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【国際】ワシントン条約CoP19での附属書改正決議が発効。日本政府はヨシキリザメに留保

 絶滅危惧を扱うワシントン条約(CITES)の第19回締約国会議(CoP19)で決議された内容が、2月23日に発効した。CoP19は、2022年11月14日から25日まで、パナマで開催され、決議採択から90日後に自動的に発効することとなっていた。

 ワシントン条約では、絶滅のおそれがあり、保護が必要と考えられる野生動植物を附属書Ⅰ、Ⅱ、Ⅲの3つに分類し、附属書に掲載することが規制手続きとなっている。そのため3年に1度開催される締約国会議では、各国政府から附属書への掲載や削除についての提案がなされ、可能な限り全会一致での採択を追求。全会一致で合意できない場合は、3分の2以上の賛成で採択される。

 附属書掲載では、附属書Ⅲに掲載されると、国際商取引には、輸出国政府の発行する輸出許可書または原産地証明書等が必要となり、附属書Ⅱに掲載されると輸出国政府の発行する輸出許可書等が必要となる。最も厳しい附属書Iに掲載されると、国際商取引が禁止され、学術研究を目的とした取引のみが、輸出国・輸入国双方の許可書を条件に許可される。CoP19では、締約国から52の附属書改正提案があり、46が採択された。

 審議結果は、水棲生物種では、メジロザメ科のサメ類全54種、小型シュモクザメ類全9種、ポルカドット・スティングレイ等の淡水エイ、サカタザメ科のエイ類、インペリアル・ゼブラ・プレコ、バイカナマコ類は、附属書Ⅱへの掲載が決定。但し、メジロザメ科のサメ類の発効は12ヶ月後、バイカナマコ類の発行は18ヶ月後に設定された。日本政府は、商業利用対象種の管理は地域漁業管理機関(RFMOs)や沿岸国自身が行うべき等を指摘し、反対票を投じていた。また、メジロザメ科のサメ類の一種で、すり身やフカヒレに使われるヨシキリザメについては、資源量が豊富で漁獲圧も高くないこともあり、日本政府は最終的に留保を宣言。留保は、附属書改正採択から90日以内に付すことが可能で、付した場合、その種については締約国としては扱われず、非締約国と取引を行うことができる。

 爬虫類では、アデレートアオジタトカゲを附属書ⅢからIに、ニシキセタカガメ、モエギハコガメ等を附属書ⅡからIに移行することが決定。両生類では、アマガエルモドキ科全科、シロメアマガエル(レムールネコメガエルとレムールアカメガエル)、ラオスイモリの附属書Ⅱへの掲載が決定した。いずれもペットに関連する種での掲載提案が多かった。アホウドリは、附属書ⅠからⅡへと緩和された。

 他には、カバ、ミナミシロサイ、アフリカゾウ等の動物については、生息国の発展途上国から緩和する改正提案が出たが、ほぼ全て否決された。世界自然保護基金(WWF)は、審議では、予防的立場から強力な保護の施策を支持する先進国と、資源の利用を切望する途上国という構図が年々色濃くなっているのが印象的だったと振り返っている。象牙については、大きな進展はなく、引き続き2023年の第77回常設委員会に市場措置での状況を報告することだけが決まった。

 日本政府は、附属書Iでは、クジラ10種(ナガスクジラ、イワシクジラ(北太平洋の個体群並びに東経0度から東経70度及び赤道から南極大陸に囲まれる範囲の個体群を除く)、マッコウクジラ、ミンククジラ、ミナミミンククジラ、ニタリクジラ、ツノシマクジラ、ツチクジラ並びにカワゴンドウ、及びオーストラリアカワゴンドウ)、附属書IIでは11種類(ジンベイザメ、ウバザメ、タツノオトシゴ、ホホジロザメ、ヨゴレ、シュモクザメ3種、ニシネズミザメ、クロトガリザメ及びオナガザメ類)に留保を付しており、今回ヨシキリザメが加わった。

【参照ページ】CITES COP19 Decisions and listings come into force
【参照ページ】Record number of species to be regulated by CITES after CoP19
【参照ページ】ワシントン条約CoP19終了報告-国際条約にも忍び寄る分断の影
【参照ページ】ワシントン条約第19回締約国会議
【参照ページ】ワシントン条約

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 絶滅危惧を扱うワシントン条約(CITES)の第19回締約国会議(CoP19)で決議された内容が、2月23日に発効した。CoP19は、2022年11月14日から25日まで、パナマで開催され、決議採択から90日後に自動的に発効することとなっていた。

