Sustainable Japan | 世界のサステナビリティ・ESG投資・SDGs

【EU】EU理事会と欧州議会、マネロン規制強化で政治的合意。一連の項目全てで交渉完了

 EU上院の役割を担うEU加盟国閣僚級のEU理事会とEU下院の役割を担う欧州議会は1月18日、マネーロンダリング防止/テロ資金供与(AML/CFT)規則案とマネーロンダリング防止指令案で政治的合意に達した。今後、双方での立法手続に入る。

 EUでは2021年7月、欧州委員会が今回のEU規則制定に向けた提案を採択。EU理事会と欧州議会との調整に入っていた。同規則は内容が多岐にわたるため、EU理事会と欧州議会での協議は、項目毎にわけて実施する手法を採用。一部内容はすでに両者間での政治的合意に達していた。今回の合意により、一連の内容が全て合意された形となった。

【参考】【EU】EU理事会と欧州議会、マネロン・テロ資金供与の専門監督機関設置で政治的合意(2022年7月3日)
【参考】【EU】EU理事会と欧州議会、マネロン・テロ資金供与の専門監督機関設置で政治的合意(2024年1月2日)

 マネーロンダリング防止規則案では、規制義務主体として、金融機関、銀行、不動産会社、資産管理サービス、カジノ、商人等を指定。当該事業者は、疑わしい活動を発見する特権的な立場にあり、マネーロンダリング/テロ資金対策(AML/CTF)の枠組みにおけるゲートキーパーとして中心的な役割を果たすと規定した。

 さらに先に合意していたように、暗号資産(仮想通貨)サービスプロバイダー(CASP)も義務主体となり、1,000ユーロ以上の取引に関しては、顧客デューデリジェンスとセルフホスト型ウォレットとの取引のリスク軽減措置実施の義務が課される。暗号資産のコルレス関係に対しては、特定のデューデリジェンス強化策が導入される。

 さらに、貴金属、宝石、宝石商、時計師、金細工師等の高級品の取引事業者にも、顧客デューデリジェンスと報告義務が課される。高級車、飛行機、ヨット、美術品等の取引事業者も義務主体となる。プロサッカークラブと代理人も義務主体と位置づけられたが、発効から5年後に適用を開始。さらにEU加盟国の判断で、リスクが低いと判断した場合は、プロサッカークラブと代理人を義務主体から外すこともできる。

 現金取引では、支払上限を1万ユーロに設定。さらにEU加盟国の判断で上限を引き下げることもできる。3,000ユーロから1万ユーロまでの現金取引についても、頻繁に行う取引相手についてはKYC強化を規定する。富裕層についてのデューデリジェンスも強化され、違反事案は制裁制度での考慮事項とする。

 実質的所有者の把握については、実質的所有者の閾値を25%とし、EU域外の法人も含め、実質的所有者の把握を義務付ける。また、多層的な所有・支配構造に適用される関連規則も明確化。同時に、データ保護と記録保持の規定も明確化され、管轄当局の業務をより簡単かつ迅速に行えるようにする。不動産所有については、2014年1月1日まで遡及して、不動産を所有する全ての外国事業体の実質的所有者の登録を義務付ける。

 リスクの高い第三国が関与する取引は、強化デューデリジェンス義務の適用対象となる。欧州委員会が、金融活動作業部会(FATF)のリストに基づき、リスク評価を実施、リスクの高い第三国を特定する。

 一方、マネーロンダリング防止指令案の方は、実質的所有者に関する中央登録簿や、政府の金融情報期間(FIU)に関する情報開示や運営に関するルールを取り決めている。実質的所有者に関する情報は、NGOやメディアも閲覧できるようにする。

【参照ページ】Anti-money laundering: Council and Parliament strike deal on stricter rules

ここから先は登録ユーザー限定のコンテンツとなります。ログインまたはユーザー登録を行って下さい。

 EU上院の役割を担うEU加盟国閣僚級のEU理事会とEU下院の役割を担う欧州議会は1月18日、マネーロンダリング防止/テロ資金供与(AML/CFT)規則案とマネーロンダリング防止指令案で政治的合意に達した。今後、双方での立法手続に入る。

