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【日本】企業、エンタメ業界への人権デューデリ急務。ジャニーズはエンゲージメント開始

 ジャニーズ事務所は9月13日、故ジャニー喜多川氏の性加害事案に関し、被害者への金銭補償の進め方と再発防止策を発表した。企業とのエンゲージメントも開始する。一方、ジャニーズ事務所以外の人権事案も急浮上してきている。

【参考】【日本】ジャニーズ事務所、性加害を事実と認識。今後補償へ。テレビ局6社は人権尊重声明発表(2023年9月8日)

 ジャニーズ事務所の金銭補償では、ウェブサイト上の補償受付窓口と、外部専門家からなる「被害者救済委員会」を設置。補償受付窓口で被害者からの申告を受付し、直接被害者にヒアリングした上で、同委員会に補償金額の決定を一任する。外部専門家は、弁護士の定塚誠氏、杉原麗氏、森倫洋氏の3人で構成。各氏はジャニーズ事務所がこれまで助言等を依頼したことがなく、またいずれも元裁判官。

 金銭補償の対象は、同社のタレントまたはジャニーズJr.等の研修生として所属歴がある人に限定。窓口で受け付けた人は、被害者救済委員会のみが情報を取得し、ジャニーズ事務所側には共有しない。そのため、ジャニーズ事務所は、同委員会が設定した補償金額を拒否せず払うという立ち位置となる。但し、在籍確認等のため氏名がジャニーズ事務所側に共有されることはありうる。

 再発防止策では、すでに伝えていたように、外部からのチーフコンプライアンスオフィサー(CCO)を設置し、人権に対する基本方針の策定と実施、社内規程整備等を行う。10月2日の新体制が公表される予定。その他、CCO及び社外取締役の実効性をもたせるガバナンス改革も行うが、詳細は明らかにしていない。社内研修も実施する。

 さらに、メディアや広告スポンサー等の関係者との人権デューデリジェンスに関するエンゲージメントも行うことを発表した。加えて、「今後1年間、広告出演並びに番組出演等で頂く出演料は全てタレント本人に支払い、芸能プロダクションとしての報酬は頂きません」と伝えた。

 7月から8月にかけ来日した国連人権理事会(HRC)の国連ビジネスと人権作業部会は、ジャニーズ事務所の問題だけでなく、エンターテイメント業界全体で、女性記者に対するハラスメントや虐待、放送局による改善措置の欠如、過剰な長時間労働、アニメ業界における不当な下請構造の問題に触れている。その上で、日本のメディア及びエンターテイメント企業に対し、救済へのアクセスの容易化、正当かつ透明な救済メカニズムの確保、調査のための明確かつ予測可能な時間枠を確立するよう要求していた。

【参考】【日本】国連人権理事会作業部会、日本企業の課題を多数指摘。記者質問はジャニーズ問題に終始(2023年8月5日)

 報道によると、厚生労働省は10月に公表予定の「過労死等防止対策白書」2023年版の中に、芸能分野のハラスメント調査結果を盛り込む検討を進めているという。同調査では、芸術・芸能界に従事する男女640人を対象とし、特に俳優やスタントマンでは、セクシャルハラスメント被害を受けたことがある人が20.4%、性的関係を迫られた人が11.1%にも達しているという。

 芸能事務所だけでなく、メディアと広告スポンサー企業にとって、エンターテイメント業界全体への人権デューデリジェンスの重要性が急速に認知されるようになってきている。

【参照ページ】故ジャニー喜多川による性加害問題に関する被害補償及び再発防止策について

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 ジャニーズ事務所は9月13日、故ジャニー喜多川氏の性加害事案に関し、被害者への金銭補償の進め方と再発防止策を発表した。企業とのエンゲージメントも開始する。一方、ジャニーズ事務所以外の人権事案も急浮上してきている。

【参考】【日本】ジャニーズ事務所、性加害を事実と認識。今後補償へ。テレビ局6社は人権尊重声明発表(2023年9月8日)

