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【ブラジル】牛肉大手Marfrig、5億米ドルのトランジション・ボンド発行。但しSPOでは不祥事警告コメントも

 食肉ブラジル第2位Marfrigは7月30日、「トランジション・ボンド」を5億米ドル(約540億円)発行すると発表した。同社は、発行に際し、「Marfrig Sustaianble Transition Bond」フレームワークを策定。ESG評価大手英仏VigeoEirisがセカンドオピニオン(SPO)を提供し、国際資本市場協会(ICMA)のグリーンボンド原則(GBP)とソーシャルボンド原則(SBP)に対する適格性を付与した。主幹事はBNPパリバ、INGグループ、サンタンデール銀行。

 「トランジション・ボンド」は、まだ国際的に浸透している用語ではないが、6月にアクサ・インベストメント・マネージャーズが「トランジション・ボンド」のガイドラインを自主的に策定したことが関心を呼んだ。トランジション・ボンドは、環境課題を抱えるセクターが、徐々に環境フットプリントの低い事業運営にシフトしていくためのプロジェクトを資金使途とする債券を指す。

【参考】【フランス】アクサIM、グリーンボンドではない「トランジション・ボンド」カテゴリー設定。自主ガイドライン公表(2019年6月18日)

 今回のトランジション・ボンドの資金使途は、肉牛の購入。牛肉生産は世界有数の森林破壊原因となっており、環境破壊の多い分野。同社のフレームワークでは、トランジション・ボンドで集めた資金は、アマゾンバイオーム(生物群集)地域にあるマット・グロッソ州、ロンドニア州、パラー州の肉牛畜産農家のうち、同社が定める環境基準及び社会基準に適合する農家からの肉牛購入にのみ充てられる。環境基準には、森林破壊と生物多様性保護の観点が、社会基準では、先住民の権利保護、サプライチェーン上での強制労働排除が入っている。

 2019年のグリーンボンド発行額は上半期時点で1,000億ドルを突破し、2018年同時期の660億ドルから大きく増加。投資家からの需要も引き続き堅調。グリーンボンドはこれまで気候変動関連のプロジェクトを資金使途とするものが多かったが、森林破壊課題に直結する畜産分野からのグリーンボンド発行は、市場の大きな関心を集めていくとみられる。

 但し、Mafrigのトランジション・ボンド発行に対し、VigeoEirisはセカンドオピニオンの中で、同社には「Controversy」が2つあると警告。「腐敗防止」と「反競争法慣行」の観点で顕著な問題があると言及した。内容について詳述はしていない。VigeoEirisは、Controversyについては、「頻度」「深刻さ」「対応への積極性」の3つの要素で評価をつけているが、頻度は「限定的」と最も重度の低い判定を与えたが、深刻さは上から2番目の「高い」、対応への積極性でも上から2番目の「後手後手の」と厳しい評価を下した。Mafrigに対しては、国際環境NGOグリーンピースも、Mafrigが森林破壊に加担していると何年も非難してきたことも背景にあるとみられる。

 また、牛肉については、生産過程で多くの二酸化炭素を排出することから、米国を中心に、植物性等の代替タンパク質に一部消費者がシフトする動きも出ている。今回のグリーンボンドに対する機関投資家からの評価に注目が集まる。

【参照ページ】MARFRIG SUSTAINABLE TRANSITION BOND
【参照ページ】SECOND PARTY OPINION

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 食肉ブラジル第2位Marfrigは7月30日、「トランジション・ボンド」を5億米ドル(約540億円)発行すると発表した。同社は、発行に際し、「Marfrig Sustaianble Transition Bond」フレームワークを策定。ESG評価大手英仏VigeoEirisがセカンドオピニオン(SPO)を提供し、国際資本市場協会(ICMA)のグリーンボンド原則(GBP)とソーシャルボンド原則(SBP)に対する適格性を付与した。主幹事はBNPパリバ、INGグループ、サンタンデール銀行。

