Sustainable Japan | 世界のサステナビリティ・ESG投資・SDGs

【国際】世界経済フォーラム、グロース・サミット2023開催。AIや環境への人材開発投資で雇用牽引

 世界経済フォーラム(WEF)は5月2日と3日、グロース・サミット2023を開催。レジリエンス、インクルージョン、サステナビリティを伴う成長の未来について、世界のリーダー400人以上が結集。20以上のイニシアチブを発表した。

 同サミットでは、2023年の経済動向に関するアンケート調査の結果も発表された。景況見通しでは、非常に好況と非常に不況が3%ずつ、好況と不況が42%とずつで真っ二つに別れた。背景には地域差があり、中国、東アジア・太平洋、南アジアは好況が圧倒的多数を占める一方、欧米、中東アフリカ、中南米では不況が多数派だった。最も悪いのは欧州だった。

 金融市場に関しては、さらなる銀行の経営破綻があると予想した人が67%、中央銀行はインフレ対策と銀行の経営安定化の間でジレンマを抱えるとの回答が79%あった。

 サプライチェーンでは、今後3年間でサプライチェーンの構造が変化するとの予想は100%。ファクターとしては、地政学的失敗が94%、レジリエンスの優先付けが91%、サプライチェーンの多様化が84%、環境サステナビリティが77%、AIによる最適化が74%だった。追い風を受ける地域は、米国、中南米、南アジア。向かい風を受ける地域は中国。

 また同サミットに向け、4月30日に世界経済フォーラムが「Future of Jobs Report 2023」を発行。ビジネスを変革させるマクロトレンドでは、新たなテクノロジーが86.2%、デジタルアクセスが86.1%、ESGスタンダードの適用が80.6%で以上3つが8割を超えた。他には、消費者の生活コスト上昇が74.9%、グローバル経済成長の鈍化が73.0%、グリーントランジション投資が69.1%、供給不足とコスト増が68.8%、消費者の社会課題に関する声の拡大が67.6%、消費者の環境課題に関する声の拡大が67.5%、気候変動起因の投資適用が65.1%、サプライチェーンのローカル化が60.0%だった。

 雇用に与える影響では、グリーントランジション投資が最大の52.2%、ESGスタンダードの適用が51.4%、サプライチェーンのローカル化が46.5%、気候変動起因の投資が43.9%で、ESG関連が牽引。一方、マイナス要因では、グローバル経済成長の鈍化が44.4%、供給不足とコスト増が23.7%、消費者の生活コスト上昇が19.3%だった。

 最も雇用が減少すると回答があったのは、メディア・エンターテイメント・スポーツで32%。次に、政府・公共セクターが29%、IT・デジタルコミュニケーションも29%と多かった。その後に、不動産27%、金融26%、サプライチェーン・輸送25%、NGOが24%と続く。一方、最も減少が小さいのが、宿泊・食品・レジャーが16%、自動車・航空と製造業、エネルギー・資源が19%だった。

 職種別では、AIスペシャリスト、サステナビリティ・スペシャリスト、ビジネス・インテリジェンス・アナリスト、情報・セキュリティ・アナリスト、フィンテック・エンジニアがトップ5。反対にワースト5は、銀行窓口、郵便窓口、チケット窓口、データ入力、秘書だった。

 リスキル・アップスキルが必要な分野では、AI・ビッグデータと環境スチュワード、デザイン・UXで認識が大きかった。

 今後5年間の人事戦略では、学習とOJG研修への投資が81.2%、プロセスの自動化加速が80.0%でツートップ。成長分野への雇用シフトが45.5%だった。アウトソースや契約社員の活用は4分の1程度。従業員の大幅削減は12.8%と少数派だった。

 今後5年間のダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I)戦略では、重要属性の調査で女性との回答が最大の79.0%。その後に、Z世代67.7%、障害者50.7%、人種・民族マイノリティ39.3%、高齢者36.1%、LGBTQI+が35.0%、低所得者層が32.8%だった。一方、新興国では低所得者層との回答が比較的多かった。

 今回のサミットでの議論では、経済成長は重要だが、経済成長は手段であって目的ではないことを強調。GDPだけを意識することなく、気候変動、不平等、社会的レジリエンス、破壊的イノベーション・マネジメント等の緊急度の高い優先事項を統合させていくことを説いた。

 同サミットでは、参加者から合計20以上のイニシアチブの発表があった。世界経済フォーラムの「グッド・ワーク・アライアンス」に参加しているグローバル企業からは、DE&I関連で定量目標を発表。さらに、WEFとCode.orgは、教育及びテクノロジーのリーダーによる新しい連合体「TeachAI」を発足し、世界の初等・中等教育でAIを効果的に統合するためのグローバル・ガイダンス策定を進める。Reskilling Revolutionには、新たにアラブ首長国連邦(UAE)が加盟。さらに、WEFは、2030年までのジェンダー・パリティ達成を加速させるため、「Global Gender Parity Sprint」や、「職場における女性の健康」連合も新設する。

【参照ページ】Growth Summit 2023: Job Creation and Reskilling Must Be Central to Growth in the Age of Uncertainty, Advancing AI and the Green Transition

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 世界経済フォーラム(WEF)は5月2日と3日、グロース・サミット2023を開催。レジリエンス、インクルージョン、サステナビリティを伴う成長の未来について、世界のリーダー400人以上が結集。20以上のイニシアチブを発表した。