 EUでは2021年7月、

ここから先は登録ユーザー限定のコンテンツとなります。ログインまたはユーザー登録を行って下さい。

 EU上院の役割を担うEU加盟国閣僚級のEU理事会とEU下院の役割を担う欧州議会は1月18日、マネーロンダリング防止/テロ資金供与(AML/CFT)規則案とマネーロンダリング防止指令案で政治的合意に達した。今後、双方での立法手続に入る。

 EUでは2021年7月、

ここから先は登録ユーザー限定のコンテンツとなります。ログインまたはユーザー登録を行って下さい。

ここから先は有料登録会員限定のコンテンツとなります。有料登録会員へのアップグレードを行って下さい。

 EU上院の役割を担うEU加盟国閣僚級のEU理事会とEU下院の役割を担う欧州議会は1月18日、マネーロンダリング防止/テロ資金供与(AML/CFT)規則案とマネーロンダリング防止指令案で政治的合意に達した。今後、双方での立法手続に入る。

 EUでは2021年7月、欧州委員会が今回のEU規則制定に向けた提案を採択。EU理事会と欧州議会との調整に入っていた。同規則は内容が多岐にわたるため、EU理事会と欧州議会での協議は、項目毎にわけて実施する手法を採用。一部内容はすでに両者間での政治的合意に達していた。今回の合意により、一連の内容が全て合意された形となった。

【参考】【EU】EU理事会と欧州議会、マネロン・テロ資金供与の専門監督機関設置で政治的合意(2022年7月3日)
【参考】【EU】EU理事会と欧州議会、マネロン・テロ資金供与の専門監督機関設置で政治的合意(2024年1月2日)

 マネーロンダリング防止規則案では、規制義務主体として、金融機関、銀行、不動産会社、資産管理サービス、カジノ、商人等を指定。当該事業者は、疑わしい活動を発見する特権的な立場にあり、マネーロンダリング/テロ資金対策(AML/CTF)の枠組みにおけるゲートキーパーとして中心的な役割を果たすと規定した。

 さらに先に合意していたように、暗号資産(仮想通貨)サービスプロバイダー(CASP)も義務主体となり、1,000ユーロ以上の取引に関しては、顧客デューデリジェンスとセルフホスト型ウォレットとの取引のリスク軽減措置実施の義務が課される。暗号資産のコルレス関係に対しては、特定のデューデリジェンス強化策が導入される。

 さらに、貴金属、宝石、宝石商、時計師、金細工師等の高級品の取引事業者にも、顧客デューデリジェンスと報告義務が課される。高級車、飛行機、ヨット、美術品等の取引事業者も義務主体となる。プロサッカークラブと代理人も義務主体と位置づけられたが、発効から5年後に適用を開始。さらにEU加盟国の判断で、リスクが低いと判断した場合は、プロサッカークラブと代理人を義務主体から外すこともできる。

 現金取引では、支払上限を1万ユーロに設定。さらにEU加盟国の判断で上限を引き下げることもできる。3,000ユーロから1万ユーロまでの現金取引についても、頻繁に行う取引相手についてはKYC強化を規定する。富裕層についてのデューデリジェンスも強化され、違反事案は制裁制度での考慮事項とする。

 実質的所有者の把握については、実質的所有者の閾値を25%とし、EU域外の法人も含め、実質的所有者の把握を義務付ける。また、多層的な所有・支配構造に適用される関連規則も明確化。同時に、データ保護と記録保持の規定も明確化され、管轄当局の業務をより簡単かつ迅速に行えるようにする。不動産所有については、2014年1月1日まで遡及して、不動産を所有する全ての外国事業体の実質的所有者の登録を義務付ける。

 リスクの高い第三国が関与する取引は、強化デューデリジェンス義務の適用対象となる。欧州委員会が、金融活動作業部会(FATF)のリストに基づき、リスク評価を実施、リスクの高い第三国を特定する。

 一方、マネーロンダリング防止指令案の方は、実質的所有者に関する中央登録簿や、政府の金融情報期間(FIU)に関する情報開示や運営に関するルールを取り決めている。実質的所有者に関する情報は、NGOやメディアも閲覧できるようにする。

【参照ページ】Anti-money laundering: Council and Parliament strike deal on stricter rules

ここから先は登録ユーザー限定のコンテンツとなります。ログインまたはユーザー登録を行って下さい。