 「トランジション・ボンド」は、まだ国際的に浸透している用語ではないが、

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 食肉ブラジル第2位Marfrigは7月30日、「トランジション・ボンド」を5億米ドル(約540億円)発行すると発表した。同社は、発行に際し、「Marfrig Sustaianble Transition Bond」フレームワークを策定。ESG評価大手英仏VigeoEirisがセカンドオピニオン(SPO)を提供し、国際資本市場協会(ICMA)のグリーンボンド原則(GBP)とソーシャルボンド原則(SBP)に対する適格性を付与した。主幹事はBNPパリバ、INGグループ、サンタンデール銀行。

 「トランジション・ボンド」は、まだ国際的に浸透している用語ではないが、

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 食肉ブラジル第2位Marfrigは7月30日、「トランジション・ボンド」を5億米ドル(約540億円)発行すると発表した。同社は、発行に際し、「Marfrig Sustaianble Transition Bond」フレームワークを策定。ESG評価大手英仏VigeoEirisがセカンドオピニオン(SPO)を提供し、国際資本市場協会(ICMA)のグリーンボンド原則(GBP)とソーシャルボンド原則(SBP)に対する適格性を付与した。主幹事はBNPパリバ、INGグループ、サンタンデール銀行。

 「トランジション・ボンド」は、まだ国際的に浸透している用語ではないが、6月にアクサ・インベストメント・マネージャーズが「トランジション・ボンド」のガイドラインを自主的に策定したことが関心を呼んだ。トランジション・ボンドは、環境課題を抱えるセクターが、徐々に環境フットプリントの低い事業運営にシフトしていくためのプロジェクトを資金使途とする債券を指す。

【参考】【フランス】アクサIM、グリーンボンドではない「トランジション・ボンド」カテゴリー設定。自主ガイドライン公表(2019年6月18日)

 今回のトランジション・ボンドの資金使途は、肉牛の購入。牛肉生産は世界有数の森林破壊原因となっており、環境破壊の多い分野。同社のフレームワークでは、トランジション・ボンドで集めた資金は、アマゾンバイオーム(生物群集)地域にあるマット・グロッソ州、ロンドニア州、パラー州の肉牛畜産農家のうち、同社が定める環境基準及び社会基準に適合する農家からの肉牛購入にのみ充てられる。環境基準には、森林破壊と生物多様性保護の観点が、社会基準では、先住民の権利保護、サプライチェーン上での強制労働排除が入っている。

 2019年のグリーンボンド発行額は上半期時点で1,000億ドルを突破し、2018年同時期の660億ドルから大きく増加。投資家からの需要も引き続き堅調。グリーンボンドはこれまで気候変動関連のプロジェクトを資金使途とするものが多かったが、森林破壊課題に直結する畜産分野からのグリーンボンド発行は、市場の大きな関心を集めていくとみられる。

 但し、Mafrigのトランジション・ボンド発行に対し、VigeoEirisはセカンドオピニオンの中で、同社には「Controversy」が2つあると警告。「腐敗防止」と「反競争法慣行」の観点で顕著な問題があると言及した。内容について詳述はしていない。VigeoEirisは、Controversyについては、「頻度」「深刻さ」「対応への積極性」の3つの要素で評価をつけているが、頻度は「限定的」と最も重度の低い判定を与えたが、深刻さは上から2番目の「高い」、対応への積極性でも上から2番目の「後手後手の」と厳しい評価を下した。Mafrigに対しては、国際環境NGOグリーンピースも、Mafrigが森林破壊に加担していると何年も非難してきたことも背景にあるとみられる。

 また、牛肉については、生産過程で多くの二酸化炭素を排出することから、米国を中心に、植物性等の代替タンパク質に一部消費者がシフトする動きも出ている。今回のグリーンボンドに対する機関投資家からの評価に注目が集まる。

【参照ページ】MARFRIG SUSTAINABLE TRANSITION BOND
【参照ページ】SECOND PARTY OPINION

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