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【アメリカ】エネルギー省、クリーン水素生産で2.4兆円の投資効果。バイオマスはポテンシャル3倍

 米エネルギー省は3月13日、インフラ投資雇用法とインフレ抑制法(IRA)に基づき、クリーン水素の分野で24州52のプロジェクトを選定し、総額7.5億米ドル(約1,100億円)を拠出すると発表した。受託法人自身の投資分も合わせ総額1,600億米ドル(約2.4兆円)の新規投資と、1,500人以上の直接雇用創出効果を見込む。

 今回選定されたプロジェクトにより、米国のクリーン水素製造能力は、燃料電池年間14GW分と、クリーン水素を年間130万t生産するための電解槽10GW分と見積もられている。

 具体的な拠出分野は、低コストかつ高スループット電解槽製造で8プロジェクトに総額3億1,600万米ドル。使用済み電解槽の回収とリサイクル可能性のための設計や、重要鉱物使用料の削減等の分野も含まれている。次に、電解槽部品とサプライチェーンの開発で10プロジェクトに総額8,100万米ドル。先端技術・部品開発で18プロジェクトに総額7,200万米ドル。燃料電池組立及びスタックの高度製造で5プロジェクトに総額1億5,000万米ドル。燃料電池サプライチェーン開発で10プロジェクトに総額8,200万米ドル。同分野には、PFASの削減及び排除のための先端技術も含まれている。最後に、回収・リサイクル・コンソーシアム対し、産学および国立研究所からなるコンソーシアムを設立し、5,000万米ドルを拠出する。

 選定された企業には、GM、カミンズ、ロバート・ボッシュ、プラグ・パワー等がある。


(出所)Department of Energy

 また同省は同日、米国のバイオマス生産量ポテンシャルが現状の3倍の年間10億tトン以上とする報告書も発表。米国における持続可能航空燃料(SAF)の予測需要の100%以上の量のバイオマスエネルギー供給が可能とした。

 米国のバイオマス燃料生産量は現在、エタノール用のトウモロコシ穀物や、熱・電力用の木材・木くずを含み、約3億4,200万t。米国の年間エネルギー需要の約5%を賄っている。今回の算出した生産ポテンシャルは推定600億ガロンで現状の3倍。同時に、食料、飼料、繊維、従来型の林産物や輸出の予測需要も満たすことができるという。現在利用可能だが未利用のバイオマス資源だけでも、現在の用途を上回る年間約3億5,000万tと算出した。

 同省は3月14日には、中小製造業企業を対象とした補助金の選定先も発表。37案件に総額480万米ドル(約7.2億円)を拠出する。企業側の投資額も590万米ドル(約8.9億円)。案件の内容は、オンサイトの太陽光発電、蓄電池技術、廃熱回収システムの設置、照明、暖房、換気、空調の改善、産業機器や車両の電化等。

 さらに米国とEUは3月15日、米欧エネルギー会議の第11回会合を開催。石炭火力発電所への新規投資を止めることが重要との考えで一致。2030年までに再生可能エネルギー設備容量を3倍にし、エネルギー効率改善率を世界平均で2倍にするという国連気候変動枠組条約第28回ドバイ締約国会議(COP28)の目標を強調した。原子力発電を活用していくことでも合意。核燃料および燃料サイクル・サービスにおけるロシアへの依存度を低減するための協力を強化することでも一致した。炭素回収・貯留(CCS)では、二酸化炭素輸送と炭素回収の実証での連携強化も打ち出した。

 天然ガスの扱いでは、天然ガス市場参加者に透明性があり、比較可能で信頼できる情報を提供するための、サプライチェーン排出量の測定・監視・報告・検証(MMRV)の枠組みに関するアプローチを確立するための国際ワーキンググループを2023年に設立したことを歓迎するとの内容に留め、是非については踏み込まなかった。

【参照ページ】Biden-Harris Administration Announces $750 Million to Support America’s Growing Hydrogen Industry as Part of Investing in America Agenda
【参照ページ】Funding Selections for Clean Hydrogen Electrolysis, Manufacturing, and Recycling Activities under the Bipartisan Infrastructure Law
【参照ページ】DOE Releases Report Outlining How America Can Sustainably Produce More Than One Billion Tons of Biomass Per Year
【参照ページ】Biden-Harris Administration Announces $5 Million to Strengthen Domestic Manufacturing Capabilities and Support Small-and Medium-Sized Manufacturers
【参照ページ】Joint Statement by the U.S. and EU following the 11th U.S.-EU Energy Council

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 米エネルギー省は3月13日、インフラ投資雇用法とインフレ抑制法(IRA)に基づき、クリーン水素の分野で24州52のプロジェクトを選定し、総額7.5億米ドル(約1,100億円)を拠出すると発表した。受託法人自身の投資分も合わせ総額1,600億米ドル(約2.4兆円)の新規投資と、1,500人以上の直接雇用創出効果を見込む。

