Sustainable Japan | 世界のサステナビリティ・ESG投資・SDGs

【国際】G7とG20の財相会合、途上国の債務危機対策急ぐ。気候変動ファイナンス強化でも合意

 G7財相・中央銀行総裁は4月12日、日本を議長国とし、米ワシントンDCで会合を開催。国際通貨基金(IMF)、世界銀行、経済協力開発機構(OECD)、金融安定理事会(FSB)の各トップも参加した。ウクライナのセルゲイ・マルチェンコ財相も参加した。最後に共同声明を発表した。

 今回の声明では、レジリエンスが強調された。現状としては、世界経済の成長は要素されていたより「レジリエント」だが、引き続き警戒状態にあるとに認識を示した。特に共同声明の大半は、ウクライナ戦争に関するものが占め、対ロシア制裁等の経済的措置を継続するコミットメントを再確認した。また、ウクライナ戦争が、人的被害だけでなく、インフレ助長、サプライチェーンの混乱、食料・エネルギー安全保障への不安を高めていると批判した。IMF理事会が3月21日、ウクライナ政府に対する15.6億米ドルの拡大信用供与ファシリティ(EFF)で合意したことも歓迎した。

 ウクライナ戦争や異常気象等の課題に苦しむ発展途上国に対しては、多国籍金融機関(MDB)改革を前進させ、自発的な特別引出権(SDR)チャネリングを促進し、IMFの低金利融資制度である貧困削減・成長トラスト(PRGT)及びレジリエンス&サステナビリティ・トラスト(RST)のための資金を確保するとした。

 ウクライナ戦争が引き起こした課題として、グローバル・サプライチェーンのレジリエンス確保も取り上げた。自由で公正かつルールに基づく多国間システムと国際協力を堅持することと、デジタル化のメリット活用することで、経済効率性を維持しつつ、2050年カーボンニュートラルや、社会的・経済的変革を加速させるとした。

 さらに今回、「脱炭素時代における強靭なサプライチェーン構築に向けた財政・公的金融手段に係るハイレベル政策ガイダンス」も発表。民間資本を活用し、ルールに基づく世界経済システムの堅持や、サプライチェーン全体での二酸化炭素排出量削減やサーキュラーエコノミー化の奨励、ディーセント・ワークの創出と人権の遵守、共同R&Dの奨励、低・中所得国への支援の5つを掲げた。

 またG20財相・中央銀行総裁も4月12日と13日、インドを議長国とし、米ワシントンDCで会合を開催。「世界経済と国際金融アーキテクチャー」「サステナブルファイナンス、金融セクター、金融インクルージョン」「課税」に関する3つのセッションを開催した。

 世界経済と国際金融アークテクチャーのセッションでは、発展途上国の債務危機問題に議論が集中。共通枠組みの下で進行中の債務処理及びそれ以降の処理を速やかに完了する必要性を再確認した。気候変動関連政策が資本フローに与える影響等についても議論した。

 サステナブルファイナンス等のセッションでは、気候変動に対する資源の動員、国連持続可能な開発目標(SDGs)のための民間資金フローを促進するための多国間金融機関(MDB)の役割、社会的インパクト投資手法のスケールアップと幅広い採用を促すためのG20の役割に焦点を当て、議論が行われた。新興国・途上国(EMDEs)に対するリスクを考慮した上で、暗号資産(仮想通貨)に対する世界的な政策に対応することでも意見交換があった。金融インクルージョンでは、金融インクルージョンと生産性向上のためのデジタル公共インフラ(DPI)の活用に議論が集中した。

 課税では、2021年の会合で合意したデジタル課税と最低法人税率の2本柱の国際課税パッケージの効果的な実施と幅広い導入に向けた協調を議論した。

【参考】【国際】G20財相・中銀総裁会議、デジタル課税や最低法人税率、サステナブルファイナンスで最終合意(2021年10月15日)

