
英環境・食糧・農村地域省と環境庁は8月12日、国家旱魃対策グループ(NDG)がイングランド地方で発生している大規模旱魃で「全英重大事態」を宣言したと発表した。1976年以来の深刻な旱魃がイングランド地方を襲っている。
現在、イングランド地方では、5つの地域が正式に旱魃状態にあると認定されており、さらに6つの地域でも6ヶ月以上にわたる長期的な乾燥状態が発生中。7月には突発豪雨が発生したが、8月には再び乾燥状態に陥り、今夏4度目の熱波が発生。公共の水道と航行用水路の状態がさらに悪化している。
旱魃が正式に発表されているのは、ヨークシャー、カンブリア、ランカシャー、グレーター・マンチェスター、マージーサイド、チェシャー、イースト・ミッドランズ、ウェスト・ミッドランズの各地域。また旱魃の前段階である「長期的な乾燥状態」にあるのは、ノースイースト、リンカンシャー、ノースアンプトンシャー、イースト・アンジア、テムズ、ウェセックス、ソルエント、サウスダウンズの各地域。
すでに、ヨークシャー・ウォーター地域では、全戸を対象に一時的な使用禁止措置(TUB、ホースパイプ禁止措置)を発動。過去1週間で家庭用需要が10%減少した。また、テムズ、サウスイースト・ウォーター、サザン・ウォーターでも、郵便番号単位で制限措置が発動されている。
貯水池の水位は過去1週間で2%低下し、イングランド地方全体で平均67.7%の水準。8月第1週の平均80.5%から大幅に減少している。7月の降水量は、イングランド地方全体で月間長期平均の89%。これは6ヶ月連続の平均を下回る水準。全国の河川流量では、約半数が正常以下の水準となっている。ワイ川とエリ・オウス川では、7月としては史上最低の水位を記録した。 リーズ・アンド・リバプール、マックルズフィールド、トレント・アンド・メーズリー、ピーク・フォレスト、ロッチデール、オックスフォード、グランド・ユニオンの各運河では、一部区間で航行禁止または制限が発動されている。
すでに英国の農家では、一部の圃場で収量が大幅に減少。飼料にも影響を与えているため、畜産での生産コストも今年後半には上昇するリスクが出てきている。全英農家連合(NFU)は、ライセンス制限や旱魃許可・命令に関する早期のステークホルダーとの協調行動が重要と呼びかけた。
さらに、川の水位の低下は、水中の酸素濃度を低下させるため、魚の大量死や藻類の異常増殖を引き起こす可能性もあるという。水生生物の上下流への移動も阻害するおそれもある。
環境・食糧・農村地域省はすでに、水道事業者に対し、漏水対策を迅速に進めるよう指示。対策が遅れた場合には、責任を追及すると伝えた。水道事業者は、これまでに今後5年間で漏水対策に7億ポンド以上を投資することにコミットしている。
家庭での節水対策では、雨水タンクの設置や、トイレの漏水対策、シャワー時間の短縮、歯磨き時間中の水の流しっぱなし防止、芝生の水遣り抑制等を推奨。さらに、データセンターでの冷却水を節約するため、古いメールや画像を削除することも推奨した。
英国では、今後10年間で、水不足はさらに深刻化すると予想されている。英政府は、9つの貯水池と漏水防止のための新しい水道管建設のために、1,040億ポンドの民間投資を含む「変革計画」に基づく抜本的な改革を進める考え。
【参照ページ】National Drought Group meets to address “nationally significant” water shortfall
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