 ジャニーズ事務所の金銭補償では、

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 ジャニーズ事務所は9月13日、故ジャニー喜多川氏の性加害事案に関し、被害者への金銭補償の進め方と再発防止策を発表した。企業とのエンゲージメントも開始する。一方、ジャニーズ事務所以外の人権事案も急浮上してきている。

【参考】【日本】ジャニーズ事務所、性加害を事実と認識。今後補償へ。テレビ局6社は人権尊重声明発表(2023年9月8日)

 ジャニーズ事務所の金銭補償では、

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 ジャニーズ事務所は9月13日、故ジャニー喜多川氏の性加害事案に関し、被害者への金銭補償の進め方と再発防止策を発表した。企業とのエンゲージメントも開始する。一方、ジャニーズ事務所以外の人権事案も急浮上してきている。

【参考】【日本】ジャニーズ事務所、性加害を事実と認識。今後補償へ。テレビ局6社は人権尊重声明発表(2023年9月8日)

 ジャニーズ事務所の金銭補償では、ウェブサイト上の補償受付窓口と、外部専門家からなる「被害者救済委員会」を設置。補償受付窓口で被害者からの申告を受付し、直接被害者にヒアリングした上で、同委員会に補償金額の決定を一任する。外部専門家は、弁護士の定塚誠氏、杉原麗氏、森倫洋氏の3人で構成。各氏はジャニーズ事務所がこれまで助言等を依頼したことがなく、またいずれも元裁判官。

 金銭補償の対象は、同社のタレントまたはジャニーズJr.等の研修生として所属歴がある人に限定。窓口で受け付けた人は、被害者救済委員会のみが情報を取得し、ジャニーズ事務所側には共有しない。そのため、ジャニーズ事務所は、同委員会が設定した補償金額を拒否せず払うという立ち位置となる。但し、在籍確認等のため氏名がジャニーズ事務所側に共有されることはありうる。

 再発防止策では、すでに伝えていたように、外部からのチーフコンプライアンスオフィサー(CCO)を設置し、人権に対する基本方針の策定と実施、社内規程整備等を行う。10月2日の新体制が公表される予定。その他、CCO及び社外取締役の実効性をもたせるガバナンス改革も行うが、詳細は明らかにしていない。社内研修も実施する。

 さらに、メディアや広告スポンサー等の関係者との人権デューデリジェンスに関するエンゲージメントも行うことを発表した。加えて、「今後1年間、広告出演並びに番組出演等で頂く出演料は全てタレント本人に支払い、芸能プロダクションとしての報酬は頂きません」と伝えた。

 7月から8月にかけ来日した国連人権理事会(HRC)の国連ビジネスと人権作業部会は、ジャニーズ事務所の問題だけでなく、エンターテイメント業界全体で、女性記者に対するハラスメントや虐待、放送局による改善措置の欠如、過剰な長時間労働、アニメ業界における不当な下請構造の問題に触れている。その上で、日本のメディア及びエンターテイメント企業に対し、救済へのアクセスの容易化、正当かつ透明な救済メカニズムの確保、調査のための明確かつ予測可能な時間枠を確立するよう要求していた。

【参考】【日本】国連人権理事会作業部会、日本企業の課題を多数指摘。記者質問はジャニーズ問題に終始(2023年8月5日)

 報道によると、厚生労働省は10月に公表予定の「過労死等防止対策白書」2023年版の中に、芸能分野のハラスメント調査結果を盛り込む検討を進めているという。同調査では、芸術・芸能界に従事する男女640人を対象とし、特に俳優やスタントマンでは、セクシャルハラスメント被害を受けたことがある人が20.4%、性的関係を迫られた人が11.1%にも達しているという。

 芸能事務所だけでなく、メディアと広告スポンサー企業にとって、エンターテイメント業界全体への人権デューデリジェンスの重要性が急速に認知されるようになってきている。

【参照ページ】故ジャニー喜多川による性加害問題に関する被害補償及び再発防止策について

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