 今回のG7とG20の財相・中央銀行総裁会合は、IMFと世界銀行が4月10日から15日かけ集中的に行う合同春季会合に合わせて開催された。4月12日に開催されたIMF・世界銀行合同開発委員会(DC)では、世界銀行の過去3年半のファイナンスが過去最大の3,300億米ドルに達し、そのうち気候変動ファイナンスが約900億米ドルを占めていることや、今後、自然資本への支援が拡大されることが確認された。

 4月14日に開催されたIMF・世界銀行合同国際通貨金融委員会(IMFC)では、グリーン、デジタル、インクルーシブの未来に向けた相互に強化する努力を加速させる必要があるとことを再確認。多国籍金融機関(MDB)から発展途上国への低金利(譲許的)融資の大幅な増額が必要であり、民間ファイナンスの動員しながら気候変動ファイナンスを強化することが必要とした。その中で、再生可能エネルギーの役割を促進すると言及。デジタルインクルージョンやサイバーセキュリティも確保するとした。そのため先進国からのMDBへの資金拠出拡大を呼びかけ、発展途上国政府の債務危機にも迅速に対応していく必要があるとした。発展途上国を支援するために世界全体で1,000億米ドルを確保する目標の達成に向け、日本の財務省は、4月14日に開催された国際通貨金融委員会(IMFC)の中で、SDRチャネリングを新規配分額の20%(84億ドル)から40%(167億ドル)にまで引き上げることを表明した。

 低所得国向けの債務危機対策では、4月12日に、「グローバル・ソブリン・デット・ラウンドテーブル(GSDR)」が発足。IMF総裁、世界銀行総裁、インド財相が共同議長を務めた。債務リストラクチャリングを加速せるため、連携を強化する。GSDRには、他に、パリクラブ議長国フランス、米国、英国、中国、日本、サウジアラビアの債権国と、エクアドル、エチオピア、ガーナ、スリランカ、スリナム、ザンビアの債務国、2024年G20議長国ブラジルが参加。さらにブラックロック、スタンダードチャータード、国際資本市場協会(ICMA)、国際金融協会(IIF)も参加した。

 スリランカに対しては、パリクラブ議長国フランス、日本、インドが4月13日、「スリランカ債権国会合」を発足。パリクラブに加盟している先進国22ヶ国だけでなく、非加盟国も含め、債務リストラクチャリングを協議することが重要とした。同会議は、最大債権国の中国に再建を主導させない狙いがあるとみられている。但し、中国にも参加を呼びかける。

 一方、アジアインフラ投資銀行(AIIB)の理事会は3月24日、アジア向け投資会社セラヤ・パートナーズが運営する「セラヤ・東南アジア・エネルギートランジション&デジタルインフラストラクチャー・ファンド」に最大1.2億米ドル(約160億円)の出資を承認。AIIBには現在、92ヶ国が加盟しており、同会合には、加盟国から100人を超える出席があった。

【参照ページ】7か国財務大臣・中央銀行総裁会議(G7)
【参照ページ】IMF and Ukrainian Authorities Reach Staff Level Agreement on a US$15.6 Billion Extended Fund Facility (EFF) Arrangement
【参照ページ】2nd Meeting of G20 Finance Ministers and Central Bank Governors (FMCBG) under the Indian G20 Presidency 12-13 April 2023, Washington, DC
【参照ページ】第107回世銀・IMF 合同開発委員会における議長声明(仮訳)(2023年4月12日 於:ワシントンD.C.)
【参照ページ】Chair’s Statement of Forty-Seventh Meeting of the IMFC
【参照ページ】第47回国際通貨金融委員会(IMFC)における日本国ステートメント
【参照ページ】Global Sovereign Debt Roundtable Co-Chairs Press Statement
【参照ページ】スリランカ債権国会合の発足に関するメディアイベント(令和5年4月13日(木))
【参照ページ】AIIB Enhances Support for Southeast Asia’s Green Transition and Sustainable Infrastructure Development, Board of Directors Meets at Bank’s Headquarters

