米バイデン政権は5月23日、責任ある人工知能(AI)の研究、開発、展開を進める政策を発表した。R&D、教育とAIに関するリスクと機会の分析、AIリスクの軽減に関するパブリックコメント募集の3つを柱とした。
米連邦政府では現在、大統領府(ホワイトハウス)の科学技術政策局(OSTP)が事務局となり、連邦政府のR&D全体を調整する機関として国家科学技術会議(NSTC)を運営。さらにNSTCの助言機関として、「AI特別委員会」が設置されており、さらにその下に機械学習・AI小委員会が組成されている。また、NSTCの下には、コンピューティング、ネットワーキング、ソフトウェアにおける先駆的なIT分野の政策調整のため「ネットワーキング・情報技術研究開発小委員会」も設置されている。
今回の制作発表では、まずR&Dに関し、OSTPが同日、「国家AI研究開発戦略計画」を発表。同様の計画は2016年と2019年にも発表されており、第3弾となった。同文書では具体的に9つの戦略を標榜。生成AIを含めた分野への長期投資、人間の能力を効果的に補完・増強するAIシステムの構築方法の検討、倫理・法・社会的影響面での対処、サイバーセキュリティ確保、トレーニングのための公開データセット等の整備、技術規格の策定、人材育成、国際協力への原則的かつ協調的アプローチの確立等を掲げた。
教育への機会とリスクでは、教育省教育技術局が同日、報告書「AIと教育・学習の未来」を発表。 同報告書は、教育、学習、研究、評価におけるAIに関するリスクと機会を整理。機会として、AIが教育者と生徒の新たな相互作用の実現、学習のばらつきに対処するための教育者の支援、フィードバックループの増加等を挙げた。一方、リスク側として、アルゴリズムによるバイアス等を認識した。
AIリスク軽減のパブリックコメント募集では、人権や国家安全保障に関するリスク、公平を高め市民権を強化する上での対処、民主主義や市民参加を促す方策、経済成長やディーセント・ワーク増加に関する策、公共サービスのイノーベーション促進に関する観点等で意見を集める。OSTPは5月初めに、労働者の監視・追跡する自動化技術の設計、展開、普及、影響に関する理解促進のためのパブリックコメント募集も初めており、同日には、労働者からのヒアリング会合も実施。コールセンター、トラック運転手、倉庫作業員、医療従事者、ギグワーカー等が出席した。
【参照ページ】FACT SHEET: Biden-Harris Administration Takes New Steps to Advance Responsible Artificial Intelligence Research, Development, and Deployment
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