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【日本】GPIF、TOPIX構成企業対象の2022年アンケート結果公表。進化がやや停滞

 年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は5月17日、TOPIX構成企業(2022年12月23日時点)を対象に実施した機関投資家のスチュワード活動に関する第8回アンケートの結果を公表した。IRミーティングの変化、運用会社による統合報告書の活用状況、集団的エンゲージメントの対応評価、議決権行使に関する対話、ESGインデックス採用に関する評価等、GPIFが目指す企業の長期志向経営に向けた内容となっている。

 GPIFは、運用会社のスチュワードシップ活動の動向を把握するため定期的に上場企業にアンケートを実施。今回の回答率は34.0%(前年は32.5%)。2,161社にアンケートを送付し735社から回答があった。企業規模別では、大企業の回答率が85.0%に対し、小型企業は24.1%と規模により大きな差が出た。回答期間は1月24日から3月24日。

 GPIFから運用委託を受けている運用会社とのIRミーティングについて、4割以上の企業が好ましい変化を感じると回答。「全体または多数の機関投資家の好ましい変化を感じる 」との回答が前回13.6%、今回12.5%とほぼ横ばいで推移した。但し、「とりたてて大きな変化は感じられない」が42.3%に増加し、4年前の水準にまで戻った。

 機関投資家に示している長期ビジョンについては、想定年数が「20年以上」とした企業が前年の7.4から7.6%へと増加。10年以上の尺度で想定している企業の割合が50.9%だった。5年未満の回答が、2021年の21.3%、2022年の17.6%、2023年の14.4%と減少傾向にある。

 統合報告書の機関投資家の活用についても、「進んできた」の回答が、2018年は17.5%、2019年は39.4%、2020年は50.0%、2021年は61.7%、2022年は63.5%と大幅に上昇したが、2023年は62.0%でやや減だった。

 TCFD開示状況では、「十分開示できている」の回答が、ガバナンス項目が72.2%、戦略項目が53.3%、リスク管理項目が57.1%、指標・目標項目が51.1%だった。

 ESGで重視しているテーマでは、気候変動が4.4ポイント上昇し、82.3%で2年連続首位。コーポレートガバナンスが昨年と変わらず68.0%で第2位。ダイバーシティも57.0%と、前回から2.0ポイント上昇した。人権と地域社会が44.6%、健康・安全が39.7%の順。

 同アンケート結果では、機関投資家と発行体側双方の改善が見られるが、回答率が34.0%と少ないことから、回答に積極的に応じていない企業の状況が依然として気にかかる状況だ。

【参照ページ】「第7回 機関投資家のスチュワードシップ活動に関する上場企業向けアンケート集計結果」の公表について

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 年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は5月17日、TOPIX構成企業(2022年12月23日時点)を対象に実施した機関投資家のスチュワード活動に関する第8回アンケートの結果を公表した。IRミーティングの変化、運用会社による統合報告書の活用状況、集団的エンゲージメントの対応評価、議決権行使に関する対話、ESGインデックス採用に関する評価等、GPIFが目指す企業の長期志向経営に向けた内容となっている。

 GPIFは、

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 年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は5月17日、TOPIX構成企業(2022年12月23日時点)を対象に実施した機関投資家のスチュワード活動に関する第8回アンケートの結果を公表した。IRミーティングの変化、運用会社による統合報告書の活用状況、集団的エンゲージメントの対応評価、議決権行使に関する対話、ESGインデックス採用に関する評価等、GPIFが目指す企業の長期志向経営に向けた内容となっている。

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 年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は5月17日、TOPIX構成企業(2022年12月23日時点)を対象に実施した機関投資家のスチュワード活動に関する第8回アンケートの結果を公表した。IRミーティングの変化、運用会社による統合報告書の活用状況、集団的エンゲージメントの対応評価、議決権行使に関する対話、ESGインデックス採用に関する評価等、GPIFが目指す企業の長期志向経営に向けた内容となっている。

 GPIFは、運用会社のスチュワードシップ活動の動向を把握するため定期的に上場企業にアンケートを実施。今回の回答率は34.0%(前年は32.5%)。2,161社にアンケートを送付し735社から回答があった。企業規模別では、大企業の回答率が85.0%に対し、小型企業は24.1%と規模により大きな差が出た。回答期間は1月24日から3月24日。

 GPIFから運用委託を受けている運用会社とのIRミーティングについて、4割以上の企業が好ましい変化を感じると回答。「全体または多数の機関投資家の好ましい変化を感じる 」との回答が前回13.6%、今回12.5%とほぼ横ばいで推移した。但し、「とりたてて大きな変化は感じられない」が42.3%に増加し、4年前の水準にまで戻った。

 機関投資家に示している長期ビジョンについては、想定年数が「20年以上」とした企業が前年の7.4から7.6%へと増加。10年以上の尺度で想定している企業の割合が50.9%だった。5年未満の回答が、2021年の21.3%、2022年の17.6%、2023年の14.4%と減少傾向にある。

 統合報告書の機関投資家の活用についても、「進んできた」の回答が、2018年は17.5%、2019年は39.4%、2020年は50.0%、2021年は61.7%、2022年は63.5%と大幅に上昇したが、2023年は62.0%でやや減だった。

 TCFD開示状況では、「十分開示できている」の回答が、ガバナンス項目が72.2%、戦略項目が53.3%、リスク管理項目が57.1%、指標・目標項目が51.1%だった。

 ESGで重視しているテーマでは、気候変動が4.4ポイント上昇し、82.3%で2年連続首位。コーポレートガバナンスが昨年と変わらず68.0%で第2位。ダイバーシティも57.0%と、前回から2.0ポイント上昇した。人権と地域社会が44.6%、健康・安全が39.7%の順。

 同アンケート結果では、機関投資家と発行体側双方の改善が見られるが、回答率が34.0%と少ないことから、回答に積極的に応じていない企業の状況が依然として気にかかる状況だ。

【参照ページ】「第7回 機関投資家のスチュワードシップ活動に関する上場企業向けアンケート集計結果」の公表について

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