Sustainable Japan | 世界のサステナビリティ・ESG投資・SDGs

【国際】GSMA、世界のモバイルマネー市場を分析した報告書を発表。総取引額は約175兆円

 国際的な携帯電話通信業界団体GSMアソシエーション(GSMA)は4月18日、世界のモバイルマネー市場を分析した報告書の2023年版を発表した。

 同報告書は、ビル&メリンダ・ゲイツ財団の支援を受けて毎年発行しているもの。モバイルマネーの登録口座数が2021年の14億から2022年には16億へと成長した。アクティブな口座の割合も2021年と同じ水準だった。2022年のモバイルマネーの1日の取引額は34.5億米ドル(約4,800億円)となり、総取引額は2021年の1兆米ドル(約138兆円)から約1.26兆米ドル(約175兆円)と22%の成長率だった。

 業界の拡大を牽引した要因は、ナイジェリアやエチオピア等のサブサハラアフリカでの急速な普及と分析。特に代理店がナイジェリアにおける規制緩和等もあり、2021年の1,200万店から2022年の1,700万店まで拡大し市場拡大に貢献した。

 低・中所得国の女性のモバイルマネー口座のアクティブ率は男性と変わらないが、口座保有率は男性と比較して低く、近年差が拡大していると報告。男女格差の原因の1つとして、女性の携帯電話の所有率を上げることがモバイルマネーの普及につながるとした。加えて、女性のデジタルスキル、認知度を高め、女性の利用を妨げる社会規範やその他の障壁の解消に取り組む必要性を訴えた。

 モバイルマネーのユースケースでは、請求書払いが前年比36%増。個人間送金(P2P)、電子マネー利用に次いで3番目の取引量となり、モバイルマネープロバイダー(MMP)の約97%が提供している。多くの国でエネルギー価格の高騰が続いているため、エネルギー会社とMMPの統合が進み、請求書払いが増加したと分析した。また、国際送金は前年比28%増、銀行口座からモバイルマネー口座への送金は前年比36%増、モバイルマネー口座から銀行口座への送金は前年比47%増だった。

 同報告書では、モバイルマネー口座が貯蓄にも活用されていることも報告。ユーザーに貯蓄用の口座を提供するMMPは2021年から倍増し2022年には約60%となった。世界銀行のグローバルFindexデータベース2021によれば、サブサハラアフリカのモバイルマネー口座所有者の39%が貯蓄している。

【参考】【国際】世界銀行、グローバルFindexデータベース2021発表。金融インクルージョンが改善(2022年7月30日)

 今後の課題として、MMPの収益の多様化を挙げた。MMPの収益シェアは2020年はユーザー手数料が87%、2022年は79%と改善したものの、ユーザー手数料に依存する構造は変わっていない。2019年に収益の33%を占めていたビジネス及び政府手数料からの収益を増やす必要があるとした。また、業界が直面している規制についても言及。一部の国で金融インクルージョンの目的に沿わない取引や手数料に対する課税が導入されている。業界全体の問題として不正行為も存在するが、各国の規制当局は消費者意識の向上や能力開発を通じて克服するための取り組みを実施していると報告した。
 
【参照ページ】MOBILE MONEY EXCEEDS INDUSTRY EXPECTATIONS, REACHING A TRANSACTION VALUE OF 1.26 USD TRILLION IN 2022

ここから先は登録ユーザー限定のコンテンツとなります。ログインまたはユーザー登録を行って下さい。

 国際的な携帯電話通信業界団体GSMアソシエーション(GSMA)は4月18日、世界のモバイルマネー市場を分析した報告書の2023年版を発表した。

 同報告書は、

ここから先は登録ユーザー限定のコンテンツとなります。ログインまたはユーザー登録を行って下さい。

 国際的な携帯電話通信業界団体GSMアソシエーション(GSMA)は4月18日、世界のモバイルマネー市場を分析した報告書の2023年版を発表した。

 同報告書は、

ここから先は登録ユーザー限定のコンテンツとなります。ログインまたはユーザー登録を行って下さい。

ここから先は有料登録会員限定のコンテンツとなります。有料登録会員へのアップグレードを行って下さい。

 国際的な携帯電話通信業界団体GSMアソシエーション(GSMA)は4月18日、世界のモバイルマネー市場を分析した報告書の2023年版を発表した。

 同報告書は、ビル&メリンダ・ゲイツ財団の支援を受けて毎年発行しているもの。モバイルマネーの登録口座数が2021年の14億から2022年には16億へと成長した。アクティブな口座の割合も2021年と同じ水準だった。2022年のモバイルマネーの1日の取引額は34.5億米ドル(約4,800億円)となり、総取引額は2021年の1兆米ドル(約138兆円)から約1.26兆米ドル(約175兆円)と22%の成長率だった。

 業界の拡大を牽引した要因は、ナイジェリアやエチオピア等のサブサハラアフリカでの急速な普及と分析。特に代理店がナイジェリアにおける規制緩和等もあり、2021年の1,200万店から2022年の1,700万店まで拡大し市場拡大に貢献した。

 低・中所得国の女性のモバイルマネー口座のアクティブ率は男性と変わらないが、口座保有率は男性と比較して低く、近年差が拡大していると報告。男女格差の原因の1つとして、女性の携帯電話の所有率を上げることがモバイルマネーの普及につながるとした。加えて、女性のデジタルスキル、認知度を高め、女性の利用を妨げる社会規範やその他の障壁の解消に取り組む必要性を訴えた。

 モバイルマネーのユースケースでは、請求書払いが前年比36%増。個人間送金(P2P)、電子マネー利用に次いで3番目の取引量となり、モバイルマネープロバイダー(MMP)の約97%が提供している。多くの国でエネルギー価格の高騰が続いているため、エネルギー会社とMMPの統合が進み、請求書払いが増加したと分析した。また、国際送金は前年比28%増、銀行口座からモバイルマネー口座への送金は前年比36%増、モバイルマネー口座から銀行口座への送金は前年比47%増だった。

 同報告書では、モバイルマネー口座が貯蓄にも活用されていることも報告。ユーザーに貯蓄用の口座を提供するMMPは2021年から倍増し2022年には約60%となった。世界銀行のグローバルFindexデータベース2021によれば、サブサハラアフリカのモバイルマネー口座所有者の39%が貯蓄している。

【参考】【国際】世界銀行、グローバルFindexデータベース2021発表。金融インクルージョンが改善(2022年7月30日)

 今後の課題として、MMPの収益の多様化を挙げた。MMPの収益シェアは2020年はユーザー手数料が87%、2022年は79%と改善したものの、ユーザー手数料に依存する構造は変わっていない。2019年に収益の33%を占めていたビジネス及び政府手数料からの収益を増やす必要があるとした。また、業界が直面している規制についても言及。一部の国で金融インクルージョンの目的に沿わない取引や手数料に対する課税が導入されている。業界全体の問題として不正行為も存在するが、各国の規制当局は消費者意識の向上や能力開発を通じて克服するための取り組みを実施していると報告した。
 
【参照ページ】MOBILE MONEY EXCEEDS INDUSTRY EXPECTATIONS, REACHING A TRANSACTION VALUE OF 1.26 USD TRILLION IN 2022

ここから先は登録ユーザー限定のコンテンツとなります。ログインまたはユーザー登録を行って下さい。