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【国際】COP28、1400機関以上が全化石燃料の段階的廃止要求。OPECは反対工作開始

 国際エネルギー機関(IEA)と国連気候変動枠組条約第28回ドバイ締約国会議(COP28)議長国のアラブ首長国連邦(UAE)は12月7日、1.5℃目標を達成するためのエネルギー転換に関するハイレベル対話を実施。欧州、米州、アフリカ、アジアから40名以上の政府首脳・閣僚や企業経営者が参加した。

 IEAのファティ・ビロル事務局長は11月30日、国連気候変動枠組条約第28回ドバイ締約国会議(COP28)に先駆け、COP28で合意すべき2030年目標として、5つの柱を提示している。

  • 世界の再生可能エネルギー設備容量を3倍にする
  • 省エネ改善率を2倍にする
  • 化石燃料産業、特に石油・ガス会社が、事業活動から排出されるメタンを75%削減することを皮切りに、パリ協定に沿った活動を行うことにコミットする
  • 新興国および発展途上国におけるクリーンエネルギー投資を3倍にする大規模な資金調達メカニズムを確立する
  • 削減努力のない(Unabated)な石炭火力発電所の新設許可を禁止し、化石燃料消費を秩序立てて削減するための措置にコミットする

 今回のハイレベル対話では、ビロル事務局長は同じく5つの柱を提示。但し、COP28のスルタン・アル・ジャベール議長は今回、参加者からは、削減努力のない(Unabated)石炭火力発電所の新設禁止だけでなく、既存の石炭火力発電所の廃止を加速するよう求めることでも一定の合意があったと言及した。但し、ジャベール議長は、IEAが化石燃料の段階的「廃止」ではなく「削減」としていることを盾に、廃止を否定する論調で押し通そうとしている。

 現在、議長国UAEが各国政府に署名を求めている「COP28議長国・世界再生可能エネルギー&省エネ協定」には、同協定には削減で努力のない(Unabated)石炭火力発電所の段階的廃止についても盛り込まれており、すでに日本を含む130ヶ国が署名している。但し、日本政府は、岸田文雄首相の演説や伊藤信太郎環境相の声明では、削減で努力のない(Unabated)石炭火力発電所の新設禁止のみを伝えており、段階的廃止には依然として消極的とみられる。

 COP28の閣僚声明の草案固めが大詰めを迎える中、企業400社以上を含む1,400機関から12月8日、COP28のスルタン・アル・ジャベール議長に行動を要求する共同声明が発表された。具体的には3つのポイントを要求し、2025年のCOP30前に、パリ協定に基づく国別削減目標(NDC)と国家適応計画(NAP)の中に明確に含めるよう求めた。

  • 2030年までに世界の再生可能エネルギー容量を2022年比で3倍にし、省エネを2倍にする一方で、1.5℃パスウェイに沿って、公正かつ衡平な方法で、すべての化石燃料を秩序ある方法で段階的に廃止する。
  • 先進国が率先して行動と支援を行い、炭素に価格をつけ、再生可能エネルギーへの投資を3倍に増やす。
  • 2030年までに森林減少と土地劣化、生物多様性等の生態系喪失を止め、再生させ、先住民族の領土を守る。

 この中で特出している要求が「すべての化石燃料を秩序ある方法で段階的に廃止する」の文言。同内容については、各国間での意見が分かられる中、企業を含めた非国家主体から緊急で署名を集めた。

 署名した企業は、ネスレ、ダノン、ロシュ・ホールディングス、ハイネケン、ノボザイムス、イケア、セールスフォース、パタゴニア、フィリップス、ヴァージン・グループ、A.P.モラー・マースク、SSE、ハーレーダビッドソン、アクシオナ、マケイン・フーズのCEO。国連責任投資原則(PRI)、Net-Zero Asset Owner Alliance(NZAOA)、ロックフェラー・ファンド、IIGCC等も署名した。

 反対に、石油輸出国機構(OPEC)のハイサム・アルガイス事務局長は同日、OPEC加盟国とOPEC+加盟国に対し、化石燃料の段階的廃止を求める閣僚声明案に反対するよう要請する書簡を送付した。閣僚声明案では、削減努力のない(Unabated)化石燃料の段階的廃止や、利用可能な最善の科学に沿った化石燃料の段階的廃止、段階的廃止に言及しない等の複数の文言案が併記され、合意に向けた最終調整が進められている。

【参照ページ】COP28 and International Energy Agency reaffirm 1.5°C-aligned energy transition
【参照ページ】What does COP28 need to do to keep 1.5 °C within reach? These are the IEA’s five criteria for success
【参照ページ】COP28 and International Energy Agency reaffirm 1.5°C-aligned energy transition

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 国際エネルギー機関(IEA)と国連気候変動枠組条約第28回ドバイ締約国会議(COP28)議長国のアラブ首長国連邦(UAE)は12月7日、1.5℃目標を達成するためのエネルギー転換に関するハイレベル対話を実施。欧州、米州、アフリカ、アジアから40名以上の政府首脳・閣僚や企業経営者が参加した。