 G7財相・中央銀行総裁は4月12日、日本を議長国とし、米ワシントンDCで会合を開催。国際通貨基金(IMF)、世界銀行、経済協力開発機構(OECD)、金融安定理事会(FSB)の各トップも参加した。ウクライナのセルゲイ・マルチェンコ財相も参加した。最後に共同声明を発表した。

 今回の声明では、レジリエンスが強調された。現状としては、世界経済の成長は要素されていたより「レジリエント」だが、引き続き警戒状態にあるとに認識を示した。特に共同声明の大半は、ウクライナ戦争に関するものが占め、対ロシア制裁等の経済的措置を継続するコミットメントを再確認した。また、ウクライナ戦争が、人的被害だけでなく、インフレ助長、サプライチェーンの混乱、食料・エネルギー安全保障への不安を高めていると批判した。IMF理事会が3月21日、ウクライナ政府に対する15.6億米ドルの拡大信用供与ファシリティ(EFF)で合意したことも歓迎した。

 ウクライナ戦争や異常気象等の課題に苦しむ発展途上国に対しては、多国籍金融機関(MDB)改革を前進させ、自発的な特別引出権(SDR)チャネリングを促進し、IMFの低金利融資制度である貧困削減・成長トラスト(PRGT)及びレジリエンス&サステナビリティ・トラスト(RST)のための資金を確保するとした。

 ウクライナ戦争が引き起こした課題として、グローバル・サプライチェーンのレジリエンス確保も取り上げた。自由で公正かつルールに基づく多国間システムと国際協力を堅持することと、デジタル化のメリット活用することで、経済効率性を維持しつつ、2050年カーボンニュートラルや、社会的・経済的変革を加速させるとした。

 さらに今回、「脱炭素時代における強靭なサプライチェーン構築に向けた財政・公的金融手段に係るハイレベル政策ガイダンス」も発表。民間資本を活用し、ルールに基づく世界経済システムの堅持や、サプライチェーン全体での二酸化炭素排出量削減やサーキュラーエコノミー化の奨励、ディーセント・ワークの創出と人権の遵守、共同R&Dの奨励、低・中所得国への支援の5つを掲げた。

 またG20財相・中央銀行総裁も4月12日と13日、インドを議長国とし、米ワシントンDCで会合を開催。「世界経済と国際金融アーキテクチャー」「サステナブルファイナンス、金融セクター、金融インクルージョン」「課税」に関する3つのセッションを開催した。

 世界経済と国際金融アークテクチャーのセッションでは、発展途上国の債務危機問題に議論が集中。共通枠組みの下で進行中の債務処理及びそれ以降の処理を速やかに完了する必要性を再確認した。気候変動関連政策が資本フローに与える影響等についても議論した。

 サステナブルファイナンス等のセッションでは、気候変動に対する資源の動員、国連持続可能な開発目標(SDGs)のための民間資金フローを促進するための多国間金融機関(MDB)の役割、社会的インパクト投資手法のスケールアップと幅広い採用を促すためのG20の役割に焦点を当て、議論が行われた。新興国・途上国(EMDEs)に対するリスクを考慮した上で、暗号資産(仮想通貨)に対する世界的な政策に対応することでも意見交換があった。金融インクルージョンでは、金融インクルージョンと生産性向上のためのデジタル公共インフラ(DPI)の活用に議論が集中した。

 課税では、2021年の会合で合意したデジタル課税と最低法人税率の2本柱の国際課税パッケージの効果的な実施と幅広い導入に向けた協調を議論した。

【参考】【国際】G20財相・中銀総裁会議、デジタル課税や最低法人税率、サステナブルファイナンスで最終合意(2021年10月15日)

