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【アメリカ】カリフォルニア州、主要港湾での停泊エンジン使用規制を強化。タンカー等にも適用拡大

 米カリフォルニア州大気資源局(CARB)は8月27日、同州の主要港湾での大気汚染物質規制を強化する新ルールを決定した。2007年に制定された「At-Berth Regulation」では、コンテナ船、客船、冷蔵貨物船のフリートを対象に、停泊中の船舶のディーゼル補助エンジンからのPM及び窒素化合物(NOx)の排出量の削減を義務付けていたが、新規制では、自動車運搬船とタンカーにも適用対象となる。

 船舶の港湾停泊では、発電用のディーゼル・エンジンの稼働により付近に大気汚染物質を排出するため、港湾部の大気は汚染されやすい状況にある。CARBは2007年に、寄港時に発電用のディーゼル・エンジンの稼働を制限する画期的な規制を導入し、地上動力装置(ショワーパワー)への転換を推進してきた。2017年1月からのルールでは、1寄港毎に、着桟時間のうち補機を3時間以上運転することを禁止し、ディーゼル補助エンジンによる発電量も基準発電量の30%未満に抑えることを義務化。また、規制基準を満たせない場合には、陸上電源等、CARBが承認した技術手段を使用し、NOxやPMを70%以上削減しなければならないとしていた。

 CARBによると、同ルールにより、2014年以降のべ13,000隻以上の船に規制が適用され、大気汚染物質を80%以上削減することに成功したという。新規制の対象となる自動車運搬船とタンカーは、港湾でのPM2.5の56%を占めており、新規性が導入されると、2,300隻の船舶で大気汚染物質を90%削減できる見込み。それにより、ロサンゼルス港、ロングビーチ港、リッチモンド港では、近隣の発がんリスクを55%削減できる。

 新規性は段階的に施行される。まず、コンテナ船、客船、冷蔵貨物船には2023年から新ルールを適用開始し、停泊中の船舶に地上動力装置もしくは当局が許可する装置の使用を義務付ける。2025年から自動車運搬船にも新ルールを適用。タンカーに対しては、ロサンゼルス港とロングビーチ港では2025年から、カリフォルニア北部の港では2027年から新ルールが適用される。但し、2022年に新ルールをレビューすることにしており、そこで変更が入る可能性がある。

 今回の規制により、施行までに船舶オーナー、港湾、港湾オペレーターは、地上動力装置等の整備を進める必要がある。万が一、船舶や港の特殊事情により、同規制が遵守できない場合に備え、年間で一定量の例外申請は認める。それでも遵守できない場合は、救済ファンドに一種の「課徴金」を支払うことことで容認されるオプションも認める。救済ファンドは、近隣の環境改善のために支出しなければならない。

【参照ページ】California approves updated “At-Berth” regulation, expanding efforts to cut pollution from ships in California ports

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 米カリフォルニア州大気資源局(CARB)は8月27日、同州の主要港湾での大気汚染物質規制を強化する新ルールを決定した。2007年に制定された「At-Berth Regulation」では、コンテナ船、客船、冷蔵貨物船のフリートを対象に、停泊中の船舶のディーゼル補助エンジンからのPM及び窒素化合物(NOx)の排出量の削減を義務付けていたが、新規制では、自動車運搬船とタンカーにも適用対象となる。

 船舶の港湾停泊では、

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 米カリフォルニア州大気資源局(CARB)は8月27日、同州の主要港湾での大気汚染物質規制を強化する新ルールを決定した。2007年に制定された「At-Berth Regulation」では、コンテナ船、客船、冷蔵貨物船のフリートを対象に、停泊中の船舶のディーゼル補助エンジンからのPM及び窒素化合物(NOx)の排出量の削減を義務付けていたが、新規制では、自動車運搬船とタンカーにも適用対象となる。

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 米カリフォルニア州大気資源局(CARB)は8月27日、同州の主要港湾での大気汚染物質規制を強化する新ルールを決定した。2007年に制定された「At-Berth Regulation」では、コンテナ船、客船、冷蔵貨物船のフリートを対象に、停泊中の船舶のディーゼル補助エンジンからのPM及び窒素化合物(NOx)の排出量の削減を義務付けていたが、新規制では、自動車運搬船とタンカーにも適用対象となる。

 船舶の港湾停泊では、発電用のディーゼル・エンジンの稼働により付近に大気汚染物質を排出するため、港湾部の大気は汚染されやすい状況にある。CARBは2007年に、寄港時に発電用のディーゼル・エンジンの稼働を制限する画期的な規制を導入し、地上動力装置(ショワーパワー)への転換を推進してきた。2017年1月からのルールでは、1寄港毎に、着桟時間のうち補機を3時間以上運転することを禁止し、ディーゼル補助エンジンによる発電量も基準発電量の30%未満に抑えることを義務化。また、規制基準を満たせない場合には、陸上電源等、CARBが承認した技術手段を使用し、NOxやPMを70%以上削減しなければならないとしていた。

 CARBによると、同ルールにより、2014年以降のべ13,000隻以上の船に規制が適用され、大気汚染物質を80%以上削減することに成功したという。新規制の対象となる自動車運搬船とタンカーは、港湾でのPM2.5の56%を占めており、新規性が導入されると、2,300隻の船舶で大気汚染物質を90%削減できる見込み。それにより、ロサンゼルス港、ロングビーチ港、リッチモンド港では、近隣の発がんリスクを55%削減できる。

 新規性は段階的に施行される。まず、コンテナ船、客船、冷蔵貨物船には2023年から新ルールを適用開始し、停泊中の船舶に地上動力装置もしくは当局が許可する装置の使用を義務付ける。2025年から自動車運搬船にも新ルールを適用。タンカーに対しては、ロサンゼルス港とロングビーチ港では2025年から、カリフォルニア北部の港では2027年から新ルールが適用される。但し、2022年に新ルールをレビューすることにしており、そこで変更が入る可能性がある。

 今回の規制により、施行までに船舶オーナー、港湾、港湾オペレーターは、地上動力装置等の整備を進める必要がある。万が一、船舶や港の特殊事情により、同規制が遵守できない場合に備え、年間で一定量の例外申請は認める。それでも遵守できない場合は、救済ファンドに一種の「課徴金」を支払うことことで容認されるオプションも認める。救済ファンドは、近隣の環境改善のために支出しなければならない。

【参照ページ】California approves updated “At-Berth” regulation, expanding efforts to cut pollution from ships in California ports

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