
世界経済フォーラム(WEF)は6月11日、各国のジェンダー不平等状況を分析した「世界ジェンダー・ギャップ報告書(Global Gender Gap Report)2025」を発表し、毎年発表している2025年版「ジェンダー・ギャップ指数(Gender Gap Index:GGI)」を公表した。対象は世界148カ国。
同指数では、「ジェンダー間の経済的参加度および機会」「教育達成度」「健康と生存」「政治的エンパワーメント」の4種類の指標を基に格差を算定し、ランキング付けされている。
ジェンダー格差が少ない1位から5位までは、アイスランド、フィンランド、ノルウェー、英国、ニュージーランド。日本は118位で、昨年と同順位だった。
英国以外のG7では、ドイツ9位、カナダ32位、フランス35位、米国42位、イタリア85位で、日本はG7の中で圧倒的に最下位。韓国は101位、中国は103位で日本より上だった。今回は英国が大きく順位を上げ、フランスが順位を落とした。
順位を大きく伸ばした国は、エストニア(29位→11位)、オーストラリア(24位→13位)、バルバドス(31位→15位)、バングラデシュ(24位→99位)、ドミニカ共和国(82位→61位)、モンゴル(85位→65位)等。
ジェンダー・ギャップ指数 2025
※括弧内は昨年順位
- アイスランド(1)
- フィンランド(2)
- ノルウェー(3)
- 英国(14)
- ニュージーランド(4)
- スウェーデン(5)
- モルドバ(13)
- ナミビア(8)
- ドイツ(7)
- アイルランド(9)
ランキングは上位は例年通り北欧諸国。アイスランドは15年連続で首位の座についた。北欧諸国は、評価指標のうち最も差が出やすい「政治的エンパワーメント」で非常に高いスコアを獲得している。また次に差が出やすい「経済的参加度および機会」でもスコアが高い。一方、「教育達成度」と「健康と生存」では、首位アイスランドから日本までの間ではほとんど差がない。
北欧諸国の中では相対的に順位の低い14位のデンマークは「政治的エンパワーメント」「経済的参加度および機会」が足を引っ張っている。逆に、18位のニカラグアや、39位のルワンダ等の中南米やアフリカの発展途上国は、内戦の影響で男性が多数命を落とした結果、女性の政治家や従業員割合が多くなり、「政治的エンパワーメント」のスコアが高い。
日本は、過去概ね100位から110位の間にいたが、2020年に121位にまで転落し、2021年は120位。2022年116位と多少上昇したが、2023年に史上最低の125位を記録、2024年から二連連続で118位だった。
日本の評価は、項目ごとに優劣がはっきりしている。読み書き能力、中等教育(中学校・高校)、出生率の分野では、男女間に不平等は見られないという評価で昨年同様世界1位タイのランク。
一方、政治家・管理職数では127位、閣僚数では124位、国会議員数では115位、大学や大学院での高等教育でも112位と低かった。その他の項目でも50位以内はゼロ。
経済分野での日本のランクは、労働力参加が81位の最高位で、賃金格差は93位、所得91位といずれもかなり低い。
(出所)WEF
中国も男女差別がある国のように見えるが、高等教育では男女平等と評価され世界ランク1位を取得。一方で中等教育、出生率では男女差があると評価されており日本とは全く逆の傾向。ちなみに中国の国会議員数ランクは80位と日本よりもかなり高い。
日本では、国会議員、政治家・経営管理職、教授・専門職、高等教育(大学・大学院)等、社会のリーダーシップを発揮すべき分野で、ダイバーシティは評価が著しく低い状態がずっと続いている。
【参照ページ】Gender Gap Closes at Fastest Rate Since Pandemic – But Full Parity Still Over a Century Away
【参照ページ】Global Gender Gap Report 2025
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