 今回のG7とG20の財相・中央銀行総裁会合は、IMFと世界銀行が4月10日から15日かけ集中的に行う合同春季会合に合わせて開催された。4月12日に開催されたIMF・世界銀行合同開発委員会(DC)では、世界銀行の過去3年半のファイナンスが過去最大の3,300億米ドルに達し、そのうち気候変動ファイナンスが約900億米ドルを占めていることや、今後、自然資本への支援が拡大されることが確認された。

 4月14日に開催されたIMF・世界銀行合同国際通貨金融委員会(IMFC)では、グリーン、デジタル、インクルーシブの未来に向けた相互に強化する努力を加速させる必要があるとことを再確認。多国籍金融機関(MDB)から発展途上国への低金利(譲許的)融資の大幅な増額が必要であり、民間ファイナンスの動員しながら気候変動ファイナンスを強化することが必要とした。その中で、再生可能エネルギーの役割を促進すると言及。デジタルインクルージョンやサイバーセキュリティも確保するとした。そのため先進国からのMDBへの資金拠出拡大を呼びかけ、発展途上国政府の債務危機にも迅速に対応していく必要があるとした。発展途上国を支援するために世界全体で1,000億米ドルを確保する目標の達成に向け、日本の財務省は、4月14日に開催された国際通貨金融委員会(IMFC)の中で、SDRチャネリングを新規配分額の20%(84億ドル)から40%(167億ドル)にまで引き上げることを表明した。

 低所得国向けの債務危機対策では、4月12日に、「グローバル・ソブリン・デット・ラウンドテーブル(GSDR)」が発足。IMF総裁、世界銀行総裁、インド財相が共同議長を務めた。債務リストラクチャリングを加速せるため、連携を強化する。GSDRには、他に、パリクラブ議長国フランス、米国、英国、中国、日本、サウジアラビアの債権国と、エクアドル、エチオピア、ガーナ、スリランカ、スリナム、ザンビアの債務国、2024年G20議長国ブラジルが参加。さらにブラックロック、スタンダードチャータード、国際資本市場協会(ICMA)、国際金融協会(IIF)も参加した。

 スリランカに対しては、パリクラブ議長国フランス、日本、インドが4月13日、「スリランカ債権国会合」を発足。パリクラブに加盟している先進国22ヶ国だけでなく、非加盟国も含め、債務リストラクチャリングを協議することが重要とした。同会議は、最大債権国の中国に再建を主導させない狙いがあるとみられている。但し、中国にも参加を呼びかける。

 一方、アジアインフラ投資銀行(AIIB)の理事会は3月24日、アジア向け投資会社セラヤ・パートナーズが運営する「セラヤ・東南アジア・エネルギートランジション&デジタルインフラストラクチャー・ファンド」に最大1.2億米ドル(約160億円)の出資を承認。AIIBには現在、92ヶ国が加盟しており、同会合には、加盟国から100人を超える出席があった。

【参照ページ】7か国財務大臣・中央銀行総裁会議(G7)
【参照ページ】IMF and Ukrainian Authorities Reach Staff Level Agreement on a US$15.6 Billion Extended Fund Facility (EFF) Arrangement
【参照ページ】2nd Meeting of G20 Finance Ministers and Central Bank Governors (FMCBG) under the Indian G20 Presidency 12-13 April 2023, Washington, DC
【参照ページ】第107回世銀・IMF 合同開発委員会における議長声明(仮訳)(2023年4月12日 於:ワシントンD.C.)
【参照ページ】Chair’s Statement of Forty-Seventh Meeting of the IMFC
【参照ページ】第47回国際通貨金融委員会(IMFC)における日本国ステートメント
【参照ページ】Global Sovereign Debt Roundtable Co-Chairs Press Statement
【参照ページ】スリランカ債権国会合の発足に関するメディアイベント(令和5年4月13日(木))
【参照ページ】AIIB Enhances Support for Southeast Asia’s Green Transition and Sustainable Infrastructure Development, Board of Directors Meets at Bank’s Headquarters

