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【国際】UNDP、人間開発指数2024発行。日本は24位で2つ後退。政治分断に危機感

 国連開発計画(UNDP)は3月13日、「人間開発指数(HDI)」の国・地域別ランキングの2024年度版結果を発表した。最新版は2022年時のランキングの発表となっている。日本は前年から2位順位を下げ、24位となった。

 HDIは、健康、教育、生活水準の3つの要素を定量評価している。健康は、出生時の平均余命で評価。教育の次元は、25歳以上の成人の就学年数の平均と就学年齢に達した子どもの就学予定年数で測定。生活水準は、1人当たり国民総所得(GNI)で測定されている。HDIは、GNIが増加するにつれて所得の重要性が逓減することを反映し、所得の対数を採用。最終的に、3つのHDI指数のスコアを、幾何平均を用いて総合指数を算出している。一方、不平等、貧困、人間の安全保障、エンパワーメント等の状況は反映されていない。

HDI 2024 ランキング

  1. スイス
  2. ノルウェー
  3. アイスランド
  4. 香港
  5. デンマーク
  6. スウェーデン
  7. ドイツ
  8. アイルランド
  9. シンガポール
  10. オーストラリア

 HDIは、ほとんどの国で上昇傾向にあり、ランキングは相対的な順位としてつけられている。日本もリーマン・ショック直後の2009年、東日本大震災の2011年、新型コロナウイルス・パンデミックの2020年に減少したが、それ以外は過去32年上昇してきた。今回は前年度からスコアは横ばい。スロベニアとオーストリアに抜かれ、順位を2つ下げた。

 国連開発計画(UNDP)のアヒム・シュタイナー総裁は、今回の発表に際し、「過去20年にわたり、富める国と貧しい国との間の不平等は着実に縮小してきましたが、同報告書で明らかにされた人間開発格差の拡大は、この傾向が逆転したことを示している」と表明。かつては先進国と発展途上国の格差はうまりつつあったが、最近ではその差が再び広がりつつあるとした。背景には、新型コロナウイルス・パンデミックの影響で、発展途上国はレジリエント度が低く、社会の回復が先進国より遅いという事情がある。

 今回の報告書では、民主主義の危機についても論じている。国際調査では、民主主義制度を肯定的に捉える人の割合が減少し、民主主義を破壊するようなリーダーに期待する人の割合が増加してきている。調査回答者の半数は、自分自身の生活について全くもしくはほとんど自分の意志が及ばないと捉えており、政府の決定にほとんど影響力を行使できないという回答者も3分の2を超えている。

 政治的な二極化についても、世界的に影響を及ぼす懸念が高まってきていると指摘した。同報告書では、経済のカーボンニュートラル化やデジタル技術の悪用、紛争といった喫緊の課題への対処には、グローバルな協調が必要である一方、実際には無力感とともに内向きの政策志向が強まっていると危機感を顕にした。

 一方、一部で主張されている「脱グローバリズム」については、「可能でも現実的でもない」と否定的な見方を示した。世界経済では相互依存関係が依然として高く、あらゆる地域が1種類以上の主要物品またはサービスで輸入依存率が25%を超えているという。自給自足に近い地域はないろ論じた。

 同報告書は、今後の対策の方向性として、「気候の安定化に資するプラネタリー公共財」「公平性の向上を目的とするデジタル関連のグローバル公共財」「新たな拡大型の金融メカニズム」「デマと闘うことを重点とする新たなガバナンス・アプローチを通じた政治的二極化の抑制」の4つを挙げた。

【参照ページ】HUMAN DEVELOPMENT REPORT 2023-24
【参照ページ】UNDP人間開発報告書 最新版発表: 豊かな国では人間開発が記録的水準に達する一方、 最貧国の半数の状況は後退

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 国連開発計画(UNDP)は3月13日、「人間開発指数(HDI)」の国・地域別ランキングの2024年度版結果を発表した。最新版は2022年時のランキングの発表となっている。日本は前年から2位順位を下げ、24位となった。

