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【日本】経産省、事業売却推進のガイダンス発表。資本コストを上回る資本収益性を重視

 経済産業省は7月31日、積極的な事業売却を推進するためのガイダンス「事業再編実務指針~事業ポートフォリオと組織の変革に向けて~」を策定・公表した。企業が持続的に成長するためには、経営資源をコア事業の強化や成長事業・新規事業への投資に集中させることが必要と指摘。事業売却を推進すべきとのメッセージを出した。同省は、今回のガイダンスを、コーポレートガバナンス・コードを補完するものと位置づける考えも表明した。

 同ガイダンスは、首相官邸の未来投資会議が2019年12月にとりまとめた「新たな成長戦略実行計画策定に関する中間報告」において、「企業価値向上のためのスピンオフを含めた事業再編を促進するため、取締役会の監督機能の強化等の在り方について指針をとりまとめる」と方向性が示されたことに基づくもの。同省は、1月から事業再編研究会を設置し、今回のガイダンスを策定した。日本政府は、7月に閣議決定した「成長戦略実行計画」でも、「スピンオフを含む事業再編を促進するための実務指針を策定し、企業に対応を促す」との方針を示していた。

 同省は、日本では、M&Aと比較すると、事業売却には消極的な企業が多ことを課題視。経営陣、取締役会、投資家の3つの観点から、現状の課題と方向性を示した。経営陣に対しては、自社が「ベストオーナー」ではない事業を抱えていても当該事業の成長戦略の実現は難しいため、従業員利益の確保という観点からも、黒字であっても、例えば(その事業における)資本収益性が資本コストを下回り、回復が難しいと見込まれる段階で早期に切出しの決断を行うことが重要と指摘した。

 対策としては、事業責任者の責任を明確にした上で、CFOの権限を強化し、事業売却を実行しやすい体制にすべきと提言した。意思決定では、事業ごとの資本収益性を測る指標として ROIC(投下資本利益率)を導入し、資本コストとの比較や競合他社との比較(ベンチマーク)を行うべきとした。

 取締役会に対しては、少なくとも年に1回は定期的に事業ポートフォリオに関する基本方針の見直しを行うとともに、経営陣に対して、事業ポートフォリオマネジメントの実施状況等に関して監督を行うべきとした。特に「現状維持バイアス」の少ない社外取締役の積極的な関与を求めた。

 投資家に対しては、事業ポートフォリオのあり方について、企業に積極的にエンゲージメントを行い、情報公開を促していくことを求めた。

【参照ページ】「事業再編実務指針~事業ポートフォリオと組織の変革に向けて~」を策定しました

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 経済産業省は7月31日、積極的な事業売却を推進するためのガイダンス「事業再編実務指針~事業ポートフォリオと組織の変革に向けて~」を策定・公表した。企業が持続的に成長するためには、経営資源をコア事業の強化や成長事業・新規事業への投資に集中させることが必要と指摘。事業売却を推進すべきとのメッセージを出した。同省は、今回のガイダンスを、コーポレートガバナンス・コードを補完するものと位置づける考えも表明した。

 同ガイダンスは、

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 経済産業省は7月31日、積極的な事業売却を推進するためのガイダンス「事業再編実務指針~事業ポートフォリオと組織の変革に向けて~」を策定・公表した。企業が持続的に成長するためには、経営資源をコア事業の強化や成長事業・新規事業への投資に集中させることが必要と指摘。事業売却を推進すべきとのメッセージを出した。同省は、今回のガイダンスを、コーポレートガバナンス・コードを補完するものと位置づける考えも表明した。

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 経済産業省は7月31日、積極的な事業売却を推進するためのガイダンス「事業再編実務指針~事業ポートフォリオと組織の変革に向けて~」を策定・公表した。企業が持続的に成長するためには、経営資源をコア事業の強化や成長事業・新規事業への投資に集中させることが必要と指摘。事業売却を推進すべきとのメッセージを出した。同省は、今回のガイダンスを、コーポレートガバナンス・コードを補完するものと位置づける考えも表明した。

 同ガイダンスは、首相官邸の未来投資会議が2019年12月にとりまとめた「新たな成長戦略実行計画策定に関する中間報告」において、「企業価値向上のためのスピンオフを含めた事業再編を促進するため、取締役会の監督機能の強化等の在り方について指針をとりまとめる」と方向性が示されたことに基づくもの。同省は、1月から事業再編研究会を設置し、今回のガイダンスを策定した。日本政府は、7月に閣議決定した「成長戦略実行計画」でも、「スピンオフを含む事業再編を促進するための実務指針を策定し、企業に対応を促す」との方針を示していた。

 同省は、日本では、M&Aと比較すると、事業売却には消極的な企業が多ことを課題視。経営陣、取締役会、投資家の3つの観点から、現状の課題と方向性を示した。経営陣に対しては、自社が「ベストオーナー」ではない事業を抱えていても当該事業の成長戦略の実現は難しいため、従業員利益の確保という観点からも、黒字であっても、例えば(その事業における)資本収益性が資本コストを下回り、回復が難しいと見込まれる段階で早期に切出しの決断を行うことが重要と指摘した。

 対策としては、事業責任者の責任を明確にした上で、CFOの権限を強化し、事業売却を実行しやすい体制にすべきと提言した。意思決定では、事業ごとの資本収益性を測る指標として ROIC(投下資本利益率)を導入し、資本コストとの比較や競合他社との比較(ベンチマーク)を行うべきとした。

 取締役会に対しては、少なくとも年に1回は定期的に事業ポートフォリオに関する基本方針の見直しを行うとともに、経営陣に対して、事業ポートフォリオマネジメントの実施状況等に関して監督を行うべきとした。特に「現状維持バイアス」の少ない社外取締役の積極的な関与を求めた。

 投資家に対しては、事業ポートフォリオのあり方について、企業に積極的にエンゲージメントを行い、情報公開を促していくことを求めた。

【参照ページ】「事業再編実務指針~事業ポートフォリオと組織の変革に向けて~」を策定しました

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