 G7財相・中央銀行総裁は4月12日、日本を議長国とし、米ワシントンDCで会合を開催。国際通貨基金(IMF)、世界銀行、経済協力開発機構(OECD)、金融安定理事会(FSB)の各トップも参加した。ウクライナのセルゲイ・マルチェンコ財相も参加した。最後に共同声明を発表した。

 今回の声明では、レジリエンスが強調された。現状としては、世界経済の成長は要素されていたより「レジリエント」だが、引き続き警戒状態にあるとに認識を示した。特に共同声明の大半は、ウクライナ戦争に関するものが占め、対ロシア制裁等の経済的措置を継続するコミットメントを再確認した。また、ウクライナ戦争が、人的被害だけでなく、インフレ助長、サプライチェーンの混乱、食料・エネルギー安全保障への不安を高めていると批判した。IMF理事会が3月21日、ウクライナ政府に対する15.6億米ドルの拡大信用供与ファシリティ(EFF)で合意したことも歓迎した。

 ウクライナ戦争や異常気象等の課題に苦しむ発展途上国に対しては、多国籍金融機関(MDB)改革を前進させ、自発的な特別引出権(SDR)チャネリングを促進し、IMFの低金利融資制度である貧困削減・成長トラスト(PRGT)及びレジリエンス&サステナビリティ・トラスト(RST)のための資金を確保するとした。

 ウクライナ戦争が引き起こした課題として、グローバル・サプライチェーンのレジリエンス確保も取り上げた。自由で公正かつルールに基づく多国間システムと国際協力を堅持することと、デジタル化のメリット活用することで、経済効率性を維持しつつ、2050年カーボンニュートラルや、社会的・経済的変革を加速させるとした。

 さらに今回、「脱炭素時代における強靭なサプライチェーン構築に向けた財政・公的金融手段に係るハイレベル政策ガイダンス」も発表。民間資本を活用し、ルールに基づく世界経済システムの堅持や、サプライチェーン全体での二酸化炭素排出量削減やサーキュラーエコノミー化の奨励、ディーセント・ワークの創出と人権の遵守、共同R&Dの奨励、低・中所得国への支援の5つを掲げた。

 またG20財相・中央銀行総裁も4月12日と13日、インドを議長国とし、米ワシントンDCで会合を開催。「世界経済と国際金融アーキテクチャー」「サステナブルファイナンス、金融セクター、金融インクルージョン」「課税」に関する3つのセッションを開催した。

 世界経済と国際金融アークテクチャーのセッションでは、発展途上国の債務危機問題に議論が集中。共通枠組みの下で進行中の債務処理及びそれ以降の処理を速やかに完了する必要性を再確認した。気候変動関連政策が資本フローに与える影響等についても議論した。

 サステナブルファイナンス等のセッションでは、気候変動に対する資源の動員、国連持続可能な開発目標(SDGs)のための民間資金フローを促進するための多国間金融機関(MDB)の役割、社会的インパクト投資手法のスケールアップと幅広い採用を促すためのG20の役割に焦点を当て、議論が行われた。新興国・途上国(EMDEs)に対するリスクを考慮した上で、暗号資産(仮想通貨)に対する世界的な政策に対応することでも意見交換があった。金融インクルージョンでは、金融インクルージョンと生産性向上のためのデジタル公共インフラ(DPI)の活用に議論が集中した。

 課税では、2021年の会合で合意したデジタル課税と最低法人税率の2本柱の国際課税パッケージの効果的な実施と幅広い導入に向けた協調を議論した。

【参考】【国際】G20財相・中銀総裁会議、デジタル課税や最低法人税率、サステナブルファイナンスで最終合意(2021年10月15日)

