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【日本】金融庁、グローバル・ミニマム課税導入で税効果会計関係に関する告示。IASB準拠

 金融庁は6月2日、3月28日に国会で成立した「所得税法等の一部を改正する法律」に基づき、税効果会計の導入企業に対し、3月28日以降に決算を迎える企業が修正後の国際会計基準第12号「法人所得税」を速やかに適用することを求める告示を公布した。税効果会計は、上場企業や監査法人による外部監査を受けている非上場会社に強制適用されており、今回の告示の影響を受ける。

 同告示は、グローバル・ミニマム課税に関するもので、売上7億5,000万ユーロ以上の企業を対象に、世界の最低法人税率を15%に設定するという制度。2021年に経済協力開発機構(OECD)加盟国とG20の双方で、最終合意に達し、国際ルール化した。

【参考】【国際】136ヶ国・地域、OECD/G20の最低法人税率15%及びデジタル課税に最終合意。画期的(2021年10月9日)
【参考】【国際】G20財相・中銀総裁会議、デジタル課税や最低法人税率、サステナブルファイナンスで最終合意(2021年10月15日)

 OECDとG20の双方で支持を表明した日本政府では、その後、国税庁が法人税法の法改正を進め、3月28日に国会を通過し、成立していた。それを受け、今回金融庁が、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則に規定する金融庁長官が定める企業会計の基準を指定する件」を改正し、監査ルールとして告示した。

 3月の所得税等の法改正では、「特定多国籍企業グループ等」を対象とし、国際最低課税額に対する法人税を創設している。まず、「特定多国籍企業グループ等」とは、「多国籍企業グループ等」のうち、各対象会計年度の直前の対象会計年度のうち2以上の対象会計年度の総収入金額が7億5,000万ユーロ以上である企業を指す。また、「多国籍企業グループ等」とは、(1)連結等財務諸表に財産及び損益の状況が連結して記載される又は記載されることとなる会社等に係る企業集団のうち最終親会社に係るもの、もしくは(2)会社等のうち、その会社等の恒久的施設等の所在地国がその会社等の所在地国以外の国又は地域であるものを指す。

 国際最低課税額に対する法人税では、軽減税国(タックスヘイブン)に所在する子会社に対し、基準税率が15%になるまで日本にある親会社に日本政府が課税する。また、現地法人ではない場合にも、日本企業の恒久的施設等がある場合は、当該日本企業に対し同様に準税率が15%になるまで日本政府が課税する。さらに、地方法人税についても、同じく「特定基準法人税額に対する地方法人税」が創設されている。

 今回の告示は、「指定国際会計基準(規則第九十三条に規定する指定国際会計第三条指定国際会計基準(規則第九十三条に規定する指定国際会計基準をいう。)は、国際会計基準であって、令和五年五月二十四日基準をいう。)は、国際会計基準であって、令和四年十二月三十一までに国際会計基準審議会の名において公表が行われた別表二に掲日までに国際会計基準審議会の名において公表が行われた別表二にげるものとする」という非常に短い内容。すなわち、国際会計基準審議会(IASB)が定めた内容を踏まえて、開示することを義務化した。

 IASBはすでに2月、2023年1月に「国際的な税制改革-第2の柱モデルルール(IAS第12号の修正案)」の草案を公表し、パブリックコメントの募集を開始。5月23日に最終版を発行した。最終版では、同ルールに基づく法人税に関連する繰延税金資産および繰延税金負債の認識および開示は不要と決定し、税効果会計としての開示は必要ないことが決着していた。

 さらに、国税庁は3月、グローバル・ミニマム課税の導入に伴う企業の事務負担に配慮することを目的とし、同制度の実施の肝となる「国別報告事項等」報告義義務を、2026年12月31日までに開始する会計年度中は免除することも決定している。

 IASBの最終決定に先立ち、財団法人財務会計基準機構(FASF)の企業会計基準委員会(ASBJ)は3月31日、「グローバル・ミニマム課税に対応する法人税法の改正に係る税効果会計の適用に関する当面の取扱い」を発行。実務上対応が困難であるとの意見が聞かれたことから、繰延税金資産および繰延税金負債の認識および開示は当面不要とする独自見解を発表していた。

【参照ページ】「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則に規定する金融庁長官が定める企業会計の基準を指定する件」の一部改正について
【参照ページ】グローバル・ミニマム課税への対応に関する改正のあらまし
【参照ページ】IASB amends tax accounting requirements to help companies respond to international tax reform
【参照ページ】グローバル・ミニマム課税に対応する法人税法の改正に係る税効果会計の適用に関する当面の取扱い

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 金融庁は6月2日、3月28日に国会で成立した「所得税法等の一部を改正する法律」に基づき、税効果会計の導入企業に対し、3月28日以降に決算を迎える企業が修正後の国際会計基準第12号「法人所得税」を速やかに適用することを求める告示を公布した。税効果会計は、上場企業や監査法人による外部監査を受けている非上場会社に強制適用されており、今回の告示の影響を受ける。