 同サミットでは、

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 世界経済フォーラム(WEF)は5月2日と3日、グロース・サミット2023を開催。レジリエンス、インクルージョン、サステナビリティを伴う成長の未来について、世界のリーダー400人以上が結集。20以上のイニシアチブを発表した。

 同サミットでは、

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 世界経済フォーラム(WEF)は5月2日と3日、グロース・サミット2023を開催。レジリエンス、インクルージョン、サステナビリティを伴う成長の未来について、世界のリーダー400人以上が結集。20以上のイニシアチブを発表した。

 同サミットでは、2023年の経済動向に関するアンケート調査の結果も発表された。景況見通しでは、非常に好況と非常に不況が3%ずつ、好況と不況が42%とずつで真っ二つに別れた。背景には地域差があり、中国、東アジア・太平洋、南アジアは好況が圧倒的多数を占める一方、欧米、中東アフリカ、中南米では不況が多数派だった。最も悪いのは欧州だった。

 金融市場に関しては、さらなる銀行の経営破綻があると予想した人が67%、中央銀行はインフレ対策と銀行の経営安定化の間でジレンマを抱えるとの回答が79%あった。

 サプライチェーンでは、今後3年間でサプライチェーンの構造が変化するとの予想は100%。ファクターとしては、地政学的失敗が94%、レジリエンスの優先付けが91%、サプライチェーンの多様化が84%、環境サステナビリティが77%、AIによる最適化が74%だった。追い風を受ける地域は、米国、中南米、南アジア。向かい風を受ける地域は中国。

 また同サミットに向け、4月30日に世界経済フォーラムが「Future of Jobs Report 2023」を発行。ビジネスを変革させるマクロトレンドでは、新たなテクノロジーが86.2%、デジタルアクセスが86.1%、ESGスタンダードの適用が80.6%で以上3つが8割を超えた。他には、消費者の生活コスト上昇が74.9%、グローバル経済成長の鈍化が73.0%、グリーントランジション投資が69.1%、供給不足とコスト増が68.8%、消費者の社会課題に関する声の拡大が67.6%、消費者の環境課題に関する声の拡大が67.5%、気候変動起因の投資適用が65.1%、サプライチェーンのローカル化が60.0%だった。

 雇用に与える影響では、グリーントランジション投資が最大の52.2%、ESGスタンダードの適用が51.4%、サプライチェーンのローカル化が46.5%、気候変動起因の投資が43.9%で、ESG関連が牽引。一方、マイナス要因では、グローバル経済成長の鈍化が44.4%、供給不足とコスト増が23.7%、消費者の生活コスト上昇が19.3%だった。

 最も雇用が減少すると回答があったのは、メディア・エンターテイメント・スポーツで32%。次に、政府・公共セクターが29%、IT・デジタルコミュニケーションも29%と多かった。その後に、不動産27%、金融26%、サプライチェーン・輸送25%、NGOが24%と続く。一方、最も減少が小さいのが、宿泊・食品・レジャーが16%、自動車・航空と製造業、エネルギー・資源が19%だった。

 職種別では、AIスペシャリスト、サステナビリティ・スペシャリスト、ビジネス・インテリジェンス・アナリスト、情報・セキュリティ・アナリスト、フィンテック・エンジニアがトップ5。反対にワースト5は、銀行窓口、郵便窓口、チケット窓口、データ入力、秘書だった。

 リスキル・アップスキルが必要な分野では、AI・ビッグデータと環境スチュワード、デザイン・UXで認識が大きかった。

 今後5年間の人事戦略では、学習とOJG研修への投資が81.2%、プロセスの自動化加速が80.0%でツートップ。成長分野への雇用シフトが45.5%だった。アウトソースや契約社員の活用は4分の1程度。従業員の大幅削減は12.8%と少数派だった。

 今後5年間のダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I)戦略では、重要属性の調査で女性との回答が最大の79.0%。その後に、Z世代67.7%、障害者50.7%、人種・民族マイノリティ39.3%、高齢者36.1%、LGBTQI+が35.0%、低所得者層が32.8%だった。一方、新興国では低所得者層との回答が比較的多かった。

 今回のサミットでの議論では、経済成長は重要だが、経済成長は手段であって目的ではないことを強調。GDPだけを意識することなく、気候変動、不平等、社会的レジリエンス、破壊的イノベーション・マネジメント等の緊急度の高い優先事項を統合させていくことを説いた。

 同サミットでは、参加者から合計20以上のイニシアチブの発表があった。世界経済フォーラムの「グッド・ワーク・アライアンス」に参加しているグローバル企業からは、DE&I関連で定量目標を発表。さらに、WEFとCode.orgは、教育及びテクノロジーのリーダーによる新しい連合体「TeachAI」を発足し、世界の初等・中等教育でAIを効果的に統合するためのグローバル・ガイダンス策定を進める。Reskilling Revolutionには、新たにアラブ首長国連邦(UAE)が加盟。さらに、WEFは、2030年までのジェンダー・パリティ達成を加速させるため、「Global Gender Parity Sprint」や、「職場における女性の健康」連合も新設する。

【参照ページ】Growth Summit 2023: Job Creation and Reskilling Must Be Central to Growth in the Age of Uncertainty, Advancing AI and the Green Transition

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