄を対象。売上の50%以上を、代替エネルギーもしくはクリーンテクノロジー、グリーンビルディング、持続可能な水、公害抑止ビジネスで占める企業で構成。サブカテゴリーとしてそれぞれ、MSCI Global Alternative Energy Index, MSCI Global Clean Technology Index, MSCI Global Green Building Index, MSCI Global Sustainable Water Index and MSCI Global Pollution Prevention Indexがあり、それらの対象銘柄を全てまとめたのが、MSCI Global Environment Index。

MSCI Global Climate Index:先進国23ヶ国の大型・中型・小型銘柄を対象。気候変動抑止への貢献度が高い再生可能エネルギーもしくはクリーンテクノロジー、未来の燃料産業を手がける100社で構成。

DJSI(Dow Jones Sustainability Indices)

 DJSIは、かの有名なダウ平均を発表している経済ニュース通信社、ダウ・ジョーンズ社のESG投資インデックスです。ダウ平均は米国の株価指数として有名ですが、DJSIは世界の各地域をカバーする世界的な株価指数として知られています。浮動株基準株価指数。

ESG評価の実施者

 DJSIのESG評価は、スイスに本社を置くESG投資アセットマネジメント会社、RobecoSAM社が実施しています。RobecoSAM社の親会社はオランダに本社を置くRobeco社で、RobecoSAM社は当時スイスに本社を置いていた同業のSAM社との合弁で1995年に設立されました。その後、Robeco社は2006年にSAM社の株式の64%を取得し子会社化。また、2013年にはRobeco社の親会社であったオランダのRabobank社がRobeco株の90.01%を日本のオリックスコーポレーション社に売却し、現在Robeco社はオリックスグループの傘下に入っています。

銘柄選定基準

 DJSIは、MSCI ESG Indexesと同様、セクター別に構成割合を検討するアプローチを取っており、各セクター間の構成割合は対象元の親株価指数の割合と等しくしています。しかしながら、セクター内の構成割合についてはMSCI ESG Indexesとは手法が違い、各セクターで一番ESG評価が高い企業のスコアから見て半分未満のスコアの企業を除外する手法をとっています。DJSIは、先進国26カ国と新興国20ヶ国を網羅する株価指数S&P Global BMIを親株価指数とし、各地域ごとのESG投資インデックスを発表しています。

DJSI World:先進国26ヶ国と新興国20ヶ国の合計46ヶ国が対象
DJSI World Developed:先進国26ヶ国が対象
DJSI Emerging:新興国20カ国が対象
DJSI North America:北米2ヶ国が対象
DJSI Europe:ヨーロッパ17カ国が対象
DJSI Asia Pacific:アジア太平洋の6ヶ国・地域が対象

FTSE4Good

 FTSE4Goodは、ロンドン証券取引所の子会社、FTSEグループが発表するESG投資インデックスです。FTSEグループは、イギリスを代表する株価指数であるFTSE100だけでなく、世界の主要証券取引所の株価指数も手がけてもいます。

ESG評価の実施者

 FTSE4GoodのESG評価は、長年、イギリス・ロンドンに本社を置くESG調査会社、EIRIS社が実施してきました。EIRIS社は、ロンドンの本社に加え、フランスのパリとアメリカのボストンに支社を持ち、世界各地の調査パートナーとグローバルネットワークを構築し、世界中の企業を調査すると同時に、世界各地の最新情報を把握する体制を構えています。顧客には機関投資家や金融機関、NGOなどもあり、グローバルなCSR・ESG調査会社として世界で最も有名な企業のうちの一つです。しかし、2013年9月30日をもってFTSEとEIRISの提携関係は終了し、以後はFTSEの独自調査となっています。

銘柄選定基準

 FTSE4Goodは、MSCI ESG IndexesやDJSIとは大きく異るアプローチをとっています。MSCIやDJSIが、市場全体のボラティリティと連動する(すなわちトラッキングエラーを小さくする)ために、セクター毎に検討するアプローチをとっているのに対し、FTSE4Goodではセクター間の株価総額割合は維持されません。FTSE4Goodは、セクターに関係なく、EIRISによるESG評価(業界ごとに調査項目は異なりはするが)の高い企業から順番に銘柄選定するという手法をとっています。

FTSE4Good Index Series

FTSE4Good Global Index:先進国・地域25ヶ国が対象。ESG評価が一定以上の銘柄で構成。
FTSE4Good Global 100 Index:先進国・地域25ヶ国が対象。ESG評価が最も高い100社で構成。
FTSE4Good USA Index:米国が対象。ESG評価が一定以上の銘柄で構成。
FTSE4Good USA 100 Index:米国が対象。ESG評価が最も高い100社で構成。
FTSE4Good Europe Index:ヨーロッパ地域が対象。ESG評価が一定以上の銘柄で構成。
FTSE4Good Europe 50 Index:ヨーロッパ地域が対象。ESG評価が最も高い50社で構成。
FTSE4Good UK Index:イギリスが対象。ESG評価が一定以上の銘柄で構成。
FTSE4Good UK 50 Index:イギリスが対象。ESG評価が最も高い50社で構成。
FTSE4Good Japan Index:日本が対象。ESG評価が一定以上の銘柄で構成。

その他のESG投資インデックス

FTSE4Good Environmental Leaders Europe 40 Index:ヨーロッパ地域が対象。環境対策をリードする40社で構成。
FTSE4Good IBEX Index:スペインが対象。ESG基準を満たすIBEX35指数採用銘柄またはSpain All Cap指数採用銘柄で構成。

日本のESG投資インデックス:モーニングスター社会的責任投資株価指数

 日本市場を対象にしたESG投資インデックスも存在します。金融情報提供会社であるモーニングスター社は、モーニングスター社会的責任投資株価指数を発表しています。上掲の世界的な3社のインデックスとは異なり、モーニングスター社会的責任投資株価指数は1種類だけです。

ESG評価の実施者

 モーニングスター社会的責任投資株価指数のESG評価は、東洋経済新報社が担当しています。東洋経済新報社は毎年上場企業約4000社へのアンケート調査を行い、アンケート回答結果と定量調査をもとに格付けを行い、投資ユニバースとして150社を選抜しています。

銘柄選定基準

 150社からの最終的な組み入れ銘柄選定はモーニングスター社が実施。構成比率は修正浮動株時価総額方式が採用されています。

ESG投資インデックスの未来

 ESG投資インデックスの誕生により、欧米では多数の機関投資家がESG投資インデックスを参照した投資を行ってきています。この流れは現在拡大路線にあり、ESG投資インデックスの重要性はますます高まっています。この記事を読んでくださっている方の中には、「ESG投資インデックスの種類が多すぎる」と思う方もいるかもしれませんが、投資行動が活発な欧米においてはESG投資インデックスが多いことは歓迎されています。それは、投資家が自分たちのポリシーに合ったESG投資インデックスを選択することができるからです。ESG投資インデックスを発表している各社のホームページでは、各インデックスの相応しいのはどのようなポリシーの投資家なのかを説明してくれています。

 一方で、ESG投資の研究者にとっては、多数あるESG投資インデックスの存在は少し厄介かもしれません。実証研究をする上では、実証テーマに則したインデックスを選択しなければなりませんし、複数のインデックスでの実証で異なる結論が導かれてしまうことも起こりえます。十分な検証を行うためには、自分自身でインデックスを構築するという選択肢も有効かもしれません。ESG投資の有効性を示す実証研究はいまも盛んです。社会・環境と資本市場の関係性について、ますます新たな発見や対策が提言されることを願っています。

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