国際会計基準審議会(IASB)を運営するIFRS財団は3月22日、評議員会を開催し、企業価値の観点から、国際サステナビリティ報告基準を検討するための新たなワーキンググループを正式に設立した。IFRS財団は、以前からサステナビリティ基準審議会(SSB)の設置を公言しており、今回のワーキンググープは、SSBの準備母体となる。証券監督者国際機構(IOSCO)も今回の動きを歓迎した。
IFRS財団は3月8日、国際サステナビリティ報告基準の検討に際して実施したパブリックコメントの結果を発表。その中で、国際サステナビリティ報告基準の重要や要素として、「投資家・債権者から見た企業価値観点」「ESGの中でも気候変動が最重要」「TCFDを始めとした既存のスタンダードの重視」「一貫性と柔軟性を確保するためのビルディング・ブロックス・アプローチ」の4つを確認していた。
そこでIFRS財団は、新設したワーキンググループの役割として、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)等の既存のスタンダードを踏まえた形で、技術的な勧告を策定することをミッションとする。また、技術的な勧告を実行に移すために相応しいSSBのガバナンス構造についても検討する。
同ワーキンググループは、IFRS財団が議長を務める。リード役は、インパクト・マネジメント・プロジェクト(IMP)のクララ・バービーがIMPを退職してIFRS財団に移り、プロジェクトを主導する。構成員は、IFRS財団の国際会計基準審議会(IASB)、TCFD、バリュー・レポーティング財団(IIRCとSASBの運営母体)、CDSB、世界経済フォーラム(WEF)。証券監督者国際機構(IOSCO)はオブザーバーとして参加。また、GRIとCDPとは緊密にエンゲージメントを行う。4月に初回会合を開催する。
IOSCOは3月30日、IFRS財団が同ワーキンググループを設立し、IOSCOをオブザーバー招待したことを歓迎した。IOSCOは、1年前にサステナブルファイナンス・タスクフォース(STF)を組成し、同じく国際サステナビリティ報告基準の検討に着手。2月24日にはIFRS財団の評議員会と協働していくことを決定していた。それに応える形で、IFRS財団の評議員会も3月22日、IOSCO及び関係機関とマルチステークホルダー型の諮問委員会をIFRS財団内に設置する構想を表明していた。
またIOSCOは同日、IFRS財団のワーキンググープとのカウンターパートとして、サステナブルファイナンス・タスクフォース(STF)の下にテクニカル・エキスパート・グループ(TEG)を組成。米証券取引委員会(SEC)とシンガポール通貨監督庁(MAS)が共同議長を務めることを決めた。TEGは、IFRS財団と協調しながら、国際サステナビリティ報告基準に関する技術的な勧告をまとめ、第1弾のアセスメント結果を11月のCOP26の前にIOSCOに報告する。
【参考】【国際】IOSCO理事会、サステナビリティ情報開示基準でIFRS財団や民間連合との連携を決定(2021年3月1日)
【参照ページ】IFRS Foundation Trustees announce working group to accelerate convergence in global sustainability reporting standards focused on enterprise value
【参照ページ】IFRS Foundation Trustees announce strategic direction and further steps based on feedback to sustainability reporting consultation
【参照ページ】IOSCO Technical Expert Group to undertake an assessment of the technical recommendations to be developed as part of the IFRS Foundation’s sustainability project
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