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【国際】国連総会、責任あるAIで全会一致で決議。AIはSDGs達成に貢献。人権リスク統合必要

 国連総会は3月21日、責任あるAIに関し、決議「持続可能な開発のために、安全・安心・信頼のAIシステムのチャンスをつかむ」を全会一致(無投票)で採択した。米国主導で決議案が作成され、英国、フランス、ドイツ、イタリア、カナダ、日本、韓国、シンガポール、南アフリカ、ブラジル、イスラエル等合計55カ国が共同提案した。国連総会決議に法的拘束力はない。

 今回の決議では、国連持続可能な開発目標(SDGs)の達成を加速させるポテンシャルがAIにあるとの考えで一致。まず、AIのポジティブな側面に焦点を当て、AIは必要との立場を明確にした。とりわけ、発展途上国がデジタルトランスフォーメーション(DX)やAIの流れに遅れることがないよう、相互に合意された条件での技術移転、キャパシティビルディング、技術支援、ファイナンス等を早急に動員することを打ち出した。

 また同決議では、「安全・安心・信頼のAIシステム」という用語が何度も用いられた。そのうえで、「AIシステムのライフサイクル全体を通じ、人権と基本的自由 が尊重され、保護され、促進されなければならないことを強調し、国際人権法を遵守して運用することが不可能なAIシステム、あるいは人権、特に脆弱な 状況にある人々の人権の享受に過度のリスクをもたらすAIシステムの使用を控える、あるいは中止するよう、すべての加盟国、および該当する場合には その他のステークホルダーに呼びかけ、AOシステムのライフサイクル全体を通じ、オフラインで人々が有するのと同じ権利が、オンラインでも保護されなければならないことを再確認する」とした。

 全ての国連加盟国が実施すべき内容としては、

  • 政策優先事項と国際法上の義務に沿った規制及びガバナンス・アプローチ及び枠組みの開発と実施の促進
  • 技術的脆弱性や悪用されたAIインシデントについて、AIシステムの開発、テスト、配備後にエンドユーザーや第三者が証拠に基づいて発見・報告し、対処できるようにするためのフィードバック・メカニズムを組み込むことを奨励
  • AIシステムの適切な市民利用の中核的機能、能力、限界、領域について、一般市民の意識と理解を醸成
  • リスク監視・管理の仕組み、個人情報保護やプライバシーポリシーを含むデータ保護の仕組み、適切な影響評価の開発・実施・公開を促進
  • 物理的セキュリティ、人工知能システムのセキュリティ、AIシステムのライフサイクル全般にわたるリスク管理等、効果的なセーフガードの開発と実施への投資
  • 利用者が情報操作を識別し、真正なデジタルコンテンツとAIが生成または操作したデジタルコンテンツを区別または特定することを可能にするコンテンツ認証や出所証明メカニズム(電子透かしまたはラベル等)の活用
  • あらゆる形態の差別、偏見、誤用、その他の危害から個人を保護
  • 著作権で保護されたコンテンツを含む知的財産権を尊重するための適切なセーフガードの実施
  • システムのテストと評価の際にプライバシーと個人データの保護を保護し、透明性と報告要件を遵守
  • 透明性、予測可能性、信頼性、理解可能性を促進
  • 人権と基本的自由の完全かつ効果的な保護のため、リスクと影響評価を含む効果的なセーフガードを開発し、投資を奨励
  • 言語と文化の多様性を促進、保護、保全するAIシステムを推進
  • 潜在的なリスクを軽減しつつ利益を最大化するための情報共有
  • デジタル・デバイドを解消するためのオープンソースの人工知能システム等のデジタルソリューションのスケールアップ
  • ジェンダー・デジタル・デバイドを解消するための具体的措置の実施
  • 人工衛星の配備による影響を特定・評価するための手段を開発するための研究と国際協力の奨励

 さらに、AI社会での担い手格差を是正するため、発展途上国の労働市場に及ぼす潜在的な悪影響を緩和するための支援を提供し、デジタル・トレーニング、キャパシティビルディグ、イノベーションの支援、AIシステムの恩恵へのアクセス強化を目的としたプログラムを育成していくことも盛り込んだ。

 企業に対しては、今回掲げられた事項を、国連ビジネスと人権に関する指導原則(UNGP)上の人権リスクとして扱うことを奨励した。

 米国の国連代表部は3月14日、今回の決議に先立ち、共同提案した54カ国の国連代表部とともに共同声明を発表。全ての国連加盟国に賛同を求めていた。

【参照ページ】General Assembly adopts landmark resolution on artificial intelligence
【参照ページ】Joint Statement on the Proposed UNGA Resolution on Seizing the Opportunities of Safe, Secure, and Trustworthy AI Systems for Sustainable Development

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 国連総会は3月21日、責任あるAIに関し、決議「持続可能な開発のために、安全・安心・信頼のAIシステムのチャンスをつかむ」を全会一致(無投票)で採択した。米国主導で決議案が作成され、英国、フランス、ドイツ、イタリア、カナダ、日本、韓国、シンガポール、南アフリカ、ブラジル、イスラエル等合計55カ国が共同提案した。国連総会決議に法的拘束力はない。

