Sustainable Japan | 世界のサステナビリティ・ESG投資・SDGs

【国際】アマゾン、2024年以降にサプライヤーにCO2削減義務化へ。焦点は実施徹底レベル

 IT世界大手米アマゾンは7月18日、2022年のサステナビリティ・レポートを公表。2024年以降、サプライヤーに対し、二酸化炭素排出量の算出と削減目標設定を義務化していくことを明らかにした。詳細は今後発表する。また、サステナビリティ認証取得商品の販売も強化する。

 同社は2019年、2040年までのカーボンニュートラルにコミットするイニシアチブ「Climate Pledge」を発足し、自ら署名第1号となった。その、スコープ2での削減や、削減ソリューションを提要するスタートアップ企業への投資等は行っていたが、サプライヤーに対しては、発表が遅れていた。

【参考】【アメリカ】アマゾン、2040年までのCO2ゼロ誓約イニシアチブ「Climate Pledge」発足。自ら第1号署名(2019年9月25日)

 同社は2019年9月、同社のEコマースで販売されている製品のメーカーや、同社の自社電子端末に関するサプライヤー等を全て包含したサプライヤーに適用する「サプライヤー・スタンダード」を策定している。しかし、二酸化炭素排出量については「省エネの改善、エネルギー消費量の最小化、二酸化炭素排出量の削減の手法を探索することを奨励」とするにとどまっていた。

 その後、2022年12月に「サプライチェーン・スタンダード」を改訂してたが、その際にも、「省エネの改善、エネルギー消費量の最小化、二酸化炭素排出量の削減を継続的に実施することを推奨」「削減目標と進捗の公表を推奨」するという形で、削減については推奨にとどめており、義務については、「アマゾンが要求した場合に、二酸化炭素排出量の算出と提出」という形にとどめていた。

 しかし今回、同社のカラ・ハースト・ワールドワイド・サステナビリティ担当副社長は今回、満を持して、同社の「サプライチェーン・スタンダード」を改訂し、二酸化炭素排出量の算出と削減目標設定を義務化する方針を表明。同社の規模と大きさを活用し、カーボンニュートラルへの自社コミットを果たしていく考えを示した。また、サプライヤーに対しても、同社のカーボンニュートラル・ビジョンの達成に資するサプライヤーを探し続けると言及し、サプライヤーの選定にも反映させていくことを示唆した。

 同社の自社電子端末サプライヤーのうち28社は、2022年の時点ですでにカーボンニュートラル・コミットメントを同社に提出している。

 サプライヤー関連では、他にも、2022年12月の「サプライチェーン・スタンダード」の中で、サプライヤーに対し、同一労働同一賃金や、公正な賃金な支払いを義務化。労働者の健康やメンタルヘルスについては、労働安全衛生として、リスクの特定、評価、低減も義務化しており、実施確保についても「適用される法令の遵守」というレベルにとどまったものの、最低限の義務化は果たしていた。また、今回のサステナビリティ・レポートでは、「サプライチェーン・ダイバーシティ」にも触れ、マイノリティ経営者と判断された375のサプライヤーに33億米ドル(約4,700億円)の商取引を行ったことも強調している。

 また今回のサステナビリティ・レポートでは、配送での二酸化炭素排出量削減のため、配送している電気自動車(EV)台数が2022年時点で世界全体で9,000台に達し、2030年までに10万台にまで拡大する目標を表明。フルフィルメント・センターの燃料電池フォークリフトがすでに15,000台以上となり、2022年に締結した契約で、2025年までに40,000台にまで増えることも伝えた。

 AWSでは、サーバーやハードウェアを含め、データセンターからの二酸化炭素排出量を削減し、オンプレミスのデータ処理と比較して、約80%削減できるところまできたと説明した。加えて、AWSで、2030年までにウォーターポジティブを実現することも宣言した。

 アマゾンのEコマースで販売する製品では、同社のClimate Pledge Friendly(CPF)プログラムを通じ、信頼できる50以上の第三者認証のうち一つ以上を取得した低炭素商品のウェブサイトでの視認性向上を進めている。2022年には、CPF商品の数が2倍以上に増加し、現時点で55万点以上が販売されているという。2022年の出荷数は8億個以上。

 同社は今回、「サプライチェーン・スタンダード」の改訂を宣言したが、現行の「サプライチェーン・スタンダード」に関しても、実施が徹底されているとは言い難い。今後の焦点は、スタンダードの監査実施や、遵守実施を示した進捗状況の報告に移っていく。

 今回のサプライヤー基準強化について、カラ・ハースト・ワールドワイド・サステナビリティ担当副社長のメッセージを掲載したウェブページが、アマゾンの米国と欧州でのプレスリリースでは掲載されているが、現時点ではアマゾン・ジャパンには掲載されていない。

【参照ページ】9 takeaways from Amazon’s 2022 Sustainability Report
【参照ページ】9 takeaways from Amazon’s 2022 Sustainability Report
【参照ページ】Amazon Supply Chain Standards
【参照ページ】Amazon Supply Chain Standards

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 IT世界大手米アマゾンは7月18日、2022年のサステナビリティ・レポートを公表。2024年以降、サプライヤーに対し、二酸化炭素排出量の算出と削減目標設定を義務化していくことを明らかにした。詳細は今後発表する。また、サステナビリティ認証取得商品の販売も強化する。

 同社は2019年、2040年までのカーボンニュートラルにコミットするイニシアチブ「Climate Pledge」を発足し、自ら署名第1号となった。その、スコープ2での削減や、削減ソリューションを提要するスタートアップ企業への投資等は行っていたが、サプライヤーに対しては、発表が遅れていた。