 今回のG7とG20の財相・中央銀行総裁会合は、IMFと世界銀行が4月10日から15日かけ集中的に行う合同春季会合に合わせて開催された。4月12日に開催されたIMF・世界銀行合同開発委員会(DC)では、世界銀行の過去3年半のファイナンスが過去最大の3,300億米ドルに達し、そのうち気候変動ファイナンスが約900億米ドルを占めていることや、今後、自然資本への支援が拡大されることが確認された。

 4月14日に開催されたIMF・世界銀行合同国際通貨金融委員会(IMFC)では、グリーン、デジタル、インクルーシブの未来に向けた相互に強化する努力を加速させる必要があるとことを再確認。多国籍金融機関(MDB)から発展途上国への低金利(譲許的)融資の大幅な増額が必要であり、民間ファイナンスの動員しながら気候変動ファイナンスを強化することが必要とした。その中で、再生可能エネルギーの役割を促進すると言及。デジタルインクルージョンやサイバーセキュリティも確保するとした。そのため先進国からのMDBへの資金拠出拡大を呼びかけ、発展途上国政府の債務危機にも迅速に対応していく必要があるとした。発展途上国を支援するために世界全体で1,000億米ドルを確保する目標の達成に向け、日本の財務省は、4月14日に開催された国際通貨金融委員会(IMFC)の中で、SDRチャネリングを新規配分額の20%(84億ドル)から40%(167億ドル)にまで引き上げることを表明した。

 低所得国向けの債務危機対策では、4月12日に、「グローバル・ソブリン・デット・ラウンドテーブル(GSDR)」が発足。IMF総裁、世界銀行総裁、インド財相が共同議長を務めた。債務リストラクチャリングを加速せるため、連携を強化する。GSDRには、他に、パリクラブ議長国フランス、米国、英国、中国、日本、サウジアラビアの債権国と、エクアドル、エチオピア、ガーナ、スリランカ、スリナム、ザンビアの債務国、2024年G20議長国ブラジルが参加。さらにブラックロック、スタンダードチャータード、国際資本市場協会(ICMA)、国際金融協会(IIF)も参加した。

 スリランカに対しては、パリクラブ議長国フランス、日本、インドが4月13日、「スリランカ債権国会合」を発足。パリクラブに加盟している先進国22ヶ国だけでなく、非加盟国も含め、債務リストラクチャリングを協議することが重要とした。同会議は、最大債権国の中国に再建を主導させない狙いがあるとみられている。但し、中国にも参加を呼びかける。

 一方、アジアインフラ投資銀行(AIIB)の理事会は3月24日、アジア向け投資会社セラヤ・パートナーズが運営する「セラヤ・東南アジア・エネルギートランジション&デジタルインフラストラクチャー・ファンド」に最大1.2億米ドル(約160億円)の出資を承認。AIIBには現在、92ヶ国が加盟しており、同会合には、加盟国から100人を超える出席があった。

【参照ページ】7か国財務大臣・中央銀行総裁会議(G7)
【参照ページ】IMF and Ukrainian Authorities Reach Staff Level Agreement on a US$15.6 Billion Extended Fund Facility (EFF) Arrangement
【参照ページ】2nd Meeting of G20 Finance Ministers and Central Bank Governors (FMCBG) under the Indian G20 Presidency 12-13 April 2023, Washington, DC
【参照ページ】第107回世銀・IMF 合同開発委員会における議長声明(仮訳)(2023年4月12日 於:ワシントンD.C.)
【参照ページ】Chair’s Statement of Forty-Seventh Meeting of the IMFC
【参照ページ】第47回国際通貨金融委員会(IMFC)における日本国ステートメント
【参照ページ】Global Sovereign Debt Roundtable Co-Chairs Press Statement
【参照ページ】スリランカ債権国会合の発足に関するメディアイベント(令和5年4月13日(木))
【参照ページ】AIIB Enhances Support for Southeast Asia’s Green Transition and Sustainable Infrastructure Development, Board of Directors Meets at Bank’s Headquarters