 今回選定されたプロジェクトにより、

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 米エネルギー省は3月13日、インフラ投資雇用法とインフレ抑制法(IRA)に基づき、クリーン水素の分野で24州52のプロジェクトを選定し、総額7.5億米ドル(約1,100億円)を拠出すると発表した。受託法人自身の投資分も合わせ総額1,600億米ドル(約2.4兆円)の新規投資と、1,500人以上の直接雇用創出効果を見込む。

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 米エネルギー省は3月13日、インフラ投資雇用法とインフレ抑制法(IRA)に基づき、クリーン水素の分野で24州52のプロジェクトを選定し、総額7.5億米ドル(約1,100億円)を拠出すると発表した。受託法人自身の投資分も合わせ総額1,600億米ドル(約2.4兆円)の新規投資と、1,500人以上の直接雇用創出効果を見込む。

 今回選定されたプロジェクトにより、米国のクリーン水素製造能力は、燃料電池年間14GW分と、クリーン水素を年間130万t生産するための電解槽10GW分と見積もられている。

 具体的な拠出分野は、低コストかつ高スループット電解槽製造で8プロジェクトに総額3億1,600万米ドル。使用済み電解槽の回収とリサイクル可能性のための設計や、重要鉱物使用料の削減等の分野も含まれている。次に、電解槽部品とサプライチェーンの開発で10プロジェクトに総額8,100万米ドル。先端技術・部品開発で18プロジェクトに総額7,200万米ドル。燃料電池組立及びスタックの高度製造で5プロジェクトに総額1億5,000万米ドル。燃料電池サプライチェーン開発で10プロジェクトに総額8,200万米ドル。同分野には、PFASの削減及び排除のための先端技術も含まれている。最後に、回収・リサイクル・コンソーシアム対し、産学および国立研究所からなるコンソーシアムを設立し、5,000万米ドルを拠出する。

 選定された企業には、GM、カミンズ、ロバート・ボッシュ、プラグ・パワー等がある。


(出所)Department of Energy

 また同省は同日、米国のバイオマス生産量ポテンシャルが現状の3倍の年間10億tトン以上とする報告書も発表。米国における持続可能航空燃料(SAF)の予測需要の100%以上の量のバイオマスエネルギー供給が可能とした。

 米国のバイオマス燃料生産量は現在、エタノール用のトウモロコシ穀物や、熱・電力用の木材・木くずを含み、約3億4,200万t。米国の年間エネルギー需要の約5%を賄っている。今回の算出した生産ポテンシャルは推定600億ガロンで現状の3倍。同時に、食料、飼料、繊維、従来型の林産物や輸出の予測需要も満たすことができるという。現在利用可能だが未利用のバイオマス資源だけでも、現在の用途を上回る年間約3億5,000万tと算出した。

 同省は3月14日には、中小製造業企業を対象とした補助金の選定先も発表。37案件に総額480万米ドル(約7.2億円)を拠出する。企業側の投資額も590万米ドル(約8.9億円)。案件の内容は、オンサイトの太陽光発電、蓄電池技術、廃熱回収システムの設置、照明、暖房、換気、空調の改善、産業機器や車両の電化等。

 さらに米国とEUは3月15日、米欧エネルギー会議の第11回会合を開催。石炭火力発電所への新規投資を止めることが重要との考えで一致。2030年までに再生可能エネルギー設備容量を3倍にし、エネルギー効率改善率を世界平均で2倍にするという国連気候変動枠組条約第28回ドバイ締約国会議(COP28)の目標を強調した。原子力発電を活用していくことでも合意。核燃料および燃料サイクル・サービスにおけるロシアへの依存度を低減するための協力を強化することでも一致した。炭素回収・貯留(CCS)では、二酸化炭素輸送と炭素回収の実証での連携強化も打ち出した。

 天然ガスの扱いでは、天然ガス市場参加者に透明性があり、比較可能で信頼できる情報を提供するための、サプライチェーン排出量の測定・監視・報告・検証(MMRV)の枠組みに関するアプローチを確立するための国際ワーキンググループを2023年に設立したことを歓迎するとの内容に留め、是非については踏み込まなかった。

【参照ページ】Biden-Harris Administration Announces $750 Million to Support America’s Growing Hydrogen Industry as Part of Investing in America Agenda
【参照ページ】Funding Selections for Clean Hydrogen Electrolysis, Manufacturing, and Recycling Activities under the Bipartisan Infrastructure Law
【参照ページ】DOE Releases Report Outlining How America Can Sustainably Produce More Than One Billion Tons of Biomass Per Year
【参照ページ】Biden-Harris Administration Announces $5 Million to Strengthen Domestic Manufacturing Capabilities and Support Small-and Medium-Sized Manufacturers
【参照ページ】Joint Statement by the U.S. and EU following the 11th U.S.-EU Energy Council

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