 今回の決議では、

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 国連総会は3月21日、責任あるAIに関し、決議「持続可能な開発のために、安全・安心・信頼のAIシステムのチャンスをつかむ」を全会一致(無投票)で採択した。米国主導で決議案が作成され、英国、フランス、ドイツ、イタリア、カナダ、日本、韓国、シンガポール、南アフリカ、ブラジル、イスラエル等合計55カ国が共同提案した。国連総会決議に法的拘束力はない。

 今回の決議では、

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 国連総会は3月21日、責任あるAIに関し、決議「持続可能な開発のために、安全・安心・信頼のAIシステムのチャンスをつかむ」を全会一致(無投票)で採択した。米国主導で決議案が作成され、英国、フランス、ドイツ、イタリア、カナダ、日本、韓国、シンガポール、南アフリカ、ブラジル、イスラエル等合計55カ国が共同提案した。国連総会決議に法的拘束力はない。

 今回の決議では、国連持続可能な開発目標(SDGs)の達成を加速させるポテンシャルがAIにあるとの考えで一致。まず、AIのポジティブな側面に焦点を当て、AIは必要との立場を明確にした。とりわけ、発展途上国がデジタルトランスフォーメーション(DX)やAIの流れに遅れることがないよう、相互に合意された条件での技術移転、キャパシティビルディング、技術支援、ファイナンス等を早急に動員することを打ち出した。

 また同決議では、「安全・安心・信頼のAIシステム」という用語が何度も用いられた。そのうえで、「AIシステムのライフサイクル全体を通じ、人権と基本的自由 が尊重され、保護され、促進されなければならないことを強調し、国際人権法を遵守して運用することが不可能なAIシステム、あるいは人権、特に脆弱な 状況にある人々の人権の享受に過度のリスクをもたらすAIシステムの使用を控える、あるいは中止するよう、すべての加盟国、および該当する場合には その他のステークホルダーに呼びかけ、AOシステムのライフサイクル全体を通じ、オフラインで人々が有するのと同じ権利が、オンラインでも保護されなければならないことを再確認する」とした。

 全ての国連加盟国が実施すべき内容としては、

  • 政策優先事項と国際法上の義務に沿った規制及びガバナンス・アプローチ及び枠組みの開発と実施の促進
  • 技術的脆弱性や悪用されたAIインシデントについて、AIシステムの開発、テスト、配備後にエンドユーザーや第三者が証拠に基づいて発見・報告し、対処できるようにするためのフィードバック・メカニズムを組み込むことを奨励
  • AIシステムの適切な市民利用の中核的機能、能力、限界、領域について、一般市民の意識と理解を醸成
  • リスク監視・管理の仕組み、個人情報保護やプライバシーポリシーを含むデータ保護の仕組み、適切な影響評価の開発・実施・公開を促進
  • 物理的セキュリティ、人工知能システムのセキュリティ、AIシステムのライフサイクル全般にわたるリスク管理等、効果的なセーフガードの開発と実施への投資
  • 利用者が情報操作を識別し、真正なデジタルコンテンツとAIが生成または操作したデジタルコンテンツを区別または特定することを可能にするコンテンツ認証や出所証明メカニズム(電子透かしまたはラベル等)の活用
  • あらゆる形態の差別、偏見、誤用、その他の危害から個人を保護
  • 著作権で保護されたコンテンツを含む知的財産権を尊重するための適切なセーフガードの実施
  • システムのテストと評価の際にプライバシーと個人データの保護を保護し、透明性と報告要件を遵守
  • 透明性、予測可能性、信頼性、理解可能性を促進
  • 人権と基本的自由の完全かつ効果的な保護のため、リスクと影響評価を含む効果的なセーフガードを開発し、投資を奨励
  • 言語と文化の多様性を促進、保護、保全するAIシステムを推進
  • 潜在的なリスクを軽減しつつ利益を最大化するための情報共有
  • デジタル・デバイドを解消するためのオープンソースの人工知能システム等のデジタルソリューションのスケールアップ
  • ジェンダー・デジタル・デバイドを解消するための具体的措置の実施
  • 人工衛星の配備による影響を特定・評価するための手段を開発するための研究と国際協力の奨励

 さらに、AI社会での担い手格差を是正するため、発展途上国の労働市場に及ぼす潜在的な悪影響を緩和するための支援を提供し、デジタル・トレーニング、キャパシティビルディグ、イノベーションの支援、AIシステムの恩恵へのアクセス強化を目的としたプログラムを育成していくことも盛り込んだ。

 企業に対しては、今回掲げられた事項を、国連ビジネスと人権に関する指導原則(UNGP)上の人権リスクとして扱うことを奨励した。

 米国の国連代表部は3月14日、今回の決議に先立ち、共同提案した54カ国の国連代表部とともに共同声明を発表。全ての国連加盟国に賛同を求めていた。

【参照ページ】General Assembly adopts landmark resolution on artificial intelligence
【参照ページ】Joint Statement on the Proposed UNGA Resolution on Seizing the Opportunities of Safe, Secure, and Trustworthy AI Systems for Sustainable Development

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