Sustainable Japan | 世界のサステナビリティ・ESG投資・SDGs

【国際】UNFSS+2、国連事務総長が総括し閉幕。企業の関与拡大訴え。気候変動政策への組込み

 国連食糧システムサミット+2ストックテイキング・モーメント(UNFSS+2)が7月24日から26日まで、イタリアのローマで開催された。最終日にアントニオ・グテーレス国連事務総長が、食料システム変革のための行動要請文書を発表し、閉幕した。

 国連事務総長が主催する国連食糧システムサミットは、2021年に第1回が開催され、今年が2年目。国連食糧農業機関(FAO)が中核となり、国連食糧システム調整ハブを形成。国際農業開発基金(IFAD)、世界食糧計画(WFP)、国連環境計画(UNEP)、世界保健機関(WHO)、国連開発調整オフィスが参画している。

 2021年のUNFSSでは、国連事務総長の総括文書の中で、2年毎に進捗状況を確認する「ストックテイキング・モーメント」会合を開催することを宣言しており、今回のサミットは、ローマに本部を置くFAO、IFAD、WFPの3団体が共同主催者となって宣言通り開催された。182カ国からの代表団、国家主席級が21人、閣僚が126人、NGOが225団体等、合計3,300人以上が参加した。

【参考】【国際】国連食料システムサミット、政府やNGOから数多くのイニシアチブ誕生。草の根NGOからは批判の声も(2021年9月28日)

 2021年の前回サミット前後以降、FAOに食料システムに関する国家戦略(National Pathways)を提出した国は126ヶ国となった。また、今回のサミットに向けては、101ヶ国が進捗報告を提出。このようにFAOは、各国に自発的な政策策定を促すとともに、全体の進捗をアクションカテゴリーレベルで集計し、現状の課題と対策を伝える手法を採っている。

 事務総長の行動要請文書では、食料システムの現状として、新型コロナウイルス・パンデミック、三重の地球危機(気候変動、汚染、生物多様性喪失)、ウクライナ戦争が、食糧価格を高騰させ、マクロ経済の不安定化にもつながっているとの懸念を表明。飢餓がさらに深刻化しているとの認識を示した。また、一定の進捗はあるものの、政府の影響が及ばない分野が多く、マルチステークホルダー型の対策が必要になるとの認識を示した。

 具体的には、政府、国際金融機関、農業協同組合、企業、NGO、研究機関、青少年、先住民族、メディアの各リーダーに対し、6つの分野での協調行動を求めた。

  • 持続可能な開発のため、人々の生活、栄養、健康のため、経済成長のため、気候変動対策と自然のため、そして収穫後の食品ロスに対処するため、食料システム戦略をすべての国家政策に組み込み、誰一人取り残さない。
  • 短期と長期を組み合わせた社会全体のアプローチのために、すべてのセクターとステークホルダーを巻き込む食料システム・ガバナンスを確立する。
  • 科学、経験、専門知識との連携強化を含む、研究、データ、イノベーション、テクノロジー能力へ投資する。
  • 知識の共有、セクター横断的プログラム、マルチステークホルダーとのパートナーシップ、状況や場所に応じた行動、より強力で多様な生産、相互の説明責任等、女性、若者、先住民族を含めた地域レベルでの参加型の設計と実施を深める。
  • 食料システムのサステナビリティを構築し、食料システムにとっての中心性を認識した上で、アカウンタビリティ・メカニズムを確立・強化するために、官民パートナーシップを通じたものを含め、企業の関与の拡大を促進する。
  • 短期と長期の譲許的資金、投資、予算支援、債務再編へのアクセスを確保する。

 また国連食糧システム調整ハブと、国連気候変動枠組条約第28回ドバイ締約国会議(COP28)議長国のアラブ首長国連邦(UAE)政府は7月28日、食糧システムの変革と気候変動対策を相互に支援する新たなパートナーシップも発表。パリ協定での国別削減目標(NDC)と国家適応計画(NAP)に、食料・農業分野を組み込むよう各国政府に求めていくことで一致した。

【参照ページ】PRESS RELEASE: Global Leaders and Stakeholders Rally for Accelerated Food Systems Transformation at UN Food Systems Summit +2 Stocktaking Moment
【参照ページ】Secretary-General’s Call to Action for accelerated Food Systems Transformation (FST)
【参照ページ】Report of the Secretary-General
【参照ページ】Documentation
【参照ページ】Shadow Report to the UNFSS+2
【参照ページ】Member State Dialogue Convenors and Pathways
【参照ページ】Pathways Analysis
【参照ページ】PRESS RELEASE – COP28 Presidency and UN Food Systems Coordination Hub Join Forces to Harness the Power of Food Systems Transformation for Climate Action

ここから先は登録ユーザー限定のコンテンツとなります。ログインまたはユーザー登録を行って下さい。

 国連食糧システムサミット+2ストックテイキング・モーメント(UNFSS+2)が7月24日から26日まで、イタリアのローマで開催された。最終日にアントニオ・グテーレス国連事務総長が、食料システム変革のための行動要請文書を発表し、閉幕した。