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 G7財相・中央銀行総裁は4月12日、日本を議長国とし、米ワシントンDCで会合を開催。国際通貨基金(IMF)、世界銀行、経済協力開発機構(OECD)、金融安定理事会(FSB)の各トップも参加した。ウクライナのセルゲイ・マルチェンコ財相も参加した。最後に共同声明を発表した。

 今回の声明では、レジリエンスが強調された。現状としては、世界経済の成長は要素されていたより「レジリエント」だが、引き続き警戒状態にあるとに認識を示した。特に共同声明の大半は、ウクライナ戦争に関するものが占め、対ロシア制裁等の経済的措置を継続するコミットメントを再確認した。また、ウクライナ戦争が、人的被害だけでなく、インフレ助長、サプライチェーンの混乱、食料・エネルギー安全保障への不安を高めていると批判した。IMF理事会が3月21日、ウクライナ政府に対する15.6億米ドルの拡大信用供与ファシリティ(EFF)で合意したことも歓迎した。

 ウクライナ戦争や異常気象等の課題に苦しむ発展途上国に対しては、多国籍金融機関(MDB)改革を前進させ、自発的な特別引出権(SDR)チャネリングを促進し、IMFの低金利融資制度である貧困削減・成長トラスト(PRGT)及びレジリエンス&サステナビリティ・トラスト(RST)のための資金を確保するとした。

 ウクライナ戦争が引き起こした課題として、グローバル・サプライチェーンのレジリエンス確保も取り上げた。自由で公正かつルールに基づく多国間システムと国際協力を堅持することと、デジタル化のメリット活用することで、経済効率性を維持しつつ、2050年カーボンニュートラルや、社会的・経済的変革を加速させるとした。

 さらに今回、「脱炭素時代における強靭なサプライチェーン構築に向けた財政・公的金融手段に係るハイレベル政策ガイダンス」も発表。民間資本を活用し、ルールに基づく世界経済システムの堅持や、サプライチェーン全体での二酸化炭素排出量削減やサーキュラーエコノミー化の奨励、ディーセント・ワークの創出と人権の遵守、共同R&Dの奨励、低・中所得国への支援の5つを掲げた。

 またG20財相・中央銀行総裁も4月12日と13日、インドを議長国とし、米ワシントンDCで会合を開催。「世界経済と国際金融アーキテクチャー」「サステナブルファイナンス、金融セクター、金融インクルージョン」「課税」に関する3つのセッションを開催した。

 世界経済と国際金融アークテクチャーのセッションでは、発展途上国の債務危機問題に議論が集中。共通枠組みの下で進行中の債務処理及びそれ以降の処理を速やかに完了する必要性を再確認した。気候変動関連政策が資本フローに与える影響等についても議論した。

 サステナブルファイナンス等のセッションでは、気候変動に対する資源の動員、国連持続可能な開発目標(SDGs)のための民間資金フローを促進するための多国間金融機関(MDB)の役割、社会的インパクト投資手法のスケールアップと幅広い採用を促すためのG20の役割に焦点を当て、議論が行われた。新興国・途上国(EMDEs)に対するリスクを考慮した上で、暗号資産(仮想通貨)に対する世界的な政策に対応することでも意見交換があった。金融インクルージョンでは、金融インクルージョンと生産性向上のためのデジタル公共インフラ(DPI)の活用に議論が集中した。

 課税では、2021年の会合で合意したデジタル課税と最低法人税率の2本柱の国際課税パッケージの効果的な実施と幅広い導入に向けた協調を議論した。

【参考】【国際】G20財相・中銀総裁会議、デジタル課税や最低法人税率、サステナブルファイナンスで最終合意(2021年10月15日)