 同告示は、

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 金融庁は6月2日、3月28日に国会で成立した「所得税法等の一部を改正する法律」に基づき、税効果会計の導入企業に対し、3月28日以降に決算を迎える企業が修正後の国際会計基準第12号「法人所得税」を速やかに適用することを求める告示を公布した。税効果会計は、上場企業や監査法人による外部監査を受けている非上場会社に強制適用されており、今回の告示の影響を受ける。

 同告示は、

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 金融庁は6月2日、3月28日に国会で成立した「所得税法等の一部を改正する法律」に基づき、税効果会計の導入企業に対し、3月28日以降に決算を迎える企業が修正後の国際会計基準第12号「法人所得税」を速やかに適用することを求める告示を公布した。税効果会計は、上場企業や監査法人による外部監査を受けている非上場会社に強制適用されており、今回の告示の影響を受ける。

 同告示は、グローバル・ミニマム課税に関するもので、売上7億5,000万ユーロ以上の企業を対象に、世界の最低法人税率を15%に設定するという制度。2021年に経済協力開発機構(OECD)加盟国とG20の双方で、最終合意に達し、国際ルール化した。

【参考】【国際】136ヶ国・地域、OECD/G20の最低法人税率15%及びデジタル課税に最終合意。画期的(2021年10月9日)
【参考】【国際】G20財相・中銀総裁会議、デジタル課税や最低法人税率、サステナブルファイナンスで最終合意(2021年10月15日)

 OECDとG20の双方で支持を表明した日本政府では、その後、国税庁が法人税法の法改正を進め、3月28日に国会を通過し、成立していた。それを受け、今回金融庁が、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則に規定する金融庁長官が定める企業会計の基準を指定する件」を改正し、監査ルールとして告示した。

 3月の所得税等の法改正では、「特定多国籍企業グループ等」を対象とし、国際最低課税額に対する法人税を創設している。まず、「特定多国籍企業グループ等」とは、「多国籍企業グループ等」のうち、各対象会計年度の直前の対象会計年度のうち2以上の対象会計年度の総収入金額が7億5,000万ユーロ以上である企業を指す。また、「多国籍企業グループ等」とは、(1)連結等財務諸表に財産及び損益の状況が連結して記載される又は記載されることとなる会社等に係る企業集団のうち最終親会社に係るもの、もしくは(2)会社等のうち、その会社等の恒久的施設等の所在地国がその会社等の所在地国以外の国又は地域であるものを指す。

 国際最低課税額に対する法人税では、軽減税国(タックスヘイブン)に所在する子会社に対し、基準税率が15%になるまで日本にある親会社に日本政府が課税する。また、現地法人ではない場合にも、日本企業の恒久的施設等がある場合は、当該日本企業に対し同様に準税率が15%になるまで日本政府が課税する。さらに、地方法人税についても、同じく「特定基準法人税額に対する地方法人税」が創設されている。

 今回の告示は、「指定国際会計基準(規則第九十三条に規定する指定国際会計第三条指定国際会計基準(規則第九十三条に規定する指定国際会計基準をいう。)は、国際会計基準であって、令和五年五月二十四日基準をいう。)は、国際会計基準であって、令和四年十二月三十一までに国際会計基準審議会の名において公表が行われた別表二に掲日までに国際会計基準審議会の名において公表が行われた別表二にげるものとする」という非常に短い内容。すなわち、国際会計基準審議会(IASB)が定めた内容を踏まえて、開示することを義務化した。

 IASBはすでに2月、2023年1月に「国際的な税制改革-第2の柱モデルルール(IAS第12号の修正案)」の草案を公表し、パブリックコメントの募集を開始。5月23日に最終版を発行した。最終版では、同ルールに基づく法人税に関連する繰延税金資産および繰延税金負債の認識および開示は不要と決定し、税効果会計としての開示は必要ないことが決着していた。

 さらに、国税庁は3月、グローバル・ミニマム課税の導入に伴う企業の事務負担に配慮することを目的とし、同制度の実施の肝となる「国別報告事項等」報告義義務を、2026年12月31日までに開始する会計年度中は免除することも決定している。

 IASBの最終決定に先立ち、財団法人財務会計基準機構(FASF)の企業会計基準委員会(ASBJ)は3月31日、「グローバル・ミニマム課税に対応する法人税法の改正に係る税効果会計の適用に関する当面の取扱い」を発行。実務上対応が困難であるとの意見が聞かれたことから、繰延税金資産および繰延税金負債の認識および開示は当面不要とする独自見解を発表していた。

【参照ページ】「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則に規定する金融庁長官が定める企業会計の基準を指定する件」の一部改正について
【参照ページ】グローバル・ミニマム課税への対応に関する改正のあらまし
【参照ページ】IASB amends tax accounting requirements to help companies respond to international tax reform
【参照ページ】グローバル・ミニマム課税に対応する法人税法の改正に係る税効果会計の適用に関する当面の取扱い

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