【参考】【アメリカ】アマゾン、2040年までのCO2ゼロ誓約イニシアチブ「Climate Pledge」発足。自ら第1号署名(2019年9月25日)

 同社は2019年9月、

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 IT世界大手米アマゾンは7月18日、2022年のサステナビリティ・レポートを公表。2024年以降、サプライヤーに対し、二酸化炭素排出量の算出と削減目標設定を義務化していくことを明らかにした。詳細は今後発表する。また、サステナビリティ認証取得商品の販売も強化する。

 同社は2019年、2040年までのカーボンニュートラルにコミットするイニシアチブ「Climate Pledge」を発足し、自ら署名第1号となった。その、スコープ2での削減や、削減ソリューションを提要するスタートアップ企業への投資等は行っていたが、サプライヤーに対しては、発表が遅れていた。

【参考】【アメリカ】アマゾン、2040年までのCO2ゼロ誓約イニシアチブ「Climate Pledge」発足。自ら第1号署名(2019年9月25日)

 同社は2019年9月、

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 IT世界大手米アマゾンは7月18日、2022年のサステナビリティ・レポートを公表。2024年以降、サプライヤーに対し、二酸化炭素排出量の算出と削減目標設定を義務化していくことを明らかにした。詳細は今後発表する。また、サステナビリティ認証取得商品の販売も強化する。

 同社は2019年、2040年までのカーボンニュートラルにコミットするイニシアチブ「Climate Pledge」を発足し、自ら署名第1号となった。その、スコープ2での削減や、削減ソリューションを提要するスタートアップ企業への投資等は行っていたが、サプライヤーに対しては、発表が遅れていた。

【参考】【アメリカ】アマゾン、2040年までのCO2ゼロ誓約イニシアチブ「Climate Pledge」発足。自ら第1号署名(2019年9月25日)

 同社は2019年9月、同社のEコマースで販売されている製品のメーカーや、同社の自社電子端末に関するサプライヤー等を全て包含したサプライヤーに適用する「サプライヤー・スタンダード」を策定している。しかし、二酸化炭素排出量については「省エネの改善、エネルギー消費量の最小化、二酸化炭素排出量の削減の手法を探索することを奨励」とするにとどまっていた。

 その後、2022年12月に「サプライチェーン・スタンダード」を改訂してたが、その際にも、「省エネの改善、エネルギー消費量の最小化、二酸化炭素排出量の削減を継続的に実施することを推奨」「削減目標と進捗の公表を推奨」するという形で、削減については推奨にとどめており、義務については、「アマゾンが要求した場合に、二酸化炭素排出量の算出と提出」という形にとどめていた。

 しかし今回、同社のカラ・ハースト・ワールドワイド・サステナビリティ担当副社長は今回、満を持して、同社の「サプライチェーン・スタンダード」を改訂し、二酸化炭素排出量の算出と削減目標設定を義務化する方針を表明。同社の規模と大きさを活用し、カーボンニュートラルへの自社コミットを果たしていく考えを示した。また、サプライヤーに対しても、同社のカーボンニュートラル・ビジョンの達成に資するサプライヤーを探し続けると言及し、サプライヤーの選定にも反映させていくことを示唆した。

 同社の自社電子端末サプライヤーのうち28社は、2022年の時点ですでにカーボンニュートラル・コミットメントを同社に提出している。

 サプライヤー関連では、他にも、2022年12月の「サプライチェーン・スタンダード」の中で、サプライヤーに対し、同一労働同一賃金や、公正な賃金な支払いを義務化。労働者の健康やメンタルヘルスについては、労働安全衛生として、リスクの特定、評価、低減も義務化しており、実施確保についても「適用される法令の遵守」というレベルにとどまったものの、最低限の義務化は果たしていた。また、今回のサステナビリティ・レポートでは、「サプライチェーン・ダイバーシティ」にも触れ、マイノリティ経営者と判断された375のサプライヤーに33億米ドル(約4,700億円)の商取引を行ったことも強調している。

 また今回のサステナビリティ・レポートでは、配送での二酸化炭素排出量削減のため、配送している電気自動車(EV)台数が2022年時点で世界全体で9,000台に達し、2030年までに10万台にまで拡大する目標を表明。フルフィルメント・センターの燃料電池フォークリフトがすでに15,000台以上となり、2022年に締結した契約で、2025年までに40,000台にまで増えることも伝えた。

 AWSでは、サーバーやハードウェアを含め、データセンターからの二酸化炭素排出量を削減し、オンプレミスのデータ処理と比較して、約80%削減できるところまできたと説明した。加えて、AWSで、2030年までにウォーターポジティブを実現することも宣言した。

 アマゾンのEコマースで販売する製品では、同社のClimate Pledge Friendly(CPF)プログラムを通じ、信頼できる50以上の第三者認証のうち一つ以上を取得した低炭素商品のウェブサイトでの視認性向上を進めている。2022年には、CPF商品の数が2倍以上に増加し、現時点で55万点以上が販売されているという。2022年の出荷数は8億個以上。

 同社は今回、「サプライチェーン・スタンダード」の改訂を宣言したが、現行の「サプライチェーン・スタンダード」に関しても、実施が徹底されているとは言い難い。今後の焦点は、スタンダードの監査実施や、遵守実施を示した進捗状況の報告に移っていく。

 今回のサプライヤー基準強化について、カラ・ハースト・ワールドワイド・サステナビリティ担当副社長のメッセージを掲載したウェブページが、アマゾンの米国と欧州でのプレスリリースでは掲載されているが、現時点ではアマゾン・ジャパンには掲載されていない。

【参照ページ】9 takeaways from Amazon’s 2022 Sustainability Report
【参照ページ】9 takeaways from Amazon’s 2022 Sustainability Report
【参照ページ】Amazon Supply Chain Standards
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