 HDIは、

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 国連開発計画(UNDP)は3月13日、「人間開発指数(HDI)」の国・地域別ランキングの2024年度版結果を発表した。最新版は2022年時のランキングの発表となっている。日本は前年から2位順位を下げ、24位となった。

 HDIは、

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 国連開発計画(UNDP)は3月13日、「人間開発指数(HDI)」の国・地域別ランキングの2024年度版結果を発表した。最新版は2022年時のランキングの発表となっている。日本は前年から2位順位を下げ、24位となった。

 HDIは、健康、教育、生活水準の3つの要素を定量評価している。健康は、出生時の平均余命で評価。教育の次元は、25歳以上の成人の就学年数の平均と就学年齢に達した子どもの就学予定年数で測定。生活水準は、1人当たり国民総所得(GNI)で測定されている。HDIは、GNIが増加するにつれて所得の重要性が逓減することを反映し、所得の対数を採用。最終的に、3つのHDI指数のスコアを、幾何平均を用いて総合指数を算出している。一方、不平等、貧困、人間の安全保障、エンパワーメント等の状況は反映されていない。

HDI 2024 ランキング

  1. スイス
  2. ノルウェー
  3. アイスランド
  4. 香港
  5. デンマーク
  6. スウェーデン
  7. ドイツ
  8. アイルランド
  9. シンガポール
  10. オーストラリア

 HDIは、ほとんどの国で上昇傾向にあり、ランキングは相対的な順位としてつけられている。日本もリーマン・ショック直後の2009年、東日本大震災の2011年、新型コロナウイルス・パンデミックの2020年に減少したが、それ以外は過去32年上昇してきた。今回は前年度からスコアは横ばい。スロベニアとオーストリアに抜かれ、順位を2つ下げた。

 国連開発計画(UNDP)のアヒム・シュタイナー総裁は、今回の発表に際し、「過去20年にわたり、富める国と貧しい国との間の不平等は着実に縮小してきましたが、同報告書で明らかにされた人間開発格差の拡大は、この傾向が逆転したことを示している」と表明。かつては先進国と発展途上国の格差はうまりつつあったが、最近ではその差が再び広がりつつあるとした。背景には、新型コロナウイルス・パンデミックの影響で、発展途上国はレジリエント度が低く、社会の回復が先進国より遅いという事情がある。

 今回の報告書では、民主主義の危機についても論じている。国際調査では、民主主義制度を肯定的に捉える人の割合が減少し、民主主義を破壊するようなリーダーに期待する人の割合が増加してきている。調査回答者の半数は、自分自身の生活について全くもしくはほとんど自分の意志が及ばないと捉えており、政府の決定にほとんど影響力を行使できないという回答者も3分の2を超えている。

 政治的な二極化についても、世界的に影響を及ぼす懸念が高まってきていると指摘した。同報告書では、経済のカーボンニュートラル化やデジタル技術の悪用、紛争といった喫緊の課題への対処には、グローバルな協調が必要である一方、実際には無力感とともに内向きの政策志向が強まっていると危機感を顕にした。

 一方、一部で主張されている「脱グローバリズム」については、「可能でも現実的でもない」と否定的な見方を示した。世界経済では相互依存関係が依然として高く、あらゆる地域が1種類以上の主要物品またはサービスで輸入依存率が25%を超えているという。自給自足に近い地域はないろ論じた。

 同報告書は、今後の対策の方向性として、「気候の安定化に資するプラネタリー公共財」「公平性の向上を目的とするデジタル関連のグローバル公共財」「新たな拡大型の金融メカニズム」「デマと闘うことを重点とする新たなガバナンス・アプローチを通じた政治的二極化の抑制」の4つを挙げた。

【参照ページ】HUMAN DEVELOPMENT REPORT 2023-24
【参照ページ】UNDP人間開発報告書 最新版発表: 豊かな国では人間開発が記録的水準に達する一方、 最貧国の半数の状況は後退

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