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【国際】OECD、世界的な債券発行増に警鐘。特に低格付発行体に大きなリスク

 経済協力開発機構(OECD)は3月7日、政府と企業の債券残高が急速に上昇しており、警鐘を鳴らすレポートを発行した。

 債券市場では現在、2008年以降の低金利環境により、低格付の政府や企業を含むより広範な発行体で債券が発行されている。さらに、サステナブル債市場(GSS+債市場)の急成長も債券発行の増加に寄与している。

 過去10年間の間、各国の中央銀行は、起債された債券の購入者借入増加の大部分を吸収してきたが、現在は量的緩和政策の縮小により、債券市場から撤退してきていいる。これにより、民間市場に供給される債券は記録的水準にまで増加している。しかし、民間市場で吸収できる債券には限度があり、需給関係が悪化していく可能性を示唆した。

 過去10年に発行された債券は、固定の低金利で発行されており、2022年初頭からの金利急騰の影響は今のところ比較的軽微に留まっている。実際に、OECD圏の国債平均借入コストは2021年の1%から2023年には4%に上昇したが、中央政府の利払費の対GDP比は同期間に2.3%から2.9%上昇するに留まっていた。しかし、今後3年間で満期を迎える債券が数多くあり、リファイナンスにより金利上昇が予見されている。これにより、高債務の先進国や新興国では、金利上昇、成長鈍化、財政赤字拡大という負のフィードバック・ループに直面する可能性があるとした。

 OECD諸国の政府債務対GDP比率は2023年末に83%に達している。名目GDP成長率を押し上げたインフレ率の上昇により、過去2年間で政府債務対GDP比率は、10ポイント以上低下させたが、それでも2008年と比較して30ポイントの上昇となっている。OECDの国債債務総額は2024年には56兆米ドルへとさらに増加する見通しで、2023年比で2兆米ドル、2008年比で30兆米ドルの増加となる。世界の社債残高も同期間に、21兆米ドルから34兆米ドルに増加し、そのうち60%以上が非金融法人によるもの。

 OECDは今回、主要なリスクは現在、債務残高対GDP比の高い一部の先進国、格付けの低い低所得国、一部のセクター(特に不動産)でレバレッジの高い企業発行体等、世界の債務市場の一部のセグメントに集中していると指摘した。特に、投資適格債の最低格付けのBBBでの発行額が2000年の2倍以上となっており、高レバレッジの指標である有利子負債EBITDA倍率が4倍を超えるBBB格の債券のシェアは、2008年の11%から2023年には42%に上昇している。

 また、起債増の要因となっているサステナブル債(GSS+債)については、健全に市場が機能しているか評価していく必要があると述べた。特に、新規のプロジェクトではなく、締結済みの適格プロジェクトのリファイナンスが認められている点にうちて、発行体は調達資金をすべて適格プロジェクトに充当できなくても罰則を受けないことに課題があるとの見方も示した。

【参照ページ】Governments and firms need to address the key risks from a sharp increase in global bond borrowing

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 経済協力開発機構(OECD)は3月7日、政府と企業の債券残高が急速に上昇しており、警鐘を鳴らすレポートを発行した。

 債券市場では現在、

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 経済協力開発機構(OECD)は3月7日、政府と企業の債券残高が急速に上昇しており、警鐘を鳴らすレポートを発行した。

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 経済協力開発機構(OECD)は3月7日、政府と企業の債券残高が急速に上昇しており、警鐘を鳴らすレポートを発行した。

 債券市場では現在、2008年以降の低金利環境により、低格付の政府や企業を含むより広範な発行体で債券が発行されている。さらに、サステナブル債市場(GSS+債市場)の急成長も債券発行の増加に寄与している。

 過去10年間の間、各国の中央銀行は、起債された債券の購入者借入増加の大部分を吸収してきたが、現在は量的緩和政策の縮小により、債券市場から撤退してきていいる。これにより、民間市場に供給される債券は記録的水準にまで増加している。しかし、民間市場で吸収できる債券には限度があり、需給関係が悪化していく可能性を示唆した。

 過去10年に発行された債券は、固定の低金利で発行されており、2022年初頭からの金利急騰の影響は今のところ比較的軽微に留まっている。実際に、OECD圏の国債平均借入コストは2021年の1%から2023年には4%に上昇したが、中央政府の利払費の対GDP比は同期間に2.3%から2.9%上昇するに留まっていた。しかし、今後3年間で満期を迎える債券が数多くあり、リファイナンスにより金利上昇が予見されている。これにより、高債務の先進国や新興国では、金利上昇、成長鈍化、財政赤字拡大という負のフィードバック・ループに直面する可能性があるとした。

 OECD諸国の政府債務対GDP比率は2023年末に83%に達している。名目GDP成長率を押し上げたインフレ率の上昇により、過去2年間で政府債務対GDP比率は、10ポイント以上低下させたが、それでも2008年と比較して30ポイントの上昇となっている。OECDの国債債務総額は2024年には56兆米ドルへとさらに増加する見通しで、2023年比で2兆米ドル、2008年比で30兆米ドルの増加となる。世界の社債残高も同期間に、21兆米ドルから34兆米ドルに増加し、そのうち60%以上が非金融法人によるもの。

 OECDは今回、主要なリスクは現在、債務残高対GDP比の高い一部の先進国、格付けの低い低所得国、一部のセクター(特に不動産)でレバレッジの高い企業発行体等、世界の債務市場の一部のセグメントに集中していると指摘した。特に、投資適格債の最低格付けのBBBでの発行額が2000年の2倍以上となっており、高レバレッジの指標である有利子負債EBITDA倍率が4倍を超えるBBB格の債券のシェアは、2008年の11%から2023年には42%に上昇している。

 また、起債増の要因となっているサステナブル債(GSS+債)については、健全に市場が機能しているか評価していく必要があると述べた。特に、新規のプロジェクトではなく、締結済みの適格プロジェクトのリファイナンスが認められている点にうちて、発行体は調達資金をすべて適格プロジェクトに充当できなくても罰則を受けないことに課題があるとの見方も示した。

【参照ページ】Governments and firms need to address the key risks from a sharp increase in global bond borrowing

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