 国連事務総長が主催する国連食糧システムサミットは、

ここから先は登録ユーザー限定のコンテンツとなります。ログインまたはユーザー登録を行って下さい。

 国連食糧システムサミット+2ストックテイキング・モーメント(UNFSS+2)が7月24日から26日まで、イタリアのローマで開催された。最終日にアントニオ・グテーレス国連事務総長が、食料システム変革のための行動要請文書を発表し、閉幕した。

 国連事務総長が主催する国連食糧システムサミットは、

ここから先は登録ユーザー限定のコンテンツとなります。ログインまたはユーザー登録を行って下さい。

ここから先は有料登録会員限定のコンテンツとなります。有料登録会員へのアップグレードを行って下さい。

 国連食糧システムサミット+2ストックテイキング・モーメント(UNFSS+2)が7月24日から26日まで、イタリアのローマで開催された。最終日にアントニオ・グテーレス国連事務総長が、食料システム変革のための行動要請文書を発表し、閉幕した。

 国連事務総長が主催する国連食糧システムサミットは、2021年に第1回が開催され、今年が2年目。国連食糧農業機関(FAO)が中核となり、国連食糧システム調整ハブを形成。国際農業開発基金(IFAD)、世界食糧計画(WFP)、国連環境計画(UNEP)、世界保健機関(WHO)、国連開発調整オフィスが参画している。

 2021年のUNFSSでは、国連事務総長の総括文書の中で、2年毎に進捗状況を確認する「ストックテイキング・モーメント」会合を開催することを宣言しており、今回のサミットは、ローマに本部を置くFAO、IFAD、WFPの3団体が共同主催者となって宣言通り開催された。182カ国からの代表団、国家主席級が21人、閣僚が126人、NGOが225団体等、合計3,300人以上が参加した。

【参考】【国際】国連食料システムサミット、政府やNGOから数多くのイニシアチブ誕生。草の根NGOからは批判の声も(2021年9月28日)

 2021年の前回サミット前後以降、FAOに食料システムに関する国家戦略(National Pathways)を提出した国は126ヶ国となった。また、今回のサミットに向けては、101ヶ国が進捗報告を提出。このようにFAOは、各国に自発的な政策策定を促すとともに、全体の進捗をアクションカテゴリーレベルで集計し、現状の課題と対策を伝える手法を採っている。

 事務総長の行動要請文書では、食料システムの現状として、新型コロナウイルス・パンデミック、三重の地球危機(気候変動、汚染、生物多様性喪失)、ウクライナ戦争が、食糧価格を高騰させ、マクロ経済の不安定化にもつながっているとの懸念を表明。飢餓がさらに深刻化しているとの認識を示した。また、一定の進捗はあるものの、政府の影響が及ばない分野が多く、マルチステークホルダー型の対策が必要になるとの認識を示した。

 具体的には、政府、国際金融機関、農業協同組合、企業、NGO、研究機関、青少年、先住民族、メディアの各リーダーに対し、6つの分野での協調行動を求めた。

  • 持続可能な開発のため、人々の生活、栄養、健康のため、経済成長のため、気候変動対策と自然のため、そして収穫後の食品ロスに対処するため、食料システム戦略をすべての国家政策に組み込み、誰一人取り残さない。
  • 短期と長期を組み合わせた社会全体のアプローチのために、すべてのセクターとステークホルダーを巻き込む食料システム・ガバナンスを確立する。
  • 科学、経験、専門知識との連携強化を含む、研究、データ、イノベーション、テクノロジー能力へ投資する。
  • 知識の共有、セクター横断的プログラム、マルチステークホルダーとのパートナーシップ、状況や場所に応じた行動、より強力で多様な生産、相互の説明責任等、女性、若者、先住民族を含めた地域レベルでの参加型の設計と実施を深める。
  • 食料システムのサステナビリティを構築し、食料システムにとっての中心性を認識した上で、アカウンタビリティ・メカニズムを確立・強化するために、官民パートナーシップを通じたものを含め、企業の関与の拡大を促進する。
  • 短期と長期の譲許的資金、投資、予算支援、債務再編へのアクセスを確保する。

 また国連食糧システム調整ハブと、国連気候変動枠組条約第28回ドバイ締約国会議(COP28)議長国のアラブ首長国連邦(UAE)政府は7月28日、食糧システムの変革と気候変動対策を相互に支援する新たなパートナーシップも発表。パリ協定での国別削減目標(NDC)と国家適応計画(NAP)に、食料・農業分野を組み込むよう各国政府に求めていくことで一致した。

【参照ページ】PRESS RELEASE: Global Leaders and Stakeholders Rally for Accelerated Food Systems Transformation at UN Food Systems Summit +2 Stocktaking Moment
【参照ページ】Secretary-General’s Call to Action for accelerated Food Systems Transformation (FST)
【参照ページ】Report of the Secretary-General
【参照ページ】Documentation
【参照ページ】Shadow Report to the UNFSS+2
【参照ページ】Member State Dialogue Convenors and Pathways
【参照ページ】Pathways Analysis
【参照ページ】PRESS RELEASE – COP28 Presidency and UN Food Systems Coordination Hub Join Forces to Harness the Power of Food Systems Transformation for Climate Action

ここから先は登録ユーザー限定のコンテンツとなります。ログインまたはユーザー登録を行って下さい。