EU上院の役割を果たす閣僚級のEU理事会と、EU下院の役割を果たす欧州議会は6月29日、暗号資産(仮想通貨)にもマネーロンダリング規制を適用することで政治的合意に達した。今後、立法手続きに入る。成立すると、先進国の中で最も厳しい規制が導入されることとなる。
合意したルールでは、資金決済事業者と同様に、暗号資産サービスプロバイダーが、暗号資産の移転の実行人と受取人に関する一定の情報を収集し、アクセスできるようにすることを義務化する。同ルールは「トラベル・ルール」と呼ばれている。暗号資産サービスプロバイダーと非ホスト型ウォレット間の暗号資産移転に関しては、特別ルールが整備される予定。
同ルールの制定では、欧州委員会が2021年7月に採択したEUの第4次マネーロンダリング防止およびテロ資金対策(AML/CFT)規則の強化政策に盛り込まれていたもの。暗号資産事業者は、規制強化に反対する共同書簡をEU加盟国に送っていたが、最終的に規制強化の方向性が決まった。
EU理事会と欧州議会は今回、導入する規制強化は、マネーロンダリングに関する金融活動作業部会(FATF)の勧告に基づくものと強調している。すべての暗号資産サービスプロバイダーに対し、第4次マネーロンダリング防止およびテロ資金対策(AML/CFT)規則に基づく団体として適格性の認定を受けなければならなくなる。
【参考】【国際】FATF、暗号資産(仮想通貨)に関するマネーロンダリング・ガイダンス発表。金融機関と同じルール(2019年6月26日)
また、今回の合意では、データ保護に関しては、一般データ保護規則(GDPR)をそのまま適用し、特別ルールを策定しないことも合意した。
EU理事会と欧州議会は、同ルールの適用時期を、暗号資産市場(MiCA)規則の適用時期に合わせることでも合意。導入を急ぐ必要があるとした。
【参照ページ】Anti-money laundering: Provisional agreement reached on transparency of crypto asset transfers
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