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【アメリカ】政府とマイクロソフト等7社、責任あるAIで共同コミットメント発表。8項目

 米ジョー・バイデン大統領は7月21日、責任あるAIの実現のための会合を開催。マイクロソフト、アマゾン、グーグル、メタ・プラットフォームズ、OpenAI、Anthropic、Inflectionの米大手7社の経営陣が出席し、共同コミットメントを発表した。

 同コミットメントの内容は、「上市前の安全確保」「セキュリティ・ファースのシステム構築」「世間の信頼の獲得」の3つの観点から、全8つで構成されている。

上市前にその安全性を確認する

  • 各社は、AIシステムのリリース前に、社内外のセキュリティテストを実施する。テストは、部分的にでも独立した専門家によって実施され、バイオセキュリティやサイバーセキュリティ等の最も重大なAIリスク、及び広範な社会的影響から保護する。
  • 各社は、AIのリスク管理について、業界全体及び政府、NGO、学界と情報を共有することにコミットする。これには、安全性に関するベストプラクティス、セーフガードを回避しようとする試みに関する情報、技術協力等が含まれる。

セキュリティ・ファーストのシステム構築

  • 各社は、独自開発した発表前のモデル・ウェイト(アルゴリズムでの重み付け)を保護するため、サイバーセキュリティと内部脅威に対するセーフガードに投資することにコミットする。これらのモデル・ウェイトはAIシステムの最も重要な部分であり、各社は、モデル・ウェイトは意図された場合にのみ、またセキュリティリスクを考慮した場合にのみ公開されることが極めて重要であることに同意する。
  • 各社は、AIシステムの脆弱性を第三者が発見し、報告することを促進することにコミットする。問題の中には、AIシステムがリリースされた後でも残るものがあり、強固な報告メカニズムがあれば、それらを迅速に発見し、修正することができる。

世間の信頼の獲得

  • 各社は、電子透かしシステム等、コンテンツがAIによって生成されたものであることをユーザーに確実に伝えるための強固な技術的メカニズムを開発することにコミットする。この行動により、AIを使った創造性が開花するだけでなく、詐欺や欺瞞の危険性を低減できる。
  • 各社は、自社のAIシステムの能力、限界、適切な使用領域と不適切な使用領域を公に報告することにコミットする。報告では、セキュリティリスクと、公正さやバイアスへの影響を含めた社会的リスクの双方をカバーする。
  • 各社は、有害な偏見や差別の回避、プライバシーの保護等、AIシステムがもたらしうる社会的リスクに関する研究を優先することにコミットする。AIのトラックレコードは、これらの危険の狡猾さと蔓延を示しており、両社はこれらを軽減するAIを展開することにコミットする。
  • 各社は、社会が直面する最大の課題に対処するための高度なAIシステムを開発し、展開することにコミットする。がん予防から気候変動緩和まで、AIは適切に管理されれば、すべての人の繁栄、平等、安全保障に大きく貢献することができる。

 米カマラ・ハリス副大統領とジーナ・ライモンド商務長官は5月にも、マイクロソフト、グーグル、OpenAI、AnthropicのCEOとも会談。その際にも、バイデン政権の「AI権利章典の青写真」や「AIリスクマネジメント・フレームワーク」に沿った行動を呼びかけていた。その後、6月には、バイデン大統領は、サンフランシスコでトップクラスの専門家や研究者とも会談。7月には、ハリス副大統領が、消費者保護、労働、公民権のリーダーを招集した会合も開催していた。これらを受け、今回、7社との間でコミットメントを確認するに至った。

【参考】【アメリカ】副大統領と商務長官、AI関連4社のCEOと会談。責任あるAIマネジメントで合意(2023年5月7日)
【参考】【アメリカ】政府、国家AI研究開発戦略計画発表。長期投資や教育活用へ。リスク対処も(2023年6月23日)

 バイデン政権は、最終的には、責任あるAIに関する超党派立法を視野に入れている。すでに連邦政府機関に、AIを含む新技術の設計と使用におけるバイアスを根絶し、アルゴリズムによる差別から国民を保護するよう連邦政府機関に指示する大統領令に署名済み。行政管理予算局は近日中に、連邦政府機関向けに、AIシステムの開発・調達・利用が米国民の権利と安全を守ることを中心に行われるよう政策指針案を発表する予定。

 対外的には、AIの開発と利用を管理するための強力な国際的枠組みを確立する意向。今回、オーストラリア、ブラジル、カナダ、チリ、フランス、ドイツ、インド、イスラエル、イタリア、日本、ケニア、メキシコ、オランダ、ニュージーランド、ナイジェリア、フィリピン、シンガポール、韓国、アラブ首長国連邦、英国との間で、自主的なコミットメントについて協議していることを明らかにした。

 バイデン政権は、AI開発に後ろ向きというわけではない。6月には「国家AI研究開発戦略計画」を発表。連邦政府所管の全米科学財団はすでに、1億4,000万米ドルを投じ、7つの国立AI研究所を新設することも発表済み。完成すると、全米のAI研究所は25にもなる。

【参照ページ】Our commitment to the responsible use of AI

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 米ジョー・バイデン大統領は7月21日、責任あるAIの実現のための会合を開催。マイクロソフト、アマゾン、グーグル、メタ・プラットフォームズ、OpenAI、Anthropic、Inflectionの米大手7社の経営陣が出席し、共同コミットメントを発表した。

