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【国際】プラスチック汚染、内臓疾患や生殖・認知障害など深刻な健康リスク。ランセット警鐘

 ボストン・カレッジのフィリップ・ランドリガン教授ら率いる研究グループは8月3日、プラスチック汚染が引き起こす生態系や人体の健康への悪影響に警鐘を鳴らす論文を発表した。国際プラスチック条約委員会のタイミングに合わせて学術誌「ランセット」に掲載された。

 同論文によると、プラスチック汚染は、乳児期から高齢期まで、病気や死亡を引き起こし、年間1.5兆米ドルを超える健康関連経済損失の原因となっているにもかかわらず、十分に認識されていない脅威と指摘した。特に悪影響は低所得者層や脆弱な層に集中していると伝えた。

 プラスチックの生産量は加速度的に増加しており、1950年の2Mtから2022年には475Mtに増加。2060年には1,200Mtに達すると予測されている。プラスチック汚染も悪化しており、現在8,000Mtのプラスチック廃棄物が地球を汚染し、リサイクルされるプラスチックは10%未満にとどまっている。

 プラスチックが生態系に及ぼす危険性については、1960年代と1970年代から、海鳥の消化管を詰まらせるプラスチックごみ、海亀を絡め取るプラスチック、海洋哺乳類を殺すプラスチックの事例が報告されたことが発端。その後、サルガッソ海で大量のプラスチック粒子が見つかり、マイクロプラスチック粒子が表層水と海洋堆積物に普遍的に存在し、世界中の海洋生物と陸上生物からマイクロプラスチックとプラスチック化学物質が検出されたことにより、大きな問題として認識されるようになった。

 人体健康への影響では、1970年代に米ケンタッキー州のポリ塩化ビニル(PVC)ポリマー化作業者で肝血管肉腫が報告されたことが発端。さらに、プラスチック生産のための化石原料をフラッキング、石油掘削、石炭採掘で抽出する作業従事者において、負傷、疾病、死亡の発生率が高いことから、健康への追加的な危害が指摘されるようになった。今では、ビスフェノール類、フタル酸エステル、臭素系難燃剤、ペルフルオロアルキル化合物及びポリフルオロアルキル化合物(PFAS)を含む複数のプラスチック化学物質が体内に存在していることも明らかとなっている。

 さらにマイクロプラスチックとナノプラスチック粒子(MNPs)は、世界中で、血液、母乳、肝臓、腎臓、大腸、胎盤、肺、脾臓、脳、心臓等のヒト生物試料から検出されており、プラスチック製食品容器も健康リスクを発生させるとして警告されるようになっている。2023年に発表されたMinderoo–Monaco委員会の包括報告書では、特に、胎児期と幼少期の子供はリスクが高いとされており、生殖機能の障害(例:多嚢胞性卵巣症候群、子宮内膜症)、 周産期影響(例:流産、出生体重の減少、生殖器の奇形)、認知機能の低下(例:知能指数(IQ)の低下)、インスリン抵抗性、高血圧、小児肥満、2型糖尿病、心血管疾患、脳卒中、肥満、成人になってからの癌への影響が指摘されている。

 また同論文は、大気汚染や鉛と同様に、プラスチック汚染は、法律や政策により、コスト効果的に軽減可能と説明。特に国際プラスチック条約に大きな期待を寄せている。その中で、生態系と人体の健康における最高水準の達成を、同条約のコア目標とすることや、特定されている健康リスクをプラスチックのライフサイクル全体で対処していくこと、全ての人々が安全で効果的で健康的な製品にアクセスできることを確保することという3つの柱を提唱した。

(出所)Lancet

【参照ページ】The Lancet Countdown on health and plastics

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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