 ワシントン条約では、

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 絶滅危惧を扱うワシントン条約(CITES)の第19回締約国会議(CoP19)で決議された内容が、2月23日に発効した。CoP19は、2022年11月14日から25日まで、パナマで開催され、決議採択から90日後に自動的に発効することとなっていた。

 ワシントン条約では、

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 絶滅危惧を扱うワシントン条約(CITES)の第19回締約国会議(CoP19)で決議された内容が、2月23日に発効した。CoP19は、2022年11月14日から25日まで、パナマで開催され、決議採択から90日後に自動的に発効することとなっていた。

 ワシントン条約では、絶滅のおそれがあり、保護が必要と考えられる野生動植物を附属書Ⅰ、Ⅱ、Ⅲの3つに分類し、附属書に掲載することが規制手続きとなっている。そのため3年に1度開催される締約国会議では、各国政府から附属書への掲載や削除についての提案がなされ、可能な限り全会一致での採択を追求。全会一致で合意できない場合は、3分の2以上の賛成で採択される。

 附属書掲載では、附属書Ⅲに掲載されると、国際商取引には、輸出国政府の発行する輸出許可書または原産地証明書等が必要となり、附属書Ⅱに掲載されると輸出国政府の発行する輸出許可書等が必要となる。最も厳しい附属書Iに掲載されると、国際商取引が禁止され、学術研究を目的とした取引のみが、輸出国・輸入国双方の許可書を条件に許可される。CoP19では、締約国から52の附属書改正提案があり、46が採択された。

 審議結果は、水棲生物種では、メジロザメ科のサメ類全54種、小型シュモクザメ類全9種、ポルカドット・スティングレイ等の淡水エイ、サカタザメ科のエイ類、インペリアル・ゼブラ・プレコ、バイカナマコ類は、附属書Ⅱへの掲載が決定。但し、メジロザメ科のサメ類の発効は12ヶ月後、バイカナマコ類の発行は18ヶ月後に設定された。日本政府は、商業利用対象種の管理は地域漁業管理機関(RFMOs)や沿岸国自身が行うべき等を指摘し、反対票を投じていた。また、メジロザメ科のサメ類の一種で、すり身やフカヒレに使われるヨシキリザメについては、資源量が豊富で漁獲圧も高くないこともあり、日本政府は最終的に留保を宣言。留保は、附属書改正採択から90日以内に付すことが可能で、付した場合、その種については締約国としては扱われず、非締約国と取引を行うことができる。

 爬虫類では、アデレートアオジタトカゲを附属書ⅢからIに、ニシキセタカガメ、モエギハコガメ等を附属書ⅡからIに移行することが決定。両生類では、アマガエルモドキ科全科、シロメアマガエル(レムールネコメガエルとレムールアカメガエル)、ラオスイモリの附属書Ⅱへの掲載が決定した。いずれもペットに関連する種での掲載提案が多かった。アホウドリは、附属書ⅠからⅡへと緩和された。

 他には、カバ、ミナミシロサイ、アフリカゾウ等の動物については、生息国の発展途上国から緩和する改正提案が出たが、ほぼ全て否決された。世界自然保護基金(WWF)は、審議では、予防的立場から強力な保護の施策を支持する先進国と、資源の利用を切望する途上国という構図が年々色濃くなっているのが印象的だったと振り返っている。象牙については、大きな進展はなく、引き続き2023年の第77回常設委員会に市場措置での状況を報告することだけが決まった。

 日本政府は、附属書Iでは、クジラ10種(ナガスクジラ、イワシクジラ(北太平洋の個体群並びに東経0度から東経70度及び赤道から南極大陸に囲まれる範囲の個体群を除く)、マッコウクジラ、ミンククジラ、ミナミミンククジラ、ニタリクジラ、ツノシマクジラ、ツチクジラ並びにカワゴンドウ、及びオーストラリアカワゴンドウ)、附属書IIでは11種類(ジンベイザメ、ウバザメ、タツノオトシゴ、ホホジロザメ、ヨゴレ、シュモクザメ3種、ニシネズミザメ、クロトガリザメ及びオナガザメ類)に留保を付しており、今回ヨシキリザメが加わった。

【参照ページ】CITES COP19 Decisions and listings come into force
【参照ページ】Record number of species to be regulated by CITES after CoP19
【参照ページ】ワシントン条約CoP19終了報告-国際条約にも忍び寄る分断の影
【参照ページ】ワシントン条約第19回締約国会議
【参照ページ】ワシントン条約

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