Sustainable Japan | 世界のサステナビリティ・ESG投資・SDGs

【EU】欧州委、2040年CO2を1990年比90%減提案。今後EU加盟国との協議

 欧州委員会は2月6日、EUで2050年カーボンニュートラルを達成するためのロードマップに関する詳細な影響評価結果を発表。それに基づき、2040年までに二酸化炭素排出量を1990年比で90%削減する必要があると勧告した。今後、EU加盟国を含め、全てのステークホルダーとの協議を開始する。

 EUでは、2021年7月に欧州気候法が発効。同法は、欧州委員会に対し、2023年12月に開催されたパリ協定の第1回グローバル・ストックテイクから6ヶ月以内に、2040年の気候目標を提案することを義務付けている。パリ協定のグローバル・ストックテイクでは、各国が2025年に国連気候変動枠組条約(UNFCCC)事務局に2035年目標を報告する必要があるが、EUとしては、2040年の削減目標を先に定め、その上で各国の2035年目標設定を進める考え。

 今回実施された影響評価は、EUの気候変動に関する欧州科学諮問委員会(ESABCC)が担当。欧州では、最新の5年平均で、気温が産業革命から2.2℃上昇しており、欧州における気候関連の経済被害は過去5年間だけで1,700億ユーロに上ると推定。また、このままの水準では山火事、洪水、旱魃、熱波の全てが増加すると予測した。

 ESABCCは、今の排出量水準が続いた場合、控えめに見積もっても、今世紀末までにEUのGDPを約7%低下させる可能性があるとも指摘。反対に、気候変動緩和を強化することは、異常気象リスクとそれに関連する損失の減少による明確な経済的利益をもたらすだけでなく、大気の質の改善とそれに関連する健康上の利益、輸入化石燃料への依存度の減少、生物多様性への利益等、いくつかのコベネフィットがあるとした。

 欧州委員会は今回、2040年90%減の目標を達成するには、いくつかの条件があると強調。具体的には、欧州気候法で法定化されている2030年55%減の完全実施、欧州産業競争力の確保、誰一人取り残さない公正な移行への一層の注力、国際パートナーとの公平な競争条件、産業界や農業部門を含む2030年以降の枠組みに関する戦略的対話等が含まれる。産業競争力強化では、カーボンプライシングのさらなる制度設計や、ファイナンスへのアクセス向上が鍵とした。カーボンプライシングとカーボン市場に対するグローバルなアプローチを開発するための専門タスクフォースも設置する。

 エネルギー部門については、再生可能エネルギー、原子力発電、省エネ、バッテリー、炭素回収・利用・貯留(CCUS)、二酸化炭素除去(CDR)、地熱発電、水力発電等、あらゆる脱炭素・低炭素エネルギーソリューションにより、2040年後の早い段階でカーボンニュートラル化は達成されると見立てた。原子力発電では同日、小型モジュール炉(SMR)に関する産業連盟を発足した。

 運輸部門でも、技術的ソリューションとカーボンプライシングの組み合わせを強化。農業部門では、持続可能な慣行とビジネスモデルを発展させながら、欧州における十分な食糧生産を確保し、公正な所得を確保し、土壌や森林の炭素貯留能力を高める。

【参照ページ】Commission presents recommendation for 2040 emissions reduction target to set the path to climate neutrality in 2050

ここから先は登録ユーザー限定のコンテンツとなります。ログインまたはユーザー登録を行って下さい。

 欧州委員会は2月6日、EUで2050年カーボンニュートラルを達成するためのロードマップに関する詳細な影響評価結果を発表。それに基づき、2040年までに二酸化炭素排出量を1990年比で90%削減する必要があると勧告した。今後、EU加盟国を含め、全てのステークホルダーとの協議を開始する。

 EUでは、

ここから先は登録ユーザー限定のコンテンツとなります。ログインまたはユーザー登録を行って下さい。

 欧州委員会は2月6日、EUで2050年カーボンニュートラルを達成するためのロードマップに関する詳細な影響評価結果を発表。それに基づき、2040年までに二酸化炭素排出量を1990年比で90%削減する必要があると勧告した。今後、EU加盟国を含め、全てのステークホルダーとの協議を開始する。

 EUでは、

ここから先は登録ユーザー限定のコンテンツとなります。ログインまたはユーザー登録を行って下さい。

ここから先は有料登録会員限定のコンテンツとなります。有料登録会員へのアップグレードを行って下さい。

 欧州委員会は2月6日、EUで2050年カーボンニュートラルを達成するためのロードマップに関する詳細な影響評価結果を発表。それに基づき、2040年までに二酸化炭素排出量を1990年比で90%削減する必要があると勧告した。今後、EU加盟国を含め、全てのステークホルダーとの協議を開始する。

 EUでは、2021年7月に欧州気候法が発効。同法は、欧州委員会に対し、2023年12月に開催されたパリ協定の第1回グローバル・ストックテイクから6ヶ月以内に、2040年の気候目標を提案することを義務付けている。パリ協定のグローバル・ストックテイクでは、各国が2025年に国連気候変動枠組条約(UNFCCC)事務局に2035年目標を報告する必要があるが、EUとしては、2040年の削減目標を先に定め、その上で各国の2035年目標設定を進める考え。

 今回実施された影響評価は、EUの気候変動に関する欧州科学諮問委員会(ESABCC)が担当。欧州では、最新の5年平均で、気温が産業革命から2.2℃上昇しており、欧州における気候関連の経済被害は過去5年間だけで1,700億ユーロに上ると推定。また、このままの水準では山火事、洪水、旱魃、熱波の全てが増加すると予測した。

 ESABCCは、今の排出量水準が続いた場合、控えめに見積もっても、今世紀末までにEUのGDPを約7%低下させる可能性があるとも指摘。反対に、気候変動緩和を強化することは、異常気象リスクとそれに関連する損失の減少による明確な経済的利益をもたらすだけでなく、大気の質の改善とそれに関連する健康上の利益、輸入化石燃料への依存度の減少、生物多様性への利益等、いくつかのコベネフィットがあるとした。

 欧州委員会は今回、2040年90%減の目標を達成するには、いくつかの条件があると強調。具体的には、欧州気候法で法定化されている2030年55%減の完全実施、欧州産業競争力の確保、誰一人取り残さない公正な移行への一層の注力、国際パートナーとの公平な競争条件、産業界や農業部門を含む2030年以降の枠組みに関する戦略的対話等が含まれる。産業競争力強化では、カーボンプライシングのさらなる制度設計や、ファイナンスへのアクセス向上が鍵とした。カーボンプライシングとカーボン市場に対するグローバルなアプローチを開発するための専門タスクフォースも設置する。

 エネルギー部門については、再生可能エネルギー、原子力発電、省エネ、バッテリー、炭素回収・利用・貯留(CCUS)、二酸化炭素除去(CDR)、地熱発電、水力発電等、あらゆる脱炭素・低炭素エネルギーソリューションにより、2040年後の早い段階でカーボンニュートラル化は達成されると見立てた。原子力発電では同日、小型モジュール炉(SMR)に関する産業連盟を発足した。

 運輸部門でも、技術的ソリューションとカーボンプライシングの組み合わせを強化。農業部門では、持続可能な慣行とビジネスモデルを発展させながら、欧州における十分な食糧生産を確保し、公正な所得を確保し、土壌や森林の炭素貯留能力を高める。

【参照ページ】Commission presents recommendation for 2040 emissions reduction target to set the path to climate neutrality in 2050

ここから先は登録ユーザー限定のコンテンツとなります。ログインまたはユーザー登録を行って下さい。