Sustainable Japan | 世界のサステナビリティ・ESG投資・SDGs

【国際】IOSCO、サステナブルファイナンスのグリーンウォッシュ防止で最終報告書

 証券監督者国際機構(IOSCO)は12月4日、各国の金融当局向けに、サステナブルファイナンスでのグリーンウォッシュに関する対処するための勧告指針「グリーンウォッシングに対応するための監督実務に関する最終報告書」を公表した。

 同報告書は、IOSCOが2021年11月に公表したIOSCOのグリーンウォッシュ対応勧告及び2022年の行動要請の内容を反映し、金融当局での実践を妨げている課題やデータギャップを明らかにしたもの。それを踏まえ、運用会社やESG評価機関・データプロバイダーに対するアプローチをまとめた。

 IOSCOが2021年に公表した勧告は5つの内容で構成されている。日本を含めた主要国では、すでに勧告内容に沿った法規制や行政ガイダンスを発行している。

勧告1:運用会社の業務慣行、方針、手続及び開示。証券規制当局及び/または政策立案者は、必要に応じ、以下の事項に関して運用会社に対する規制・監督上の期待を設定することを検討すべき。a.重要なサステナビリティに関連するリスクと機会に関する慣行、方針、手続の策定と実施、b.関連する情報の開示。

勧告2:商品開示。証券規制当局及び/または政策立案者は、投資家が a.サステナビリティに関連する商品、及び b.全ての商品に関する重要なサステナビリティに関連するリスクをよりよく理解できるよう、商品レベルの情報開示を改善するため、既存の規制要件やガイダンスを明確化及び/または拡大すること、または、必要に応じ、新たな規制要件やガイダンスを設けることを検討すべき。

勧告3:監督と執行。証券規制当局及び/または政策立案者は、必要に応じ、運用会社およびサステナビリティ関連商品が規制要件を遵守しているかどうかを監視・評価するための監督ツール、及び係る要件違反に対処するための執行手段を有すべき。

勧告4:用語。証券規制当局及び/または政策立案者は、グローバルな運用業界全体の一貫性を確保するため、ESGアプローチに関連するものを含め、サステナブルファイナンスに関連する共通の用語や定義を策定するよう業界参加者に奨励することを検討すべき。

勧告5:金融・投資家教育。証券規制当局及び/または政策立案者は、該当する場合には、サステナビリティに関連する金融・投資家教育のイニシアチブを推進すること、または、該当する場合には、既存のサステナビリティに関連する教育のイニシアチブを強化することを検討すべき。

 今回の報告書は、まず、グリーンウォッシュの定義が依然として世界的に確立されておらず、また各国金融当局も定義を明確にしないまま、グリーンウォッシュ規制する法規制を制定させていることも多かった点を指摘。さらに、IOSCOの2021年の勧告では、グリーンウォッシュを、サステナビリティに関連する慣行や、投資商品のサステナビリティに関連する特徴を偽って表記する行為と定義しているが、最近では、経営陣や投資家の監視の目を逃れるために、サステナビリティに関する情報を過少に報告したり隠蔽したりする「グリーンハッシング」や、規制・法的リスクを回避するためにあえて「グリーン」と主張しないことを選択する「グリーンブリーチング」等の不正行為も目立つようになってきているとした。

 また、2021年の勧告では、運用会社を対象にした勧告を行い、さらにIOSCOは、ESG評価機関・データプロバイダーを対象とした勧告も行ってきているが、発行体やフィナンシャルアドバイザーも含めたインベストメントチェーン全体で発生している可能性があると指摘した。ESG評価機関・データプロバイダーの市場は急成長するとともに、プレイヤーもM&Aを通じて巨大化しており、各国当局にあらためて規制やガイダンスの発出を呼びかけた。

 金融当局の監督・執行に関しては、各国で導入が進んでいることを評価しつつ、監督能力を高める一つの手段としてテクノロジーの活用も検討できるとした。実際に外部情報収集やテキストマイニングのテクノロジーを活用している例として、シンガポール、香港、イタリア、英国、ベルギーを挙げた。また、違反時の罰金や強制措置までを適用することで、効果的に取り締まることができると報告。特に、一般的な虚偽や誤解を招くような訴求に対する事案時の対応ではなく、特定のグリーンウォッシュに関する罰則や制裁が有効に作用しうるとした。

 定義に関しては、IOSCOのアフィリエイトメンバー協議委員会(AMCC)加盟国では、用語の一貫性を向上させる措置が講じられており、ファンド分類とラベリング改善につながる可能性があると期待を寄せた。

 金融・投資家教育については、引き続き、金融当局と金融業界の双方で、サステナブルファイナンスやグリーンウォッシュに関する教育が必要になるとした。

【参照ページ】IOSCO publishes a final report presenting supervisory practices across its members to address greenwashing.

