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【国際】IASB、「経営者による説明」の改訂原案公表。サステナビリティ情報の説明も盛り込む

 国際会計基準審議会(IASB)を運営するIFRS財団は5月27日、企業会計報告での「経営者による説明(Management Commentary)」に関するガイドライン「Practice Statement Management Commentary」の改訂原案を発表した。2020年11月まで募集していたパブリックコメントの結果を踏まえたもの。

 「経営者による説明」は、IASBが2010年に策定。策定の背景には、2001年の米エンロン事件をはじめとする企業の粉飾事件を契機とし、財務報告における「経営者による説明と分析(MD&A)」が業界慣行として大きくなったことがあった。日本でも、金融庁が2018年1月26日付で開示府令を改正し、2018年3月期の有価証券報告書から「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(MD&A)」の記載が上場企業に課されるようになった。

 IASBは近年、投資家のニーズに応えられるよう「Practice Statement Management Commentary」の改訂作業を開始。その中で、サステナビリティに関する情報開示についても、「経営者の説明」の中で説明することを新たに盛り込もうとしている。これにより、経営者の説明は、財務情報に関する説明から、投資家の期待に応えるため、長期的な企業価値創造やキャッシュフローに影響を与える非財務情報をも包含するものになろうとしている。

 IASBが提示している改訂フレームワークは、企業の「ビジネスモデル」「戦略」「経営資源」「ステークホルダーとの関係性」「リスク」「外部環境」「財務パフォーマンス・ポジション」で構成する。この中で開示目的として、投資家にとて「マテリアル」な情報を包括的に提供しながら、規制当局や監査法人がフレームワーク遵守状況を監査できるようにすることと置いている。

 IASBは、同フレームワークについて、企業に直接的な遵守義務を課すものではないが、「Practice Statement Management Commentary」を改訂することで、各国当局が自主的に受容することがあり、企業に影響を与える可能性があると伝えた。

 IASBは目下、サステナビリティ基準審議会(SSB)の組成作業も進めており、今回の「Practice Statement Management Commentary」の改訂とも連動させる考え。国際統合報告評議会(IIRC)とSASBが統合したバリューレポーティング財団は5月28日、同原案の発表を歓迎した。

【参考】【国際】IFRS財団、SSB発足の準備機関設立。IOSCOもTEG組成。両者で国際サステナビリティ報告基準検討(2021年4月5日)

 原案に対するパブリックコメントを2021年11月23日まで募集する。

【参照ページ】IASB consults on a new framework for management commentary reflecting changes in corporate reporting landscape
【参照ページ】IIRC and SASB welcome release of IASB Practice Statement on Management Commentary Exposure Draft

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 国際会計基準審議会(IASB)を運営するIFRS財団は5月27日、企業会計報告での「経営者による説明(Management Commentary)」に関するガイドライン「Practice Statement Management Commentary」の改訂原案を発表した。2020年11月まで募集していたパブリックコメントの結果を踏まえたもの。

 「経営者による説明」は、IASBが2010年に策定。策定の背景には、2001年の米エンロン事件をはじめとする企業の粉飾事件を契機とし、財務報告における「経営者による説明と分析(MD&A)」が業界慣行として大きくなったことがあった。日本でも、金融庁が2018年1月26日付で開示府令を改正し、2018年3月期の有価証券報告書から「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(MD&A)」の記載が上場企業に課されるようになった。

 IASBは近年、

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 国際会計基準審議会(IASB)を運営するIFRS財団は5月27日、企業会計報告での「経営者による説明(Management Commentary)」に関するガイドライン「Practice Statement Management Commentary」の改訂原案を発表した。2020年11月まで募集していたパブリックコメントの結果を踏まえたもの。

 「経営者による説明」は、IASBが2010年に策定。策定の背景には、2001年の米エンロン事件をはじめとする企業の粉飾事件を契機とし、財務報告における「経営者による説明と分析(MD&A)」が業界慣行として大きくなったことがあった。日本でも、金融庁が2018年1月26日付で開示府令を改正し、2018年3月期の有価証券報告書から「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(MD&A)」の記載が上場企業に課されるようになった。

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 国際会計基準審議会(IASB)を運営するIFRS財団は5月27日、企業会計報告での「経営者による説明(Management Commentary)」に関するガイドライン「Practice Statement Management Commentary」の改訂原案を発表した。2020年11月まで募集していたパブリックコメントの結果を踏まえたもの。

 「経営者による説明」は、IASBが2010年に策定。策定の背景には、2001年の米エンロン事件をはじめとする企業の粉飾事件を契機とし、財務報告における「経営者による説明と分析(MD&A)」が業界慣行として大きくなったことがあった。日本でも、金融庁が2018年1月26日付で開示府令を改正し、2018年3月期の有価証券報告書から「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(MD&A)」の記載が上場企業に課されるようになった。

 IASBは近年、投資家のニーズに応えられるよう「Practice Statement Management Commentary」の改訂作業を開始。その中で、サステナビリティに関する情報開示についても、「経営者の説明」の中で説明することを新たに盛り込もうとしている。これにより、経営者の説明は、財務情報に関する説明から、投資家の期待に応えるため、長期的な企業価値創造やキャッシュフローに影響を与える非財務情報をも包含するものになろうとしている。

 IASBが提示している改訂フレームワークは、企業の「ビジネスモデル」「戦略」「経営資源」「ステークホルダーとの関係性」「リスク」「外部環境」「財務パフォーマンス・ポジション」で構成する。この中で開示目的として、投資家にとて「マテリアル」な情報を包括的に提供しながら、規制当局や監査法人がフレームワーク遵守状況を監査できるようにすることと置いている。

 IASBは、同フレームワークについて、企業に直接的な遵守義務を課すものではないが、「Practice Statement Management Commentary」を改訂することで、各国当局が自主的に受容することがあり、企業に影響を与える可能性があると伝えた。

 IASBは目下、サステナビリティ基準審議会(SSB)の組成作業も進めており、今回の「Practice Statement Management Commentary」の改訂とも連動させる考え。国際統合報告評議会(IIRC)とSASBが統合したバリューレポーティング財団は5月28日、同原案の発表を歓迎した。

【参考】【国際】IFRS財団、SSB発足の準備機関設立。IOSCOもTEG組成。両者で国際サステナビリティ報告基準検討(2021年4月5日)

 原案に対するパブリックコメントを2021年11月23日まで募集する。

【参照ページ】IASB consults on a new framework for management commentary reflecting changes in corporate reporting landscape
【参照ページ】IIRC and SASB welcome release of IASB Practice Statement on Management Commentary Exposure Draft

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