 同コミットメントの内容は、

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 米ジョー・バイデン大統領は7月21日、責任あるAIの実現のための会合を開催。マイクロソフト、アマゾン、グーグル、メタ・プラットフォームズ、OpenAI、Anthropic、Inflectionの米大手7社の経営陣が出席し、共同コミットメントを発表した。

 同コミットメントの内容は、

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 米ジョー・バイデン大統領は7月21日、責任あるAIの実現のための会合を開催。マイクロソフト、アマゾン、グーグル、メタ・プラットフォームズ、OpenAI、Anthropic、Inflectionの米大手7社の経営陣が出席し、共同コミットメントを発表した。

 同コミットメントの内容は、「上市前の安全確保」「セキュリティ・ファースのシステム構築」「世間の信頼の獲得」の3つの観点から、全8つで構成されている。

上市前にその安全性を確認する

  • 各社は、AIシステムのリリース前に、社内外のセキュリティテストを実施する。テストは、部分的にでも独立した専門家によって実施され、バイオセキュリティやサイバーセキュリティ等の最も重大なAIリスク、及び広範な社会的影響から保護する。
  • 各社は、AIのリスク管理について、業界全体及び政府、NGO、学界と情報を共有することにコミットする。これには、安全性に関するベストプラクティス、セーフガードを回避しようとする試みに関する情報、技術協力等が含まれる。

セキュリティ・ファーストのシステム構築

  • 各社は、独自開発した発表前のモデル・ウェイト(アルゴリズムでの重み付け)を保護するため、サイバーセキュリティと内部脅威に対するセーフガードに投資することにコミットする。これらのモデル・ウェイトはAIシステムの最も重要な部分であり、各社は、モデル・ウェイトは意図された場合にのみ、またセキュリティリスクを考慮した場合にのみ公開されることが極めて重要であることに同意する。
  • 各社は、AIシステムの脆弱性を第三者が発見し、報告することを促進することにコミットする。問題の中には、AIシステムがリリースされた後でも残るものがあり、強固な報告メカニズムがあれば、それらを迅速に発見し、修正することができる。

世間の信頼の獲得

  • 各社は、電子透かしシステム等、コンテンツがAIによって生成されたものであることをユーザーに確実に伝えるための強固な技術的メカニズムを開発することにコミットする。この行動により、AIを使った創造性が開花するだけでなく、詐欺や欺瞞の危険性を低減できる。
  • 各社は、自社のAIシステムの能力、限界、適切な使用領域と不適切な使用領域を公に報告することにコミットする。報告では、セキュリティリスクと、公正さやバイアスへの影響を含めた社会的リスクの双方をカバーする。
  • 各社は、有害な偏見や差別の回避、プライバシーの保護等、AIシステムがもたらしうる社会的リスクに関する研究を優先することにコミットする。AIのトラックレコードは、これらの危険の狡猾さと蔓延を示しており、両社はこれらを軽減するAIを展開することにコミットする。
  • 各社は、社会が直面する最大の課題に対処するための高度なAIシステムを開発し、展開することにコミットする。がん予防から気候変動緩和まで、AIは適切に管理されれば、すべての人の繁栄、平等、安全保障に大きく貢献することができる。

 米カマラ・ハリス副大統領とジーナ・ライモンド商務長官は5月にも、マイクロソフト、グーグル、OpenAI、AnthropicのCEOとも会談。その際にも、バイデン政権の「AI権利章典の青写真」や「AIリスクマネジメント・フレームワーク」に沿った行動を呼びかけていた。その後、6月には、バイデン大統領は、サンフランシスコでトップクラスの専門家や研究者とも会談。7月には、ハリス副大統領が、消費者保護、労働、公民権のリーダーを招集した会合も開催していた。これらを受け、今回、7社との間でコミットメントを確認するに至った。

【参考】【アメリカ】副大統領と商務長官、AI関連4社のCEOと会談。責任あるAIマネジメントで合意(2023年5月7日)
【参考】【アメリカ】政府、国家AI研究開発戦略計画発表。長期投資や教育活用へ。リスク対処も(2023年6月23日)

 バイデン政権は、最終的には、責任あるAIに関する超党派立法を視野に入れている。すでに連邦政府機関に、AIを含む新技術の設計と使用におけるバイアスを根絶し、アルゴリズムによる差別から国民を保護するよう連邦政府機関に指示する大統領令に署名済み。行政管理予算局は近日中に、連邦政府機関向けに、AIシステムの開発・調達・利用が米国民の権利と安全を守ることを中心に行われるよう政策指針案を発表する予定。

 対外的には、AIの開発と利用を管理するための強力な国際的枠組みを確立する意向。今回、オーストラリア、ブラジル、カナダ、チリ、フランス、ドイツ、インド、イスラエル、イタリア、日本、ケニア、メキシコ、オランダ、ニュージーランド、ナイジェリア、フィリピン、シンガポール、韓国、アラブ首長国連邦、英国との間で、自主的なコミットメントについて協議していることを明らかにした。

 バイデン政権は、AI開発に後ろ向きというわけではない。6月には「国家AI研究開発戦略計画」を発表。連邦政府所管の全米科学財団はすでに、1億4,000万米ドルを投じ、7つの国立AI研究所を新設することも発表済み。完成すると、全米のAI研究所は25にもなる。

【参照ページ】Our commitment to the responsible use of AI

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