 今回のG7とG20の財相・中央銀行総裁会合は、IMFと世界銀行が4月10日から15日かけ集中的に行う合同春季会合に合わせて開催された。4月12日に開催されたIMF・世界銀行合同開発委員会(DC)では、世界銀行の過去3年半のファイナンスが過去最大の3,300億米ドルに達し、そのうち気候変動ファイナンスが約900億米ドルを占めていることや、今後、自然資本への支援が拡大されることが確認された。

 4月14日に開催されたIMF・世界銀行合同国際通貨金融委員会(IMFC)では、グリーン、デジタル、インクルーシブの未来に向けた相互に強化する努力を加速させる必要があるとことを再確認。多国籍金融機関(MDB)から発展途上国への低金利(譲許的)融資の大幅な増額が必要であり、民間ファイナンスの動員しながら気候変動ファイナンスを強化することが必要とした。その中で、再生可能エネルギーの役割を促進すると言及。デジタルインクルージョンやサイバーセキュリティも確保するとした。そのため先進国からのMDBへの資金拠出拡大を呼びかけ、発展途上国政府の債務危機にも迅速に対応していく必要があるとした。発展途上国を支援するために世界全体で1,000億米ドルを確保する目標の達成に向け、日本の財務省は、4月14日に開催された国際通貨金融委員会(IMFC)の中で、SDRチャネリングを新規配分額の20%(84億ドル)から40%(167億ドル)にまで引き上げることを表明した。

 低所得国向けの債務危機対策では、4月12日に、「グローバル・ソブリン・デット・ラウンドテーブル(GSDR)」が発足。IMF総裁、世界銀行総裁、インド財相が共同議長を務めた。債務リストラクチャリングを加速せるため、連携を強化する。GSDRには、他に、パリクラブ議長国フランス、米国、英国、中国、日本、サウジアラビアの債権国と、エクアドル、エチオピア、ガーナ、スリランカ、スリナム、ザンビアの債務国、2024年G20議長国ブラジルが参加。さらにブラックロック、スタンダードチャータード、国際資本市場協会(ICMA)、国際金融協会(IIF)も参加した。

 スリランカに対しては、パリクラブ議長国フランス、日本、インドが4月13日、「スリランカ債権国会合」を発足。パリクラブに加盟している先進国22ヶ国だけでなく、非加盟国も含め、債務リストラクチャリングを協議することが重要とした。同会議は、最大債権国の中国に再建を主導させない狙いがあるとみられている。但し、中国にも参加を呼びかける。

 一方、アジアインフラ投資銀行(AIIB)の理事会は3月24日、アジア向け投資会社セラヤ・パートナーズが運営する「セラヤ・東南アジア・エネルギートランジション&デジタルインフラストラクチャー・ファンド」に最大1.2億米ドル(約160億円)の出資を承認。AIIBには現在、92ヶ国が加盟しており、同会合には、加盟国から100人を超える出席があった。

【参照ページ】7か国財務大臣・中央銀行総裁会議(G7)
【参照ページ】IMF and Ukrainian Authorities Reach Staff Level Agreement on a US$15.6 Billion Extended Fund Facility (EFF) Arrangement
【参照ページ】2nd Meeting of G20 Finance Ministers and Central Bank Governors (FMCBG) under the Indian G20 Presidency 12-13 April 2023, Washington, DC
【参照ページ】第107回世銀・IMF 合同開発委員会における議長声明(仮訳)(2023年4月12日 於:ワシントンD.C.)
【参照ページ】Chair’s Statement of Forty-Seventh Meeting of the IMFC
【参照ページ】第47回国際通貨金融委員会(IMFC)における日本国ステートメント
【参照ページ】Global Sovereign Debt Roundtable Co-Chairs Press Statement
【参照ページ】スリランカ債権国会合の発足に関するメディアイベント(令和5年4月13日(木))
【参照ページ】AIIB Enhances Support for Southeast Asia’s Green Transition and Sustainable Infrastructure Development, Board of Directors Meets at Bank’s Headquarters