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 証券監督者国際機構(IOSCO)は12月4日、各国の金融当局向けに、サステナブルファイナンスでのグリーンウォッシュに関する対処するための勧告指針「グリーンウォッシングに対応するための監督実務に関する最終報告書」を公表した。

 同報告書は、

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 証券監督者国際機構(IOSCO)は12月4日、各国の金融当局向けに、サステナブルファイナンスでのグリーンウォッシュに関する対処するための勧告指針「グリーンウォッシングに対応するための監督実務に関する最終報告書」を公表した。

 同報告書は、

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 証券監督者国際機構(IOSCO)は12月4日、各国の金融当局向けに、サステナブルファイナンスでのグリーンウォッシュに関する対処するための勧告指針「グリーンウォッシングに対応するための監督実務に関する最終報告書」を公表した。

 同報告書は、IOSCOが2021年11月に公表したIOSCOのグリーンウォッシュ対応勧告及び2022年の行動要請の内容を反映し、金融当局での実践を妨げている課題やデータギャップを明らかにしたもの。それを踏まえ、運用会社やESG評価機関・データプロバイダーに対するアプローチをまとめた。

 IOSCOが2021年に公表した勧告は5つの内容で構成されている。日本を含めた主要国では、すでに勧告内容に沿った法規制や行政ガイダンスを発行している。

勧告1:運用会社の業務慣行、方針、手続及び開示。証券規制当局及び/または政策立案者は、必要に応じ、以下の事項に関して運用会社に対する規制・監督上の期待を設定することを検討すべき。a.重要なサステナビリティに関連するリスクと機会に関する慣行、方針、手続の策定と実施、b.関連する情報の開示。

勧告2:商品開示。証券規制当局及び/または政策立案者は、投資家が a.サステナビリティに関連する商品、及び b.全ての商品に関する重要なサステナビリティに関連するリスクをよりよく理解できるよう、商品レベルの情報開示を改善するため、既存の規制要件やガイダンスを明確化及び/または拡大すること、または、必要に応じ、新たな規制要件やガイダンスを設けることを検討すべき。

勧告3:監督と執行。証券規制当局及び/または政策立案者は、必要に応じ、運用会社およびサステナビリティ関連商品が規制要件を遵守しているかどうかを監視・評価するための監督ツール、及び係る要件違反に対処するための執行手段を有すべき。

勧告4:用語。証券規制当局及び/または政策立案者は、グローバルな運用業界全体の一貫性を確保するため、ESGアプローチに関連するものを含め、サステナブルファイナンスに関連する共通の用語や定義を策定するよう業界参加者に奨励することを検討すべき。

勧告5:金融・投資家教育。証券規制当局及び/または政策立案者は、該当する場合には、サステナビリティに関連する金融・投資家教育のイニシアチブを推進すること、または、該当する場合には、既存のサステナビリティに関連する教育のイニシアチブを強化することを検討すべき。

 今回の報告書は、まず、グリーンウォッシュの定義が依然として世界的に確立されておらず、また各国金融当局も定義を明確にしないまま、グリーンウォッシュ規制する法規制を制定させていることも多かった点を指摘。さらに、IOSCOの2021年の勧告では、グリーンウォッシュを、サステナビリティに関連する慣行や、投資商品のサステナビリティに関連する特徴を偽って表記する行為と定義しているが、最近では、経営陣や投資家の監視の目を逃れるために、サステナビリティに関する情報を過少に報告したり隠蔽したりする「グリーンハッシング」や、規制・法的リスクを回避するためにあえて「グリーン」と主張しないことを選択する「グリーンブリーチング」等の不正行為も目立つようになってきているとした。

 また、2021年の勧告では、運用会社を対象にした勧告を行い、さらにIOSCOは、ESG評価機関・データプロバイダーを対象とした勧告も行ってきているが、発行体やフィナンシャルアドバイザーも含めたインベストメントチェーン全体で発生している可能性があると指摘した。ESG評価機関・データプロバイダーの市場は急成長するとともに、プレイヤーもM&Aを通じて巨大化しており、各国当局にあらためて規制やガイダンスの発出を呼びかけた。

 金融当局の監督・執行に関しては、各国で導入が進んでいることを評価しつつ、監督能力を高める一つの手段としてテクノロジーの活用も検討できるとした。実際に外部情報収集やテキストマイニングのテクノロジーを活用している例として、シンガポール、香港、イタリア、英国、ベルギーを挙げた。また、違反時の罰金や強制措置までを適用することで、効果的に取り締まることができると報告。特に、一般的な虚偽や誤解を招くような訴求に対する事案時の対応ではなく、特定のグリーンウォッシュに関する罰則や制裁が有効に作用しうるとした。

 定義に関しては、IOSCOのアフィリエイトメンバー協議委員会(AMCC)加盟国では、用語の一貫性を向上させる措置が講じられており、ファンド分類とラベリング改善につながる可能性があると期待を寄せた。

 金融・投資家教育については、引き続き、金融当局と金融業界の双方で、サステナブルファイナンスやグリーンウォッシュに関する教育が必要になるとした。

【参照ページ】IOSCO publishes a final report presenting supervisory practices across its members to address greenwashing.

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