 IEAのファティ・ビロル事務局長は11月30日、

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 国際エネルギー機関(IEA)と国連気候変動枠組条約第28回ドバイ締約国会議(COP28)議長国のアラブ首長国連邦(UAE)は12月7日、1.5℃目標を達成するためのエネルギー転換に関するハイレベル対話を実施。欧州、米州、アフリカ、アジアから40名以上の政府首脳・閣僚や企業経営者が参加した。

 IEAのファティ・ビロル事務局長は11月30日、

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 国際エネルギー機関(IEA)と国連気候変動枠組条約第28回ドバイ締約国会議(COP28)議長国のアラブ首長国連邦(UAE)は12月7日、1.5℃目標を達成するためのエネルギー転換に関するハイレベル対話を実施。欧州、米州、アフリカ、アジアから40名以上の政府首脳・閣僚や企業経営者が参加した。

 IEAのファティ・ビロル事務局長は11月30日、国連気候変動枠組条約第28回ドバイ締約国会議(COP28)に先駆け、COP28で合意すべき2030年目標として、5つの柱を提示している。

  • 世界の再生可能エネルギー設備容量を3倍にする
  • 省エネ改善率を2倍にする
  • 化石燃料産業、特に石油・ガス会社が、事業活動から排出されるメタンを75%削減することを皮切りに、パリ協定に沿った活動を行うことにコミットする
  • 新興国および発展途上国におけるクリーンエネルギー投資を3倍にする大規模な資金調達メカニズムを確立する
  • 削減努力のない(Unabated)な石炭火力発電所の新設許可を禁止し、化石燃料消費を秩序立てて削減するための措置にコミットする

 今回のハイレベル対話では、ビロル事務局長は同じく5つの柱を提示。但し、COP28のスルタン・アル・ジャベール議長は今回、参加者からは、削減努力のない(Unabated)石炭火力発電所の新設禁止だけでなく、既存の石炭火力発電所の廃止を加速するよう求めることでも一定の合意があったと言及した。但し、ジャベール議長は、IEAが化石燃料の段階的「廃止」ではなく「削減」としていることを盾に、廃止を否定する論調で押し通そうとしている。

 現在、議長国UAEが各国政府に署名を求めている「COP28議長国・世界再生可能エネルギー&省エネ協定」には、同協定には削減で努力のない(Unabated)石炭火力発電所の段階的廃止についても盛り込まれており、すでに日本を含む130ヶ国が署名している。但し、日本政府は、岸田文雄首相の演説や伊藤信太郎環境相の声明では、削減で努力のない(Unabated)石炭火力発電所の新設禁止のみを伝えており、段階的廃止には依然として消極的とみられる。

 COP28の閣僚声明の草案固めが大詰めを迎える中、企業400社以上を含む1,400機関から12月8日、COP28のスルタン・アル・ジャベール議長に行動を要求する共同声明が発表された。具体的には3つのポイントを要求し、2025年のCOP30前に、パリ協定に基づく国別削減目標(NDC)と国家適応計画(NAP)の中に明確に含めるよう求めた。

  • 2030年までに世界の再生可能エネルギー容量を2022年比で3倍にし、省エネを2倍にする一方で、1.5℃パスウェイに沿って、公正かつ衡平な方法で、すべての化石燃料を秩序ある方法で段階的に廃止する。
  • 先進国が率先して行動と支援を行い、炭素に価格をつけ、再生可能エネルギーへの投資を3倍に増やす。
  • 2030年までに森林減少と土地劣化、生物多様性等の生態系喪失を止め、再生させ、先住民族の領土を守る。

 この中で特出している要求が「すべての化石燃料を秩序ある方法で段階的に廃止する」の文言。同内容については、各国間での意見が分かられる中、企業を含めた非国家主体から緊急で署名を集めた。

 署名した企業は、ネスレ、ダノン、ロシュ・ホールディングス、ハイネケン、ノボザイムス、イケア、セールスフォース、パタゴニア、フィリップス、ヴァージン・グループ、A.P.モラー・マースク、SSE、ハーレーダビッドソン、アクシオナ、マケイン・フーズのCEO。国連責任投資原則(PRI)、Net-Zero Asset Owner Alliance(NZAOA)、ロックフェラー・ファンド、IIGCC等も署名した。

 反対に、石油輸出国機構(OPEC)のハイサム・アルガイス事務局長は同日、OPEC加盟国とOPEC+加盟国に対し、化石燃料の段階的廃止を求める閣僚声明案に反対するよう要請する書簡を送付した。閣僚声明案では、削減努力のない(Unabated)化石燃料の段階的廃止や、利用可能な最善の科学に沿った化石燃料の段階的廃止、段階的廃止に言及しない等の複数の文言案が併記され、合意に向けた最終調整が進められている。

【参照ページ】COP28 and International Energy Agency reaffirm 1.5°C-aligned energy transition
【参照ページ】What does COP28 need to do to keep 1.5 °C within reach? These are the IEA’s five criteria for success
【参照ページ】COP28 and International Energy Agency reaffirm 1.5°C-aligned energy transition

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